(前略)
クラシックが隷属を強いるのは時間構造においてだけではない。
作曲者が演奏者に対して絶対的な優位に立つことは前に触れたが、シンフォニー
オーケストラなどを見てみれば、さらに細かい優劣の順位がはっきり目に入ってくる。
即ち、客席にケツをむけて棒を振りまわすだけで音を発しない指揮者なるものが、
演奏者の中では絶対的な権力者であり、楽員たちはその奴隷、その道具にすぎない。
そして楽員の中でもひとりひとりに順位がある。つまりシンフォニーオーケストラは、
頂上に作曲者、その次に指揮者、その次にコンサートマスター・・・とずーっと来て
いちばん下に聴衆を置く、直線的なヒエラルキーのシステムだ。
そうした序列の最下位に甘んじることの代償として、クラシックの聴衆は、
ポピュラー音楽愛好者に対する優越意識を手に入れるわけだ。