実をいうと所帯を持って半年になる。
欲望解放感覚を鍛える意味でも生涯女房なんぞ持つまいと思っていたんだが、
親に「あたし達もそろそろ歳なんだから、あんたも所帯ぐらい持って頂戴…。
何があるかわからないんだから…」。
なんて言われた日にゃ、自分の主義もプライオリティーもあっさりと崩れ去るわけだ。

しぶしぶ結婚紹介所に行くと、まあ様々な女性のデータがあるわけで、
しかしながらどうにも自分好みのタイプというものがいない。
どれもこれも無機質で、学校にいるひなびた事務員のように野暮ったい(失礼)。
だいたいからして、日本の結婚情報ファイルの“恰好”というのは気まじめでいけない。
あの爛々と蛍光灯で冷たく照らし出された紹介所の中であればこそ、
有機的な情熱の赤スリップ!とか、レインボーカラーのビキニ!
なんてのがあった方がいいんじゃねえの?なんて思うのだが。
どれもこれも気の滅入りそうな容貌ばかりで、
シャレの利いたポップな相手というものはいないもんかいと見回す。
それでも、そんな中からなんとなく真剣な話に一番似つかわしくなさそうなルックスのひとを選んだ。
(うん、これだな…)そんなもんである。俺の結婚における選択基準なんて。経歴なんかはどうでもいい。
例え、見た目は化粧ばかりで素顔がバケていようが話が通じればそれでよい。

---「エンズの心」未来予測版 ---