この街に移り住んで早幾年。
何度目かの引っ越しを今日迎えました。
次の窓から見える景色なんかを、
考える度に何か忘れていきます。

賑やかに静かです。

荷物をまとめて気付いた古い箱。
張り紙もない色褪せた段ボール。
開けてみれば懐かしき埃の声。
紙もボロボロな教科書がいました。

賑やかに静かです。
鮮やかに無色なんです。

手に取った落書きだらけの教科書の中に、
好きだったあの詩をふと見つけました。
故郷の大空が浮かびます。
二度と思い出したくないほどに大好きな―――。

誰かの言葉では、「東京には空がないという。」
僕にもそんな言葉の日々を、
過ごせた頃があったのでしょうか?
自分の目に映る今では笑ったこの大空が、
東京病に敗れちまった、僕には正しいというのにね。