「仁志、朝よ!起きなさい」
母親の階段下からわめく声で目が覚めた。
「はいはい、わかってるって」
やれやれ、サイバースペースでの生活も現実とちっとも変わらないぜ。
仁志はベッドから立ち上がった。もちろん、彼の身体は試験管の中に
ある。あくまでバーチャルな空間で脳がそう感じただけである。

服を着替え、下に降りていった。
「今日から学校でしょ?ちゃんと用意したの?」
「大丈夫大丈夫」
トースターを口に放り込みながら仁志は答えた。
「行ってきます!」

仁志は朝食もほどほどに、玄関に向かい靴を履いた。
扉を開け、外に出るとまぶしい日の光をあびた。
学校まで10分か。へんなところで融通がきかねえんだから。
仁志は靴をトントンと道路にぶつけると、彼の通う高校に向かって
走り出した。