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ラビン・ユー

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0001見ろ!名無しがゴミのようだ!2009/07/30(木) 00:10:53ID:Zns8QEcC
お引越し!

まどか「元祖さん、たどり着けたら再開するよ。」
0329元祖2010/05/15(土) 14:22:35ID:mOXB1iQD
>323さん
お天気にも恵まれ、楽しかったですよ〜!
>324さん
あたしは行くために家庭教のバイトを始めました。
>325さん
ようこそ!!
>327さん
駄作ですか〜?
03303252010/05/22(土) 23:52:25ID:rsyYEmIT
やっと規制解除w
作者様続き楽しみにしてます

>>327
そこは自力で発見してこのスレにたどり着きました
>>328
原作もアニメもあの日も全部予習済みです
>>329
どうも
よろしくです


0331見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/24(月) 16:06:50ID:O9WE4ej/
またアク禁でっか?
0332見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/03(木) 03:15:46ID:pcIRlRFu
もう6月なんですけど。
0333元祖2010/06/06(日) 22:03:54ID:JRyWuZK+
作者様、調子悪いのかな〜?
0334見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/07(月) 11:38:39ID:vrTxX0eU
さすがにネタ切れじゃね?
0335見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/09(水) 08:37:55ID:lQyrq0tx
いや、アク禁と見た。
0336元祖2010/06/11(金) 10:13:06ID:r7ZqGHNR
もうすぐ梅雨入りですね。
作者様はいかがお過ごしでしょうか?
気になるなあ〜・・。
0337見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/11(金) 11:15:08ID:G35ImePd
郡上おどりスタートまであと1カ月ちょいありますから、
そう慌てずにネ。
ハワイもいいけど、あそこの自然と清流とおどりのコラボいいですよ〜!
respectもんですから、元祖さんも一度行かれては?
G市だから、ここがモデルですよね。
0338見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/11(金) 17:08:53ID:BBiEzona
えー♪そうだったの!
0339元祖2010/06/11(金) 20:28:37ID:r7ZqGHNR
338様、話の流れからググればレスぺ〜様の推測通りかと思います。
それにしても、まどかちゃん元気にしてるかなあ・・は〜・・。
0340見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/11(金) 21:53:15ID:2FNsPHaM
いちいち説明されてもなあ・・・
0341見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/11(金) 22:34:55ID:tgUzWqGF
郡上踊りは有名だよー!
ググんなくても東日本の人ならすぐ分かる。
つーか、金曜レス大杉!
0342見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/12(土) 12:26:30ID:WqN11gXX
なんでもいいから作者UP希望!
0343元祖2010/06/12(土) 14:36:29ID:m9kNHx2m
342様、・・やっぱり急かさない方がいいのかしら。
0344見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/12(土) 20:20:05ID:Hddv+TQ8
いや、お前さんの言う通り、いい加減遅過ぎる!
一ヶ月過ぎてもアップしないのって初めてじゃね?
まさか、また引越したとか?
元祖、捜してくれ!
0345元祖2010/06/12(土) 21:26:32ID:m9kNHx2m
それが、見つかんないんです〜。
0346見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/13(日) 13:48:25ID:uHrBw9ex
元祖、お前何専攻してんの?
0347見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/13(日) 23:36:27ID:6kdp3Qbt
雑誌の上を流れていたまどかの視線が止まった。
「プロデューサーに悪いが、俺、自分の歌を好きになれねえ。
  確かに売れてはいるけど…やっぱ、俺の歌は『本物』じゃねえよ。
 でもな、お前の歌は『本物』だよ。人を感動させる力を持ってる。」
まどかは視線を止めたまま聞いていた。
「そんな才能持ってんのに、そのままにしておくのは勿体ないぜ。
  この世界に何人っていないんだから。
お前は百年に一人の逸材だよ!だから俺と組んで…」
(『百年に一人』と来たかあ…フッ)
まどかはちょっと笑ってつれなくする。
「随分大袈裟ね。悪いけど興味無いんだ。」
「お前は分かってないよ。歌は人を感動させ、病んだ心を救うんだぜ。」
(うるさいなあ…)
まどかはサングラスを外して早川を睨んだ。
「何、こんなとこで口説いてんのよ?
興味無いって言ってるじゃない。いい加減にしてくれる?」
まどかの全身から危険なオーラが立ち上る。
早川はそんな雰囲気を察して
「おいおい、わ、わかったよ。でも、俺は諦めないぜ。
じゃあな。『あいつ』にヨロシク!」
そう言うとヤツは席を立って奥の車両へと移動した。

(感動させるかあ…)

実は少し心が動かされた。
音楽の力が如何に人の心を動かし、どんなに癒しと感動をもたらすか、
それは幼少時から音楽に親しんできたまどか自身が一番分かっている。
早川という人間は別にしても、言ってることは間違いない。
(でも、だからと言って、アイツと組むつもりないし。)
0348見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 00:11:07ID:zaZ2ZCja
早川は車両を移って、ドアが閉まると同時に
「ふう〜…」
思いっきり溜息をついた。
(つくづく『いい女』だぜ!本気で惚れちまいそうだ。)
席に戻ると、いかんいかんと頭を振り出した。
「みっちゃん、どうしたの?」
「マネージャー…ほら、ハワイの…『鮎川』、あっちの車両に乗ってるよ。」
「ええ!?どこ?これは、ある意味、チャンスじゃない!」
隣の車両に向かおうとするマネージャーの腕をつかんで
「もういいって。みっともねえからやめなよ。」
そう言いながら、同時に自分の気持ちも抑えようとした。
確かに、彼女のお陰でさらに有名にはなったけれど、
でも、彼にも意地はある。
(あいつは俺にとって幸運の女神かもな。きっといつかは…)
彼の興味は、自分が目立つことから、スターを発掘し育てる方へ変わっていた。
「もう一度…(あいつの歌声が聴きたい。)」

