モダン楽器(リヒター中心)でバッハの宗教曲を聞いたときは、どれも爆眠状態で、
多分バッハは一生(一部の器楽音楽を別として)無縁の作曲家だと思った。そして
集めたCDをまとめて中古店に売り払ってしまった。

そんな自分が、ある時、古楽器演奏を聴いてバッハの宗教音楽に開眼。そして、
古いモダン楽器の演奏こそが、バッハの人気が高まるのを阻害している原因だと
思い、こうした演奏に固執している評論家を内心でせせら笑い、罵倒した。

さらに数年、バッハを聞き込むにつれて、あれほど目のカタキにしていたモダン楽器
演奏も「やっぱりいいものは凄いかも」と思うようになった。「古楽器じゃなければ」
「チェンバロでなくてどうしてバッハが味わえる」と思っていたのが、「演奏がいいと
思えればそれでいいじゃない?」というように思うようになった。

単にトシを取った、といえばそれまでだが、そういう風になって逆に痛感したのが、
バッハの凄さ。「モダンか古楽器か」の論争でも熱くなれる、「モダンでも古楽器でも
いいじゃない」という境地になれる、クラシックはあまり聞かないけどバッハは
なんとなくいいねというジャズファンが実際にいる(意外とも思えるが、小生、モダン
ジャズも大好きなので、こういう声が理解できる)。

こんな作曲家は他にはいない。やっぱバッハは凄い。好きな作曲家は沢山いるけど、
the作曲家として唯一人を選べと言われれば、ためらわずバッハ。
以前、一生無縁と考えていたのがウソのようだ。
ヲタといわれてもいい。バッハを知ることができて、本当にラッキーだったと思う。