ラビン・ユー
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0001見ろ!名無しがゴミのようだ!
2009/07/30(木) 00:10:53ID:Zns8QEcCまどか「元祖さん、たどり着けたら再開するよ。」
0389見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/06/29(火) 01:18:29ID:AxiKgTbRふざくんな
まどかが山田なんてありえねー
0390見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/06/29(火) 15:35:27ID:E8NGRxER山田優ねえ・・まあ、ボーダフォンのCMに出てたあたりなら
この作者の描くまどか像にあわないこともないが・・。
エビは無理だな。
よっしーって元モー娘のか?
こっちの方があかねじゃないか?
0391見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/06(火) 10:16:11ID:28FQz17n「今のままで最高なんだもん。」
0392名無しさん@そうだ選挙に行こう
2010/07/10(土) 11:22:06ID:PTu2FWq/0393見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/14(水) 09:26:22ID:NUGjk/yb0394元祖
2010/07/14(水) 22:42:44ID:6zRYxKGt静観してるんです・・
0395見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/14(水) 23:20:09ID:RNbA5gKj0396見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 16:37:07ID:KfoAucyCどうせまたアク禁なんだろうな
0397見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 20:28:39ID:RtGN/wC20398見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 20:31:51ID:RtGN/wC2それが、今の彼に出来る精一杯の感情表現だった。
まどかは頸に絡めた腕をほどき恭介から体を離すと
「じゃあ、明日予備校でね。」
「え?出るの?」(もう必要ないじゃん…)
「多分。…じゃ、おやすみ。」
ニコッと笑って彼女は去って行った。
恭介はブランコに腰かけたまま動けないでいた。
空を見上げると、いつの間にか満天の星空になっている。
(一体、いつまで待てばいいんだよ?鮎川は離れてても大丈夫なの?
それとも…ひょっとしてこれって、『発展的解消』ってやつ?)
思わぬ展開に困惑している。
まどかは帰るとシャワーを浴びた。
ぶつぶつと独り言
(馬鹿だよね、あたし。怒るに決まってるよ…。
でも…今のあたしじゃ絶対ひかるに負けてるし…
そうよ、もう少し自分を磨いて…それからでも…)
どんなに言い訳をしてみても、さすがに虚しい。
ひかるの迫真の演技を観て以来、完全に腰が引けてしまっている。
心が逃避へ向かってしまった。
シャワーから上がると、バスタオルを体と頭に巻いてキッチンへ行く。
冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、持って2階に上がった。
シュパッ!
ベッドに腰を降ろして一口喉に流し込む。
0399見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 20:35:00ID:RtGN/wC2ぼんやりと窓に映る自分の姿を見つめている。
缶の表面で冷やされた水滴が膝へと流れた。
(冷たい…)
膝に流れる滴を手で払うともう一口飲んだ。
ついさっきまで…そんなつもりはなかったのに…。
恭介のために、そして何より自分のためにと結論を出したはずなのに…。
例えひかるにそんなつもりが無かったにせよ、
あんな演技をみせられたばっかりに…。
『あんなこと』があった後でも、ひかるは稽古に打ち込んで
立派に役を演じてみせた。
多分、チケットをくれたことに他意はないのだろう。
そんなひかるが随分健気に…そして『大人』に思える。
その点、自分は…
(ひかるが引くんなら、あたしも引くべきなんじゃない?)
でも、今更『ひかるのため』はさすがに格好がつかない。
それは『封印』して来たはずなんだから…。
(アメリカに行こうかなあ…『自分のため』に)
体のいい逃げ。
それもどこかでは分かっている。
(ひかるに負けないように…あたしも頑張ろうっと。)
無理やり自分を焚きつけた。
0400見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 20:38:26ID:RtGN/wC2カレンダーを見ながら考える。
頭の中で予定が立つや否や片付けを始めた。
ホントは一刻も早く逃げ出したかった。
今この機会を逃がさないように、
…自分の気持ちが揺らぐ前に。
(そうよ。こうするべきだったんだわ。)
そして…とうとう恭介に言ってしまった。
クローゼットから引っ張り出したスーツケースを眺めながら、
この数時間の出来事を思い出している。
そして、迷路に落ち込みそうになる心を引っ張り上げる。
(ネックレスは…持って行こう。写真は…要らないや、里心着くし。)
考えるや、壁や机、引出しの中の写真を全て集めると、
オルゴールの付いた宝石箱に重ねて入れ、
それをさらに段ボール箱に入れると厳重に目張りをした。
そしてそれをクローゼットの奥に仕舞いこんでしまった。
ホントは今にも心が折れそうなのに、頭の中ではとことん強がっている。
(百年に一人の逸材らしいから、せいぜい音楽に身を投じてみるか。)
0401見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 20:44:07ID:RtGN/wC2まどかはベッドの中で考え事をしていた。
(誰とも会いたくないなあ…考えるよりも動こうか。)
「よしっ!」
意を決すると航空会社に直接電話してチケットを予約する。
そして、予備校をサボって家の中を片付けることに没頭し始めた。
お昼過ぎには、取り敢えず一旦家を留守にできる程度に片づけが終わる。
雨戸も閉めたので、家の中は蛍光灯の灯りだけになってしまった。
まどかはスーツケースを玄関に出すと部屋で着替えを始めた。
雑念を振り払うよう粛々と事を進めるてきたが…
つい鏡に映る自分の顔をぼんやりと見つめてしまう。
吹っ切れた顔には見えない。
(帰りは解らないけど…取り敢えずアメリカに行こう。
そして、いろんなことに挑戦して、すごく大人になって…
そしたら、今度こそ春日クンと…春日ク…かす…)
急にまどかを激しい目眩が襲った。
視界がホワイトアウトして倒れそうになる。
傍にあった勉強机に手をつくと、ゆっくりと床に倒れこんだ。
今まで経験したことがないくらい頭がズキズキし出す。
吐き気もして来た。
(ダメだ…!)
瞬間、目の前が真っ暗になる。
ジーーーー…
耳に不快な音が聞こえている。
あらためて目を見開くと、眼の前に辛そうに顔をしかめる自分の姿が!
(…?)
いつのまにか自分の不快な症状は消えてしまっている。
代わりに眼の前の彼女は酷く辛そう。
「何?あたしどうなってるの?」
0402元祖
2010/07/22(木) 20:45:48ID:420HCfBKやっぱり、あたしのの大好きなまどかちゃん
でいてくれた!
心配してました〜!
0403見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 20:47:04ID:RtGN/wC2見かねて彼女の元へ近づき、そっと声をかけた。
「ね、ねえ、大丈夫?」
「痛い…」
彼女は頭をかかえこんだ。
「お医者さん呼ぼうか?」
「あなたのせいでしょ…」
「え?」
すると、それまで痛がっていた彼女が急に起き上った。
「だから、あなたのせいでしょ!」
「な、何言ってるの?あなたは誰?」
まどかは部屋を見渡すが部屋に変化はない。
眼の前にもう一人の『自分』がいること以外…。
(一体どうなってるの?)
まどかは怖くなって後ずさりしながら彼女から距離を取ると、
もう一人の『自分』が、まどかをじっと見つめながら呟きだした。
(逃げるの?一緒にいるって決めたんじゃなかったの?)
0404元祖
2010/07/22(木) 20:55:28ID:420HCfBK覗いたらリアルアップされてるし〜!
あぁ、運命を感じます〜!
0405見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 21:00:13ID:RtGN/wC2「え?」
電話の音でふと我に帰る。
気づくと恭介の写真が貼ってあった辺りを手でなぞっていた。
(今の…何だったの?)
ルルルルル!
