高慢と偏見(1)隣は何をする人ぞ
http://el.jibun.atmarkit.co.jp/pressenter/2010/11/1-828a.html

 高学歴で長い経験に自信を持つエンジニアは他人の話を聞かなくなる、
というのは広く世に知られた真理の1つである。

 K自動車ICTシステム部の三浦技術担当マネージャは、そのようなエンジニアの生き見本のような人だった。
初めに言葉ありき。私が聞いた三浦マネージャーの最初の言葉はこうだ。

 「関数型言語など、実業務では使いものにならない!」

 私は思わず手を止めてしまい、壁を見つめた。

 隣に座っていた男性プログラマも同じように手を止めて、まるで隣の会議室が見えるかのように壁をまじまじと見つめている。

 声は続いている。

 「オレはもう20年以上システム業界にいるけどな、その長い経験から言うと、関数型言語なんてものは、
理論としては面白いけど、およそ実用的とは言い難いものだな。まぁ、例えばパーサコンビネータなんかは
関数型言語が向いてるみたいだから、トイ言語を作る人には必要なものなのかもしれない。
しかし君たちがいずれ作ることになる業務アルゴリズムにはまったく無縁のものだと思ってもらって間違いない。
どうもこの業界、関数型言語でなければダメ、というような風潮がまかりとおっているけどな、
関数型言語なんか本当に使っている人はほとんどいないよ。オレも少し勉強してみたけど、モナドとか参照透明性とかモノイドとかとか、
どうにも利点が理解できなかったね。実際、実業務で使ったことなどないしな……」

 おいおいおいおい。私は思わず壁の向こうの顔も知らない講師に突っ込んだ。もちろん心の中で、だが。

 ――あなたは関数型言語をほとんど使ったこともないくせに、
Haskellは「使えない!」と断言しているわけですか?