■ コミュニケーションを提供できないアニメは儲からない

―― 表現手法、そして優れたストーリーが日本アニメの特色と言えるわけですが、
映像そのものの商品価値が低くなっているなか、グッズビジネスに期待が集まっています。

数土 「作品の面白さと、グッズの売れ行きは必ずしも相関しないのが興味深いところです。
たとえば北米でグッズ販売が絶好調の『爆丸 バトルブローラーズ』ですが、現地のアメリカ人に
聞いても、ストーリーすら把握していない人も多いんです。

『ストーリーが浸透していないのにどうやって(※映画を)作るの?』と米国のコンテンツ業界の
人に聞いたら、『いや、だからこそ自由に作れるから良いんだ』って(笑)

―― しかし、“キッズ向けのアニメなのに大人でも楽しめる優れたストーリーと映像表現”が
これまでの国産ヒット作のいわばセオリーであったと思うのですが。

数土 「それは先ほど(前編で)申し上げた、『映像そのものではなく、コミュニケーションを
提供できるかどうか』に評価のポイントが移りつつある、という話に通じます。テレビ、DVD
そして玩具やフィギュアといったグッズが、個々に存在しているのではなく、“総体としての商品”
としてコミュニケーションを提供できていることが肝要です。

コミュニケーションにおいて、テレビはビジネスの核、あるいはハブとして機能しています。
みんなが毎週同じ時間にテレビの前に集まる。番組を見て(同じタイミングで)何か
アクションを起こす、ということが重要なんですね。
ネット配信の弱点もそこにあると思っています。いつでも見られることでコミュニケーションが
拡散してしまうんです」

―― 『機動戦士ガンダム』はそれまで子供向けだったアニメを大人向けにする橋渡しとなった
作品である一方で、玩具・プラモデルと密接に結び付いていました。いったんそこに立ち返る
必要があるかもしれません。マス向けで再びブランドを確立すれば、そこを足がかりとして
もう一度コア向けにも拡げられますし。

数土 「日本では同列に語られることも多い2つのカテゴリーですが、海外市場では明確に
分けて考えたほうがよいでしょうね。ビジネスチャンスが大きいのはマス向け作品。対して
コア向け作品は、クールジャパンに通じる話で“日本のブランド力を引き上げる”役割は
大きいのですが、決して大きな市場ではありません。損してはいけないけれど、大きな儲けに
つながるものではありません。

ASCII.jp(一部抜粋)
http://ascii.jp/elem/000/000/602/602822/