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ラビン・ユー

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001見ろ!名無しがゴミのようだ!2009/07/30(木) 00:10:53ID:Zns8QEcC
お引越し!

まどか「元祖さん、たどり着けたら再開するよ。」
0255元祖2010/03/09(火) 00:05:01ID:ZgUN6M/+
久々の続きですね〜。
他を探したけど、やっぱり待ってて良かったです〜!!
0256見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/09(火) 12:51:40ID:130Q/tHS
待ってて良かったな。
0257元祖2010/03/09(火) 14:33:13ID:MG0m95hT
はい!
0258元祖2010/03/12(金) 19:03:11ID:LmUeJ8+X
また最初から読んでま〜す!
0259見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/12(金) 22:25:33ID:a1tWNdAt
ソウトウヒマデスネw
0260元祖2010/03/15(月) 00:16:03ID:nZEpDqi2
だって、読み出したら引き込まれるんですも〜ん。
あたしのお気に入りは、まどかVSお姉ちゃん
まどかVSママ。そして、あかねちゃんやマリーさんとの
仲良さげな会話。あたしも混ざりた〜い。
いっしょにワイキキの街をブラブラした〜い。
絶対楽しいだろ〜な〜。
0261見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/15(月) 10:05:38ID:phF02WTm
そのうちアニメの世界でしか生きられなくなるぞ。
ちゃんと彼氏作って、お茶でもしなよ。
キャバ嬢出来るくらいのビジュアルは持ってんだろ?
0262元祖2010/03/15(月) 16:19:03ID:nZEpDqi2
ビジュアルはともかく・・・
「アニメの世界でしか」は当たってるかなあ。
だって、人付き合い悪いもん、あたし。
だからこそ、この世界の住人に憧れちゃうんです。
オフ会じゃないけど、妄想スレをヒントに
まどかちゃんを捜してしまう馬鹿なあたしがいます。
0263見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/15(月) 21:16:42ID:B+6byi2R
ここはいつからブログになったんだ?
0264見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/16(火) 14:40:17ID:X7InWd7a
作者よ、見てるか?
俺のスレはは過去ログに葬られた。
スマンが俺はもうスレ立てしねえから
ここも含めて残り3か所のどこかに続き書いてくれ。
0265元祖2010/03/16(火) 22:35:55ID:Gg90OIc9
妄想スレ主様、ご苦労様でした〜!!
リアルタイムにコピペ残しといて良かったあ。
スレタイすごく気に入ってたんですけど・・
0266見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/19(金) 09:28:08ID:9ewPGQqi
作者は何処に?
0267元祖2010/03/19(金) 21:47:04ID:X/0I9szo
元スレ、首ったけ、行ってみよ〜、ここ・・
どこも止まってますね。
あたしは日々巡回中で〜す。
連休あたりがポイントでしょうか?
0268見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/21(日) 07:15:04ID:7SdQ4MP+
やっぱハワイ編だろ。
0269元祖2010/03/22(月) 23:25:26ID:XeTfae64
次の展開が読めません。
このままダラダラと進むのかしら?
ひたすら始まりのシ−ンに近付いてる。
戻ったらそこから初めて未来に進むんですよねぇ。
ひかるちゃんはふっ切れたのかな?
まどかちゃんはひかるちゃんと向き合おうと努力するのか、遠巻きに見つめ続けるのか?
恭介はまどかちゃんとのことだけで話しが進むのか?
三角関係はピリオドですか?
ここまで三人の気持ちがはっきりしてしまえば、
話しは終わってしまうと思うんですが。
作者様はこの先、どんな展開を用意されておられるのか・・
ちょっと不安です〜!
0270見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/28(日) 00:03:55ID:UCaIR2ce
お昼になった。
「お昼どうするの?」
「あたし、昼から部活あるんだ。腹ごしらえは恭介にお願いしようかなあ?」
澄まして言う。
「何だよ、初めっからその気だろ。」
ちょっと睨むと、ニッコリ笑顔で
「やったー!有難う!お礼に、どっちの心が知りたい?」
「だ、か、らぁ、もうその話はいいって…。
ところでお前、何で引退後も部活やってんの?」
「うち、体育会系推薦枠があるんだ。先生に話したら、400mのタイムが
  ぎりぎり推薦枠に残れるって。だから実技の前にタイム落ちないように
フォームを固めておかないとね。後は、もう少し学力をつけないと。」
「お、お前…本当にK大受けんの?」
「だって、星女子高は気が合う子居ないんだあ。
  このまま短大に上がってもキャンパスライフ悲惨でしょ?
   その点、まどかちゃんとはすっごく気が合うのよねえ。」
「そうだよなあ、鮎川にしては同級とつるむのって珍しいよね。
  あかね、お前気に入られたのかな?」
「うん、あたしも、キャンパスライフは、まどかちゃんと一緒に…
  そういや、この間、うちで彼女の話が出てた。ハワイの一件で。」
0271見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/28(日) 00:06:01ID:18POLMTS
「へえ。みんな何て言ってた?」
「それがさ、うちの子が中学の時、茶店でタバコ吸ってたら、
いきなりバイトの子が来てタバコ取り上げられたんだって。
『何すんの!』って言ったら凄く睨まれて怖かったって。」
「それって、ひょっとして?」
あかねはこくりと頷いて、続ける。
「『今から吸ってたら…と、とにかく止めな!』って。
 『これ預かっとくから、コーヒー代は要らないわ。』だってぇ。カッコいい!」
「アバカブ?」
「そう。まどかちゃんだったみたいでね。で、その娘ミーハーだから
  まどかちゃんに一目惚れして、ファンレター書いたまではいいんだけど、
   でも、話してる内にそれが、かの有名な『鮎川まどか』って解って、
    一気に恐ろしくなって、渡すの止めたって言ってた。」
「へ〜。そんなにおっかなかったっけ?」
「そうね、うちじゃおっかない噂の方が先行してるかなあ?
  だから、『追っかけ』なんて信じられないって話が広まってるもん。」
「鮎川ってそんなに有名なの?」
「ほら、うち女子高だからさ。『宝塚ファン』みたいなもんよ。」
「お前もそうなの?」
「馬鹿ねえ。あたしたちは『親友』なんだよ!」

話しながら歩く二人の向こうを横切る少女の姿が目に入った。
(あれ?…うっ!ひ、ひかるちゃん…)
二人はこそこそと建物の蔭に隠れる。
あかねは小声で
「何であたしまで隠れなくちゃならないのよ!」
0272見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/28(日) 00:08:29ID:UCaIR2ce
ひかるはせっかく伸ばしていた髪をバッサリ切っていた。
元のショートヘアに戻っていたため、最初は分らなかった。
彼女はうつむき加減に歩いている。
全く元気がない。
「恭介…ひかるちゃん可哀そうだよ。」
「仕方ないだろ…」
「そうだけど…何とかならないの?」
「もう、何も出来ないよ。もう…」
恭介はため息をつく。