(あ、はいはい…)
部屋にある子機のディスプレイを見ると『ひかる』から。
(ひかるには言っておこうかな…)
受話器を取る。
「はい、鮎川…」
「まどかちゃん?ひかるそっち行ってない?」
「あ、お母さん。…いいえ、来てませんけど。どうしたんですか?」
「昨日から帰ってこないの。春日さんのお宅にも電話したんだけど
知らないって。今まで泊まる時はちゃんと電話してたし…。
最近…部活が終ってからちょっと変だったの。だから、心配で…。」
時計を見るとすでに15時をまわっていた。
「…取り敢えず、あたしも知り合いを当たってみます。」
「あの子、また昔の悪い人と…あ、ごめんなさい。」
「いえ…」
0406見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 21:01:52ID:76s1JLpq0407見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 21:02:58ID:RtGN/wC2「はい春日です。」
「あ、まなみちゃん?お兄さん…まだ学校よね。…ひかる知らない?」
「さっきお母さんから電話があったんですけど…何かあったんですか?」
「ううん、何でもない。
…あたしから電話があったこと春日クンには内緒にしておいてくれる?」
「え?…はい。」
まなみは少し不安な面持ちで答えた。
電話を切ると、まどかは家を飛び出した。
あんなストーリを観た後だけに、妙な胸騒ぎがしてくる。
その頃
(やっぱり来なかったか…)
まどかの性格をよく知っているだけに、来ないだろうと予想はしていた。
しかし、2日続けてまどかが休んでいることに、周囲が少し噂をしている。
そんな雰囲気の中、いきなり
「よお!お前振られたのか?」
「かもな。」
気のない返事に、小松と八田は驚いて顔を見合わせる。
「ど、どうしたんだよ?」
「俺にも解らない。とにかく放っといてくれよ。」
(マジかよ〜?)
二人は顔を引きつらせながらも元気づける。
「じゃ、後で昼飯食いに行こうぜ。」
「ああ。」
0408見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 21:08:30ID:RtGN/wC2「いらっしゃ…よう、まどかクン。そろそろ手伝ってくれるのかい?」
「ごめん、マスター。ひかる来てないかなあ?」
まどかの表情に何かを感じて
「どうしたの?ひかるちゃん…来てないけど。」
「また後で寄る。ひかるが来たら捕まえといてくれる?」
まどかはアバカブを飛び出すと街へと向かった。
そして、ひかるが行きそうな場所を探して回った。
(まさか、自棄起こしてなきゃいいけど…)
昔自分たちが出入りしていた不良のたまり場にもズカズカと入っていく。
最近ではめっきりご無沙汰のまどかだったが、今の表情や態度は
昔のそれに戻っている。
「ねえ、あんた達、ひかる知らない?」
「!!…鮎川先輩!い、いや、知りませんよ。」
「そう。見かけたらアバカブに知らせてくれる?」
「はい。」
まどかは険しい表情のまま立ち去った。
そして、ひかるが一晩過ごせそうな所を片っ端から当たって行く。
恭介のマンションの周りも遠くから眺めて見て回ったけど、
それらしき姿は見かけない。
(どうしよう…あたしのせいだ。あたしの…)
まどかの想像は悪い方へとはまっていく。
0409見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 21:18:06ID:RtGN/wC2恭介は帰りにアバカブに寄ってみた。
まどかが来ているんじゃないか…マスターには何か話しているんじゃないか
そんな気持ちに駆り立てられるように訪ねてみた。
カランコロン!
「よう、いらっしゃ…い…。」
恭介の沈痛な表情を見て、マスターは彼らに何かが起こっていると感じた。
「マスター、鮎川…」
彼女の名前を出した途端涙がこぼれそうになる。
マスターはカウンターの仕切りを開いてキッチンの奥に招き入れた。
「一体何があったの?」
「俺も解らないんだけど、急にアメリカに行くって言い出して。」
「ええ?まどかクンが?相変わらずだなあ〜…」
マスターは腰に手をあてたまま首をひねっている。
「マスター、何か聞いてない?」
「いや、全く。それよりまどかクンならさっき来たよ。ひかるちゃんを捜しに。」
マスターはその時の彼女の様子までは語らなかった。
(ひかるちゃん、春日クンに振られたって言ってたけど…
まどかクン、まさかひかるちゃんのこと気に掛けて身を引くつもりなのかな?)
「で、いつ行くって?」
「2学期前に退学願出すって…鮎川のことだから、もう止められないよ。」
恭介は投げやりに呟いた。
「さっきの感じだと、またうちに寄るみたいだから待ってみたら?」
「うん。」
恭介はカウンターの奥から出て、あらためてコーヒーを注文した。
0410見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 21:19:23ID:vcvfjqT20411見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 21:26:02ID:RtGN/wC2カランコロン!
「いらっしゃ…おや、まなみちゃん、くるみちゃん。久し…」
二人はカウンターに居る兄の姿をみつけると
「お兄ちゃんのせいだよ!」
くるみは泣きながら恭介の肩を揺さぶる。
まなみはくるみをなだめながら、バツが悪そうにマスターに頭を下げると
恭介とくるみを店の外に連れ出した。
3人の後ろ姿を客たちがひそひそ話しながら眺めている。
「どうしたの?何があったの?」
「ひかるちゃん、昨日から帰ってないって。今日も連絡つかないって。」
まなみは電話先のまどかの雰囲気からただならぬ状況を察して、
ひかるの家に電話をかけ、あらためて事態を知った。
「まどかさんも捜してるみたい。」
「まなみ…お、お前、使わないのか?」
「だって、使っちゃいけないって。」
「こういう時こそ使えよ!」
「!!、そうだよ、まなみちゃん。一緒に捜そう?」
3人は人気の少ない路地裏に行くと姉妹が手を取り合って目をつむった。
ブツブツと何かを念じていたかと思うと急に声を荒げた。
「お兄ちゃん!ひかるちゃん危ない!!」
0412見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 21:42:51ID:RtGN/wC2慌ててまなみと恭介が抱え込んだ。
恭介は声を荒げ
「どこ?どこに居るの?!」
「学校の屋上にある給水塔のとこ!」
バシュッ!!
その瞬間、恭介の体が消えた。
その頃ひかるは
高校の校舎屋上の、さらに上にある給水塔に座って夕焼けを眺めていた。
(さすがに今日は帰らないとね〜。お母さん怒ってるだろうなあ。)
舞台の千秋楽がはねて、またぽっかりと心に穴が開いてしまった。
部活がある間はそれに没頭することで誤魔化せていたけれど、
それも終わると、どうしようもなく寂しくなって来る。
自分の演じた役どころがあまりにも我が身とオーバーラップして、
何とか忘れようとあがきながら街を彷徨い歩いた結果、
いつも隠れて煙草を吸っていた中学校の体育倉庫へたどり着いた。
そして、そこで泣きつくして眠ってしまった。
ひかるは倉庫のマットの上で一晩明かした後、翌日も学校の敷地から
出ないで過ごした。
まだまだ恭介との思い出に捉われていたけれど、思う存分浸ってから
スッキリさせようと決心した。
0413見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 21:43:47ID:RtGN/wC2「よしっ!」と一つずつ決別を告げていく。
やがて、そんな儀式が全て終了すると夕刻になっていた。
ひかるは少しセンチになって、校舎の一番高い所から夕焼けを眺めて
みたくなった。
そして…まなみとくるみは『そのシーン』だけを勘違いして恭介に告げた。
ひかるは立ち上がると
「アタイさあ…あんたのこと…ずっと…嫌いだったよ…」
小声でセリフを決めてはみたけれど
夕陽を見ていると、なんだか泣けてくる。
(やっぱ無理があるよね…3年だもん…。)
ぼんやりとたたずむひかるの目の前に、いきなり恭介の姿が現れた!
(間に合った!)
「うわっ!!」
ひかるはびっくりして後ずさってしまった。
(ええ〜!?)
ちょうどその頃、まどかは給水塔の真下付近に来ていた。
(もっと早くにアメリカ行くんだった…
ひかるにもしもの事があったら…あたし…あたし…)
「キャ〜!!!!!」
(え?)
声がする方を見上げると、ひかるが今にも落ちそうになっている。
(ええ?ひかる?!)
考えるよりも先に受け止めようと駆け出すまどか。
その頭上から今まさにひかるが降ってくる。
「ひかるー!!」
「ひかるちゃん!!」
バシュッ!!
恭介は先回りしたけれど万事休す!!
(え?!)
0414見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 21:44:36ID:RtGN/wC2(無理だ!!!!)
恭介は固まった。
そして、ひかるの体がまどかの胸に激突しようとした、まさにその瞬間
バチバチバチ!!
夕ぐれに染まった空気を切り裂くような稲光が走る!
すざましい放電が二人の体から放たれた!
瞬間、ひかるの体は宙に浮き、そしてそっとまどかの腕の中に納まった。
(え?)
(ええ??)
まどかとひかるの目が合って、二人は輝きの中で倒れこんだ。
そしてそのまま二人とも気絶してしまった。
一部始終を目撃した恭介は
(俺じゃない!)
辺りを見回すと、
(・・・!!!)
