ヨッフム・コンセルトへボウのブルックナー第7交響楽、
実に暖かな、色彩感溢れる綺麗な名演でした。
わたくしの行った日は、その前にトリスタン前奏曲と愛の死があり、
これまたブルックナー以上かと思われる見事なものでした。
なけなしのお金を出して聴いた子供でしたから、
今となっては具体的に言語化できところもありましたが、
朝比奈ばかりをありがたがっていたわたくしには、一種の天啓でありました。
確かにヨッフムはフルトヴェングラーやカラヤンやクライバアとは異なり、
「音楽史」には残らぬ指揮者かもしれません。
だが、あの時のブルックナーやヴァーグナーの音楽の豊かさ、美しさは
その時疑いようもない自己体験であり、終生忘れられません。
演奏とは本来、実演者とその場に居あわせた聴衆との間のものであり、
それ以上でも以下でもありません。
わたくしは「伝説」を語ろうとは思いませんが、
こうした指揮者がまた「音楽史」を支えてきた事実に
静かに思いを致したいと思うのです。