二人はひかるを見送ると、建物から出て、ファミレスに入った。
それぞれパスタとピザにジンジャーエールとコーラを注文する。
「まどかちゃん、辛いだろうなあ。」
「もういいよ、その話。」
「あ、ごめん。」
気持ちを切り替える恭介。
「俺、今は鮎川と一緒の大学に行くことで頭が一杯なんだ。」
「まどかちゃんは楽勝だろうけど、恭介、あんた大丈夫?」
「だから頑張ってるっつーの!」
0273見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/28(日) 00:11:50ID:UCaIR2ce
「痛てっ…」
恭介は腫れた頬をさすりながら食べている。
口の中も切れてるから、食べると少し痛い。
アカネはジンジャエールをストローで吸いながら恭介を見つめる。
「ところで、まどかちゃん…知ってるの?恭介のこと。」
「いや、まだはっきりとは…。」
「でも、何時かは言わなくっちゃ。」
「うん。」
「どんな顔するんだろ?」
「きっと…」
「きっと?」
「…きっと、呆気ないほど、すんなり受けいれてくれるような気が。」
「そうね。まどかちゃん、あんまり驚かなさそうね。
  まあ、ヤバくなったら、あたしが(記憶)消してあげるよ。」
「ゲヘッ!ゴホッ!」
恭介は飲もうとしたコーラを吹いた。
「きったないな〜。」
あかねは腕組みして椅子に背をもたれかける。
恭介は咳き込みながら
「そ、そうならないことを願ってるよ。」
0274見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/28(日) 00:15:14ID:UCaIR2ce
鮎川宅にて
(あ〜あ、結局ママに引っ張り回されたじゃない。)
シャワーを浴びて、いつもの姿で出てくる。
「まあ!まどか、ちゃんと着替えて出てらっしゃい!んもう。」
(はいはい。)
まどかはそのままさっさと階段を上がる。
「『カレ』の前でもああなのかしら?」
ママは聞こえよがしに言うと、
まどかはカアッと赤くなり上から言い返す。
「・・んな訳ないでしょ!」

ルルルルル!

「まどかあ〜、ちょっと出て頂戴!」
(なによ、んもう…)
2階で子機を取る。
「はい、鮎川です。あら、お姉ちゃん。どうしたの?」
「ママたち来てるんでしょ?」
「うん。代ろうか?」
しばらく姉とママの会話が続いた。
0275見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/28(日) 00:18:08ID:UCaIR2ce
「まどか〜!お姉ちゃんが代わってって。」
「は〜い。」
子機に切り替えて
「何?」
「うん、まどかもうちのパパのおじいちゃん家に来ないかって。」
「あ、…あの徹夜踊りするとこ?」
「そう。あんたも浴衣着て、ちょっとは女らしくなってみたら?」
「う〜ん・・・どうしようかな〜。考えとく。」

電話を切るとタオルで髪をゴシゴシし出した。
(行ってみたいなあ。でも…)
今までは、何かあると一番に誘うのがひかるだった。
(さすがに…無理だよ。
でも…でも、とにかく電話だけでもしてみようか?)
髪を拭く手が止まり…受話器に手が。

「はい、桧山です。あら、まどかちゃん。
  ひかる?ちょっと待ってて。
   ひかる〜、まどかちゃんからよ〜!」
大きな声にまどかはドキドキしてくる。
0276見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/28(日) 00:22:45ID:UCaIR2ce
「…」
ひかるは何も言わずに部屋から出て来た。
そして、受話器を取ると
「はい、ひかるです。」
「あ、ごめん、遅くに。あのさあ…良かったら今度一緒に…」
「……」
「…ひかる…聞いてる?」
「スミマセン…ごめんなさい、もう…」
「何よ?」
大きなため息をついて
「もう、無理です。もう…」
「ひかる…」
「ごめんなさい。」

プー、プー、プー…

一方的に電話は切られた。
まどかは顔から火が出るほど恥ずかしくなった。
(どうかしてる。虫が好過ぎるよ、あたし。)
0277見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/28(日) 00:30:04ID:UCaIR2ce
ひかるだって解ってはいる。
まどかが自分自身を責めているであろうことや、
それでも自分を気にかけてくれていることも。
電話だって、さぞかし勇気を振り絞ったはず。

(でも、先輩とまどかさんはずっと一緒でしょ?)

夏休みだったことがせめてもの幸い。
ひかるは孤独を選んだ。
とにかく余計なことを考えないようにと、一生懸命台本に目を通すのだが…
つい呆然と宙を見つめてしまう。
胸にぽっかり空いた穴を埋められないでいる。

(大声で泣けたらいいのに…)

机の上の写真を引き出しの奥に入れた。
0278見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/28(日) 00:33:40ID:UCaIR2ce
まどかも孤独になりたくなった。

(ひかるも春日クンも居ない土地に行ってみようか…)

恭介のマンションにて
ルルルル!
「はい、春日です。」
「あ、まなみちゃん?春日クン居るかなあ?」
「はい、ちょと待って下さい。」
(うわ〜、私がドキドキしちゃう…)
電話を保留にすると、まなみは大きな声で恭介を呼ぶ。
「お兄ちゃ〜ん!まどかさんから!」
恭介が慌てて出てきた。
子機を手にすると、また慌てて自分の部屋に戻る。
(ほんと、まどかさんのことになったら…)
呆れて見ている。

「あ、鮎川…どう?」
「うん、この間はゴメンネ。」
「いや、俺の方こそ無神経でごめん。…どうしたの?」
「うん…さっきさ、ひかるに電話してみたんだけど…
  呆気なく『振られ』ちゃった。」
0279見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/28(日) 00:38:57ID:UCaIR2ce
敢えて『言葉』を使って、ちょっとおどけるけれど…
二人とも息が詰まる気分になってくる。

「嫌な性格してるね、あたし。」
「あ…いや、鮎川らしくって…」
「ごめんなさい…」

強がってみても、今はやっぱり無理みたい。

「あのさあ、あたしお盆の間、親戚の家に行くね。」
(え〜?そんなあ…)
「向こうに着いたら連絡するから。」
(しょうがないか…)
「うん。そうだね、落ち着く時間も必要だよね。」
「…春日クン、また後期一緒に受けようね。」
「うん、分かったよ。気を付けてね。」
「有難う。…じゃあ、オヤスミ。」
「オヤスミ。」
0280見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/28(日) 01:00:40ID:UCaIR2ce
敢えて『言葉』を使って、ちょっとおどけるけれど…
二人とも息が詰まる気分になってくる。

「嫌な性格してるね、あたし。」
「あ…いや、鮎川らしくって…」
「ごめんなさい…」

強がってみても、今はやっぱり無理みたい。

「あのさあ、あたしお盆の間、親戚の家に行くね。」
(え〜?そんなあ…)
「向こうに着いたら連絡するから。」
(しょうがないか…)
「うん。そうだね、落ち着く時間も必要だよね。」
「…春日クン、また後期一緒に受けようね。」
「うん、分かったよ。気を付けてね。」
「有難う。…じゃあ、オヤスミ。」
「オヤスミ。」
0281見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/28(日) 01:14:18ID:UCaIR2ce
(いつまでも考えてないで、俺も頑張ろう!自分のためにも。)

恭介は勉強に打ち込んだ。
まどかやひかるのことを忘れるくらいに…。
やっと気持ちが前向きになった。

翌日の夕方、図書館帰りにアバカブに寄る恭介。

カラン!コロン!
「よお、久しぶりだね春日クン!」
夕方の店内は少し混み出していた。
「最近、誰も来てくれないから寂しくってね。」
「うん…そうだよね、これでも俺も鮎川も一応受験生だし。」
「何あらたまってんの!ひかるちゃんは?」
マスターは笑いながらコーヒーを入れている。
「……」
恭介の顔が曇っていくのに気付いた。
「うん…会ってないから。」
(え?…!!)
恭介の雰囲気から何となく事態を察した。
0282見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/03/28(日) 01:28:12ID:UCaIR2ce
「そ、そう…。」
マスターの顔も曇っている。
(いつまでも3人一緒って訳にはいかなかったかあ…)