そこにはゆらゆらと青白い炎を全身から発しているあかねの姿が!!
凄い形相をして二人を睨んでいる。
「あかね!お前…よくここが。」
炎がス〜ッと消えていくと、力尽きて彼女も気を失いそうになる。
恭介は慌ててあかねを抱え込むと、そっと地面に横にした。
ちょうど向こうからくるみとまなみが駆けてくる。
「お兄ちゃん!ひかるちゃんは?」
「あそこ。足滑らせて…でもあかねのお陰で。」
向こうにまどかとひかるが、こっちではあかねが気を失っている。
0415見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 21:47:32ID:RtGN/wC2「う〜ん…あれ?」
「あかね!」
「あ!!ひかるちゃんとまどかちゃんは?!」
フラフラしながら立ち上がる。
「あかね!お前のお陰で助かったよ!!」
「それがさぁ、まどかちゃんが血相変えて走って行くのを見かけてね、
慌てて追いかけたら、ちょうど…なんでこんなことに?」
「お兄ちゃんのせいよ!」
睨むくるみを制するようにあかねが
「誰にも見られてないよね?今の内に2人を運ぼう!」
恭介がまどかを背負い、ひかるはあかねに背負われてマンションに向かう。
部屋に上げられると、リビングにマットが敷かれ、二人は横にされる。
まなみとくるみはタオルを温めて二人の体をやさしく拭いてやった。
隆が仕事から帰って来て驚いた。
「ただいま〜…?おいおい!どうしたんだ?」
「叔父様…二人に見られちゃった。今は気を失ってるけれど…」
「何があったんだ?二人は大丈夫なのか?病院へ行かなくていいのかい?」
「うん。ちょっと気を失ってるだけみたい。」
隆は穏やかに眠っている二人の傍に行き、大丈夫そうなのを確認した。
そして、事の顛末を聞くと
「そうか…とうとう知られてしまったか…
と、とにかくお前たち二人を看病してあげなさい。」
そう言うと書斎に入り、そっと妻の写真に語りかけた。
(彼女たちは理解してくれるだろうか…)
0416見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/22(木) 21:48:45ID:RtGN/wC2「俺はマスターに電話しなくっちゃ。心配してるだろうから。」
まなみは事情は伏せて、取り敢えずひかるを無事発見したことを告げた。
今は気を失ってるので部屋で寝かせていることも。
電話では、ひかるの母がすぐ車で迎えに来るとのことだった。
スヤスヤと眠る二人を見つめてあかねが口を開く。
「どうしよう。二人が目覚めたら何て言うかな?」
「マズイことになったら、お前、(記憶)消してくれる?」
「恭介、お前それでいいの?何ならひかるちゃんの方だけ…」
「あかねちゃん!酷いよ、それって。」
姉妹が口をそろえた。
あかねは恭介やまどかのことをよく知った上で提案したのだが…。
そうこうしている内にひかるが目を覚ました。
「う、う〜ん…あ、あれ?ここは……せ、先輩!一体どうして…?」
「ひかるちゃん。」
ひかるは横に眠るまどかにも気付いて驚く。
「え?まどかさん!何でここにいるんですか?」
4人は顔を見合わせた。
まなみが恐る恐る訊く。
「ひかるちゃん、覚えてない?」
ひかるは、え?という顔つきになってしばらく考え込んだ。
「あたし、先輩との思い出の場所をめぐってる内に体育倉庫で…
そして…後が思い出せない…何でここに居るのかしら…?」
らためて恭介の顔を見ると赤くなった。
「すみません…もう会わないって約束したのに…何で、こんな…」
「ひかるちゃん、『塀』から落っこちたんだよ。それをまどかちゃんが
受け止めようとして『ちょっと』頭を打ったみたい。」
0417見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/23(金) 04:34:10ID:+45WeMfVひかるも『落ちた』覚えはあるだけに、それに符合させるしかなかった。
(でも、何で塀の上に?)
ピンポ〜ン、ピンポ〜ン!
ひかるの母親が迎えに来た。
まなみが玄関に出ると、カンカンに怒った母親がいた。
まなみの後ろからひかるが顔を出し、母親が口を開く前にしおらしく
謝罪した。
「ひかる、あなた、こんなにみなさんに心配かけて…。どうして?」
「ごめんなさい。訳は帰ってから話すから。
他所のおうちじゃみっともないでしょ?」
後ろで気にするみんなにはちょっと笑顔をして見せて大丈夫、大丈夫と
靴を履きだした。そこにくるみが温かいタオルを持ってきて手渡す。
「ありがとう、くるみちゃん…」
ひかるは声を詰まらせて、みんなに背を向けてドアから出て行った。
見送るみんなにひかるの母は何度も深々とお辞儀をした。
0418見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/23(金) 04:35:12ID:+45WeMfV「ひかるちゃん、気付いてないみたい。」
一同ほっと胸をなでおろす。
みんなはリビングに戻りまどかを囲む。
「ねえ、まどかちゃんはまだ目が覚めないの?」
「打ちどころが悪かったのかしら?お医者さん呼ぼうよ。」
心配そうにまなみが顔を近づける。
「俺が見た瞬間は…ぶつけたって感じじゃなかったけど…。」
他人によって事の次第が明らかにされるのは躊躇われる。
第三者の介入を避けたい気持ちから、いい方に解釈しようとする恭介に
「そんなこと言って、まどかさんにもしものことがあったらどうするのよ!」
まなみが口を尖らせる。
彼女は何よりまどかの容態が心配で、余計なことは考えられない。
「咄嗟だったけど、ぶつからないようにできた自信はあるのよね〜」
あかねが右の掌をみながら呟くのだがが、まなみとくるみは少し心配顔。
そんな二人をなだめるように、あかねが提案する。
「ここは起こしたりしないで、一晩様子を見てようよ。」
全員が交代でシャワーや自分たちの用事を済ませながらまどかを看ている。
しかし時間が経ってもまどかはスヤスヤ眠っているだけ。
11時を過ぎて、さすがに姉妹はあくびをし出した。
隆がやって来て子供たちに休むように促す。
「俺は…」
その場に残ろうとする恭介に呆れ顔で
「お前はダメに決まってるじゃん。あたしが看てるからいいよ。」
あかねにダメ出しされてスゴスゴと部屋に入った。
(ひかるちゃんは…相変わらずひかるちゃんらしくって助かった。
でも…鮎川は…何考えてんだろう…?目が覚めたら何て言うかな?
やっぱりアメリカに行くのかな?それとも…)
机の上の二人の写真を見てため息をつく。
(発展的解消か…)
0419見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/23(金) 04:35:53ID:+45WeMfVあかねはじっとまどかの顔を眺めていた。
(まどか…もし全部覚えていたとしても…
それでもあたし達と一緒にいてくれる?)
「う…う〜ん…」
(!!…気付いた?)
まどかの目が少しだけ開いている。
そして呟くように
「ここは…ひかるは?ひかる…」
「大丈夫よ。ピンピンして家に帰ったよ。」
「良かった…。」
ホッとして瞼が閉じそうになるけれど、ふと考えて呟いた。
「あかね…ここは?」
あかねは少し笑みを浮かべて囁く。
「恭介の家。」
「そう…なら安心だ…」
そう言うと、まどかはまた深い眠りに落ちて行った。
(…?寝ちゃったか。)
あかねも横になることにした。
翌朝
あかねがまどかの顔を覗き込む。
「おはよう。」
(!!な、何よ?ここは?)
まどかはガバッと身を起こしあかねを睨んだ。
「あ、あなた誰?」
「え?」
「あれ?ここ、どこよ?」
茫然と見ていると、みんなも集まって来た。
「まどかさん、良かった〜。」
傍に来ようとするまなみにびっくりして押しとどめる。
「ちょ、ちょっと…あなたたち誰なの?ここはどこよ?」
0420見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/23(金) 04:36:42ID:+45WeMfV「ウソだろ…?」
隆が落ち着いてソファに掛けるように言うのだが
まどかは後ずさりするばかりで、気味悪がって座らない。
一所懸命に何かに考えを巡らせている。
「あなた…自分が誰か」
「あたしは『鮎川まどか』だよ。で、あたし何でこんなとこに居るの?」
「全然覚えてないの?」
すると、まどかは急に怯えたような目つきになり騒ぎだした。
「そう言えば…あんたたち普通じゃない!
