ピアニストの技量を量るにはショパンが良いかもしれないが、シューマンの
ピアノ曲では、通常ピアニストに求められる技量以上に感受性や知性やモ
ラルが試される気がする。アシュケナージにはご愁傷様と言うしかないが、
これが聴き手についても同じことが言えるのだとしたら怖ろしい。

66年‐68年に録音されたDominique Merletの交響的練習曲、アラベスク、ダ
ヴィッド同盟舞曲集からなるシューマン作品集(仏Accord 202612))を聴くと、
演奏家に対し、これほど胸の奥底からの対話を求める作曲家もないだろう、
という気になってくる。名盤だと思う。