アンリ・ゲオンは
長年ワーグナーの大ファンであった。
その彼がある日、ピアノの腕前がどれほど上達したのかを試すべく
ピアノの上に偶然置いてあったモーツアルトのピアノソナタを弾いた。
「ふむ なかなか私も上達したもんだ この程度の曲なら初見で弾ける」
しかし、何か心にひっかかるものがあったので
もう一度その曲を弾いてみた
「なんという事だ!この短い数分のソナタの中にワーグナーが何時間もかけて
 表そうとしたすべてが入ってるではないか!」
この瞬間からアンリゲオンはモーツアルトのキチガイになってしまった。


そうなんだ
モーツアルトに閃く
ある日突然、まさに雷鳴のように
おそらくほとんどのモーツアルトファンはきっとそうなんでしょうね
もちろん俺もそうだった
こんな経験はモーツアルト以外には無い

モーツアルトに閃いた、その瞬間
あの大バッハですら幼稚にさえ思えてしまう
ん?ベートーベン? あれは歌謡曲だなとさえ思えてしまう

それがモーツアルト

この閃きなきモーツアルトファンは単なるモーツアルト好き
けっしてモーツアルトの本質を理解できてる人々ではないのだろう