評価関数は探索手法と密接に関係したものであることを忘れてはいけません。
読みが足りない部分を評価関数で修正したり、逆に評価関数が不正確な部分を深く読むことで補ったりするわけです。
なので、評価関数だけ変更しても望んだ結果が出るわけではありません。
与えられた時間の中で、評価関数と読みが絶妙にバランスする点を見つけることが、
その与えられた時間での勝負で「強い」ソフトの開発に必要なんですね。

そして、このバランス点は「与えられた時間」を変えれば変わってくるもので、
25分切れ負けと持ち時間8時間という違った条件では確かに異なるでしょう。
ただし、過去数年間の流れとしては、
「より長い時間を与えられたなら、読みの方をより重視して評価関数はよりシンプルにする」方が強くなっている傾向があるようです。
もちろん、この知見がそのまま外挿できるかどうかはわからないわけですが。

しかし、ソフトの開発にはどうしても試行錯誤が伴います。
一手30秒とかの手を大量に指させて、その試行錯誤を一年繰り返してやっと満足いく「バランス点」が得られるとすると、
一手30分の手を指させる時に同じ回数の試行錯誤を繰り返すと60年かかっちゃいます。
その頃にはハードが進化してもう得られた「バランス点」は使いものになりません。
そういう意味でも長時間考えるソフトを作るのは難しいわけですね。

もちろん、その開発の速度、進歩の速度自体を何とかする方法も色々考えられているわけで、
この先は段々、将棋ソフトだけに留まらない人工知能分野、
更に広くコンピュータ科学分野の研究内容の話につながっていきます。