あんたは体から青い火を出してた!あんたはあっちこっちに姿を現す…
そして、両腕をさすりながら嫌悪の表情で吐き捨てるように
…き、気持ち悪い!!」
「気持ち悪いって…」
口を開く恭介。
するとまどかはみんなを睨むようにしながら
「失礼!」
そう言うや、彼女は玄関から逃げ出してしまった。
みんなは茫然と見送るしかなかった。
「昨日目が覚めた時は落ち着いてたのに…夜が明けたら…なんで?」
あかねの呟きを聞いて、まなみはショックでしゃがみ込むと泣きだした。
くるみは部屋に入ってしまった。
「ちょっと辛いな。俺達の記憶がこんな形で鮎川の心に残ってしまうなんて…」
「ごめん、恭介。こんなことになるなんて…」
あかねは唇を噛んだ。
「いいよ、二人の命の恩人なんだもん。生きてるだけで…」
そう言うと恭介は部屋に戻ってしまった。
0421見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/23(金) 04:38:22ID:+45WeMfV「何で謝るの。あかねちゃんはちっとも悪くないよ。恭介の言う通りだ。
彼女に知られ、受け入れられなかったのは残念だけど…仕方ないよ。
しかしもうこの町には住めないな。引越しの準備に…」
「どこに行くの?」
まなみが訊くのに
「『居場所』を変えるんだよ。そこでまた一からやり直しだ。」
「もう2度とひかるちゃんやまどかとは会えないの?
もう一度なんとかならないの?あたし、お爺ちゃんに訊いてみる。
そうよ、あたしだったら出来るかも。あたしだったら…」
隆とまなみは黙って聞いていた。
掟は絶対守らなければならないことは、一族の者は誰でも承知している。
「ねえ、叔父様。どんなことにも例外は有るわよね?ほら、あたしだって
スポーツ推薦でK大受けられるし!そうよ。そう…よ。」
あかねは上ずる声に手を当てると…黙ってしまった。
恭介は部屋で今まで撮りだめしていた写真を眺めていた。
いろんなことがあった。
どれもこれも、思い出すと昨日のことのように懐かしい。
(受け入れられなかったら…一家で消滅かあ…)
さっきのまどかの言った言葉を冷静に受け止めていた。
気のせいか、写真の中のまどかがぼやけている。
部屋から出てくると隆に尋ねる。
「俺たち、後どれくらい猶予期間があるんだっけ?」
「7日だよ。それまでに身の回りを整理しておきなさい。」
「そんなあ…明日から学校始まるって言うのに…」
0422見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/23(金) 04:39:43ID:+45WeMfV二人は珍しく喧嘩をしていた。
「お前ら、近所迷惑だろ!」
見ると二人は顔を泣き腫らしている。
「何よ!元はと言えばお兄ちゃんが原因じゃない!」
ギクッとする。
「…ごめん。」
居た堪れなくなったあかねが
「あたし、もう一度まどかちゃんに会ってくる。」
そう言うと恭介の制止を振り切って出て行った。
(あかね…これ以上やってもお前が傷つくだけだぞ…)
まどかはなんとか家に帰り着いた。
玄関にはスーツケースが置いてある。
家に上がると中は雨戸が閉められ、電気が付いている。
(何よ?何にも覚えてない…)
閉め切った窓を次々に開けて回るとスーツケースを開けてみた。
中からは簡単な旅行セットと衣類が出てきた。
電話機のところに置いてあるバッグからは、アメリカ行きの片道航空券が。
日付を壁にかかったカレンダーで確認すると、明後日の出発だった。
(あたしアメリカに行くんだったっけ?あたしが?なんでよ…?)
0423見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/23(金) 04:40:33ID:+45WeMfVふと思い出したように
「そうそう。え〜っと…」
まどかは何やら探しだした。
(タバコ、タバコと。何所にやったのかしら?)
スーツケースの中の衣類の間を確かめてみた。
「なにこれ?ネックレス?血が付いてんじゃん!汚いなあ…」
まどかは何も考えずポイとごみ箱に放り込んだ。
さらにどこを探しても出てこない。部屋はきれいに片付けられ、
自分の机の上はもちろん、引き出しの中まできれいなものであった。
(嘘みたい…これがあたしの部屋?)
まどかはママの鏡台の化粧ケースの裏ぶたにメンソールが隠してあるのを
知っていた。
(ちょろいわね。)
封を切ると台所にある長いガスライターで火をつける。
おもむろに吸うや、
ゲホッ!ゲホッ!!
噎せだした。
(うえ〜!不味いや…なんで?)
我慢して吸ってみるけど、口の中が嫌な味だらけになる。
まどかは台所の水道でたばこの火を消すと、そのままゴミ箱に捨てた。
(とにかくアメリカなんか行きたくないし…ママたちに電話しとこう)
「ま〜!!呆れた!おととい頼んだくせして気が変わっただって?」
「うん、ごめん。とにかくなんでアメリカなのかもかも覚えてないし、
第一、行きたくもないから。じゃ、切るね。」
「じゃあ、すぐにキャンセル手続きしときなさい!
もうお金ほとんど戻ってこないけど!」
電話は一方的にプツッと切られた。
「まどか?…まどか?」
プープープー…
「んもう!まどかったら…」
「どうしたんだい?」
「それが来るって言ってたかと思うと今度は来ないって。」
「いつものことだろ?」
「それがね、何か変なの。昔のまどかとしゃべってるみたいで…」
その頃まどかは
「ママたちんとこ行ったらうるさく言われるに決まってるじやん!」
自分の部屋に戻ると部屋を見渡した。
0424見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/23(金) 04:43:16ID:+45WeMfV8月のカレンダーを眺めると、予備校の夏期講習の日程、、お盆の日程、そして…
いたるところに『K』の文字が…。
「『K』ってなによ?ああ〜もう!」
床にあぐらをかいて思い出そうとする。
(何であたしあんなとこに居たんだろう…
あの気持ち悪い連中と関係あるのかしら…とにかく、ごめんだわ。」
本棚を見ると、予備校の夏期講習のテキストが並べられている。
ぺらぺらとめくると勉強の後が…
「うわ〜、あたしらしくないよ、こんなの。
夏休みも残り今日だけじゃん!ひかる誘うか。」
ひかる宅にて。
ルルルル!
「はい、桧山…あ、まどかさん!大丈夫ですか?今どこ…」
「大丈夫って、ぜんぜん大丈夫じゃないよ!
だいたい、何のことか覚えてないんだけどさ、
聞きたいこともあるし…今からうちに来ない?」
「え?今からですか?…ちょっと無理かなあ…親が怒ってて。」
「抜ければいいじゃん、らしくないね。」
(…?『らしくない』って、まどかさんこそ…)
「それは…ちょっと。すみません。」
「じゃあ、いいよ。学校始まったら会おうか。」
「…はい。あのー…まどかさん。」
「何?」
「…いや、何でも無いです。」
いつもと様子が違うことが気になっている。
「じゃあね。」
「じゃあ…。」
0425スゲエ
2010/07/23(金) 07:27:53ID:X/iLYDdZ0426元祖
2010/07/23(金) 23:13:49ID:7JbEBk+Uついて行けない・・・
0427見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/24(土) 12:28:12ID:3YEfLWVJ何がついていけないのでしょうか?
話にですか?
それとも、お気に入りの鮎川まどかの人格が変わったからですか?
確かに、着いていけない展開ではありますね。
0428元祖
2010/07/24(土) 22:43:01ID:L0k1oQf00429見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/24(土) 23:19:54ID:2Chf9lKZ0430見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/28(水) 14:39:52ID:wK38hgv5解除と同時に大量アップするのはおサルの仕業。
0431見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/07/31(土) 12:20:52ID:yxeuhBB8気になってしゃ〜ないやん!
0432見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/03(火) 16:49:00ID:goOMjNTY0433見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/05(木) 08:35:20ID:ZgitCKJQ0434元祖
2010/08/14(土) 15:58:59ID:czmI9naLそれとも・・
あたしは信じて待ってます!
0435見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/15(日) 05:57:30ID:6cVaHSMNそれなりに暇が潰れるって。
それと、不用意に上げないように!
