連載小説「AFTER THE JUNE」
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0001名無しさん ◆Al5rd12g
02/06/21 02:46ID:5Q6fepR6「しまった・・・」
サッカー韓国代表チームのゴールキーパー、朴泰世(パク・テセ)はうめき、ピッチに顔をうずめた。
「俺たちのワールドカップは終わってしまった。俺のミスで・・・」
2002年ワールドカップ韓日大会、決勝トーナメント一回戦、イタリアとの試合中のことである。
韓国は、前半イタリアに先制されながら、後半15分過ぎ、イタリアDFのファウルで得たPKを決め、
試合を振り出しに戻していた。
1−1のまま迎えた後半43分、イタリアのFWフィオリが、韓国のDF二人をかわし、朴と1対1となった。
フィオリがシュートの体制に入る。朴はシュートコースをふさぐため、ピッチに体を投げ出した。しかし、
それはフィオリのフェイントだった。朴の横をすり抜けようとするフィオリ。朴は反射的に手を伸ばした。
その手がフィオリの足にかかってしまったのだ。明らかなファウルである。
0002名無しさん ◆Al5rd12g
02/06/21 02:47ID:5Q6fepR6PKを与えることにもなる。しかも、韓国は、3人の選手交代枠をすでに使い切っていた。イタリアに先制を
許したため、攻撃的な選手を投入せざるを得なかったのだ。ここで朴が退場となれば、フィールドプレイヤー
の誰かをキーパーとして使うしかない。その中に、キーパーの経験がある者はいなかった。イタリアは無人に
ひとしいゴールへPKを蹴り込むことになる。
「これで韓国の負けが決まった」と朴は思った。
実は、イタリアのDFリカルディが、すでにレッドカードを受け退場していた。そのとき得たPKが、韓国の
同点ゴールにつながったのだ。一人少ないイタリアを、韓国は押しまくっていた。逆転ゴールが生まれるのも
時間の問題と思われた。朴が致命的なミスを犯してしまったのは、そんな時だった。
0003名無しさん ◆Al5rd12g
02/06/21 02:47ID:5Q6fepR6朴の脳裏に、家族の顔がよぎる。
「俺が敗戦の責任を負わされるのは仕方がない。俺のミスなのだから。だが、妻や子供たちはこれから
どんな思いで生きていかなければならないのか・・・・・」
朴は未だピッチに伏したままだ。さっきまで限りなく頼もしかったサポーターの熱狂は、いまや恐怖で
しかなかった。
フィオリは起き上がってボールを拾うと、ペナルティースポットへ向かってゆっくりと歩き出した。フィールドに
いる全員が、それを当然だと思った。実は、そう思っていなかった者が2人いたことが、後に明らかになるの
だが・・・・。
朴はゆっくりと、いや、恐る恐る顔を上げた。ボールを持って歩いて行くフィオリが見える。DFの金賢一(キム・
ヒョニル)が呆然と立ちすくんでいる。主審が駆け寄ってくる。
22人の目が、主審に注がれた。主審の手がゆっくりと挙がってゆく・・・・・主審の指示は、意外にもゴール
キックだった。
0004名無しさん
02/06/21 02:49ID:w0fwpfsw無心にサッカーを楽しませてくれ。
0005名無しさん
02/06/21 12:11ID:DCaFx9Xs■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています