ヴェデルニコフの月光は、月光というよりも、
むしろ、月のない夜を想起させる。
光を失って初めて光のありがたみを知るような、悲愁の調べである。
果て知れぬ暗闇の底に、ちょうど波紋が広がるように響き渡る第1楽章。
月のない夜においては、遥か彼方の星たちの、かすかな光だけが、
現世の事物をおぼろに照らし出す。
ヴェデルニコフの悲愁と虚無の調べを、ぜひ体験していただきたい。
暗闇だからこそ、それまで見えなかったものが見えてくることもあるのだ・・・