0436元祖
2010/08/15(日) 17:43:05ID:BvPvO+do435さんは、ひょっとして作者様ですか・・
ドキドキ
0437見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/15(日) 20:14:20ID:6cVaHSMN0438見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/16(月) 13:02:44ID:CvarvaWRそもそも超能力なんか持たせたのが間違い!そんなんで話を引っ張るなよなあ。
0439見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/16(月) 23:13:12ID:CVn8uCq6と、釣られてみる。
0440元祖
2010/08/16(月) 23:46:20ID:jNenJvnHでもパワーの話は名作ハワイ編で出てますよね〜。
だから今の流れは織り込み済みだったのかなあ?
0441元祖
2010/08/20(金) 11:08:17ID:dngSV97Nやっぱりまだか・・
0442見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/20(金) 20:01:01ID:I/ZScbqq0443元祖
2010/08/20(金) 22:13:12ID:dngSV97N嬉しいです〜!
ええ、待ちますとも!
0444見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/20(金) 23:09:17ID:BhUOALcJ0445見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/23(月) 09:26:04ID:VRvSoS/j一気に20話も上げないで、中2日くらいで細かくUPして欲しい。
0446見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/28(土) 12:18:12ID:gk9cV3Y40447見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/28(土) 20:42:30ID:ND3BJoRl(まどかさん…何か変。)
夏休みの間にいろんな事が有った。
恭介のことで一時はまどかと袂を分かったりもした。
自分の気持ちを抑えるため、随分遠回りした。
この数週間で今までの人生の半分くらいの涙を流したように思う。
最近は『二人』に会わないよう気を使っていたつもり。
なのに…電話の向こうのまどかは全く気にしていない。
(どういうつもりかなぁ…?)
ふと考えてみると、そういう自分だって昨日は恭介の家に運ばれていた。
流れを反芻しても、『塀の上』のくだりが腑に落ちない。
しかし、その一点を除けば、恭介への想いを断とうとしていながら
彼の家に居たことに、恥ずかしさと同時に腹立たしさを感じる。
「あたし、何やってんのよ!」
溜息混じりに呟いた。
一方、まどかは電話を切ると部屋を見て回る。
「う〜ん……」
どの部屋もきれいに片付いている。
何より、自分の部屋に記憶が残っていない。
(おかしいなあ?中学の頃のことは、ついこの間のように覚えてるのに…)
この数年の記憶があやふやでハッキリしない。
自分が高校3年生であることは分かっている。
勉強も頑張っていたような…でも…
「なんで?」
0448見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/28(土) 21:16:01ID:ND3BJoRl思いついたように冷蔵庫を覗いて見ても、何となく覚えがあるような…
「ふ〜…美味しい。…あれ?」
(…あたし、紅茶なんか飲んでたっけ?)
ちょっとぼんやりしてみる。
(明後日始業式だよねえ。サボっちゃおうか?…あ、ひかると会わなきゃ。)
また紅茶をすする。そして、ギョッとした。
(そうだ!そういや、あいつら何?気持ち悪〜い!
何であたしあそこに居たのよ?
あいつら人間じゃないよねえ…誰かに知らせなきゃ…
…って、どうでもいいや…。)
気を取り直して紅茶を飲みほすと姉に電話する。
ルルルルル!
「はいは〜い!ちょっと大人しくしててね〜。」
子供たちに微笑むと受話器を取る。
「姉貴…。」
(姉貴?)
「あら、まどか。珍しいわね、あんたが電話してくるなんて。」
「そう?…ねえ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…。」
「何?」
「え?…う〜ん…やっぱりいい。じゃあね。」
ガチャ!プープープー…
掛って来たかと思えば一方的に切られ、ちょっとムッとする。
(一体何なの?それに『姉貴』だなんて、久しぶり聞くわ…)
ついムッとなって声が出た。
「この『情緒不安定女』!」
(…?)
受話器に向かって吐き捨てる母親を子供たちが見ていた。
「あら〜!君たち…聞こえた?」
0449見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/28(土) 22:02:03ID:ND3BJoRlあかねはまどかの家の周りをうろうろしていた。
(どうしよう…訪ねてみようか?
…でも、また『気持ち悪い』って言われたらショックだし…
あたしの力じゃ…もう無理なのかしら?)
すると玄関からまどかが姿を現した。
あかねは慌てて家の蔭に隠れた。
(え〜!!何?どうしちゃったのよ〜!)
恰好は普段よりも突っ張り気味…髪はポニーテールにまとめている。
眉はきつく描かれ、目には薄くブルーのシャドーを引いている。
リップもくっきり目立つくらい、全体にきつ目の化粧をしていた。
(あんなことして〜!せっかくの美人が台無しじゃん!)
飛び出していきたい衝動を覚えるが…
(今何かしたら…もっと面倒なことになるかもしれないし…)
必死に自重しながら後を追うけれど、
まどかの醸し出す雰囲気があまりに変わってしまったことにショックを覚え
まどかと過ごした日々を思い出しながら段々と悲しくなってきてた。
(助けたつもりが…あたしたち『気持ち悪い』かあ…)
「辛いなあ…」
ふと口にすると、あかねは涙でぼやけるまどかを見送った。
(バイバイ…『あたしのまどか』…)
そんなことは露にも知らず、腕時計で時間を確認する。
(まだ早いなあ…メビウス開くまでどっかで時間潰そうか。)
まどかは騒々しい街の繁華街へと消えて行った。
0450見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/28(土) 22:41:28ID:Tjfm2VWd「よう!いらっしゃい。」
マスターは先日の事があるだけに、務めて明るく振舞うのだが
恭介の顔は何ともさえない。
「今日はまだ誰も来てないなあ〜」
それとなく情報提供する。
「しかし、ひかるちゃん見つかって良かったねえ。
まどかクンにも会えたんだろ?」
ちょっと誘い水をかけるが乗ってこない。
「コーヒーでいいかい?」
「あ、スミマセン。ホット貰おうかなあ…」
マスターは棚の奥からとっておきのブルーマウンテンの豆を取り出して
ミルで挽き出す。ドリップにセットすると上からゆっくりケトルのお湯を
回すように注いでいく。すると、辺りには何とも芳しい香りが漂う。
「はい、どうぞ。」
「有難う。」
恭介は砂糖を入れずに飲んでみた。
彼にはこれが美味しいのかどうかまだ解らないけれど…
(鮎川はこの味が判るくらい大人だったんだよな。)
マスターは何も訊かずに黙ってグラスを磨いている。
夕方近くなり、店も混みだした。
「おはようございま〜す。」
女子大のバイトの子たちがやって来た。
「まどかクンはもう手伝えないよなあ。」
受験にしてもアメリカに行くにしても、いずれにしてもお手伝いは頼めない。
(でも、どうせなら春日クンと受験に頑張って欲しかったんだけど…
ところで春日クン、彼女と何か話し出来たかな?)
恭介の顔をみると、完全に魂が抜けていた。
0451見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/28(土) 23:17:35ID:Tjfm2VWdいろんなシーンをゆっくり1ページずつ頭の中でめくっていた。
(全部無くなっちゃうのか…いや、俺の中では生き続けるんだよな。)
気の抜けた恭介を心配して声をかける
「春日クン…大丈夫かい?」
「え?…うん。あと何回来れるか分かんないけど…今までいろいろ有難う。」
「おいおい!何を言い出すんだよ。どうしちゃったの?」
「あ、…ごめんなさい。俺、最近ちょっと…」
恭介は立ち上がるとレジに行く。
マスターがバイトの子に手を振って、要らないと合図をする。
「いや、そんなことされたら来にくくなるから。」
女の子が困っているけれど、
恭介は支払いを済ませると黙って出て行った。
(ここも来にくくなるな。鮎川にも会いずらいし…それに
また『気持ち悪い』って言われたら…嫌だしな…)
あかねと同じことを考えていた。
とぼとぼと歩く恭介とは道路をはさんだ反対側をまどかが歩いていた。
お互い気付かないまま、恭介は公園へと、まどかは繁華街へと向かう。
恭介が公園についた頃には陽も傾きかけている。
さすがに8月も終わりになると日が暮れるのが少し早くなった。
恭介は階段を上がっていくとブランコに腰かけた。
0452見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/28(土) 23:52:02ID:Tjfm2VWdなんともやるせない気分になってくる。
『気持ち悪い』
まどかが発した言葉が何度も頭の中を駆け巡る。
その頃メビウスでは
「よう!まどか。久し振りじゃん!!お前足洗ったっんじゃねえ?」
中学当時、まどかと悶着を起こしていた連中から囲まれた。
「…」
まどかは無視してカクテルをあおる。
「けっ!相変わらずだな。ここはお前の来るとこじゃねえよ!」
まどかは
(あっち行ってろ!)