カランコロン!
(あ!)
(え?!)
(あちゃ〜…)
ひかるが気付き、恭介も気付き、マスターが目を覆う。
こともあろうにひかるも訪ねてきた。
恭介はひかるの方を見ているが、ひかるは無視して
カウンターの離れに座る。視線を合わせようとしない。
「い、いらっしゃい…ひかるちゃん。ず、随分久しぶりだね。」
「ええ、部活が忙しかったから。」
「髪切ったの?」
「……」
「ア、アイスコーヒーでいいかい?」
「はい。」
ひかるは座るとカバンから台本を取り出してぶつぶつと読み出した。
一方、恭介の視線はカウンターの中を彷徨うだけ。
緊張からか、すごく居心地が悪い。
0283元祖2010/03/28(日) 21:02:50ID:us4uSkQF
やった〜!お帰りなさい!!
0284元祖2010/04/07(水) 18:59:46ID:onfvyX8D
最初低調ですけど〜!? 
0285見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/10(土) 11:15:21ID:tu3N0OB+
>284
あまり急かさない方がいいと思うよ。
0286元祖2010/04/10(土) 17:52:51ID:2H20RmvW
別に急かしてるつもりはないんです…
ただ、何となく…展開が…
山が無いものですから…
0287見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/10(土) 20:34:11ID:8kDAQg0i
山が無くってごめんね。

「はい、お待ちどう。」
マスターが優しくグラスを差し出すと、
ひかるは軽く会釈した。
そして急に

「ねえ、マスター…あたし、『振られちゃった』みたい。」

(ギクッ!!)
「ひ、ひかるちゃん…。」
マスターは何とも言えない表情で、離れて座っている恭介の方を見た。
恭介は視線を向けられない。

カランコロ〜ン
お客が入ってきた。
「いらっしゃいませ〜」
バイトの子を制して、マスターはその場から逃げ出す。

コーヒーで酔ってる訳じゃないんだけれど、
もう、ひかるの心は据わっていた。
0288見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/10(土) 20:40:30ID:8kDAQg0i
恭介の方を向くと、彼はオドオドしながら他所を向いている。
(はあ〜・・・・)
ひかるは心で深いため息をついた。
そして、急に立ち上がると彼の傍に行く。

「な、なに…?」
「先輩、あたしは全然忘れられないです。
  …でも、忘れなきゃいけないこともあるんだなって…
   …分かっているつもりです。
 これ、あたしが先輩に見て欲しかった劇のチケットなんです。
  無理強いじゃないです。
   もし良かったら…まどかさんと一緒に…。」
2枚のチケットが差し出された。
「…う、うん、有難う。考えておく。じゃ、ひかるちゃん。」

チケットを受け取ると、
「ごちそうさま。」
恭介はレジを済ませ、そそくさとアバカブを出た。
0289見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/10(土) 20:48:14ID:8kDAQg0i
逃げ出す恭介の姿を目で追えない。

(とうとう…言っちゃった…。)

ひかるはうつむいて自分の席に戻る。
取り返しのつかない『終止符』を、自らの手で打った気がする。
ひかるは目を見開いたままじっと考えた。

(これで終わり?もう・・・もう、ホントに終わりなの?)

マスターが
「温かい方がいいかな?」
そう言って、そっとホットコーヒーを差し出した。
「ひかるちゃん、随分大人になったね。」
マスターの言葉に
「え?」
見上げた彼女の頬を一滴の涙が伝う。
ひかるは慌てて拭って
「嫌だなあ〜マスター。ひかるはまだまだ子供ですよ〜。」
無理して笑顔を作るけど、マスターの優しい笑顔を見ているうちに
本音を語り出した。

「…こんな…こんな思いするんなら…大人になんか……」

下を向いたまま肩がふるえている。
バイトの子が気を利かせて、ひかるの周りに客が座らないよう
椅子を離してスペースを設けてやった。
マスターが紙のコースターに書いて、ひかるのコーヒーカップに添える。

『今夜はずっとここに居ていいよ。』

夕刻の喧噪の中、ブラインド越しに西陽が差しこむ。
店内にはやさしい曲が流れていた。
0290見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/12(月) 09:57:04ID:UiDORYo9
ハワイ編、告白編ときて次はどんな展開になるのやら?
あ〜、それと、なんだ、元祖は発言を慎むように!
0291見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/18(日) 11:03:52ID:jtU3NdkY
まだですか?
0292見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/18(日) 21:08:30ID:E1lZvzDp
もう、この際誰でもいいから続き描けよ。
0293元祖2010/04/18(日) 23:16:46ID:ybfyoVRr
それは困ります〜!
作者様ー、あたしは信じて待ってます!
0294見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/26(月) 11:33:59ID:vcEGouA0
一か月待ちだコノヤロー!
0295見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/28(水) 11:28:49ID:/MyVQ+S8
ひかるが諦めた時点でENDだろ。
0296見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/29(木) 11:38:58ID:SwCMS7b3
ほんとにENDですかねー?作者様アク禁じゃないですか?
ここすぐにアク禁くらいますもんね〜!
元祖さんの言うとおりプロローグに回帰してきてますけど、
まだ、最後の〆のこってますよね作者様〜!
その先は新きまオレって考えてしまうの私だけ?松本氏のプロットに
作者様風のビートの効いたそれでいてせつなさの漂うarrangmentを聴いて
みたいです。
ちなみに、私の携帯着メロはKYOUSUKE#1です。敬意の欠片もないおバカでしょ?
0297拝啓レスペー様!2010/04/29(木) 15:07:00ID:m3q5a5A+
夏真っ盛りのG市に到着する一行。
町は祭りの準備で活気に溢れている。
町中を清流が流れ、橋の欄干から子供たちが次々に川に飛び込む。
青空と蝉しぐれの中、次々に威勢のいい水しぶきが上がった。
甥っ子が川を指さす。
「まどかねーちゃん!」
「入りたいよね〜?お姉ちゃん、行っていい?」
姉は「いいよ」と頷く。
義兄は車からまどかと長男を降ろして
「じゃあ、まどかちゃん、頼んだね。」
「やった〜!行こ!」
「気を付けてね。」
姪っ子もじたばたと降りたがるが、姉は離さない。
「あなたはダメよ。疲れてるから、じぃじぃん家で寝んね。」
まどかはタオルを片手に甥っ子を連れて川に降りた。
甥っ子が歓声を上げる。
「冷た〜い!」
「うん。冷たいね〜。ほら、あそこ!お魚がいるよ。」
まどかはサンダルを脱いで膝まで入る。
水の冷たさも忘れ、二人ははしゃいだ。
0298見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/29(木) 15:14:27ID:m3q5a5A+
義兄の実家は町の中にある大屋敷で、いくつも部屋がある。
毎年この時期は兄弟姉妹が帰省し、屋敷はにぎやかになる。
今回はまどかもお邪魔している。
20畳はあろうか、大広間に親戚一同が集まり、夕刻前から宴が
催される。
義兄は実家だから、思いっきりくつろげる。
姉はあちこちに呼ばれて挨拶をしている。
その時一緒にまどかも紹介され、
その場におばちゃん達が集まってくる。
姉妹はあれが似合う、こっちの方がいいなどと、浴衣を合わせられている。
夕刻7時を過ぎると、町中から笛を合わせる音色や、観光客の賑わいが
聞こえてきた。
子供たちは長旅の疲れで、広間の隅でスヤスヤと眠っている。
「あなたたち、行っておいで。あたしが見ててあげるから。」
義母は孫たちが可愛くて仕方がない。
彼女の勧めに姉はニッコリ頷き
「まどか、行こうか?」
「うん。」
二人はそれぞれ浴衣に着替えた。
髪を結い上げ、お互いにチェックし合う。
「いいね〜!まどか、すっごく似合ってるよ。」
「アリガト。お姉ちゃんも!」
屋敷に残る者と踊りに出る者に分かれ、姉妹は会場に出かけた。
祭囃子のやぐらのまわりは人垣がすごい。