まどかはまどかでハワイの夜、恭介の前で歌ったことを思い出していた。
あの夜、自分の想いを歌にして、恭介にぶつけた。
(今考えるとちょっと恥ずかしいや。でも…
春日クン、感動してくれたかなあ…)
ぼんやりと思いに耽っていると
車内に到着を知らせるメロディーが流れる。
(そうだ、着いたら予備校寄らなくっちゃ。)
0349見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 00:43:41ID:zaZ2ZCja
お盆の帰省ラッシュで駅は混雑している。
新幹線の駅のホームから在来線のホームへ移動する。
そして、そのまま予備校へと向かった。
後期講習は明日から。テキストを貰いに生徒が数人来ている。
(取り敢えず、自分のクラス確認しておかなくっちゃ。)
掲示板を見に行くと、自分の名前はSSクラスに入っていた。
(あれ…?春日クンは?…え〜っと…)
Sクラスにもない。
そして、彼の名前を…Aクラスに見つけた。
(え〜!?春日クン…やっぱり、こたえたよね…ひかるのこと。)
それもあるが、やっぱり付け焼刃の学力であったに過ぎない。
まどかは窓口に行って、身分証を見せてテキストを受け取る。
その時、事務の女性が気安く話しかけてきた。
「あなた、すごい人気ね。」
「え?」
「男の子だけじゃなくて、女の子からも随分訊かれたわよ、あなたのこと。」
「はい?」
「大丈夫よ。教えられないって言っといたから。でも注意しておいた方が
  いいかも…お勉強の妨げになるものね。じゃあ、ガンバってね。」
「はあ。」
(…何が言いたいのよ?)
まどかは気にせずその場から去ろうとした、ちょうどその時
向こうからガヤガヤと3人組が。
0350見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 00:51:53ID:zaZ2ZCja
「ショックだな〜!Aクラスかあ。」
「八田、お前が言うなよ!…くっそ〜、やっぱりこれが…」
「実力だぜ、春日!」
「うるせー。」
「お?あれ、鮎川じゃん。」
八田が気付く。
恭介はコソコソと二人の後ろに隠れた。
小松が声をかける。
「よお!鮎川。お前すげえな。SSかよ。」
横から八田が
「当たり前だろ。元々俺たちとはココが違うんだから。」
と頭を指さすのに、
「努力ですけど。」
彼女はそっけない。
2人の後ろで恭介がバツ悪そうにしている。
そんな姿を見て
(しょうがないよね、あんなことの後じゃ…それに、一睡もしてないし。)
まどかは少し恭介を思い遣るが、敢えて突き放す。
「まあ、頑張りたまえ、君たち。」
言うや、恭介の傍に来て思いっきり顔を近づけた。
「た、だ、い、ま。」
「か、帰って来たの?」
まどかはそれには答えず、いきなり恭介のお尻をつねってきた。
(イテテッ!)
「頑張んなよ!『期待して』んだから。」
小声で囁くとその場を去って行った。
ちょっと離れて、そんな二人を小松と八田が呆れたように見ている。
「ありゃあ尻に敷かれるな、絶対。」
「あんなやつ放っといて行くべ。」
「んだんだ。」
小松と八田は恭介を置いてさっさと歩いて行った。
0351見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 01:00:13ID:zaZ2ZCja
帰り道の繁華街
「まどか〜!!」
(…?!あかね!)
「うわ〜!久しぶりだね〜!」
あかねが飛びついて来た。
「この間の電話でさあ、な〜んか元気なかったから心配してたんだよ〜!」
「そう?」
まどかは、あかねが『知っている』とは知らずにちょっととぼけた。
あかねも触れないようにして笑顔で
「どこ行ってたの?」
「うん、ちょっと親戚の家に。帰ったら電話しようって思ってたんだあ。
  あかね…何してたの?」
「図書館帰り。」
「え?あかねが?」
「文句あっか?」
「あはははは!ナイナイ!でも、どうして?」
「えっへん!お受験だよ、K大の。」
「ええ?あかねも受けるの?そのまま短大に上がるって思ってた。」
「迷ったんだけどさあ…、まどかちゃんも受けるんでしょ?」
「そうだけど…」
「あたしも一緒に行きたいなあって。困る?」
「まさか!あかねが一緒なら嬉しいよ。頑張って一緒に行こ。」
とびっきりの笑顔で応えた。
0352見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 01:06:25ID:zaZ2ZCja
まどかにとって、恭介と一緒に受験するのとは違った意味で嬉しかった。
こんなに気がおけない間柄はマリー以来初めて。
ひかるとはタイプが違う。
彼女には姉のように接していたけれど、あかねは友人として話が出来る。
ひかるには無かった何かを彼女は持っていた。
「ねえ、家に来ない?」
「いいの?」
「うん。あかね初めてでしょ?」
「やった〜!」
二人は笑いながら帰路に就いた。
もう両親はハワイに戻ってるはず。
一人で家に帰っても面白くない。
「到着〜。」
「うわ〜!ここまどかの家?大きいね〜。初めてだ。」
「さあ、どうぞ。」
スリッパを出されてあかねはキョロキョロしながら入った。
リビングに案内されるとすぐにクーラーが入れられる。
「アイスティーでいい?」
「うん。」
ソファに座りキョロキョロと落ち着かない。
「はいよ。レモン?ミルク?」
「あ、レモンがいいや。…ここすごいね〜、お屋敷って感じ。」
0353見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 01:38:18ID:zaZ2ZCja
初めて来たあかねは、いざお邪魔すると緊張している。
まどかはソファに深く座ると足を組んでリラックス。
ふんふんと何かつぶやきながらピンとゴム紐で髪を括ってポニーテールにする。
そしてアイスティーに手を伸ばすとストローを差して一口飲んで…呟く。
(こういうのを『借りてきた猫ちゃん』っていうのよねえ)
相変わらずオドオドしているあかねをたしなめるように
「ら、し、く、ないよ、あかね。」
「え?あはは。そうだね。」
あかねは赤くなって笑いだした。
つっかえが取れた途端、二人はいろんな話で盛り上がっては笑っている。
長年の友人のように気が合う。
まどかは親戚の家で盆踊りを踊ったことを話した。
情緒豊かな町の風情や踊りの楽しさなど。
「あたしも行きたかったなあ…『ひ』…あ!…ら、来年連れてってよ。」
「ん?うん!絶対誘うよ。」
まどかはあかねが言い止まった『ひ』の一文字で全てが解ったけれど
しかし…お互いにそれ以上は自重した。そして、誤魔化す。
「ねえ、夕飯食べていきなよ。」
「ええ?いいの?」
「ちょっと考え中なんだけど…『野菜のゼリー寄せパスタ』作ってみない?」
「うわ〜、何それ?手伝うからさあ、教えてー!」
ふたりは互いにエプロンを着せっこして戦闘開始。
まどかは小鍋でヤングコーンとグリーンアスパラを茹で、灰汁をすくうと
そこにコンソメとゼリーを入れて鋳型に流し込む。
氷水で冷やして粗熱を取ると冷蔵室へ。
それが固まるまで二人はクッキングの本を見ては、あれやこれやと思案する。
「ねえ、トマトベースにしない?」
まどかが言うや、あかねはニンマリ笑顔で
ジュルジュルッ!
と口を拭う真似をする。
「いいねえ、それ!あたしやる!」
0354見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 01:49:05ID:zaZ2ZCja
ルーはあかねが担当した。
トマトをさっと湯せんして皮をむく。その後お鍋にオリーブオイルと
にんにくを入れ炒め、玉ねぎのみじん切りを加えてよく炒めた後、
つぶしたトマトを入れ、塩こしょうで味を調える。
「味見てよ。」
「OK。」
あかねはスプーンですくって、あ〜んと開けたまどかの口元に運ぶ…
と見せかけて自分の口に入れた。
「う〜ん。中々!」
「なによ〜!んもう。」
まどかはあかねからスプーンを奪うと、今度は自らすくって味見する。
(うわっ!間接キッスだ…)
「うん!!あかね〜、やる〜!」
「でしょ〜?」
「ではでは、仕上げっと。」
まどかは茹でたパスタを氷水でしめた後、よく水切りをした。
ルーの入ったお鍋に移すとさっと混ぜ、薄くお皿に盛りつける。
そして固まった野菜入りゼリーを真中に落とすと、周りにオイルサーディンと
生ハムやクレソンを飾るように盛り付けて出来上がり!
ふたりはテーブルクロスを敷くと、お皿やフォーク、スプーンを並べ、
バケットにカットしたフランスパンを盛ってセッティング完了。
0355見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 02:05:10ID:zaZ2ZCja
「まどか、やったね〜。美味しそう〜!」
「じゃじゃ〜ん!試作第一号で〜す。」
「ねえ、写真撮っておこうよ。」
「OK!」
まどかは恭介に貰ったお古のカメラを持ってきた。
一緒にセルフで撮ったり、ポーズを取って互いを撮ったりしながら楽しそう。
そして試作品の写真も交えてやけにいっぱい写した。
「イメージ通りだ。さあ、お毒見お毒見。」
「いっただきま〜す!…うん!!美味しい〜!これ、最高〜!!」
「ゼリー崩して食べてね。」
そして、自分も食べてみる。
驚いた表情であかねと目を合わせる。
「う〜ん、『白』が合うかな?」
「いいの?」
「(親父たち)居ないし。ねっ!」
ウインクをするとキッチンの冷蔵庫からオーストラリア産のいいやつを
グラスと一緒に持ってきた。
キュッ、キュッ・・・ポン!!  トクトクトクトク・・・
グラスの3分の2くらいに注ぎ分けると
「ちょっと辛口だけど。」
「OK!カンパーイ。」
チン!グラスが鳴るとゆっくり口をつけた。
冷えた白ワインがすごく合う。
新鮮な冷性スパゲッティにコンソメゼリーや生ハム、オイルサーディン
などの複雑な味が絡み合う。そこに冷え冷えを流し込むから堪らない!
未成年のささやかな『違反』の証拠写真を互いに撮りながらディナーは進む。
食べる度にOKサインをしてみせる二人。
そして、二人は感想を述べ合いながら完食した。
0356見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 02:15:23ID:zaZ2ZCja
「めっちゃ、美味しかった〜!片付け手伝うよ。」
「ううん、いいよ、すぐだし。」
「悪いね〜。…ねえ、まどかの部屋、2階?」
「うん。」
「見せてもらってもいい?」
洗う手を休めずにこっちを向いて
「散らかってますけど。」
ちょっとベロを出す。

トントントントン。
無性に部屋が見たくなってあかねは2階に駆け上がった。
恐る恐る半開きのドアから顔だけ覗き込む。
部屋はすごく大人の女性の雰囲気になっている。素敵な匂いもする。
床に投げ出されたバッグの口からテキストがこぼれていたくらい。
「全然散らかってないし!」
笑いながら入ると、興味深く周りを見回す。
(ん…?あれは…)
あかねは、机の上にある写真立てに気付いた。
子供を見て微笑んでいるように見える…『彼』の写真。
そこだけいい具合に照明が当たっている。
(まあ、ちょっとだけ…)
あかねは目を閉じると、写真を通してまどかの想いを読む。
(やっぱりそうなんだ…。)
そして、脇にあったひかるとまどかの写真を手に取った瞬間、
…目頭が熱くなって来た。

(まどか…そんなにひかるちゃんのこと…)

台所で鼻歌交じりに洗いごとをしていた手が止まる。
(ハッ…!!)
まどかは慌てて二階に上がってきた。
0357見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 02:25:03ID:zaZ2ZCja
階段を気取られないように上がるまどか。
気配を察知して、写真を元あった場所に戻すとその場を離れるあかね。
慌てて涙を拭って
「ど、どうしたの?」
「え?い、今片付け終わったから…」
「ごめんね、手伝わなくって。でも、まどかの部屋って、大人の部屋みたい。
  持ち主がもう女子高生って感じじゃないもんね。」
「なに言ってんのよ。これでも悩める女子高生よ。」
「『悩める』?」
あかねはその何気ない言葉に少し引っ掛かった。
「そうよ。あたしだって悩むんだから。」
深刻に受け止めているあかねを不思議そうに眺めるまどか。
「何考えてんのよ。」
「あ、あははは…メンゴ。まどか、恭介と一緒の塾に通ってるんだってね。」
「うん、ハワイ行く前から約束してたから。」
「そういや、ちょっと前だったのにねえ、ハワイ。いろんなことがあったなあ。」
「写真見てみようか。ちょこちょこ撮ってたやつ。」
サーフィンレッスンのサプライズや、ワイキキやまどかのコンドで一緒に撮った
思い出の写真を出した。
床に広げると二人で肩をくっつけるように眺めた。
どれもみんな楽しそうに映っている。
二人は暗黙の了解のように『ひかる』の話題をスルーした。
0358見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 02:35:31ID:zaZ2ZCja
そして…
ふっと会話が途切れ、二人は同じ写真を眺めていた。それは…
ひかるを真ん中にして3人で撮った写真。
朝食後ラナイに出て、遠くの海と空をバックに撮ったけれど
背景が逆光のように眩しすぎて、ラナイがちょっと暗く写ってしまった。
ワイワイ賑やかな瞬間だった。
「何でだろう…懐かしいね、まだ一ヶ月も経ってないのに。」
感慨深げに言うあかねに、まどかはつい気持ちを吐露してしまう。
「うん。…でも、またきっと、いつか『一緒に』行けるよ。」
しみじみと言う彼女に堪りかねて…