とばかりにコースターを投げつけると、見事に顔面を直撃した。
「てめえ、何するんだよ!!」
掴みかかろうとするやつをひと睨みで制すると
「表に出な!」
夕暮れ迫る路地裏、まどかを囲む5人の男女。
ここら辺りでは名が通っている不良たち。
何とそこに、偶然早川みつるが通りかかった。
ちょうど夜の街へ繰り出すところであった。
「お?あれ…あいつ何やってんだ?」
じっと見てるといかにも雰囲気悪そう。
0453見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 00:11:24ID:5Nfxyie4一斉に5人が飛びかかる。
「ね、ねえ、みっちゃん、止めなくていいの?」
マネージャーが言うのに早川は
「まあ見てようよ。」
白人の大男2人に比べればこんなの訳が無い。
あっという間に連中を叩き伏せてしまった。
(おいおい…これがあいつのもう一つの顔かよ。)
早川はマネージャーと引き気味に見ていた。
連中は退散してしまったのだろう。
数分後、まどかは一人で戻ってきた。
カウンターの中のマスターが
「随分久しぶりだけど、相変わらず強いね。」
(ふんっ)
まどかは素気ない。
「ジンライム頂戴。」
「あ、俺も。」
0454見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 00:43:05ID:8fyqua1x振り向こうとするまどかの隣に座る早川。
厚かましいのは慣れたもの。
「何か用?」
「これはこれは鮎川様、今日はえらく荒れてますねえ。」
「誰よ、あんた。」
(…?)
早川は彼女らしい、またいつもの挑発的な態度と受け取った。
「未成年がこんな店に来ていいのかい?」
(…うっさいなあ。)
まどかは睨むと
「ねえ、あんたタバコ持ってる?」
「いや、俺吸わないから。それより、お前タバコなんか…」
「あ、俺のでよかったら…」
口をはさんで、マネージャーがライターを添えて箱ごと差し出す。
まどかは手慣れた手つきでタバコを取り出すとくわえて火をつけた。
一気に吸うや
「ゲホッ!ゲホッ!ウエ〜!」
「お前、吸えないんだったら止めとけよ。」
(…おかしいなあ?)
また吸おうとする。
「ゲホッ!ゲホッ!!」
(何で?体が受け付けなくなってる…)
指先に挟んだタバコを不思議そうに眺めていると、早川に取り上げられた。
口紅がついたそれが、ギュッギュッと灰皿で潰される。
「お前、大事な声を粗末にすんなよ。神様からの…」
瞬間、早川の顔面にジンライムが浴びせられた。
(何てことを!)
立ち上がるマネージャーを手で制す冷静な早川。
マスターがすぐにおしぼりを差し出すと、彼は顔や胸元を拭きながら
「お前さぁ…春日と何かあったのかあ?」
0455見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 01:00:37ID:8fyqua1xこんなに荒れているということは、恭介と上手くいってないはず。
「誰よ?春日って。」
(ん…?一体どうしたんだ?別れたのか!?)
「お、お前、『鮎川まどか』だよな?…俺のこと…」
「マスター、お勘定この人が払うって。」
言うや彼女はバッグを持って、席を立つと店を出て行った。
「手ごわくなってる…」
マネージャーが呟くのに頷く早川。
「ありゃ、バージョン変更してるぞ。」
(何か攻略法探さないと…)
二人は茫然と見送った。
まどかは馴染みの店に寄る。
カウンターに座ると適当にカクテルを注文する。
そして、ぼんやり考え出した。
(何よ、今のヤツ…何であたしのこと知ってるの?)
カクテルグラスからストローを外すと、グラスからいきなり飲む。
ここはよく来る店だが、普段から店の者と会話をすることはない。
しかし、店の者は常連のまどかのことを知っている。
0456見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 06:32:32ID:8ZXt8DT5「ルール違反だよなあ、せっかく作ったカクテルを…」
「あの子、あんなだったっけ?いつもスマートなのに…」
まどかははっきりと思い出せないことに苛立っていた。
(かすが…春日…あ!あの連中のこと?
なんであたしがあんな奴らと関係あるのよ?何で…?)
残りをあおるように飲んでしまう。
さすがにバーテンダーが注意した。
「お嬢さん、ちょっと…それは…」
「はあ?」
酔った瞳で彼を睨むけど、今日の自分がどこかおかしいのも解っている。
(ふ〜…)
まどかは睨むのをやめて、グラスに添えられたパインを口に放り込むと
紙幣を2枚カウンターに置く。
「お釣りはいらないわ。」
さっと席を立った。
繁華街は夜でも騒々しい。
(春日って…誰よ?)
まどかはぼんやりとしながら人ごみの中に紛れて行った。
0457見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 08:57:36ID:FMDZadfq「ああ、おはよう。親父は?」
「もう出掛けたよ。今からまた大変になるから、準備しておかなきゃって。」
「そうか…最悪、辻褄が合うようにフェイドアウトしないと、
急に消えたら『失踪』扱いで新聞沙汰になるもんな。」
「ふぁ〜」
くるみも起きてきた。
今日は始業式。
もし…もしまどかが翻意してくれたら、今まで通りで構わないのだが
彼女の様子から、『転居』は避けられそうにない。
念のため、どちらに転んでも対応できるようバリエーションを持たせてはいるが、
役所、仕事、学校などの公的なものから人付き合いなどの私的な部分まで、
一族による情報操作が始まっている。
場合によっては、あかねの力も必要になるだろう。
筋書きは父である隆が義父母と相談して決めた。
一旦事が決まれば一家はそれを粛々と進めるしかない。
3人は複雑な気分を抱え、それぞれ学校に向かった。
「おはよう!」
「おはよう!焼けたね〜!」
「よお、久しぶり〜!」
「どっか行ったの?」
0458見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 09:24:58ID:FMDZadfq久しぶりの出会いに、みんなが声を掛け合っている。
(…先輩。)
ひかるは前を歩く恭介に気付いた。
まなみも気付く。
「あ、ひかるちゃん!おはよう!」
(うわっ、見つかっちゃった…)
ひかるは作り笑いを浮かべた。
「お、おはよう…ございます。」
恭介は何とも言えない気分。
ひかるとの関係を清算したはずが、こんなことになってしまった。
彼女は鮎川と春日家の関係が一方的にこじれていることを知らない。
「おはよう、ひかるちゃん。」
「おはようございます…せんぱ…い。この間は…」
すかさずまなみが笑顔で
「ひかるちゃん、宿題やったあ?」
「う…うん。自信ないけど。」
「ひかるちゃん英語得意でしょ?解んないとこあるから教えてくれる?」
「うん、いいけど。」
いきなり両横を姉妹に挟まれ恭介の元から離されて行った。
ひかるは少し恭介の方を見ると、そのままくるみまなみと登校した。
0459見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 09:53:52ID:BaKD6Q6K「は〜…」
何とも言えない溜息をついた。
(ひかるちゃんとは少しわだかまりが無くなった気がするけど…)
下駄箱で上靴に履き替えながら、まどかの靴箱を見る。
(まだ来てないのか。)
教室に入ると小松と八田が寄って来た。
クラスの雰囲気が何か違う。
「何か変だな。」
呟く恭介に。
「おい、お前らハワイの一件でえらい噂になってるぜ。」
小松が小声で教える。
そう言われると、みんなが自分と鮎川の机を見ながら囁いている。
(今更なあ…)
恭介は虚しくなってくる。
そのまま椅子に座ると、自らもまどかの机を見るのだが、まだ来てない。
チャイムが鳴り先生が入ってくると教卓につく。
「起立!」
委員が声をかけた、まさにその時
ガラガラ!