土地の代表曲が流れ始める。
何とも夏風情たっぷりの曲と踊り。
姉妹は周りを見ながら踊りを覚え、あっという間にモノにしていく。
0299見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/29(木) 15:44:14ID:m3q5a5A+
いつの間にか、二人は踊りの輪の中に融け込んでいた。
曲に合わせてゆっくりと踊っている。
伸ばす腕は指先までしなやかに反り、足の運びも流れるように滑らか。
義兄達も、子供の頃からの免許皆伝。踊る姿に力みが無い。

曲はアップテンポの曲へと替わった。
まどかは上手く合わせて、無心に踊っている。
下駄を上手に鳴らし、合いの手の掛け声もしっかり出ている。
義兄が驚いて
「まどかちゃん、やるねえ。」
妻に声掛けると
「この子、中学の頃から『クラブ』で鍛えてるもん。」
踊りながら聞いてたまどかはちょっとベロを出した。
2時間近く散々踊ったから、体中が汗でぐっしょり。
姉妹は帰ろうと言うのだが
「これからが本番さ。先帰ってて。」
義兄達は帰らない。おばちゃんたちもやめない。
「じゃあ、お先に〜。」
0300見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/29(木) 16:31:01ID:m3q5a5A+
帯の腰に差していたうちわを手に取り、パタパタ仰ぎながら風を起こす。
「暑かったね〜!」
「ふぅ〜、暑い暑い!」
姉妹は仲良く扇ぎ合いながら帰路につく。
メインストリートは、どこもかしこも踊る人たちであふれている。
観光客はそれなりだが、土地の人はすぐに分かる。
やはり一際目立って上手いし、何より『様』になっている。
二人は足を止めて眺めながら『型』を真似し出した。
「こうかな?」
「こうじゃない?」
「こうか…」
「お姉ちゃん、違うよ。こうよ。」
(・・・!!)
「あれ?あ、あはははは…」
自分たちのやりとりをみんなが見ているのに気づいて
姉は歩くスピードを上げる。
(お姉ちゃん、ずる〜い。)
まどかも気付いてかけ出した。

明らかに土地の者じゃない、都会の香りをかもし出す超美人姉妹に
みんなが目を奪われるのは当然な訳で・・・。
0301見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/29(木) 21:19:00ID:thTGYUQn
おー!アップされてんじゃん!
元祖!なんかコメ書けよ!
0302見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/29(木) 22:37:45ID:m3q5a5A+
今までも、二人で歩くとこんな視線を感ることはあったけれど、
でも、さすがに今夜は目立ち過ぎた。

「うわ〜!焦ったね〜。」
「ほ〜んと!恥かし〜い!」

笑いながら、二人は下駄を鳴らして坂を上がった。
「ただいま〜。」
帰ると、すぐに子供たちの所に行く。
孫たちをやさしくお守りしてくれていた義母にお礼を言った。
「楽しかった?」
「はい。」
チビたちを起こさないよう、二人は小声で応えた。
盆地の夜は涼しくて、長旅の疲れもあって二人ともスヤスヤと寝ている。
「汗かいたでしょ?お風呂入ってお休みなさい。」
「はい。」
じゃあねと告げて、義母は自分の部屋に戻って行った。
姉はスヤスヤ眠る子供たちにタオルケットを掛けてやり、
起きそうにないと見ると
「まどか、一緒に入ろうか?」
「お姉ちゃん、久しぶりね。」
0303見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/29(木) 23:13:49ID:m3q5a5A+
屋敷のお風呂は露天になっていて、とてつもなく広かった。
二人はびっしょり濡れた浴衣を脱ぐと、頭からお湯を浴びた。
涼しい風が吹いてきて、とても気持ちがいい。
遠くに祭囃子が聴こえている。
湯船につかっても、首から上は涼しい空気が流れている。
「気持ちいいね〜。お姉ちゃん、有難う。誘ってくれて。」
「そお?」
「うん!来て大正解だよ。」
「『お悩み』は、少しは解消したかな?」
ちょっとおどけて顔を覗き込む姉に、まどかは他所を見てとぼける。
「何?!あたし別に悩んでなんか…」
「ママから聞いたよ、相談に乗ってあげてって。」
「だから、悩んでないって!」
ムキになるまどかに
「かすが…きょうすけクンだったっけ?」
「んもう!」
パシャッ!
まどかは姉の顔にお湯を掛けた。
「やったな〜」
姉も負けじと応戦した。
0304見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/29(木) 23:38:34ID:m3q5a5A+
姉妹は新しい浴衣に着替えて子供たちの所へ行く。
姉は頭に巻いたタオルを取って、そのまま子供たちの傍に横になった。
「オヤスミ〜。」

まどかは別室の小部屋に入った。
遅く帰った彼女のために、あらかじめ蚊取り線香が焚いてあり、
布団も敷いてある。
(うわ〜、懐かしい匂い。)
そのまま窓際に腰掛け、網戸を開け外を眺めると、
川のせせらぎと祭囃子が聞こえてくる。
涼しい風が吹いてくると
「あ〜気持ちいい!」
まどかはぼんやりと月に照らされた深い山のシルエットを眺めながら、
物想いに耽った。

(3人で来たら、楽しかっただろうな…)

恭介への愛を独り占めした、その代償はあまりにも大きい。
『3人で』や『ひかると』というシチュエーションは…
(もう、二度とないの?)
0305見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/29(木) 23:50:56ID:m3q5a5A+
『元不良』という看板を下ろし、一人の女性になった途端
今まで大切にしてきた何かを失ったような気がする。

(想像以上に辛いなあ……)

網戸を閉めると、まどかは布団の上で膝を抱え込んだ。
(時間が必要だけど…虫が良いかもしれないけど…
  時が経てば、きっとひかるだって……)

「はあ〜…」

天井を見上げ深いため息をつくと布団に倒れ、大の字になった。
(やっぱり…無理かな…?)

取り留めもなく考えているうちに、考えがまとまらなくなり
またため息をついた。
(もうよそう、これ以上考えても…)
そのまま眠りに落ちて行った。

その頃恭介は・・・ぼんやりと月を眺めながら
(俺達って、どこから来たのかなあ…?
小さい頃から人と違うってのは解ってたんだけど
深いところでは、全然考えてなかったなあ。
いや、考えないようにしてたよな…。)
0306見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/30(金) 01:04:23ID:uq0j2Xm4
あらためて考えると…自分たちにとって『普通』のことが、
身近な他人とよくよく比較して、初めて『違う』と分かる。

(鮎川に本当のことを言ったら…)

