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 さらに、アジア情勢が緊迫化すれば、米国が同盟国である日本と、地政学的に最も重視している中国との間で、
二者択一を迫られる可能性があることも、安倍首相が日本の安全保障体制の見直しを急ぐ理由の一つだ。

 こんな見解を非公式に表明する日本人もいる。日本がもっと自立できれば、米国が日本を味方する公算は大きくなる、と。

 米国との関係を強化することは、安倍首相のプランの一環である。この点で、安倍首相は大きな成果を上げた。
17年もの間、暗礁に乗り上げていた沖縄県の米軍普天間基地移設問題で2013年12月末、
移設に向けた動きを開始することで仲井眞弘多・沖縄県知事と合意にこぎ着けた*。

 さらに、国家安全保障会議(日本版NSC)を設立、2013年末に防衛に関する戦略を発表し、
歴代の首相の軍備縮小方針から一転して防衛費を増額。護衛艦や無人偵察機、潜水艦を増やすほか、水陸機動団の新設を決めた。
こうした方針転換により、自衛隊は今後、日本の庇護者である米国と、より緊密な協力体制を取れるようになるだろう。

■憲法改正論議にも着手

 安倍首相はなお大きな論議を呼ぶ問題にも着手しようとしている。
米国の占領下で起草された日本国憲法の改正を巡り、近く議論を始める予定なのだ。
憲法第9条は戦争の放棄、武力による威嚇及び武力行使の放棄を定めている。
日本がほかの国と同じ行動を取れないのは、この9条が存在しているからだ。

 だが、一連の論議を経て、第9条の「解釈が見直される」ことになるだろう。
その場合、集団的自衛権の行使が認められ、同盟国が攻撃された場合には参戦することや、北朝鮮のミサイルを迎撃することが可能になる。

 このように課題が山積している中で、安倍首相が靖国神社を参拝したのは間違いだ。
しかも靖国神社は、歴史修正主義と批判される不愉快極まりない軍事博物館に隣接している。

 人道的見地から言えば、安倍首相の靖国参拝は、アンゲラ・メルケル独首相が例えば第3帝国をたたえた記念碑を奉ることと、何ら変わりはない。
政治的見地から言えば、自滅的な行動と言わざるを得ない。

*=1月19日に行われた名護市長選挙では、米軍普天間基地の名護市辺野古への受け入れに
反対する現職の稲嶺進市長が再選を果たし、移設阻止へ権限を行使する考えを表明している。
そのため、政府が想定する計画通り、移設は進まない可能性がある

続く