現王園崇(FAIRY FORE・Vo)は、全身に感じる痛みで目を覚ました。痛みに顔をしかめて上体を起こす。
これは夢だと思いたかったが……転落した時に打ち付けたその痛みと、そして何より目の前に転がる
Seek(Psycho le cemu・Ba)の死体が容赦のない現実を見せつけていた。……自分が殺したのだ。
恨みは無かった。襲われたわけでもなかった。ただ、周りの人間全てが怖かった。
…最初に狙われるのは自分だ、なんとなく現王園崇はそう感じていた。悲しいが、今事務所の中で一番勢いがないのは
自分達のバンドだと言うことを現王園はよくわかっていた。もし今事務所の中でリストラをするとしたら、
間違いなくその矛先が向けられるのは他のインディーズのバンドでもなく、自分たちだと言うことも。
こんなおよそ現実味のない馬鹿げたゲームに対して自分自身よくまだ実感が湧かないと言うのが正直なところだが、
どちらにせよ、ぼやぼやしていたら今時点で一番勢いのない、弱そうなバンド(ましてや自分は一番目立つボーカルだ)
から確実にしとめていこうと短絡的に考えるバンドマンがいてもおかしくない。いや、必ずいる。
だったら、やられる前にやるしかないんじゃないか?そう考えて、現王園は他の選手が出てくるところを不意打ちする事にした。
そして、二人目のKOHTAに返り討ちにされてー
…どのくらい気絶していたのだろう?いや、そんなことはどうでもいい。とにかく次に選手が出てくる前に隠れないと…

現王園の思考はそれが最後だった。後頭部に衝撃を受け、現王園は立ち上がろうとして片膝をついた姿勢のまま前のめりに倒れた。
現王園の後頭部には、Seekの物と同じ矢が突き刺さっていたのだが、勿論現王園がそれを見ることは出来なかった。