強がっても、はっきりとした自信がある訳じゃない。

トントン。

「何?」
「私、まなみ。入ってもいい?」
「うん。」

まなみが夜食を持って入ろうとして、部屋が暗いのに驚く。
「お兄ちゃん、寝てたの?」
「いや・・・ちょっと考え事を。」
まなみは月明かりを頼りに兄の傍に行く。
「お父さんと話してたこと…」
「ああ、まなみは判ってるんだろ?俺と鮎川のこと。
  …ひかるちゃんとのことも。」
「…うん。でも、それは3人のことで、私が口を挟むことじゃないし。」
「じゃあ?」
「お兄ちゃんが言ったこと…もし『受け入れられなかったら』…」
0307見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/30(金) 01:05:09ID:uq0j2Xm4
まなみは深刻な顔をしている。
「お兄ちゃん、分ってるの?おじいちゃんが言ってたこと。」
「ああ。正体を明かしたら、もちろん『添い遂げる』し、
受け入れられなかったら全てを消して・・・『消して』?!」
「気付いた?」
「『消して』って・・・俺も消えちゃうんだったっけ?!」
「春日家が、私達みんなが、この『時間』から転居しなきゃならないのよ。」
「そ、そんな・・・あ、あははは…」
まなみはため息混じりに
「きっと…きっと、まどかさんなら……きっと…」
まなみは満月を見やって
「おやすみなさい。」
部屋を出て行った。
(鮎川なら…)
でも、本当の恭介を『知っている』訳じゃないし、断言は出来ない。
もし受け入れられなかったら…
(鮎川の心の中から俺は消えてしまうって言うのか・・・?!)
もし…
0308見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/30(金) 17:27:35ID:mygBJ7Z5
待ってたぞ、コノヤロー!
0309見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/04/30(金) 21:13:00ID:RHxIrh6W
また変なのが現れたなぁ・・・
0310元祖2010/05/01(土) 10:01:32ID:Vq7L2T2F
どなたでも大歓迎で〜す!
作者様に影響されて今宮崎なのです。
サーフィンスクール3日間だ〜!
0311見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/01(土) 20:09:24ID:C51Bj9ZJ
恭介No.1!
な、懐かし過ぎる・・・。
君、やるねぇ
0312見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/05(水) 11:48:27ID:zh7FigXl
8月13日
恭介はマンションに一人残って勉強に励んでいた。
ルルルル…
(鮎川?)
恭介は急いで子機を取る。
「はい、春日です。」
「ヤッホ〜!恭介。お前留守番してんの?」
「た、ただいま留守にして…」
留守録を装うも
「バレてるって!あはははは!」
「ちぇっ。何だよ?」
「叔父様、奥さんに逢いに行ったんでしょ?」
(『逢う』…?)
恭介はあかねの言っている意味が分からず
「じいちゃん家に行ったよ、妹達も一緒に。」
(いけね。こいつ知らないんだ…)
あかねは隆の秘密を知っている。慌てて話を戻した。
「あのさあ、まどかちゃん誘って図書館にさあ、」
「鮎川は居ないよ。旅行に行ってるから。」
「ええ〜!あたし何も聞いてないよー!」
「何でお前にいちいち言わなきゃなんないの?
それよりお前も受験すんだろ?一緒に図書館行こうよ。」
「恭介と一緒かあ…まあ、仕方ない。」
「今度はあかねが奢れよ。」
「…まあ、仕方ない。」
0313見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/05(水) 13:02:26ID:zh7FigXl
お盆は隆が娘達だけ連れて、妻の実家にお墓参りをした。
隆は墓前で、息子が母親にそっくりな女性と恋に落ちていることを、
そして、全て事が上手く進むよう見守って欲しいと頼むつもりであった。

お盆の14日深夜…年に一度だけ、義父母の力を借りて隆は妻に逢える。
これは義父母と隆だけの秘密だったのだが、実はあかねも気付いていた。
一緒に泊まりに行った時、偶然隆と祖父母の話を聞いてしまった。
しかし、みんなのことを考えて、以来自分の胸にそっとしまっている。
(悲しいけど…素敵だなあ。)

隆と義父母は他人はもちろん、子供たちにもこのことは告げていない。
子供たちに知られると、母は『天国』という次元に戻れなくなる。
小さい時だったからあんまり記憶に残ってないけれど、
まだまだ、まなみやくるみにとって母親は必要。
もし母の姿を見たら、絶対離さないだろうし、母も情に絡みとられ、
結果、彼女は現生とあの世の『挟間』を漂うことになるだろう。
だから子供たちには内緒にしている。

再婚を勧めても、頑として亡妻への愛を誓う隆。
男手一人で頑張って家庭を支えている。
そんな無骨な姿に、さすがに義父母も可哀そうになった。
0314見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/05(水) 13:17:56ID:zh7FigXl
「おじいさん、私達が力を合わせれば年に一回くらい。」
「そうじゃな、年に一回くらいなら逢わせてあげられるかも知れん!」
それからこの十年近く、毎年この日、この時間に二人は逢っていた。

隆は夜遅くにこっそり湖の孤島に渡り、
そして、妻の墓前に行くと、墓の掃除をし出した。
苔をこすり、雑草を抜いてきれいにする。
そして、懐中電灯で腕時計を照らして時間を確認した。
「そろそろ11時か…。」
隆は墓前に清水と温かいお茶を用意し、妻の好きな『勿忘草』を飾る。
そして、そのまま地面に胡坐を組むと呪文を唱え出した。
妻の実家でも、時間に合わせ老いた父と母が呪文を唱え出した。

そして…23時ちょうど
隆の背中から両腕に一斉に鳥肌が立つと
迎え火に誘われて、目の前に妻の魂が…『姿』となって現れた。
「あなた…」
「お前!…逢いたかったよ。」
「ええ、分ってる。私も。」
思わず二人は抱きしめあった。
今だけは妻に実体がある。
二人は年に一度の再会に心を震わせ、涙を流した。
0315見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/05(水) 13:38:02ID:zh7FigXl
妻はあらためて自分の墓に飾られている花を見る。
「いつもきれいなお花を有難う。」
「私にはこれしか出来ないから。」
二人は一晩中いろんなことを語り合った。
仕事のこと、子供たちのこと、まなみの成長、くるみの幼さ、
そして…恭介の初恋。
妻はやさしい笑顔で隆の苦労話を聞いてあげる。
でも、実は全部知っている。全部温かく見守ってきた。
手が届きそうなのに、届かないもどかしさも感じている。
しかし、あっちの世界のことは他言を禁じられている。
言うと二度と逢えなくなるから…
だから、ひたすら隆の話をやさしく聞いてあげるだけ。
ふたりは手を取り合って、ずっと見つめている。
「あなた・・・あなたの強い想いが私をここに呼んでくれる。
  すごく嬉しいんだけど、あなたはいずれ老いるでしょう?
   その時、傍に居てくれる方が必要なんじゃないかしら?
  ねえ、そろそろ…」
「嫌だよ…私は君しか、こっちでも、…『そっち』でも、君しか!」
妻は『フッ』とやさしく微笑んで
「私、当分…本当に成仏出来そうにないわね。…でも、有難う。」
二人は語り明かした。
0316見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/05(水) 13:48:11ID:zh7FigXl
そして…日が変わった15日夜明け前
薄く白けてきた周りを見渡し、あらためて腕時計を目にする。
「あっという間だったなぁ…また来年も逢えるかい?」
「はい。」
山の稜線がはっきりと分かるように空が白んでくる。
頭の上はまだ真っ暗な星空なんだけど…。

「あなた、行かなくちゃ…」
「そうだな。…これからも僕たちのことを見守ってくれるかい?」
「はい。」
やさしく微笑むと
「あなた…子供たちを…」
言いながら実体は消え出した。
「あ…」
隆は彼女の手を取ろうとするのだが…

その頃、まなみとくるみはスヤスヤと眠っていた。
二人は「むにゃむにゃ」とほほ笑んでいるが、瞼には涙が溜っている。
母はそっと二人の涙を拭うと、名残惜しそうな表情を見せ
『スッ』と
消えてしまった。
0317見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/05(水) 14:12:30ID:zh7FigXl
同じ頃、
恭介は一人マンションで眠っている。
(ううっ!寒〜…)
寝返りを打った。
その瞬間、白い人影が。
(え・・・鮎川?)
慌てて眼を醒ますが誰も居ない。
(夢か…うん?まだ5時じゃない…)
タオルケットに潜り、また眠りに落ちて行った。