みんなは一斉に音がしたもう一方の入口を見た。
まどかが知らん顔して入って来た。
0460見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 10:29:18ID:BaKD6Q6K先生が咳払いすると、みんなは慌てて前を向く。
「礼!・・・着席!」
先生の話が始まる。
内容は当たり障りがないことばかり。
みんなはハワイの一件について話があるのではと期待したが
鮎川家からのお願い(圧力)と学校側の配慮により伏せられた。
そして、全校生徒が講堂に集合するようアナウンスがあった。
期待が外れたみんなは、それでもヒソヒソ話をしながらまどかを見ている。
しかし、まどかは昔のようにただ窓の外を眺めている。
みんなが講堂に移動し出すと、遅れてまどかも移動した。
始業式の挨拶が始り、ここでも例の事件に触れられることはなく
形ばかりの話で終始した。
式が終わり、各自教室に戻る。
恭介はチラチラとまどかの方を見るのだが、彼女は相変わらず外を見ていた。
「お疲れ〜!」
「バイバ〜イ!」
1、2年は部活へと向かう。
3年生は久しぶりの友達との再会で、一緒に街に繰り出す。
恭介は小松たちとクラスに残っていた。
0461見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 11:00:10ID:BaKD6Q6K「どうもこうも…振られたんだよ。」
小松と八田は顔を見合わせた。
「だって、ついこの間まで一緒に居ただろ。何でまた…」
「さぁ…。」
「ひかるちゃんを振った罰が当たったんじゃね?」
「あのなあ!」
ちょっとムキになる。
教室の窓から外を見ると、まどかが一人で下校していた。
少し辛くなってきたところに八田が
「今からひかるちゃんに土下座したら、また…」
「何言ってんだよ!!」
恭介はいきなり怒って教室を出て行った。
「何だあいつ、いつから冗談通じなくなったんだあ?」
一方、ひかるは…
早速部活の発声練習中。
(先輩、なんか暗かったなあ…)
やはり、大好きな恭介の事には敏感。
(まどかさんと上手く行ってないのかしら?)
くるみやまなみに尋ねる訳にもいかず、かといってこうやって
恭介のことを考えていること自体、相変わらず『引きずっている』訳で…
「あ〜もう!ダメダメ!!」
呟くと、頭を振って考えないようにしていた。
0462見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 11:32:58ID:BaKD6Q6K制服姿のまどかが現れた。
「え?…まどかクン!どうしたの?」
(アメリカに)
マスターは言いかけて、思い留まった。
ここのところ3人には、他人に計り知れないような問題が生じているようで
不用意に立ち入ってはいけないと感じられたから…。
「マスター、またバイトしていい?」
「そうしてくれると助かるんだが…」
「じゃあ、決定ね。」
そう言うと、まどかは店の奥に入って行った。
マスターは訊きたいことが山ほどある。
(ひかるちゃんは?春日クンとは…?
一体どうなってるの?訊きたいけど…やっぱり止めとこう…
訊くと彼女を苦しめることになるかもしれないから…。)
今はこうやって自分を頼って来てくれているのだから、
そっとしておいてあげようと彼女の事を思い遣った。
まどかは自分のロッカーに入れておいたジーンズとTシャツに着替え
カウンターの中に入ってくると
「これ、洗うんでしょ?」
そう言って、溜まった食器を洗いだした。
今日の彼女には笑顔も何もない。
0463見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 13:05:43ID:BaKD6Q6K遠くから窓越しに見つめるあかねと恭介。
「ダメだ、全然分かんない…ガードが固くって読めないよ。」
あかねは断念する。
「そうか……。もう、俺達には心を閉ざしたんだろうな。」
寂しそうに呟く恭介。
「そんなあ…」
二人はもう一度窓を見ると、まどかがこっちを睨んでいた。
(うわっ!)
一目散に逃げ出す二人。
何かを背中に感じて窓の外を見ると二人と視線が合った。
(あいつら…あたしと何の関係が…)
追いかけて行って、とっ捕まえてやりたかったが
「まどかクン。これお願い。」
マスターから料理を運ぶよう言われ、思い留まった。
(春日って、同じクラスだよね。明日懲らしめてやる!)
まどかはぐっと握り拳を作った。
「な、なんで逃げるのよ!」
「お前だって…」
二人はそのままトボトボと公園まで歩いた。
夕暮れの中、ブランコに座る。
あかねはぼんやりと暮れなずむ街を眺めている。
そして、ふと恭介を見ると、彼もぼんやり夕陽を見つめていた。
恭介は、全てがここから始まり、そして今終わろうとするのを感じた。
何か懐かしい気分になってくる。
「3年間、いろんな事があったよなあ…」
呟く恭介を見ていると、あかねは辛くなってくる。
二人は黙ってしまった。
(恭介、お前どんな3年間だった?)
家では片づけが始まっていた。
0464見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 14:06:24ID:BaKD6Q6K「やっぱり駄目なの?」
「ああ、避けられない。辛いだろうけど今の内に
身の回りの整理と心の準備をしておきなさい。」
言われるがままに二人は部屋に入った。
「くるみちゃん、どうしよう?」
「まなみちゃんこそ何かいいアイデアないの?」
「…おじいちゃんなら。」
「そのおじいちゃんから出た話じゃない!」
今はくるみの方が冷静。
「私、まどかさんに嫌われたままじゃ嫌だ!」
そう言うと、まなみは泣き出した。
恭介が帰って来た。
隆は書斎を片付けている。妹達も諦めて片づけをしている。
春日家は静かな夜を迎えた。
カランコロン!
「いらっしゃ…ひかるちゃん。」
マスターはちょっと心配そうにまどかを見やった。
「あら、ひかる。いらっしゃい。」
やっとまどかに笑顔が戻った。
0465見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 15:09:31ID:BaKD6Q6Kマスターは、二人の間で恭介をめぐる確執があったのではないかと
考えていたのだが、今のところ至って普通。
(はて…?)
「部活の帰り?」
「はい。まどかさん、早速バイト始めたんですか?」
「うん。学校居ても全然面白くないしね。かと言って、今辞めると
親がうるさいだろうから…あ、何にする?」
「すみません、『あれ以来』お母さんがうるさくって。
ちょっと寄ってみただけです。すぐ帰んないと。」
(『あれ以来』?)
まどかは考えた。
そして、少し思い出した。
「じゃあ…」
「あ、ひかる。待って!」
「後で電話します。ダッシュで帰んないと。」
そう言うと、店を出て、ホントに走り出した。
「ぷっ!あははは。ホントに急いでんだ。」
久しぶりに笑っているまどかを見て、マスターはちょっと安心する。
でも…
(この間はひかるちゃん振られたって泣いてたし、その次はまどかクン
血相変えてひかるちゃん探してたし…この間の春日クンも変だったし…
…一体どうなってんだい?)
0466見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 16:10:06ID:BaKD6Q6K「ああ、お疲れさん。」
まどかはまた学生服に着替えて帰路についた。
家に着くと玄関を開け、暗い家に灯りを点していく。
(いけない、タバコ買うの忘れ…あ、制服じゃマズイよね。)
ふと気付くと留守電が点滅している。
再生するとひかるから。
「まどかさん。まだ帰ってないんですか?
今日はもう遅いので明日学校で会いましょう。」
まどかは留守電をリセットして自分の部屋に上がる。
(明日からまたつまんない日々が…
あ、そうだ。あいつを懲らしめるんだった。)
着替えを持って浴室へ降りると、ぶつぶつ言いながらシャワーを浴びた。
一方、あかねも弟の一弥と一緒に荷造りを始めていた。
「お姉ちゃんがドジったからだよ!」
「メンゴ、メンゴ。でもあの場合しょうがなかったのよ。ああするしか。」
「恭介兄ちゃんも可哀そうだよね。せっかく一緒になれそうだったのに。」
「一弥あんた…マセてるわねえ!」
ちょっと笑って、また荷造りを再開する。
(あ〜あ、あと5日かあ。)
その頃まどかは
(何?この段ボール…)
0467見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 16:31:48ID:BaKD6Q6Kいま一つ覚えがないのだが、厳重なほど中身が気になる。
(あたしの部屋にあるってことは…やっぱり、あたしよねえ…)
まどかはパジャマ姿のまま、段ボール箱の目張りを剥ぎだした。
(…?)
中から宝石箱が現れた。
(なんだろ?)
そっと蓋を開けると、可愛らしいメロディーが流れ出す。
まどかがまだ小さい頃、パパに貰ったおもちゃの宝石箱。
「まどかの大切な思い出がたくさん詰まるといいね。」
そう言われたことを思い出した。
中にはたくさんの写真が束になって重ねてある。
そのいずれにも、自分やひかるの姿か景色だけが映っている。
そして…それ以外のものは…何も映っていなかった。
(それにしてもバランス悪いなあ…)
全ての写真から恭介の姿が、そしてあかねや妹たちの姿も消えていた。
まどかは写真から、自分がこの数年間で体験したいろんなことを
思い出した。
(スキー、ハイキング、これは…ハワイ?…信じられない!)
