「THE TWISTED MUSE : Musicians and Their Music in the Third Reich」の翻訳2種(>>2)の比較。

【A】時はナチスがポーランドに侵攻してからしばらく経った頃。
【B】ナチによるポーランド侵攻。

【A】機関銃を振り回しながらナチ親衛隊が、とあるポーランドの町のユダヤ人ゲットーを急襲する。
【B】親衛隊の兵士たちが、とある街のゲットーを襲う。

【A】いたるところで銃声が響き渡り、男も女も子供も地に伏せる。
【B】小銃で撃たれ、崩れ落ちる男や女、そして子供たち。

【A】二人の親衛隊員が階段を掛けのぼると、銃声と叫びが飛び交うなか、どこかからピアノの音が聞こえてくる。
【B】銃声と悲鳴の背景に、ピアノの音楽が聞こえてくる。どこからだろう?

【A】二人は、がらんとした部屋に行き着く。そこにはアップライト・ピアノがある。
【B】彼らはアップライトピアノの置かれた、がらんとした一室に到着する。

【A】ある若い親衛隊兵士がこのピアノに向かい、恍惚とした面持ちで美しい音楽を奏でているのだ。
【B】そこでは親衛隊のひとりが陶酔した眼で可憐な作品を奏でていた。

【A】唖然とした二人は、開いた部屋のドアから覗き込む。一人が「バッハか? バッハだろ?」と声をあげる。
【B】やってきたひとりが尋ねる、ドイツ語で。「それは何だ、バッハか? それはバッハか?」

【A】もう一人が「いや、モーツァルトだ! モーツァルトだ!」と答える。
【B】「いやモーツァルトだ、モーツァルト」、ほかのひとりが答える。

【A】実はこれはバッハだ。一七二〇年頃に作曲された<<イギリス組曲>>イ短調のプレリュードだ。
【B】演奏されていたのはほかならぬバッハの<<イギリス組曲>>イ短調の<プレリュード>だった。