ヒトに感染し「頭を悪くする」ウイルス、発見される
http://wired.jp/2014/11/12/virus-that-makes-humans-more-stupid/
WIRED; TEXT BY EMIKO JOZUKA; TRANSLATION BY TOMOKO TAKAHASHI/GALILEO; 2014.11.12 WED


ジョンズ・ホプキンズ大学医学部等の研究者チームが、通常は藻に感染するウ
イルスが、人間やマウスの脳に感染する場合があることを発見した。感染する
と、有意で「認知能力が低下する」ことも明らかになった。


ジョンズ・ホプキンズ大学医学部とネブラスカ大学リンカーン校の研究チーム
が、人間の脳に感染して「知能を低下させる」ウイルスを発見した。

先ごろ「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」誌に発
表された研究論文によると、研究チームは、まったく別の研究(精神疾患に影
響を与えるウイルスの研究)で人間の喉に存在する微生物を調べていた際に、
偶然にこのウイルスを発見したのだという。

健康な被験者の咽頭から発見されたDNAを調査したところ、通常は緑藻に感染す
るウイルス「ATCV-1」のDNAと一致したのだ。

研究チームが発見したこの藻類ウイルスは、これまで人間には害を及ぼさない
と考えられていた。ところがこのウイルスは、人間の認知能力、たとえば空間
認識や視覚処理に関する能力に影響を与えることが明らかになった。

研究チームが被験者92人の咽頭を調べたところ、44%の人からATCV-1ウイルス
が見つかった。そして、ウイルスが見つかった被験者は、見つからなかった被
験者に比べ、空間認識や視覚処理を評価するテストの成績が低かった(差は10
%ほどで、それほど大きいものではないが、有意な差だった。影響を及ぼしそ
うな喫煙、学力、収入、性別、出身地、人種等の因子では有意な差は無かった
という)。

この研究結果から、人間の身体には無害でも、認知能力を低下させるウイルス
が存在することが明らかになった。ただし、ATCV-1ウイルスが人間に感染する
経路はまだはっきりしておらず、緑藻の生える淡水や湖などを避ける必要はな
いとのことだ。

※リリース等によれば、感染させたマウスは迷路を解くのに時間がかかったり、
新しい入り口などが設置されても気付かない、といった影響が見られた。感
染したマウスを調べたところ、このウイルスは、(記憶や空間認識と関連した)
海馬における遺伝子の発現に影響を与えることが明らかになったという。


原論文:
Chlorovirus ATCV-1 is part of the human oropharyngeal virome and is associated with changes in cognitive functions in humans and mice
http://www.pnas.org/content/111/45/16106.abstract