午前8時過ぎ、G市の義兄実家前にて…
義兄達が玄関で話している。
「もうちょっとゆっくりして行きゃいいのに…」
「いや、仕事があるからね。」
義父母が嫁に孫だけ置いて行くように言う。
「で、出来る訳ないでしょう!…ぷっ!」
姉夫婦が笑い出した。
みんなも笑っている。
0318見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/05(水) 14:27:10ID:zh7FigXl
義兄は白のベンツワゴンに荷物を載せると
「お世話になりました〜!」
嫁と孫がサヨナラのあいさつを済ませると、車のウインドウが上がった。
じいじとばあばはいつまでも手を振っている。

「楽しかった〜!」
「楽しかったね〜!」
甥っ子は、籠の中のカブトムシを夢中で眺めている。
「やっぱり受験生を誘ったのは間違いだったかなあ?」
義兄が運転しながら言う。
「全然!大正解です!少しは脳を楽しませてあげないと。」
「あんた、あっちでそんなに勉強してんの?」
「当たり前でしょう!」
「ふ〜ん・・・」
姉は白々とした視線でまどかを眺める。
「な、なによ!…ひっど〜い。ねえ、君は信じてくれるよね〜?」
甥っ子に同意を求めるも、彼はカブトムシに夢中。
「あれ?」
「あ、あはははは!」
姉妹のやり取りに車中は賑やか。
0319見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/05(水) 14:57:02ID:zh7FigXl
車は新幹線の駅前に止まる。
「見送るよ。」
でも、まどかは首を横に振る。そして小声で
「ばいば〜い。」
眠りこけているチビたちに手を振って、そっと降りた。
「じゃあ!」
車は急かす車列の流れを止めないように、スムーズに発進する。
まどかは車が見えなくなるまで手を振った。
姉夫婦には本当に感謝している。
義兄一家にも、そして…ママにも。

まどかは義兄が予約してくれていた切符を取り出した。
「え?んもう…自由席でいいって言ったのに。」
切符はグリーン車であった。
帰省ラッシュで席が空いてないだろうことと、グリーン車なら
かえってキャンセルが出る可能性が高かったから。
「東京までだから別に立っててもいいんだけどなあ。」
パパといい、義兄といい、大切にしてくれるのは有難いのだが、
(ちょっとだけ、やり過ぎなのよねえ。)
0320見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/05(水) 15:17:06ID:zh7FigXl
まどかは新幹線に乗ると席を探した。
(え〜っと、17のAと・・・)
車内は少し混んでいるけれど、隣に乗客は居なかった。
「よいしょっと。」
荷物を棚に上げると、ファッション雑誌を広げてパラパラとめくり出す。
駅で買ったスタバのコーヒーに口をつけ、ほっと一息。
トゥルルルルル…
発車の合図と共に、車内アナウンスが流れる。
いくつ駅を過ぎるんだろうとドアの上の電光掲示を見た瞬間ドアが開いた。
スーツ姿の男性とラフな格好の若者が車両に乗ってきた。
彼はサングラスを掛けている。

(早川みつる!)

まどかはすぐに雑誌で顔を隠した。
通り過ぎる彼の少し後ろをファンの子が数人着いていく。
(危ない危ない…)
まどかは気付かれないよう、素知らぬ顔で雑誌を読むふりをした。
0321見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/05(水) 15:34:22ID:zh7FigXl
(あれっ?…今の、『鮎川まどか』じゃねーか?)
車両を移るとヤツは急に立ち止まった。
彼のアンテナが瞬時に反応する。やはり気付いていた。
「ねえ、君たち。公共の場だからさあ、サインで勘弁してくれないかな?」
「ええ〜?いいんですか〜?!」
「握手してもらってもいいですか〜?」
早川は手短に済ませ、ニッコリ笑いながら握手もサービスした。
マネージャーが
「さ、もういいだろう?自分たちの席に戻ってくれるかな?」
「このことは内緒にね。」
早川に促され、うっとりして帰る彼女たち。

(あれ?…向こうに行ったはず…)

さっき通った女の子たちが戻って来た。
まどかは早川も通るのではないかと慌ててサングラスをかけ、
気付かれないように窓の外の景色を眺めた。すると
ドカッ!
隣の席にいきなり人が座った。
振り向くと、奴はサングラスを少しずらしてニッコリほほ笑み
「よお!鮎川まどか。」
まどかはため息混じりにまた窓の方を向いた。
(何でこんなとこで…)
0322見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/05(水) 15:50:57ID:zh7FigXl
「いや〜、奇遇だなあ。こんなとこで。ひょっとして俺を追っかけて?」
まどかはがっくりうなだれ、頭を振りながら片手で目を覆う。
「ねえ、そこあなたの席じゃないでしょ?」
「おい、久しぶり会ったのに、そう邪険にするなよ。」
「その節はどうも、『命の恩人』さん!」
「別に恩は着せてないだろ。相変わらずだなあ。」
「そうね、ごめんなさい。で、何か用?」
「いや、お前の親父さんにかなり気を使ってもらってな。
  反ってこっちが恐縮するくらいでさ。」
(んもう…パパったら、余計なことを…)
「これで鮎川家とも懇意に…」
「誰が!」
音を立てて雑誌を畳んだ。
「そういきり立つなって。ところでお前、卒業したらどうすんだよ?」
「さあ。」
どんなに邪険にされても早川は怯まない。
「思い出すなあ、お前の歌。すごかったぜ!鳥肌が立ったよ。」
まどかは言い返すことをやめて、また雑誌を開いて眺め出した。
それでも早川は語りをやめない。
「お前さぁ、自分の歌声がどんなに人を感動させるか気付いてないの?」
(え?)
0323見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/06(木) 10:51:22ID:lOh7j0Qh
元祖、サーフィン出来たか?
一気にアップされてるけど、まさかここに来て
隆の秘話が来るとは思わんかった。
相変わらず迷走中だな。
0324見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/08(土) 12:04:19ID:acazSJmw
作者様・元祖さん 僕もサーフィン始めました。
スクールに入門しましたけど 最初から立てて最高でした。

作者様は 冬またハワイに行かれるのですか?
元祖さんは? 
お二人が行かれるのなら、僕も同行させて下さい!!

ところで、妄想編のパート1はどうやったら見られるのですか?
0325見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/10(月) 00:41:42ID:hVt+rEAZ
作者様1週間前から読者になりました
アップされるのを楽しみにしています
まどかと恭介のラブラブネタよろしくお願いします
0326見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/10(月) 10:07:19ID:AIO8HvzJ
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/animovie/1248880253/l50
に妄想編Part1があるよ。
0327見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/15(土) 11:42:04ID:nWC93a2R
どうせ教えるんなら↓
ttp://logsoku.com/thread/changi.2ch.net/ranime/1224547174/
03283272010/05/15(土) 11:52:19ID:nWC93a2R
あ、その前に325は原作、アニメ、「あの日に帰りたい」を観て
予習しておくように。
前2者は漫喫、「あの日」はヨウツべで仕込め。

ところで作者、もう限界だろ?
これ以上佳作を駄作にするなよ、勿体ないから。
最後は綺麗に落としてくれ。
0329元祖2010/05/15(土) 14:22:35ID:mOXB1iQD
>323さん
お天気にも恵まれ、楽しかったですよ〜!
>324さん
あたしは行くために家庭教のバイトを始めました。
>325さん
ようこそ!!
>327さん
駄作ですか〜?
03303252010/05/22(土) 23:52:25ID:rsyYEmIT
やっと規制解除w
作者様続き楽しみにしてます

