日本において、ケースによっては、真実性の抗弁・相当性の抗弁が、判例又は条文上認められている[9]。
真実性の抗弁・相当性の抗弁とは、問題とされている表現行為が、特定人の社会的評価を低下させるものであっても、
公共の具体的な利害に関係があることを事実を以って摘示するもので(公共性)、その目的が専ら公益を図ることにあり(公益性)、
摘示した事実が真実であれば(真実性)、名誉毀損は成立しない、とする考え方である[10]。
1.摘示した事実が公共の利害に関する事実であること(公共性)
2.その事実を摘示した目的が公益を図ることにあること(公益性)
3.摘示した事実が真実であること・真実であるとの相当な理由のあること(真実性・相当の理由)
なお、真実性の抗弁・相当性の抗弁は、不法行為について、これを主張立証すれば、名誉毀損は成立しない。
不法行為上の両抗弁は判例[11]において認められており、犯罪としての名誉毀損については、刑法が明文により、
これらの抗弁を認めている(刑法230条の2第1項)。
これらの抗弁によって名誉毀損の成立しないことに争いはないが、当該抗弁が認められ、名誉毀損の成立が否定される意味については、
諸説ある。不法行為としての名誉毀損について、判例は、ケースによっては、真実性の抗弁が認められる場合には違法性が否定され、
相当性の抗弁が認められる場合には故意・過失がないために、不法行為は成立しないとするものもある[12]。



日本の刑法上、具体的事実を摘示することにより、ある人の社会的評価を低下させた場合、名誉毀損罪(刑法230条1項)となる。
不法行為としての名誉毀損と異なり、具体的事実を摘示しない場合には、名誉毀損罪とはならず
(同じ「名誉毀損」でも、刑法上のそれの方がより限定された概念である。)、侮辱罪の成否が問題となる。詳しくは名誉毀損罪を参照。