【朝比奈隆の"遺言"が改竄】

昨年12月29日に93歳で逝去された指揮者の朝比奈隆氏の"遺言"ともいえるCDが
改竄されていることがインターネットの掲示板の書込みにより判明した。

それによると、朝比奈氏は存命中の昨年7月23、25日の両日、
東京・赤坂のサントリーホールで大阪フィルを指揮、
氏がもっとも得意とするブルックナーの交響曲第8番を演奏した。
このときの模様は録画・録音されており、DVDおよびCDとして発売されている。
DVDは7月25日の演奏をそのまま収録、CDは23、25日の演奏から編集した。
改竄されたのはCD(Exton OVCL00061)のほうで、
問題の個所は第2楽章トリオの最後の部分(89-92小節)。
スコアではフルートが同じフレーズを4回繰り返すところ、3回しか繰り返していない。
なお、23日にホールで演奏を聞いた人の書込みによると、
実演では4回繰り返したが、最後の1回(92小節目)でフルートがミスしたという。
これにより、CD制作者がこのミスを隠蔽するために削除、
そのまま商品として発売したものとみられている。

朝比奈隆氏といえば楽譜に忠実な演奏を行うことが有名で、
ベートーヴェンの交響曲もスコアに記された繰り返し記号を
すべて実行する数少ない指揮者だった。

また、当CDのライナーノーツを執筆した音楽評論家の宇野コーホー氏は、
「そして今回の8番。朝比奈はもう一つ高い階段に昇った。94年ライヴの
完璧無類、行き着いた先の崇高さを打ち破ることなど不可能な筈だが、
それを彼は見事に成し遂げてしまったのである」
と激賞、改竄については一言も触れていない。
2月20日に発売される「レコード芸術」3月号(音楽之友社)で、
当CDが月評欄で取りあげられることになっており、
担当者であるコーホー氏が改竄について言及するかどうか注目が集まっている。