0468見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 16:45:27ID:BaKD6Q6K(うわあ〜思い出した。あいつのせいで事件に巻き込まれたんだ!)
まどかの頭の中には、早川みつるの姿が登場していた。
新たな歴史を捻出してしまう。
しげしげと写真を見ながら、次から次へと勝手な歴史を作り上げた。
(それにしても…)
ぽっかり間が開いてたり、自分が端に居たり…
もう一人、『誰か』の存在がどの写真にも必要なのだが…
彼女はそこに思い至れないでいる。
翌朝、
今日を入れてあと5日。
まどかは登校前、正門近くで待っていた。
前を通る生徒たちは不機嫌な顔のまどかに、まるで検問されているような気分で
すごすごと通り抜けている。
(…?あ、あいつら!)
向こうから春日一家がやって来た。
(あいつら…まとめて正体を暴いて)
「まどかさん、何やってるんですか?」
ギクッとするまどか。
「あ…先輩、お、おはようございます…。」
恭介たちがまどかとひかるにはち合わせ。
0469見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 16:59:53ID:BaKD6Q6K一家を睨みつけている。
(鮎川…)
恭介は彼女の眼つきに、もう何の希望も無いことを悟り悲しくなった。
くるみとまなみは豹変してしまったまどかのそんな姿を怖がっている。
「さあ、行こう。」
隆に促され、家族は職員室へと向かった。
一方、ひかるは春日家を睨みつけるまどかに驚きながら
「まどかさん?まどかさんってば!」
途方に暮れている。
校長室では教頭先生も含め和やかに会話が進んだ。
「そうですか、お仕事の関係で留学ですか。」
「いや、急に決まったもので、申し訳ありません。」
「お子さんたち、特に恭介クンは成績も伸びて、期待していたんですが。」
「いや、お恥ずかしい。」
「では、履修証明書を至急作成しましょう。ああ、英文がいいですかな?」
「え?ああ、そうですね。日本語のものと2部作成して頂けますと…」
「承知しました。」
「この件はご内密に…」
「解っております。」
家族が出ると、校長先生と教頭先生が話し始めた。
「あんな事件に巻き込まれたんじゃ、もうここに来にくいですよねえ。」
勘違いしている。
0470見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 17:10:04ID:BaKD6Q6K子供たちは、そのまま授業に合流する。
「どうしたんだよ?」
「うん、引っ越しするかも。」
「ええ?!」
恭介も妹達もみんなから訊かれる度に引っ越すことを伝えるが
行先や事情については徹底的にシラを切る。
そして、昼休みまでには春日家の転居の噂が広まっていた。
昼休み、3人は校舎裏の花壇に集まる。
「みんな、私達がハワイの一件で居辛くなったって思ってるみたい。」
「それはそれで好都合だよ。…ところで、ひかるちゃんには言った?」
「うん、最初はショックを受けてたみたいだけど、
どこに居ても友達だから絶対会いに行くって…
…それから、お兄ちゃんともう一度会いたいって言ってた。」
くるみは少し涙ぐむ。
「そう…。」
下を向く恭介とくるみを励ますようにまなみがしっかりした声で
「とにかく、あと5日頑張るしかないわね。」
そんな彼らを、彼女が校舎の上から睨みつけていた。
3人は刺すような視線を感じて上を見上げると、
風にあおられ髪を逆立てたまどかの姿が。
しばし見つめあった後、恭介は視線を逸らし
「行こう。」
怯える妹達の背中を押してやった。
しかし、まどかは視線を逸らさずまだ睨んでいる。
授業中
恭介は、もうまどかの方を見なくなった。
なのに、今度はまどかがチラチラと恭介を睨んでいる。
彼女の雰囲気が悪いのにはクラス中が困っていた。
先生たちも気になって仕方がない。
0471見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 17:16:27ID:BaKD6Q6K「いや、まだ外を眺めてるか寝てくれてた方がやり易いですよ。」
「やっぱり夏休み何かあったんでしょうねえ。」
「まあ、春日君も転校してくれるし…あ、失礼。」
「そうですね、そうなればあの子もまた元に戻るんじゃないでしょうか?」
学力的にはまどかは高陵の金看板だが、なんせ先生たちの評判が悪い。
いっそ、彼女が転校してくれたらと思われてもしょうがなかった。
放課後、
まどかはひかるを探しに校舎の一階に降りてきた。
ピクッ!
すれ違う1年生に何かを気付く。
「ちょっと!」
「はい?」
呼び止めると
「付き合ってくれる?」
そのままトイレに連れていく。
低い声で
「出しな!」
「な、何をですか…」
「解ってんだよ!!匂いがすんだろ!」
彼女の恫喝に1年生はビビッてしまい、恐る恐るポケットから
取り出した。
0472見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 17:28:08ID:BaKD6Q6K(しょうがないや。)
トイレの換気扇を回すとタバコを吸いだした。
「ケホッ!ウエッ!」
半分も行かない内に、便器の水につけて消してしまった。
そして、ティッシュに包むと、今度は蛇口で水に濡らしてゴミ箱に捨てた。
(さてと、行くか。)
まどかはアバカブへ向かった。
カランコロ〜ン!
「よう、まどかクン…」
(ん?)
「おはよう、マスター。」
まどかは着替えに入った。
(まどかクン…タバコの匂いが…)
「さあ、仕事、仕事っと。」
吹っ切れた顔のまどかが出てきた。
この日からまどかのタバコ狩りが始まった。
そして、その噂はすぐに広まった。
0473見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/08/29(日) 17:29:44ID:BaKD6Q6K今日は土曜日。学校は休み。
一家は片付けを始めた。
ピンポ〜ン!
「こんちわ〜。」
あかねと一弥がやって来た。
「随分片付いたわね〜。で、これどうすんの?飛ばしてあげようか?」
すかさず一弥が突っ込む。
「そんなことするから引っ越ししなきゃいけないんだろ?」
「そうだった。あはははは!」
久しぶりにみんなに笑顔が戻った。
「お前ん家は片付いたのかよ?」
「うん。ほとんどじいちゃん家に運んだ。あ、トラックでね。」
「俺たちも、大きなものは明日運び込む予定だよ。」
「ねえ、お昼にしない?」
「僕、まなみちゃんの焼きそば食べたい!」
「あたしも!」
「じゃあ、買い物一緒に行こうか。」
くるみとまなみは一弥を連れて近くのスーパーに買い出しに行った。
「恭介、いよいよだね。」
「うん。」
「ごめんね…。」
「何あらたまってんの!しょうがないだろ?」
「でも…」
「いいって、もう鮎川のこと…忘れられそうだから。」
(…!!)
あかねは恭介に抱きつくと、大声で泣き出した。
「ゴメン、ゴメン…」
0474見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/09/02(木) 16:12:55ID:FAE+7jB+0475見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/09/02(木) 22:10:01ID:62ADHSVI0476見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/09/04(土) 11:55:57ID:EmkHu9as0477元祖
2010/09/05(日) 21:35:12ID:dIIcBjQT作者様のこと信じてますから。
0478見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/09/06(月) 11:44:44ID:JjQruptnいい加減作者に様を付けるのやめないか?
大した作品でもなかろうに。
0479見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/09/06(月) 22:59:04ID:G4MdEKhl尊敬して止まないんだろう。
0480元祖
2010/09/06(月) 23:06:04ID:UtmA3UVqここは「作者様」に作って頂いたスレですから大切にしたい!
その一点での尊敬語なんです!
0481見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/09/06(月) 23:13:19ID:ynnmsFHC0482見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/09/06(月) 23:34:17ID:fZfDJ0ZY寝る前にヘドが出そうだぜ。
0483元祖
2010/09/06(月) 23:36:55ID:UtmA3UVqやっぱり作者様にしま〜す!
0484元祖
2010/09/06(月) 23:43:22ID:UtmA3UVqあたしと同程度かと?
あたしを笑うのって、ご自分を笑うのと一緒では?
まあ、お好きに煽って下さいな。
0485元祖
2010/09/07(火) 20:16:18ID:MYAE5O+Aこれじゃあ、あたしが煽ってますね‥!
反省反省‥!
0486見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/09/07(火) 20:56:07ID:79V4NeJ0見てて恥ずかしい(〃д〃)
0487見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/09/07(火) 23:01:47ID:/oNnn1E4はどや?
0488見ろ!名無しがゴミのようだ!
2010/09/07(火) 23:42:34ID:nMKSwTNT■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています