・登場人物にリアリティが無い(呼び捨て家族、チャイルドシートもせず暴走、避難勧告無視etc)。
・話にとりとめが無い(帰宅を強行する動機が不明。子供だけ残して老人ホームへ戻る動機が不明、ボートの親子や月の墜落の必然性が不明etc)

これらの特徴は、童話か絵本のようなものと割り切れば欠点とは言えない。
「不思議の国のアリス」にしろ「銀河鉄道の夜」にしろ、リアリティもとりとめも無いが優れた童話はたくさんある。

しかし、ドラマとして決定的にまずいことがある。
それは、「葛藤」がないこと。

・ポニョと宗助は出会ってすぐ互いに好きになる(葛藤がない)
・リサはポニョを一目見て受け入れる(葛藤がない)
・ポニョは洪水を引き起こしても、宗助と一緒になれれば気にしない(葛藤がない)
・人間になりたいと願っただけで手足が生えて人間になれる(葛藤がない)
・唯一葛藤を抱えたポニョの父親も、なんとかマーレが出てきただけであっさりあきらめる(葛藤がない)
・そもそも「人と魚の恋」のタブー性が弱すぎるので、その乗り越えにも困難が生まれない(葛藤がない)

要するに「他者」が出てこない
「他者」との和解は、一目見ただけ、出てきただけ、顔をこすり付けただけ(ポニョと赤ん坊)、話し合っただけ(リサとなんとかマーレ)で全て自動的に解決されてしまう。

これではドラマになりようが無い。
よって、このお話はすべて大人になった宗助の見た夢の世界であって、そもそも最初から全員死んでるってのが一番善意の解釈。