「まどか…恭介のこと好きなんでしょ?」
「え?」
まどかは一瞬あかねを見ると下を向いた。
「…うん。」
あっさりと認めた。そして、横を向いたまま
「あかね知ってるんだ……春日クンから聞いたの?」
ちらっと彼の写真を眺めた。
「それもあるけど、やっぱ分るよ、まどかと恭介見てたら。」
「そうなんだ…。」
0359見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 02:47:35ID:zaZ2ZCja
「たぶん、み〜んな気付いてるよ、言わないだけでね。それでさ…」
「なに?」
「ひかるちゃんのこと。
恭介はもう会わないように距離を取るって言ってたけど…
まどかはどうすんの?」
「あたしは…今は『あれ』だけど、でも時間が経てばって思ってる。
  あたしの想いは今までと…今からも変えるつもりはないよ。でも…」
「でも?」
「あの子の傷が癒えるまで、そっとしておいてあげなくっちゃ…勝手かな?」
人前では無理してるけれど、彼女の切ない心は理解している。
(まどかだっていろいろあったんだよね。)
あかねはちょっと励ますように
「ううん、それでいいんじゃない?…でも安心した。
あたしさあ、まどかが落ち込んでたらどうしようって。
   でも、今はふっきテル
てるみたいだから安心した。」
「そうね、そう思わないと…」
無理して笑顔を作るまどかにニッコリ頷くあかね。
「ひかるちゃんには、あたしからもアプローチしてみる。」
「うん。アリガト。」
あかねは腕時計を見やると
「あ、いけね!遅くなっちゃった。じゃあ帰るね。」
「うん。」

玄関の外まで見送るまどか。
「ごちそうさま〜!!じゃ〜ね〜!!」
元気よく手を振ると、あかねは街の明かりの方へと帰って行った。
0360見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 02:58:56ID:zaZ2ZCja
まどかは玄関を閉めると2階に上がり
部屋に戻るとため息をついて灯りを落とした。
(まだスッキリしてる訳じゃないよ。)
ベッドに身を投げ出し天井を眺める。
(春日クン、今頃何してるのかなあ?)

翌朝
身支度を済ませ、リビングで紅茶にトースト。
先日義兄の実家で貰った、おばあちゃま手作りのマーマレードを塗る。
(あぁ…トーストもう一枚焼こうかなあ…止まらないよ、これ。)
恨めしげにマーマレードを眺める。
ぐっと我慢して、片付けると家を出る。

一方恭介のマンションでは
「お兄ちゃん!起きてよ!今日から学校でしょ?!」
「う〜ん…今何時?…いけね!!遅刻だ!」
慌てて着替え、テーブルの上のトーストにバターを塗るや、
それを咥えて玄関を飛び出して行く。
(絶対鮎川に追いついて見せるぞお!)

マンションでは…
テーブルの上の恭介の財布を眺め溜息をつく姉妹。
「相変わらずだ…。」
すると財布がスッと消えた。
「あ〜!!人には絶対使うなって言ってるくせに〜!」
0361見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 03:08:26ID:zaZ2ZCja
(この際、手段を選ばず)
恭介は財布を握ると駅へと向かった。

予備校へ抜ける公園で八田に声をかけられた。
「よお!遅刻魔。」
「お前が言うな、八田!小松は?」
「ほれ、あっち。」
一生懸命女の子に声掛けている。
「あいつ、朝から凄いなあ。今日から最後の講習だってのに。」
「だから必死なんだよ。俺も行ってこよ〜っと。」
(こ、こいつら…)

1時限目はクラス別の講習。
恭介たちのAクラスは大講義室。まどかたちSSクラスは少数精鋭。
(へ〜、みんなT大とか受けるんだよな…すげえや、鮎川…)
ぶつぶつ言ってる後ろから膝カックンをやられて腰砕けになる恭介。
「うわっ!」
振り返ると、悪戯なまどかが澄ましていた。
「朝から何ぶつぶつ言ってんのよ?」
「え?あ、あはははは…」
あらためて彼女は恭介の耳元に思いっきり顔を近づけ
「お、は、よ、う、恭介クン。」
「え?あ、おはよう、鮎川…」
「3限目は合同授業でしょ?席取っといてくれる?」
要件を伝えると恭介を残しさっさと自分の講義室へと入って行くまどか。
「あ…」
別に用事は無いのだが…それにしても取りつく島が無い。
(やれやれ…しっかり頑張れってことだよな、多分。)
恭介も自分の講義室へと向かった。
0362見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 03:18:21ID:zaZ2ZCja
講義が終わると、まるで息継ぎするように一斉にみんな休憩する。
恭介も廊下に出てみるのだが、彼女は出てこない。
それとなく講義室を覗いてみると、イヤホンを耳にウォークマンを聴いている。
話しかけたそうにする男子たちを完全シャットアウトしている。
恭介が居る場所から、鮎川を遠巻きに見ている男子たちが見て取れる。
今にも話しかけそうな雰囲気が伝わってくる。
(う〜ん…行くべきか行かざるべきか…)
変にちょっかいを出されるのも癪に障る。
自分の存在を知らしめたい。
思い切ってスタスタとまどかの元に歩み寄る。
「ね、ねえ。コーヒー飲まない?」
まどかはイヤホンを外さず、ちらっと見上げて
「飲まない。」
また下を向いて次の講義の予習をし出した。
(え?ええ?)
何とも愛想がないまどかに戸惑った。
「そ、そう…。ごめん。」
すごすごと退散する恭介。
(おかしいなあ…?機嫌悪いのかなあ?)
周りの男子たちは、ざま〜みろとばかりにニヤニヤしている。
(くっそ〜、恥かいたじゃないか…。)

そして合同講義の3時限目。
「春日クン、そこ座っていい?」
まどかがやって来た。
「う、うん。」
0363見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 03:29:51ID:zaZ2ZCja
さっきとまるで違うまどかに戸惑う恭介。
授業前の黒板を見つめたまま考え込んでしまった。
まどかはバッグからテキストを取り出し、次の準備をしながら
チラチラと恭介の方を見ているのだが、彼は全くノーリアクション。
「ねえ。」
「……う?」
ふと我に帰る恭介をまどかは睨むように
「やい!恭介!何考えてんのよ?」
「へ?」
「さっきから何で黙ってんのよ?」
「いや…さっきさあ、勉強中に話しかけて…迷惑だったかなあって…」
「へ〜、さっきのこと気にしてんだ。
…あのさあ、あたしのことは心配しなくていいから
今は自分のことだけ考えてて欲しいな。」
「でも、やっぱり気になるよ。」
「ふ〜ん…気になるか?」
「だって…他の連中みんな鮎川のことが気になってるみたいだし…」
聞いてちょっと呆れるまどか。
「な〜んだ。あたしのことじゃなくて、まわりのことが気になるの?」
「そういう訳じゃ…」

(こいつ、あたしのこと信じてないな。…よしっ。)

まどかはゴソゴソとカバンの中から何か取り出した。
「じゃあ、これ見てくれる?」
何と、それは所々血糊がついた紅色の紐。真中にガラスのかけらが…。
それは透明のネックレスケースに収められていた。
「それ…!?」
「春日クン、失くしたでしょ?あたしはちゃんと持ってるよ。
  春日クンが『迷った時』に見せようと思ってたんだあ。」
0364見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 03:39:38ID:zaZ2ZCja
まどかは『心配無用!』と伝えたかった。

実は、恭介の机の引出しにも同じく血糊が付いた濃紺の紐とガラスのかけらが
ビニール袋に入って大切に仕舞われている。
記憶を手がかりに、ビーチで偶然見つけた欠片も一緒。
それはまどかにビーチで頬を張られ際、手からこぼれた欠片だった。

「持ってたんだね。俺も家に…大切に仕舞ってるよ。」
「へ〜、そうなの。」
嬉しそうに微笑む。

「じゃあ…あたしのこと信じててくれる?」
小首を傾げにっこり笑顔のまどかに
「うん。」
恭介は頬を赤くして頭をかいた。

3限目の講義が始まると二人は真剣に講義に耳を傾ける。
お互いが慣れ合いにならないよう線引きは出来ている。
しかし、それを許すまじと後ろから丸めた紙クズが飛んできて恭介に命中した。
(何だよ?)
丸めた紙を開くと
『うらやましいぞ!コノヤロー!!』
と書かれていた。
数列後ろには小松たちが居る。
恭介は後ろを振り向かずに講義に集中するけど、まどかはひょいと紙を取り上げ
中を見てクスリと笑い、そして小松たちの方を振り向いた。
彼女の思わぬ反応に彼らは首をすくめた。
0365見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 03:50:36ID:zaZ2ZCja
「うへ〜」
二人はヒソヒソ話し出した。
「おい、鮎川笑ってたぜ。俺たちに笑顔見せるの初めてじゃね?」
「ああ。これで(二人の仲は)オープンってことか。」
「あいつも愛想良けりゃ、うち(高陵)でナンバーワンだもんな、間違いなく。」
「それが何で春日なんだよ?」
「知るか!」