>>327
そこは自力で発見してこのスレにたどり着きました
>>328
原作もアニメもあの日も全部予習済みです
>>329
どうも
よろしくです


0331見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/05/24(月) 16:06:50ID:O9WE4ej/
またアク禁でっか?
0332見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/03(木) 03:15:46ID:pcIRlRFu
もう6月なんですけど。
0333元祖2010/06/06(日) 22:03:54ID:JRyWuZK+
作者様、調子悪いのかな〜?
0334見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/07(月) 11:38:39ID:vrTxX0eU
さすがにネタ切れじゃね?
0335見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/09(水) 08:37:55ID:lQyrq0tx
いや、アク禁と見た。
0336元祖2010/06/11(金) 10:13:06ID:r7ZqGHNR
もうすぐ梅雨入りですね。
作者様はいかがお過ごしでしょうか?
気になるなあ〜・・。
0337見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/11(金) 11:15:08ID:G35ImePd
郡上おどりスタートまであと1カ月ちょいありますから、
そう慌てずにネ。
ハワイもいいけど、あそこの自然と清流とおどりのコラボいいですよ〜!
respectもんですから、元祖さんも一度行かれては?
G市だから、ここがモデルですよね。
0338見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/11(金) 17:08:53ID:BBiEzona
えー♪そうだったの!
0339元祖2010/06/11(金) 20:28:37ID:r7ZqGHNR
338様、話の流れからググればレスぺ〜様の推測通りかと思います。
それにしても、まどかちゃん元気にしてるかなあ・・は〜・・。
0340見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/11(金) 21:53:15ID:2FNsPHaM
いちいち説明されてもなあ・・・
0341見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/11(金) 22:34:55ID:tgUzWqGF
郡上踊りは有名だよー!
ググんなくても東日本の人ならすぐ分かる。
つーか、金曜レス大杉!
0342見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/12(土) 12:26:30ID:WqN11gXX
なんでもいいから作者UP希望!
0343元祖2010/06/12(土) 14:36:29ID:m9kNHx2m
342様、・・やっぱり急かさない方がいいのかしら。
0344見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/12(土) 20:20:05ID:Hddv+TQ8
いや、お前さんの言う通り、いい加減遅過ぎる!
一ヶ月過ぎてもアップしないのって初めてじゃね?
まさか、また引越したとか?
元祖、捜してくれ!
0345元祖2010/06/12(土) 21:26:32ID:m9kNHx2m
それが、見つかんないんです〜。
0346見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/13(日) 13:48:25ID:uHrBw9ex
元祖、お前何専攻してんの?
0347見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/13(日) 23:36:27ID:6kdp3Qbt
雑誌の上を流れていたまどかの視線が止まった。
「プロデューサーに悪いが、俺、自分の歌を好きになれねえ。
  確かに売れてはいるけど…やっぱ、俺の歌は『本物』じゃねえよ。
 でもな、お前の歌は『本物』だよ。人を感動させる力を持ってる。」
まどかは視線を止めたまま聞いていた。
「そんな才能持ってんのに、そのままにしておくのは勿体ないぜ。
  この世界に何人っていないんだから。
お前は百年に一人の逸材だよ!だから俺と組んで…」
(『百年に一人』と来たかあ…フッ)
まどかはちょっと笑ってつれなくする。
「随分大袈裟ね。悪いけど興味無いんだ。」
「お前は分かってないよ。歌は人を感動させ、病んだ心を救うんだぜ。」
(うるさいなあ…)
まどかはサングラスを外して早川を睨んだ。
「何、こんなとこで口説いてんのよ?
興味無いって言ってるじゃない。いい加減にしてくれる?」
まどかの全身から危険なオーラが立ち上る。
早川はそんな雰囲気を察して
「おいおい、わ、わかったよ。でも、俺は諦めないぜ。
じゃあな。『あいつ』にヨロシク!」
そう言うとヤツは席を立って奥の車両へと移動した。

(感動させるかあ…)

実は少し心が動かされた。
音楽の力が如何に人の心を動かし、どんなに癒しと感動をもたらすか、
それは幼少時から音楽に親しんできたまどか自身が一番分かっている。
早川という人間は別にしても、言ってることは間違いない。
(でも、だからと言って、アイツと組むつもりないし。)
0348見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 00:11:07ID:zaZ2ZCja
早川は車両を移って、ドアが閉まると同時に
「ふう〜…」
思いっきり溜息をついた。
(つくづく『いい女』だぜ!本気で惚れちまいそうだ。)
席に戻ると、いかんいかんと頭を振り出した。
「みっちゃん、どうしたの?」
「マネージャー…ほら、ハワイの…『鮎川』、あっちの車両に乗ってるよ。」
「ええ!?どこ?これは、ある意味、チャンスじゃない!」
隣の車両に向かおうとするマネージャーの腕をつかんで
「もういいって。みっともねえからやめなよ。」
そう言いながら、同時に自分の気持ちも抑えようとした。
確かに、彼女のお陰でさらに有名にはなったけれど、
でも、彼にも意地はある。
(あいつは俺にとって幸運の女神かもな。きっといつかは…)
彼の興味は、自分が目立つことから、スターを発掘し育てる方へ変わっていた。
「もう一度…(あいつの歌声が聴きたい。)」

