ドイツ音楽の神髄が強い拍節感にあり、その根拠はドイツ語のアクセントにある。
その典型を示す指揮者は、やはり我らがカール・ベームである。
がっちりした拍の構築にベームの倫理性、いわば正邪の感覚が反映している。
ウィルフガング・サバリッシュがかってベームを追悼して「ベームの指揮は、音楽が
その先どう展開してゆくかが一瞬の身振りに先取りされていた。」と述べたが、
これは全く同感で、ベームが何よりも卓越しているのは、彼の構成力であると感じる。
そしてこれは、指揮者のもっとも重要な資質であり、また音楽家の才能の試されるのである。
実際最近の指揮者で、その身振り一つで音楽を感じさせる指揮者がどれほどいるだろうか?
カール・ベームはその存在自体が、音楽そのものだった最後の指揮者といっていいだろう。