「こら〜〜!!そこの二人!おしゃべりなら外に出てろ!!」

マイク越しに怒鳴られた。
(うへ〜〜!!)
またもや首をすくめた。

3限目の講義が終わり休み時間。
「コーヒー飲まない?」
まどかから提案されて二つ返事でOKする。
窓際に移動して
「これ…」
コーヒーを置いてポケットから取り出した。
「何?…あ!これ、ひかるの…」
「うん。この間アバカブで偶然会って…一緒に観に来て欲しいって…」
「どうするの?」
「俺…やっぱり行けないよ。」
「そう…。そうだよね…」
まどかはコーヒーに口を付け遠くを見やった。
(ひかるなりにこれが『精一杯』だったんだろうなあ…)
0366見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 04:00:35ID:zaZ2ZCja
4限目の講義が始まった。
まどかは一生懸命講義に集中している。所々要点もノートに写している。
恭介はそんな彼女を見て、いつもと違う何かを感じていた。
講義が終了すると二人に遠慮して小松たちは先に講義室を出て行く。
「ねえ、一緒にランチしよ?」
まどかは近くの喫茶店に彼を誘った。
「テラス席にしない?講義室ちょっとクーラー利き過ぎて寒かったんだぁ。」
「うん、いいよ。俺もちょっと寒かったし。」
テラス席は人が少ない。
お盆は過ぎたとは言え、まだまだ外は夏の日差し。
二人はパスタセットで軽くランチを済ませ、アフターコーヒーを頼む。
まどかはぼんやりと通りを眺めている。
そして口を開いた。
「ねえ、さっきのチケット、くれない?
  あたし、行ってみようかなあって思うんだけど。」
「え?行くの?…でも、俺は…」
「いいよ、春日クン来なくって。あたしが行ってみたいだけなんだから。」
恭介はカバンの中に仕舞っておいたチケットを取り出す。
「いいの?」
まどかは手を伸ばして一枚引き抜くと
「いいって。」
0367見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 04:10:44ID:zaZ2ZCja
数日後、
「さあ、今日は千秋楽だぞ!気合を入れて行け!」
みんなは演出を手がける舞台監督の掛け声に送り出される。

「アタイなんか…アタイなんか死んじまったほうがいいんだよ…」

主人公に想いを寄せながら、身代りになるサブヒロインを演じる。
劇の終盤、かばった後ろから背中を撃たれた。
想いを知らない主人公に彼女は抱きかかえられながら
「触んないでよ…アタイさあ…あんたのこと…ずっと…嫌いだった…」
精一杯の決めセリフを残し、みんなに看取られ息絶える。

劇は主人公の二人がひかる演じるサブヒロインの願いを叶えることなく
別れていくところでファインとなった。

ひかるは舞台をみごとに演じ切った。
舞台は大成功のもとにフィナーレを迎える。
始終、嫌われ、観客の反感を買っていたひかるの役は、とうとう最後には
観客の気持ちを一手に集め、皆の涙を誘う大役へと変わっていった。
完全にヒロインを食ってしまった。
0368見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 04:20:21ID:zaZ2ZCja
アンコールの喝采に応えるためにひかるは舞台のそでから再び姿を現した。
見事に大役を演じることが出来た幸せを体一杯に浴びるかのように大きく胸を張り、
ダンサーらしくしなやかに深々とお辞儀を繰り返した。
そして、最後に舞台の奥に戻ろうと跳ねるように体を翻した時
人の出入りで暗幕が引っ張られ、ほんの一瞬であったが
一気にまぶしい光が 差し込んだホール奥の入場口、
緑の非常口のライトの下に視線がよぎった。
「まどかさん…!」
暗幕は元に戻されすぐに暗くなったが、満席のために壁側の通路で観ていた
観客の中に、まぎれもないその姿があるのを確認できた。
長い髪の美しい女性が腕組みをして壁に寄りかかるように立っていた。
(先輩は?)
舞台の袖からそっと覗いてみるけれど、もうそこには彼女の姿はなかった。

会場を出ると、外は土砂降り。
まどかは予め持ってきておいた傘を差して会場を後にした。
(ひかる、カッコ良かったよ。)
足元が雨で濡れるのを感じながら、ちょっとすぐれない気分で歩いた。

楽屋はみんなの歓声で包まれてる。
「良かったぞ!聞いたか?あの歓声!お前ら、やったぞ!」
監督、プロデューサーの言葉で皆は感極まり泣き出す。
そんな中、ひかるはぼんやりと考えていた。
(まどかさん…一人で観に来てくれたのかなあ…?)
0369見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 04:30:35ID:zaZ2ZCja
予備校での夏季講習も後期日程となり、否が応でも受験生としての気構えと
自覚が促される、そんな雰囲気の中、熱心にノートをとる恭介の姿があった。
しかし、隣にはいつもの彼女の姿はない。

(やっぱり行けないよなあ…今頃…)

講義が終わり玄関先に立つ恭介。
外は土砂降のため、ロビーは生徒で大渋滞している。
(傘持ってきてないからなあ…)
小松たちは雨の気配を感じると講義をサボって帰ってしまった。
(ゲーセンかなあ?俺もヒトの事言えないけど、大丈夫かよ、あいつら。)
恭介は雨にくすむ街をぼんやりと眺めていた。
いろんなことが思い出される。
気持ちを見破られた花火大会の日も雨だった。
そして、ひかるに別れを告げた辛い夜も土砂降りだった。
夏休みの初めの頃までとは、全く違う状況になってしまった。
(でも…避けられなかったし…今更…)
恭介は雨に煙る街の中へとかけ出した。

一方まどかは予備校に寄らず、そのまま家に帰ってしまった。
シャワーを浴びて着替えを済ますと部屋に上がる。
(今日はなんにもする気しないなあ…)
椅子に座って劇のパンフを広げて眺めている。
0370見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 04:41:33ID:zaZ2ZCja
どうしても健気なサブヒロインに感情移入してしまう。
(あれじゃ、ひかる報われないままじゃん。)
現実とオーバーラップ気味の内容が少し腹立たしい。
(春日クンに電話しようか…)
時計を見るとちょうど18時。
(夕ご飯食べてるよね…。)
まどかは電話を遠慮して自分も夕飯をとることにした。
さすがに気分がすぐれず、簡単に済ます。
紅茶を入れて買い置きのクロワッサンに、例のマーマレードを
たっぷり塗って頬張る。
口に入れ噛んでみるのだが、そのうち口の動きが緩慢になる。
片手にパンを持ったままぼんやりとしてしまう。
(ひかる、あの内容をあたしに見せたかったのかしら…?)
ちょっと穿って考えてみるものの
(そんな子じゃないよね。)
クロワッサン1個で夕飯を済ますと、部屋に戻りテキストを開き
勉強しようと構えるが…すぐにぼんやりとしてしまう。
ひかるの演技がじわじわと効いてきた。

マンションでは、
恭介はシャワーから上がり、時計を見上げると10時を過ぎていた。
(電話してみようか…)
そう思って、受話器に手を伸ばしたところ

ルルルル…!

慌てて受話器を取った。
「はい、春日…」
「あ、春日クン?あたし。ごめんね、夜分に」
「鮎川?どうしたの?」
「ちょっと会えないかな?今、下に来てるんだけど…。」
0371見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 04:51:23ID:zaZ2ZCja
「すぐ行く!待ってて。」

ドタバタと恭介は玄関を出て行った。
エレベーターを降りるとマンションのロビーから飛び出す。
すると、すぐ前で彼女が待っていた。
「春日クン。」
「鮎川。」
「ごめん。電話で済ますつもりだったんだけど…やっぱり電話じゃ…」
まどかは濡れた路面に視線を落として歩き出した。
恭介も黙ってついて行く。
何か言いたそうな彼女を気にしながら歩いている。
それとなく『きっかけ』を作ってみた。
「ちょっと冷えるね。雨降ったからかなあ?」
ちらりとまどかを見る。
「うん。お盆過ぎてから夜は少し寒くなったかしら?」
彼女は空を見上げながら応えた。
恭介もあらためて空を見上げてみると、厚い雲が切れて、そこから
目映いばかりの星空が見えている。
雨上がりで空気が澄んでいるせいか、星たちがキラキラ輝いている。
歩きながらまどかは口を開いた。

「あたしさあ、学校辞めてアメリカに行こうかなあって思ってるんだ。」

「ええ??!!!!!」
いきなりまどかの方を振り向いて声を出した。
「…じゅ、受験どうするの?一緒の…」
「ごめん。気が変わったの。やっぱり、音楽勉強しに行こうかなって。」
(そ、そんなぁ…)
0372見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 05:00:29ID:zaZ2ZCja
先に進むまどかの後ろから訊いてみる。
「やっぱり、ひかるちゃんのこと?」
まどかはちょっと横を向くが、恭介の顔は見ずに
「うん、それも無い訳じゃないけど…
ほら、あたしず〜っと告ってこなかったじゃない、素直じゃないから。」
「……」
「でさ、いざ自分の気持ちに素直になったら、どんどん感情に流されて…
  もちろん、ずっと願ってたことだし、それはそれで心地良かったんだけど…
彼女は歩みを止めて振り向くと
…そんな生活の中でね、ひかるのハツラツとした演技を観てたら
『自分は今のままでいいのかな?』って思えてさ…」
「よ、よく分かんないよ、俺には…。なんでアメリカなの?」
「みんなから距離を置いて…春日クンとも。
で、やりたいことが解ったら戻ってくるつもり。」
「俺は流されるようにしか生きていけないし、大学も何となくだし…」
まどかは彼に背を向けまた歩き出すと、恭介も合わせて歩き出す。
「それでいいじゃん。あたし、ひかるの劇観てすごいなあって思ったの。
  あたしはこのまま『恋に溺れる女』でいいのかな?ってね。」
まどかはクスッと笑った。
でも、恭介は笑える気分にない。
0373見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 05:12:30ID:zaZ2ZCja
すごく重たい気分になって、まどかから少し離れてついて行く。
顔を上げると勇気を出してもう一度訊いてみた。
「ね、ねえ、本気なの?」
「…うん。2学期が始まる前に学校に退学願を出すよ。」
「……」
(何でだよ…)
恭介は、ただ鮎川の背中を見つめるしか出来なかった。