まどかはまどかでハワイの夜、恭介の前で歌ったことを思い出していた。
あの夜、自分の想いを歌にして、恭介にぶつけた。
(今考えるとちょっと恥ずかしいや。でも…
春日クン、感動してくれたかなあ…)
ぼんやりと思いに耽っていると
車内に到着を知らせるメロディーが流れる。
(そうだ、着いたら予備校寄らなくっちゃ。)
0349見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 00:43:41ID:zaZ2ZCja
お盆の帰省ラッシュで駅は混雑している。
新幹線の駅のホームから在来線のホームへ移動する。
そして、そのまま予備校へと向かった。
後期講習は明日から。テキストを貰いに生徒が数人来ている。
(取り敢えず、自分のクラス確認しておかなくっちゃ。)
掲示板を見に行くと、自分の名前はSSクラスに入っていた。
(あれ…?春日クンは?…え〜っと…)
Sクラスにもない。
そして、彼の名前を…Aクラスに見つけた。
(え〜!?春日クン…やっぱり、こたえたよね…ひかるのこと。)
それもあるが、やっぱり付け焼刃の学力であったに過ぎない。
まどかは窓口に行って、身分証を見せてテキストを受け取る。
その時、事務の女性が気安く話しかけてきた。
「あなた、すごい人気ね。」
「え?」
「男の子だけじゃなくて、女の子からも随分訊かれたわよ、あなたのこと。」
「はい?」
「大丈夫よ。教えられないって言っといたから。でも注意しておいた方が
  いいかも…お勉強の妨げになるものね。じゃあ、ガンバってね。」
「はあ。」
(…何が言いたいのよ?)
まどかは気にせずその場から去ろうとした、ちょうどその時
向こうからガヤガヤと3人組が。
0350見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 00:51:53ID:zaZ2ZCja
「ショックだな〜!Aクラスかあ。」
「八田、お前が言うなよ!…くっそ〜、やっぱりこれが…」
「実力だぜ、春日!」
「うるせー。」
「お?あれ、鮎川じゃん。」
八田が気付く。
恭介はコソコソと二人の後ろに隠れた。
小松が声をかける。
「よお!鮎川。お前すげえな。SSかよ。」
横から八田が
「当たり前だろ。元々俺たちとはココが違うんだから。」
と頭を指さすのに、
「努力ですけど。」
彼女はそっけない。
2人の後ろで恭介がバツ悪そうにしている。
そんな姿を見て
(しょうがないよね、あんなことの後じゃ…それに、一睡もしてないし。)
まどかは少し恭介を思い遣るが、敢えて突き放す。
「まあ、頑張りたまえ、君たち。」
言うや、恭介の傍に来て思いっきり顔を近づけた。
「た、だ、い、ま。」
「か、帰って来たの?」
まどかはそれには答えず、いきなり恭介のお尻をつねってきた。
(イテテッ!)
「頑張んなよ!『期待して』んだから。」
小声で囁くとその場を去って行った。
ちょっと離れて、そんな二人を小松と八田が呆れたように見ている。
「ありゃあ尻に敷かれるな、絶対。」
「あんなやつ放っといて行くべ。」
「んだんだ。」
小松と八田は恭介を置いてさっさと歩いて行った。
0351見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 01:00:13ID:zaZ2ZCja
帰り道の繁華街
「まどか〜!!」
(…?!あかね!)
「うわ〜!久しぶりだね〜!」
あかねが飛びついて来た。
「この間の電話でさあ、な〜んか元気なかったから心配してたんだよ〜!」
「そう?」
まどかは、あかねが『知っている』とは知らずにちょっととぼけた。
あかねも触れないようにして笑顔で
「どこ行ってたの?」
「うん、ちょっと親戚の家に。帰ったら電話しようって思ってたんだあ。
  あかね…何してたの?」
「図書館帰り。」
「え?あかねが?」
「文句あっか?」
「あはははは!ナイナイ!でも、どうして?」
「えっへん!お受験だよ、K大の。」
「ええ?あかねも受けるの?そのまま短大に上がるって思ってた。」
「迷ったんだけどさあ…、まどかちゃんも受けるんでしょ?」
「そうだけど…」
「あたしも一緒に行きたいなあって。困る?」
「まさか!あかねが一緒なら嬉しいよ。頑張って一緒に行こ。」
とびっきりの笑顔で応えた。
0352見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 01:06:25ID:zaZ2ZCja
まどかにとって、恭介と一緒に受験するのとは違った意味で嬉しかった。
こんなに気がおけない間柄はマリー以来初めて。
ひかるとはタイプが違う。
彼女には姉のように接していたけれど、あかねは友人として話が出来る。
ひかるには無かった何かを彼女は持っていた。
「ねえ、家に来ない?」
「いいの?」
「うん。あかね初めてでしょ?」
「やった〜!」
二人は笑いながら帰路に就いた。
もう両親はハワイに戻ってるはず。
一人で家に帰っても面白くない。
「到着〜。」
「うわ〜!ここまどかの家?大きいね〜。初めてだ。」
「さあ、どうぞ。」
スリッパを出されてあかねはキョロキョロしながら入った。
リビングに案内されるとすぐにクーラーが入れられる。
「アイスティーでいい?」
「うん。」
ソファに座りキョロキョロと落ち着かない。
「はいよ。レモン?ミルク?」
「あ、レモンがいいや。…ここすごいね〜、お屋敷って感じ。」
0353見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 01:38:18ID:zaZ2ZCja
初めて来たあかねは、いざお邪魔すると緊張している。
まどかはソファに深く座ると足を組んでリラックス。
ふんふんと何かつぶやきながらピンとゴム紐で髪を括ってポニーテールにする。
そしてアイスティーに手を伸ばすとストローを差して一口飲んで…呟く。
(こういうのを『借りてきた猫ちゃん』っていうのよねえ)
相変わらずオドオドしているあかねをたしなめるように
「ら、し、く、ないよ、あかね。」
「え?あはは。そうだね。」
あかねは赤くなって笑いだした。
つっかえが取れた途端、二人はいろんな話で盛り上がっては笑っている。
長年の友人のように気が合う。
まどかは親戚の家で盆踊りを踊ったことを話した。
情緒豊かな町の風情や踊りの楽しさなど。
「あたしも行きたかったなあ…『ひ』…あ!…ら、来年連れてってよ。」
「ん?うん!絶対誘うよ。」
まどかはあかねが言い止まった『ひ』の一文字で全てが解ったけれど
しかし…お互いにそれ以上は自重した。そして、誤魔化す。
「ねえ、夕飯食べていきなよ。」
「ええ?いいの?」
「ちょっと考え中なんだけど…『野菜のゼリー寄せパスタ』作ってみない?」
「うわ〜、何それ?手伝うからさあ、教えてー!」
ふたりは互いにエプロンを着せっこして戦闘開始。
まどかは小鍋でヤングコーンとグリーンアスパラを茹で、灰汁をすくうと
そこにコンソメとゼリーを入れて鋳型に流し込む。
氷水で冷やして粗熱を取ると冷蔵室へ。
それが固まるまで二人はクッキングの本を見ては、あれやこれやと思案する。
「ねえ、トマトベースにしない?」
まどかが言うや、あかねはニンマリ笑顔で
ジュルジュルッ!
と口を拭う真似をする。
「いいねえ、それ!あたしやる!」
0354見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 01:49:05ID:zaZ2ZCja
ルーはあかねが担当した。
トマトをさっと湯せんして皮をむく。その後お鍋にオリーブオイルと
にんにくを入れ炒め、玉ねぎのみじん切りを加えてよく炒めた後、
つぶしたトマトを入れ、塩こしょうで味を調える。
「味見てよ。」
「OK。」
あかねはスプーンですくって、あ〜んと開けたまどかの口元に運ぶ…
と見せかけて自分の口に入れた。
「う〜ん。中々!」
「なによ〜!んもう。」
まどかはあかねからスプーンを奪うと、今度は自らすくって味見する。
(うわっ!間接キッスだ…)
「うん!!あかね〜、やる〜!」
「でしょ〜?」
「ではでは、仕上げっと。」
まどかは茹でたパスタを氷水でしめた後、よく水切りをした。
ルーの入ったお鍋に移すとさっと混ぜ、薄くお皿に盛りつける。
そして固まった野菜入りゼリーを真中に落とすと、周りにオイルサーディンと
生ハムやクレソンを飾るように盛り付けて出来上がり!
ふたりはテーブルクロスを敷くと、お皿やフォーク、スプーンを並べ、
バケットにカットしたフランスパンを盛ってセッティング完了。
0355見ろ!名無しがゴミのようだ!2010/06/14(月) 02:05:10ID:zaZ2ZCja
「まどか、やったね〜。美味しそう〜!」
「じゃじゃ〜ん!試作第一号で〜す。」
「ねえ、写真撮っておこうよ。」
「OK!」
まどかは恭介に貰ったお古のカメラを持ってきた。
一緒にセルフで撮ったり、ポーズを取って互いを撮ったりしながら楽しそう。
そして試作品の写真も交えてやけにいっぱい写した。
「イメージ通りだ。さあ、お毒見お毒見。」
「いっただきま〜す!…うん!!美味しい〜!これ、最高〜!!」
「ゼリー崩して食べてね。」
そして、自分も食べてみる。
驚いた表情であかねと目を合わせる。
「う〜ん、『白』が合うかな?」
「いいの?」
「(親父たち)居ないし。ねっ!」
ウインクをするとキッチンの冷蔵庫からオーストラリア産のいいやつを
グラスと一緒に持ってきた。
キュッ、キュッ・・・ポン!!  トクトクトクトク・・・
グラスの3分の2くらいに注ぎ分けると
「ちょっと辛口だけど。」
「OK!カンパーイ。」
チン!グラスが鳴るとゆっくり口をつけた。
冷えた白ワインがすごく合う。
新鮮な冷性スパゲッティにコンソメゼリーや生ハム、オイルサーディン
などの複雑な味が絡み合う。そこに冷え冷えを流し込むから堪らない!
未成年のささやかな『違反』の証拠写真を互いに撮りながらディナーは進む。
食べる度にOKサインをしてみせる二人。
そして、二人は感想を述べ合いながら完食した。
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