ベートーヴェンといえばギレリス
ギレリスといえばベートーヴェン

こういった作曲家との絶対的な関係性を持ち得たピアニストを
他に幾人数えられるだろうか?

これは芸術にとっては圧倒的に幸福であった
しかし私人ギレリスにとってはある種の不幸であったことを
否定しきれない

真なるベートーヴェン像の確立

その余りにも、余りにも重い命題は
彼をしても死力を尽くさせ、その早すぎる死に追いやった
その事実に思い致さざるを得ないからだ

彼の未完の選集はその悲劇性を湛えて、ゆえに弥増す存在感で屹立している