行くなと言いたいのに、言うとカッコ悪いようで…
(言っても…どうせ…)
なぜか意地を張ってしまう。

やがて二人は公園に着いた。
恭介は落胆し、ブランコに座る。
まどかはそんな背中を見つめながら
「いつかまたここに戻ってくるよ。」
「俺、それまで待つしかないのかな?」
うつむいたまま呟く。今にも涙がこぼれそう。
すると

「待っててくれる?」

まどかはいきなり恭介の後ろから抱きついて
ギュッと頬を寄せた。
でも…恭介の手はブランコの鎖を握り絞めたまま動かない。
0374見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 10:40:29ID:/JKWlAFp
うわっ!一体何があった?
埋め合わせのつもりか?

結局自分勝手な恭介が振られるのか・・w
0375見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 15:05:46ID:qUhAZ+hj
作者相当煮詰まってまどかの周辺との関係で引っ張ってると思ってた。
またアカネやクッキングの話しかよ!って。
それが今頃何で別れ話しなん?
或る意味意表を突かれたが、こういう落ちはいかんやろ?
0376見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/16(水) 16:50:10ID:hBI6IvdZ
元祖へ
お前さんは今回の大量アップと話の流れをどう思うかね?
俺は原作に準じたいかにも「まどからしい」決断と思うが。
0377元祖2010/06/16(水) 23:08:45ID:PsaaViva
身勝手過ぎる!
ただそれだけです。
0378見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/21(月) 14:57:12ID:8nJQHicy
考えた末じゃないのかなあ?
0379元祖2010/06/21(月) 20:21:16ID:2efSzIcy
まだ悩んでるの?
また悩んでるの?

確かに原作のまどかちゃんっぽいけど…
0380見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/21(月) 22:23:12ID:s01JlWFM
あの日のまどかより上手!
何たって、恭介を手に入れた途端ポイ捨てだから♪
0381元祖2010/06/21(月) 23:10:32ID:2efSzIcy
ひっど〜い。
そんな言い方しないで下さいな。
0382見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/24(木) 10:48:49ID:boWNx/db
後は公園で再会してチュッでENDだな。
いや〜長かった。
0383見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/24(木) 22:39:26ID:8tOH+N/q
勝手に終わらせんなって。作者楽しみにしてまっせ。
0384見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/25(金) 13:02:22ID:ccC+YjGZ
いい加減飽きたよ!
0385見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/25(金) 21:49:58ID:Oohlg4oM
うーん、でも一部のだれかの意見で強制終了させて欲しくはないな。
0386見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/28(月) 11:06:26ID:lcmeGmkm
出だしから考えたらよく出来たオチだと思うが。
ここらで終わるが賢明かと。
2年間よく頑張った!楽しませてくれて有難う!
んじゃ!
0387見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/28(月) 21:27:22ID:Qe6riknt
なんか未消化な感じが・・・・・
0388見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/28(月) 22:36:24ID:F0W7HRGO
鮎川まどか=山田優
あかね=エビちゃん
で、どや?
ひかるは…よっしー
0389見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/29(火) 01:18:29ID:AxiKgTbR
>>388
ふざくんな
まどかが山田なんてありえねー
0390見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/29(火) 15:35:27ID:E8NGRxER
ふざくんな・・方言でっか?

山田優ねえ・・まあ、ボーダフォンのCMに出てたあたりなら
この作者の描くまどか像にあわないこともないが・・。
エビは無理だな。
よっしーって元モー娘のか?
こっちの方があかねじゃないか?
0391見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/06(火) 10:16:11ID:28FQz17n
明日は七夕。
「今のままで最高なんだもん。」
0392名無しさん@そうだ選挙に行こう2010/07/10(土) 11:22:06ID:PTu2FWq/
それってアニメのやつ?
0393見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/14(水) 09:26:22ID:NUGjk/yb
元祖ショックで寝込んでる?
0394元祖2010/07/14(水) 22:42:44ID:6zRYxKGt
寝込んでなんかいません!
静観してるんです・・
0395見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/14(水) 23:20:09ID:RNbA5gKj
おとなしく寝とってくれ。
0396見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 16:37:07ID:KfoAucyC
今日も無か・・
どうせまたアク禁なんだろうな
0397見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 20:28:39ID:RtGN/wC2
test
0398見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 20:31:51ID:RtGN/wC2
まどかの体に触れようとしない。
それが、今の彼に出来る精一杯の感情表現だった。

まどかは頸に絡めた腕をほどき恭介から体を離すと
「じゃあ、明日予備校でね。」
「え?出るの?」(もう必要ないじゃん…)
「多分。…じゃ、おやすみ。」
ニコッと笑って彼女は去って行った。

恭介はブランコに腰かけたまま動けないでいた。
空を見上げると、いつの間にか満天の星空になっている。
(一体、いつまで待てばいいんだよ?鮎川は離れてても大丈夫なの?
  それとも…ひょっとしてこれって、『発展的解消』ってやつ?)
思わぬ展開に困惑している。

まどかは帰るとシャワーを浴びた。
ぶつぶつと独り言
(馬鹿だよね、あたし。怒るに決まってるよ…。
でも…今のあたしじゃ絶対ひかるに負けてるし…
そうよ、もう少し自分を磨いて…それからでも…)

どんなに言い訳をしてみても、さすがに虚しい。
ひかるの迫真の演技を観て以来、完全に腰が引けてしまっている。
心が逃避へ向かってしまった。

シャワーから上がると、バスタオルを体と頭に巻いてキッチンへ行く。
冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、持って2階に上がった。
シュパッ!
ベッドに腰を降ろして一口喉に流し込む。
0399見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 20:35:00ID:RtGN/wC2
缶を握りしめたまま、まどかの動きが止まった。
ぼんやりと窓に映る自分の姿を見つめている。
缶の表面で冷やされた水滴が膝へと流れた。
(冷たい…)
膝に流れる滴を手で払うともう一口飲んだ。

ついさっきまで…そんなつもりはなかったのに…。
恭介のために、そして何より自分のためにと結論を出したはずなのに…。
例えひかるにそんなつもりが無かったにせよ、
あんな演技をみせられたばっかりに…。

『あんなこと』があった後でも、ひかるは稽古に打ち込んで
立派に役を演じてみせた。
多分、チケットをくれたことに他意はないのだろう。
そんなひかるが随分健気に…そして『大人』に思える。
その点、自分は…

(ひかるが引くんなら、あたしも引くべきなんじゃない?)

でも、今更『ひかるのため』はさすがに格好がつかない。
それは『封印』して来たはずなんだから…。

(アメリカに行こうかなあ…『自分のため』に)

体のいい逃げ。
それもどこかでは分かっている。

(ひかるに負けないように…あたしも頑張ろうっと。)

無理やり自分を焚きつけた。
0400見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 20:38:26ID:RtGN/wC2
思うと行動が早い。
カレンダーを見ながら考える。
頭の中で予定が立つや否や片付けを始めた。

ホントは一刻も早く逃げ出したかった。

今この機会を逃がさないように、

…自分の気持ちが揺らぐ前に。

(そうよ。こうするべきだったんだわ。)
そして…とうとう恭介に言ってしまった。

クローゼットから引っ張り出したスーツケースを眺めながら、
この数時間の出来事を思い出している。
そして、迷路に落ち込みそうになる心を引っ張り上げる。
(ネックレスは…持って行こう。写真は…要らないや、里心着くし。)
考えるや、壁や机、引出しの中の写真を全て集めると、
オルゴールの付いた宝石箱に重ねて入れ、
それをさらに段ボール箱に入れると厳重に目張りをした。
そしてそれをクローゼットの奥に仕舞いこんでしまった。

ホントは今にも心が折れそうなのに、頭の中ではとことん強がっている。

(百年に一人の逸材らしいから、せいぜい音楽に身を投じてみるか。)
0401見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 20:44:07ID:RtGN/wC2
翌朝
まどかはベッドの中で考え事をしていた。
(誰とも会いたくないなあ…考えるよりも動こうか。)
「よしっ!」
意を決すると航空会社に直接電話してチケットを予約する。
そして、予備校をサボって家の中を片付けることに没頭し始めた。
お昼過ぎには、取り敢えず一旦家を留守にできる程度に片づけが終わる。
雨戸も閉めたので、家の中は蛍光灯の灯りだけになってしまった。
まどかはスーツケースを玄関に出すと部屋で着替えを始めた。
雑念を振り払うよう粛々と事を進めるてきたが…
つい鏡に映る自分の顔をぼんやりと見つめてしまう。
吹っ切れた顔には見えない。

