(1)精神の病気でないのに生き辛くなるのは何故でしょうか?

 フロイトは、人が生まれてから成人するまでを、主に性欲という視点で説明しましたが、後にエリクソン
は、「人は一生かけて発達するものだ」として、ライフサイクルという概念をうちたて、心理・社会学的な
視点でこれを説明しました。人生をいくつかの発達段階に分け、各段階にテーマがあり、これらの危機を乗
り越える事で人格が成熟し、乗り越えられないと人格に影を落とすとしました。重要なものをあげると、乳
児期には「基本的安心感の獲得」、思春期には「アイデンティティの確立」というのがテーマとしてありま
す。

 人は「オギャー」と生まれてから、泣いたら母親におっぱいを飲ましてもらったり、オムツを換えてもら
ったりしながら、「自分が無条件でこの世に受け入れられる」という感覚を身に付けます。これを基本的安
心感(基本的安全感ともいう)といい、その後の人生で精神的に健康に生きるための基盤となります。この
「無条件で」というところがポイントで、良い子でないと受け入れられないとか、勉強が出来ないと受け入
れられないとか、ピアノが上手に弾けないと・・・、というのでは、基本的安心感がないという事になりま
す。