陸地から遠く離れた孤島。
 そこへ近づく一人の男の影があった。
 荒れ狂う波も、激しい潮の流れもものともせず。
 その男は泳ぎ続けていた。

 がっ

 男がついに島の岸壁に取り付いた。
 そしてそのまま、垂直に近い絶壁をもくもくと登り始める。
 さほど時をおかず上まで辿り着いた男はゆっくりと立ちあがった。
「郁美……」
 ただ一言呟くと、男は異形の咆哮が響く密林へと踏み入っていった。


【救世主 立川雄蔵 上陸】