(帰りは解らないけど…取り敢えずアメリカに行こう。
  そして、いろんなことに挑戦して、すごく大人になって…
   そしたら、今度こそ春日クンと…春日ク…かす…)

急にまどかを激しい目眩が襲った。
視界がホワイトアウトして倒れそうになる。
傍にあった勉強机に手をつくと、ゆっくりと床に倒れこんだ。
今まで経験したことがないくらい頭がズキズキし出す。
吐き気もして来た。
(ダメだ…!)
瞬間、目の前が真っ暗になる。
ジーーーー…
耳に不快な音が聞こえている。
あらためて目を見開くと、眼の前に辛そうに顔をしかめる自分の姿が!
(…?)
いつのまにか自分の不快な症状は消えてしまっている。
代わりに眼の前の彼女は酷く辛そう。
「何?あたしどうなってるの?」
0402元祖2010/07/22(木) 20:45:48ID:420HCfBK
やったー!
やっぱり、あたしのの大好きなまどかちゃん
でいてくれた!
心配してました〜!
0403見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 20:47:04ID:RtGN/wC2
自分は不思議と冷静に、もう一人の自分を眺めている。
見かねて彼女の元へ近づき、そっと声をかけた。
「ね、ねえ、大丈夫?」
「痛い…」
彼女は頭をかかえこんだ。
「お医者さん呼ぼうか?」
「あなたのせいでしょ…」
「え?」
すると、それまで痛がっていた彼女が急に起き上った。
「だから、あなたのせいでしょ!」
「な、何言ってるの?あなたは誰?」

まどかは部屋を見渡すが部屋に変化はない。
眼の前にもう一人の『自分』がいること以外…。
(一体どうなってるの?)
まどかは怖くなって後ずさりしながら彼女から距離を取ると、
もう一人の『自分』が、まどかをじっと見つめながら呟きだした。

(逃げるの?一緒にいるって決めたんじゃなかったの?)
0404元祖2010/07/22(木) 20:55:28ID:420HCfBK
ありがとうございます!
覗いたらリアルアップされてるし〜!
あぁ、運命を感じます〜!
0405見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 21:00:13ID:RtGN/wC2
ルルルルル!

「え?」
電話の音でふと我に帰る。
気づくと恭介の写真が貼ってあった辺りを手でなぞっていた。
(今の…何だったの?)

ルルルルル!
(あ、はいはい…)
部屋にある子機のディスプレイを見ると『ひかる』から。
(ひかるには言っておこうかな…)
受話器を取る。
「はい、鮎川…」
「まどかちゃん?ひかるそっち行ってない?」
「あ、お母さん。…いいえ、来てませんけど。どうしたんですか?」
「昨日から帰ってこないの。春日さんのお宅にも電話したんだけど
  知らないって。今まで泊まる時はちゃんと電話してたし…。
最近…部活が終ってからちょっと変だったの。だから、心配で…。」
時計を見るとすでに15時をまわっていた。
「…取り敢えず、あたしも知り合いを当たってみます。」
「あの子、また昔の悪い人と…あ、ごめんなさい。」
「いえ…」
0406見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 21:01:52ID:76s1JLpq
待ってるのはあなただけじゃないですよ。
0407見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 21:02:58ID:RtGN/wC2
まどかは受話器を置くとすぐに恭介に電話をした。
「はい春日です。」
「あ、まなみちゃん?お兄さん…まだ学校よね。…ひかる知らない?」
「さっきお母さんから電話があったんですけど…何かあったんですか?」
「ううん、何でもない。
…あたしから電話があったこと春日クンには内緒にしておいてくれる?」
「え?…はい。」
まなみは少し不安な面持ちで答えた。
電話を切ると、まどかは家を飛び出した。
あんなストーリを観た後だけに、妙な胸騒ぎがしてくる。

その頃
(やっぱり来なかったか…)
まどかの性格をよく知っているだけに、来ないだろうと予想はしていた。
しかし、2日続けてまどかが休んでいることに、周囲が少し噂をしている。
そんな雰囲気の中、いきなり
「よお!お前振られたのか?」
「かもな。」
気のない返事に、小松と八田は驚いて顔を見合わせる。
「ど、どうしたんだよ?」
「俺にも解らない。とにかく放っといてくれよ。」
(マジかよ〜?)
二人は顔を引きつらせながらも元気づける。
「じゃ、後で昼飯食いに行こうぜ。」
「ああ。」
0408見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 21:08:30ID:RtGN/wC2
まどかはアバカブに行った。
「いらっしゃ…よう、まどかクン。そろそろ手伝ってくれるのかい?」
「ごめん、マスター。ひかる来てないかなあ?」
まどかの表情に何かを感じて
「どうしたの?ひかるちゃん…来てないけど。」
「また後で寄る。ひかるが来たら捕まえといてくれる?」

まどかはアバカブを飛び出すと街へと向かった。
そして、ひかるが行きそうな場所を探して回った。
(まさか、自棄起こしてなきゃいいけど…)
昔自分たちが出入りしていた不良のたまり場にもズカズカと入っていく。
最近ではめっきりご無沙汰のまどかだったが、今の表情や態度は
昔のそれに戻っている。
「ねえ、あんた達、ひかる知らない?」
「!!…鮎川先輩!い、いや、知りませんよ。」
「そう。見かけたらアバカブに知らせてくれる?」
「はい。」
まどかは険しい表情のまま立ち去った。
そして、ひかるが一晩過ごせそうな所を片っ端から当たって行く。
恭介のマンションの周りも遠くから眺めて見て回ったけど、
それらしき姿は見かけない。
(どうしよう…あたしのせいだ。あたしの…)
まどかの想像は悪い方へとはまっていく。
0409見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 21:18:06ID:RtGN/wC2
午後の授業もぼんやりと終わり…

恭介は帰りにアバカブに寄ってみた。
まどかが来ているんじゃないか…マスターには何か話しているんじゃないか
そんな気持ちに駆り立てられるように訪ねてみた。
カランコロン!
「よう、いらっしゃ…い…。」
恭介の沈痛な表情を見て、マスターは彼らに何かが起こっていると感じた。
「マスター、鮎川…」
彼女の名前を出した途端涙がこぼれそうになる。
マスターはカウンターの仕切りを開いてキッチンの奥に招き入れた。
「一体何があったの?」
「俺も解らないんだけど、急にアメリカに行くって言い出して。」
「ええ?まどかクンが?相変わらずだなあ〜…」
マスターは腰に手をあてたまま首をひねっている。
「マスター、何か聞いてない?」
「いや、全く。それよりまどかクンならさっき来たよ。ひかるちゃんを捜しに。」
マスターはその時の彼女の様子までは語らなかった。
(ひかるちゃん、春日クンに振られたって言ってたけど…
まどかクン、まさかひかるちゃんのこと気に掛けて身を引くつもりなのかな?)
「で、いつ行くって?」
「2学期前に退学願出すって…鮎川のことだから、もう止められないよ。」
恭介は投げやりに呟いた。
「さっきの感じだと、またうちに寄るみたいだから待ってみたら?」
「うん。」
恭介はカウンターの奥から出て、あらためてコーヒーを注文した。
0410見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 21:19:23ID:vcvfjqT2
ったく、どいつもこいつも、余計なコメすんなよ♪
0411見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 21:26:02ID:RtGN/wC2
夕刻6時をまわって

カランコロン!

「いらっしゃ…おや、まなみちゃん、くるみちゃん。久し…」
二人はカウンターに居る兄の姿をみつけると
「お兄ちゃんのせいだよ!」
くるみは泣きながら恭介の肩を揺さぶる。
まなみはくるみをなだめながら、バツが悪そうにマスターに頭を下げると
恭介とくるみを店の外に連れ出した。
3人の後ろ姿を客たちがひそひそ話しながら眺めている。

「どうしたの?何があったの?」
「ひかるちゃん、昨日から帰ってないって。今日も連絡つかないって。」
まなみは電話先のまどかの雰囲気からただならぬ状況を察して、
ひかるの家に電話をかけ、あらためて事態を知った。
「まどかさんも捜してるみたい。」
「まなみ…お、お前、使わないのか?」
「だって、使っちゃいけないって。」
「こういう時こそ使えよ!」
「!!、そうだよ、まなみちゃん。一緒に捜そう?」
3人は人気の少ない路地裏に行くと姉妹が手を取り合って目をつむった。
ブツブツと何かを念じていたかと思うと急に声を荒げた。
「お兄ちゃん!ひかるちゃん危ない!!」
0412見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 21:42:51ID:RtGN/wC2
くるみは気を失ってその場に倒れこむ。
慌ててまなみと恭介が抱え込んだ。
恭介は声を荒げ
「どこ?どこに居るの?!」
「学校の屋上にある給水塔のとこ!」

バシュッ!!

