4:ヴァーチャルな手触り
脳とマシンを直接つないで動かすだけでなく、触覚のフィードバックを加えることに成功した。ブレイン=
マシン・インターフェイス(BMI)の最新成果では、モニターに映し出されたヴァーチャルな「腕」でヴァー
チャルな「物体」を触ったときの「手触り」を、脳への電気刺激としてフィードバックすることで、ヴァー
チャルな手触りの違いをサルに識別させることができる。BMIの進歩は、ロボットアニメやSFの世界が
現実となりつつあることを示している。

【参照情報】
・Active tactile exploration using a brain–machine–brain interface
Joseph E. O’Doherty, Mikhail A. Lebedev, Peter J. Ifft, Katie Z. Zhuang, Solaiman Shokur,
Hannes Bleuler & Miguel A. L. Nicolelis
Nature 479, 228–231 (10 November 2011) doi:10.1038/nature10489
http://www.nature.com/nature/journal/v479/n7372/full/nature10489.html

5:RNA酵素のポテンシャル
リボザイム(RNA酵素)を作りだす能力をもったリボザイムが開発された。実験では、試験管内人工進化
と呼ばれる方法で、長いRNAを合成可能なリボザイムを開発。このリボザイムが、RNA切断機能をもった
別のリボザイムを合成できることを示した。現在の生命がもつ酵素はほぼタンパク質から作られているが、
初期の生命はDNAに類似した化学物質であるRNAを酵素として利用していたと考えられている。「リボ
ザイムを作りだせるリボザイム」の開発は、RNAがもちうる機能のポテンシャルを実証するものであり、生命
誕生の謎に迫る重要な進歩だ。

【参照情報】
・Ribozyme-catalyzed transcription of an active ribozyme
Science 8 April 2011: Vol. 332 no. 6026 pp. 209-212 DOI: 10.1126/science.1200752
http://www.sciencemag.org/content/332/6026/209

6:人工の「眼」をつくる
胚性幹細胞(ES細胞)を特殊な条件で培養することで、眼の神経網膜が形成されることが明らかとなった。
網膜のように精緻で複雑な組織が、細胞のかたまりから自律的に組織化されうるという発見は、どうやって
器官が形づくられるかという未解決の難問を解く道しるべとなるだけでなく、事故や病気で失われた臓器を
再生し、その機能を回復する再生医療や組織工学に明るい光を照らすことだろう。

【参照情報】
・Self-organizing optic-cup morphogenesis in three-dimensional culture
Mototsugu Eiraku, Nozomu Takata, Hiroki Ishibashi, Masako Kawada, Eriko Sakakura,
Satoru Okuda, Kiyotoshi Sekiguchi, Taiji Adachi & Yoshiki Sasai
Nature 472, 51–56 (07 April 2011) doi:10.1038/nature09941
http://www.nature.com/nature/journal/v472/n7341/full/nature09941.html

7:変形する二機能性酵素
ダイナミックに変形することで、まったく異なる2つの化学反応を触媒する「二機能性酵素」のメカニズムが
解明された。細胞内の生化学反応を触媒する酵素には、「ひとつの酵素はひとつの反応を触媒する」という
ルールがある。しかしある種の微生物がもつ酵素FBPA/Pは、取り込む材料によって反応中心が変形し、
異なる2つの反応を触媒できる。酵素学の常識を覆すこの発見には、自然界に存在しない新たな酵素の
開発への応用も期待される。

【参照情報】
・Active-site remodelling in the bifunctional fructose-1,6-bisphosphate aldolase/phosphatase
Juan Du, Rafael F. Say, Wei Lü, Georg Fuchs & Oliver Einsle
Nature 478, 534–537 (27 October 2011) doi:10.1038/nature10458
http://www.nature.com/nature/journal/v478/n7370/full/nature10458.html
・Structural basis for the bifunctionality of fructose-1,6-bisphosphate aldolase/phosphatase
Shinya Fushinobu, Hiroshi Nishimasu, Daiki Hattori, Hyun-Jin Song & Takayoshi Wakagi
Nature 478, 538–541 (27 October 2011) doi:10.1038/nature10457
http://www.nature.com/nature/journal/v478/n7370/full/nature10457.html

>>3辺りに続く