その瞬間、恭介の体が消えた。

その頃ひかるは
高校の校舎屋上の、さらに上にある給水塔に座って夕焼けを眺めていた。
(さすがに今日は帰らないとね〜。お母さん怒ってるだろうなあ。)
舞台の千秋楽がはねて、またぽっかりと心に穴が開いてしまった。
部活がある間はそれに没頭することで誤魔化せていたけれど、
それも終わると、どうしようもなく寂しくなって来る。
自分の演じた役どころがあまりにも我が身とオーバーラップして、
何とか忘れようとあがきながら街を彷徨い歩いた結果、
いつも隠れて煙草を吸っていた中学校の体育倉庫へたどり着いた。
そして、そこで泣きつくして眠ってしまった。

ひかるは倉庫のマットの上で一晩明かした後、翌日も学校の敷地から
出ないで過ごした。
まだまだ恭介との思い出に捉われていたけれど、思う存分浸ってから
スッキリさせようと決心した。
0413見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 21:43:47ID:RtGN/wC2
一日かけて恭介や3人で過ごした場所を訪れては
「よしっ!」と一つずつ決別を告げていく。
やがて、そんな儀式が全て終了すると夕刻になっていた。
ひかるは少しセンチになって、校舎の一番高い所から夕焼けを眺めて
みたくなった。
そして…まなみとくるみは『そのシーン』だけを勘違いして恭介に告げた。

ひかるは立ち上がると
「アタイさあ…あんたのこと…ずっと…嫌いだったよ…」
小声でセリフを決めてはみたけれど
夕陽を見ていると、なんだか泣けてくる。
(やっぱ無理があるよね…3年だもん…。)
ぼんやりとたたずむひかるの目の前に、いきなり恭介の姿が現れた!
(間に合った!)
「うわっ!!」
ひかるはびっくりして後ずさってしまった。
(ええ〜!?)

ちょうどその頃、まどかは給水塔の真下付近に来ていた。
(もっと早くにアメリカ行くんだった…
ひかるにもしもの事があったら…あたし…あたし…)

「キャ〜!!!!!」

(え?)
声がする方を見上げると、ひかるが今にも落ちそうになっている。
(ええ?ひかる?!)
考えるよりも先に受け止めようと駆け出すまどか。
その頭上から今まさにひかるが降ってくる。
「ひかるー!!」
「ひかるちゃん!!」
バシュッ!!
恭介は先回りしたけれど万事休す!!
(え?!)
0414見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 21:44:36ID:RtGN/wC2
何と!腕を伸ばして受け止めようとするまどかの姿が!
(無理だ!!!!)
恭介は固まった。
そして、ひかるの体がまどかの胸に激突しようとした、まさにその瞬間

バチバチバチ!!

夕ぐれに染まった空気を切り裂くような稲光が走る!

すざましい放電が二人の体から放たれた!
瞬間、ひかるの体は宙に浮き、そしてそっとまどかの腕の中に納まった。
(え?)
(ええ??)
まどかとひかるの目が合って、二人は輝きの中で倒れこんだ。
そしてそのまま二人とも気絶してしまった。
一部始終を目撃した恭介は
(俺じゃない!)
辺りを見回すと、
(・・・!!!)
そこにはゆらゆらと青白い炎を全身から発しているあかねの姿が!!
凄い形相をして二人を睨んでいる。
「あかね!お前…よくここが。」
炎がス〜ッと消えていくと、力尽きて彼女も気を失いそうになる。
恭介は慌ててあかねを抱え込むと、そっと地面に横にした。
ちょうど向こうからくるみとまなみが駆けてくる。
「お兄ちゃん!ひかるちゃんは?」
「あそこ。足滑らせて…でもあかねのお陰で。」
向こうにまどかとひかるが、こっちではあかねが気を失っている。
0415見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 21:47:32ID:RtGN/wC2
3人は辺りに人が居ないことを確認した。
「う〜ん…あれ?」
「あかね!」
「あ!!ひかるちゃんとまどかちゃんは?!」
フラフラしながら立ち上がる。
「あかね!お前のお陰で助かったよ!!」
「それがさぁ、まどかちゃんが血相変えて走って行くのを見かけてね、
  慌てて追いかけたら、ちょうど…なんでこんなことに?」
「お兄ちゃんのせいよ!」
睨むくるみを制するようにあかねが
「誰にも見られてないよね?今の内に2人を運ぼう!」
恭介がまどかを背負い、ひかるはあかねに背負われてマンションに向かう。
部屋に上げられると、リビングにマットが敷かれ、二人は横にされる。
まなみとくるみはタオルを温めて二人の体をやさしく拭いてやった。
隆が仕事から帰って来て驚いた。
「ただいま〜…?おいおい!どうしたんだ?」
「叔父様…二人に見られちゃった。今は気を失ってるけれど…」
「何があったんだ?二人は大丈夫なのか?病院へ行かなくていいのかい?」
「うん。ちょっと気を失ってるだけみたい。」
隆は穏やかに眠っている二人の傍に行き、大丈夫そうなのを確認した。
そして、事の顛末を聞くと
「そうか…とうとう知られてしまったか…
と、とにかくお前たち二人を看病してあげなさい。」
そう言うと書斎に入り、そっと妻の写真に語りかけた。
(彼女たちは理解してくれるだろうか…)
0416見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/22(木) 21:48:45ID:RtGN/wC2
「私、ひかるちゃん家に電話する。」
「俺はマスターに電話しなくっちゃ。心配してるだろうから。」

まなみは事情は伏せて、取り敢えずひかるを無事発見したことを告げた。
今は気を失ってるので部屋で寝かせていることも。
電話では、ひかるの母がすぐ車で迎えに来るとのことだった。
スヤスヤと眠る二人を見つめてあかねが口を開く。
「どうしよう。二人が目覚めたら何て言うかな?」
「マズイことになったら、お前、(記憶)消してくれる?」
「恭介、お前それでいいの?何ならひかるちゃんの方だけ…」
「あかねちゃん!酷いよ、それって。」
姉妹が口をそろえた。
あかねは恭介やまどかのことをよく知った上で提案したのだが…。
そうこうしている内にひかるが目を覚ました。
「う、う〜ん…あ、あれ?ここは……せ、先輩!一体どうして…?」
「ひかるちゃん。」
ひかるは横に眠るまどかにも気付いて驚く。
「え?まどかさん!何でここにいるんですか?」
4人は顔を見合わせた。
まなみが恐る恐る訊く。
「ひかるちゃん、覚えてない?」
ひかるは、え?という顔つきになってしばらく考え込んだ。
「あたし、先輩との思い出の場所をめぐってる内に体育倉庫で…
  そして…後が思い出せない…何でここに居るのかしら…?」
らためて恭介の顔を見ると赤くなった。
「すみません…もう会わないって約束したのに…何で、こんな…」
「ひかるちゃん、『塀』から落っこちたんだよ。それをまどかちゃんが
  受け止めようとして『ちょっと』頭を打ったみたい。」
0417見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/23(金) 04:34:10ID:+45WeMfV
あかねは咄嗟に嘘をついた。
ひかるも『落ちた』覚えはあるだけに、それに符合させるしかなかった。
(でも、何で塀の上に?)

ピンポ〜ン、ピンポ〜ン!

ひかるの母親が迎えに来た。
まなみが玄関に出ると、カンカンに怒った母親がいた。
まなみの後ろからひかるが顔を出し、母親が口を開く前にしおらしく
謝罪した。
「ひかる、あなた、こんなにみなさんに心配かけて…。どうして?」
「ごめんなさい。訳は帰ってから話すから。
他所のおうちじゃみっともないでしょ?」
後ろで気にするみんなにはちょっと笑顔をして見せて大丈夫、大丈夫と
靴を履きだした。そこにくるみが温かいタオルを持ってきて手渡す。
「ありがとう、くるみちゃん…」
ひかるは声を詰まらせて、みんなに背を向けてドアから出て行った。
見送るみんなにひかるの母は何度も深々とお辞儀をした。
0418見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/23(金) 04:35:12ID:+45WeMfV
玄関が閉まるとあかねがボソッと呟いた。
「ひかるちゃん、気付いてないみたい。」
一同ほっと胸をなでおろす。
みんなはリビングに戻りまどかを囲む。
「ねえ、まどかちゃんはまだ目が覚めないの?」
「打ちどころが悪かったのかしら?お医者さん呼ぼうよ。」
心配そうにまなみが顔を近づける。
「俺が見た瞬間は…ぶつけたって感じじゃなかったけど…。」
他人によって事の次第が明らかにされるのは躊躇われる。
第三者の介入を避けたい気持ちから、いい方に解釈しようとする恭介に
「そんなこと言って、まどかさんにもしものことがあったらどうするのよ!」
まなみが口を尖らせる。
彼女は何よりまどかの容態が心配で、余計なことは考えられない。
「咄嗟だったけど、ぶつからないようにできた自信はあるのよね〜」
あかねが右の掌をみながら呟くのだがが、まなみとくるみは少し心配顔。
そんな二人をなだめるように、あかねが提案する。
「ここは起こしたりしないで、一晩様子を見てようよ。」

全員が交代でシャワーや自分たちの用事を済ませながらまどかを看ている。
しかし時間が経ってもまどかはスヤスヤ眠っているだけ。
11時を過ぎて、さすがに姉妹はあくびをし出した。
隆がやって来て子供たちに休むように促す。
「俺は…」
その場に残ろうとする恭介に呆れ顔で
「お前はダメに決まってるじゃん。あたしが看てるからいいよ。」
あかねにダメ出しされてスゴスゴと部屋に入った。

(ひかるちゃんは…相変わらずひかるちゃんらしくって助かった。
  でも…鮎川は…何考えてんだろう…?目が覚めたら何て言うかな?
   やっぱりアメリカに行くのかな?それとも…)

机の上の二人の写真を見てため息をつく。

(発展的解消か…)
0419見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/23(金) 04:35:53ID:+45WeMfV
リビングでは隅っこにあるお洒落なスタンドだけ灯されている。
あかねはじっとまどかの顔を眺めていた。

(まどか…もし全部覚えていたとしても…
それでもあたし達と一緒にいてくれる?)

「う…う〜ん…」
(!!…気付いた?)
まどかの目が少しだけ開いている。
そして呟くように
「ここは…ひかるは?ひかる…」
「大丈夫よ。ピンピンして家に帰ったよ。」
「良かった…。」
ホッとして瞼が閉じそうになるけれど、ふと考えて呟いた。
「あかね…ここは?」
あかねは少し笑みを浮かべて囁く。
「恭介の家。」
「そう…なら安心だ…」
そう言うと、まどかはまた深い眠りに落ちて行った。
(…?寝ちゃったか。)
あかねも横になることにした。
翌朝
あかねがまどかの顔を覗き込む。
「おはよう。」
(!!な、何よ?ここは?)
まどかはガバッと身を起こしあかねを睨んだ。
「あ、あなた誰?」
「え?」
「あれ?ここ、どこよ?」
茫然と見ていると、みんなも集まって来た。
「まどかさん、良かった〜。」
傍に来ようとするまなみにびっくりして押しとどめる。
「ちょ、ちょっと…あなたたち誰なの?ここはどこよ?」
0420見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/23(金) 04:36:42ID:+45WeMfV
恭介はそんなまどかの姿を眺ながら愕然としている。
「ウソだろ…?」
隆が落ち着いてソファに掛けるように言うのだが
まどかは後ずさりするばかりで、気味悪がって座らない。
一所懸命に何かに考えを巡らせている。
「あなた…自分が誰か」
「あたしは『鮎川まどか』だよ。で、あたし何でこんなとこに居るの?」
「全然覚えてないの?」
すると、まどかは急に怯えたような目つきになり騒ぎだした。
「そう言えば…あんたたち普通じゃない!
あんたは体から青い火を出してた!あんたはあっちこっちに姿を現す…
そして、両腕をさすりながら嫌悪の表情で吐き捨てるように
…き、気持ち悪い!!」
「気持ち悪いって…」
口を開く恭介。
するとまどかはみんなを睨むようにしながら
「失礼!」
そう言うや、彼女は玄関から逃げ出してしまった。
みんなは茫然と見送るしかなかった。
「昨日目が覚めた時は落ち着いてたのに…夜が明けたら…なんで?」
あかねの呟きを聞いて、まなみはショックでしゃがみ込むと泣きだした。
くるみは部屋に入ってしまった。
「ちょっと辛いな。俺達の記憶がこんな形で鮎川の心に残ってしまうなんて…」
「ごめん、恭介。こんなことになるなんて…」
あかねは唇を噛んだ。
「いいよ、二人の命の恩人なんだもん。生きてるだけで…」
そう言うと恭介は部屋に戻ってしまった。
0421見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/23(金) 04:38:22ID:+45WeMfV
「叔父様…ごめんなさい。」
「何で謝るの。あかねちゃんはちっとも悪くないよ。恭介の言う通りだ。
  彼女に知られ、受け入れられなかったのは残念だけど…仕方ないよ。
しかしもうこの町には住めないな。引越しの準備に…」
「どこに行くの?」
まなみが訊くのに
「『居場所』を変えるんだよ。そこでまた一からやり直しだ。」
「もう2度とひかるちゃんやまどかとは会えないの?
  もう一度なんとかならないの?あたし、お爺ちゃんに訊いてみる。
   そうよ、あたしだったら出来るかも。あたしだったら…」
隆とまなみは黙って聞いていた。
掟は絶対守らなければならないことは、一族の者は誰でも承知している。
「ねえ、叔父様。どんなことにも例外は有るわよね?ほら、あたしだって
  スポーツ推薦でK大受けられるし!そうよ。そう…よ。」
あかねは上ずる声に手を当てると…黙ってしまった。

恭介は部屋で今まで撮りだめしていた写真を眺めていた。
いろんなことがあった。
どれもこれも、思い出すと昨日のことのように懐かしい。
(受け入れられなかったら…一家で消滅かあ…)
さっきのまどかの言った言葉を冷静に受け止めていた。
気のせいか、写真の中のまどかがぼやけている。
部屋から出てくると隆に尋ねる。
「俺たち、後どれくらい猶予期間があるんだっけ?」
「7日だよ。それまでに身の回りを整理しておきなさい。」
「そんなあ…明日から学校始まるって言うのに…」
0422見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/23(金) 04:39:43ID:+45WeMfV
妹達の部屋からドタンバタン音がしている。
二人は珍しく喧嘩をしていた。
「お前ら、近所迷惑だろ!」
見ると二人は顔を泣き腫らしている。
「何よ!元はと言えばお兄ちゃんが原因じゃない!」
ギクッとする。
「…ごめん。」
居た堪れなくなったあかねが
「あたし、もう一度まどかちゃんに会ってくる。」
そう言うと恭介の制止を振り切って出て行った。
(あかね…これ以上やってもお前が傷つくだけだぞ…)

まどかはなんとか家に帰り着いた。
玄関にはスーツケースが置いてある。
家に上がると中は雨戸が閉められ、電気が付いている。
(何よ?何にも覚えてない…)
閉め切った窓を次々に開けて回るとスーツケースを開けてみた。
中からは簡単な旅行セットと衣類が出てきた。
電話機のところに置いてあるバッグからは、アメリカ行きの片道航空券が。
日付を壁にかかったカレンダーで確認すると、明後日の出発だった。
(あたしアメリカに行くんだったっけ?あたしが?なんでよ…?)
0423見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/23(金) 04:40:33ID:+45WeMfV
しばらく考えても思い出せない。
ふと思い出したように
「そうそう。え〜っと…」
まどかは何やら探しだした。
(タバコ、タバコと。何所にやったのかしら?)
スーツケースの中の衣類の間を確かめてみた。
「なにこれ?ネックレス?血が付いてんじゃん!汚いなあ…」
まどかは何も考えずポイとごみ箱に放り込んだ。
さらにどこを探しても出てこない。部屋はきれいに片付けられ、
自分の机の上はもちろん、引き出しの中まできれいなものであった。
(嘘みたい…これがあたしの部屋?)
まどかはママの鏡台の化粧ケースの裏ぶたにメンソールが隠してあるのを
知っていた。
(ちょろいわね。)
封を切ると台所にある長いガスライターで火をつける。
おもむろに吸うや、
ゲホッ!ゲホッ!!
噎せだした。
(うえ〜!不味いや…なんで?)
我慢して吸ってみるけど、口の中が嫌な味だらけになる。
まどかは台所の水道でたばこの火を消すと、そのままゴミ箱に捨てた。
(とにかくアメリカなんか行きたくないし…ママたちに電話しとこう)

「ま〜!!呆れた!おととい頼んだくせして気が変わっただって?」
「うん、ごめん。とにかくなんでアメリカなのかもかも覚えてないし、
第一、行きたくもないから。じゃ、切るね。」
「じゃあ、すぐにキャンセル手続きしときなさい!
もうお金ほとんど戻ってこないけど!」
電話は一方的にプツッと切られた。
「まどか?…まどか?」
プープープー…
「んもう!まどかったら…」
「どうしたんだい?」
「それが来るって言ってたかと思うと今度は来ないって。」
「いつものことだろ?」
「それがね、何か変なの。昔のまどかとしゃべってるみたいで…」
その頃まどかは
「ママたちんとこ行ったらうるさく言われるに決まってるじやん!」
自分の部屋に戻ると部屋を見渡した。
0424見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/23(金) 04:43:16ID:+45WeMfV
「おかしいなあ…自分の部屋じゃないみたい。あたし今まで何やってたんだろう?」
8月のカレンダーを眺めると、予備校の夏期講習の日程、、お盆の日程、そして…
いたるところに『K』の文字が…。
「『K』ってなによ?ああ〜もう!」
床にあぐらをかいて思い出そうとする。
(何であたしあんなとこに居たんだろう…
  あの気持ち悪い連中と関係あるのかしら…とにかく、ごめんだわ。」
本棚を見ると、予備校の夏期講習のテキストが並べられている。
ぺらぺらとめくると勉強の後が…
「うわ〜、あたしらしくないよ、こんなの。
夏休みも残り今日だけじゃん!ひかる誘うか。」

ひかる宅にて。
ルルルル!
「はい、桧山…あ、まどかさん!大丈夫ですか?今どこ…」
「大丈夫って、ぜんぜん大丈夫じゃないよ!
だいたい、何のことか覚えてないんだけどさ、
聞きたいこともあるし…今からうちに来ない?」
「え?今からですか?…ちょっと無理かなあ…親が怒ってて。」
「抜ければいいじゃん、らしくないね。」
(…?『らしくない』って、まどかさんこそ…)
「それは…ちょっと。すみません。」
「じゃあ、いいよ。学校始まったら会おうか。」
「…はい。あのー…まどかさん。」
「何?」
「…いや、何でも無いです。」
いつもと様子が違うことが気になっている。
「じゃあね。」
「じゃあ…。」
0425スゲエ2010/07/23(金) 07:27:53ID:X/iLYDdZ
一夜明けたら大量アップしてやんの!
0426元祖2010/07/23(金) 23:13:49ID:7JbEBk+U
作者様・・
ついて行けない・・・
0427見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/07/24(土) 12:28:12ID:3YEfLWVJ
元祖さん
何がついていけないのでしょうか?
話にですか?
それとも、お気に入りの鮎川まどかの人格が変わったからですか?
確かに、着いていけない展開ではありますね。
0428元祖2010/07/24(土) 22:43:01ID:L0k1oQf0
作者様、あたしのまどかちゃんを弄び過ぎです。
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