(社説)日本と韓国の対立 「最悪」を抜け出すために 朝日新聞
「この重要な関係をぜひ改善したい」(安倍首相)
「決して遠ざかることができない仲」(文在寅〈ムンジェイン〉大統領)
1年3カ月ぶりの公式会談は、そんなあいさつで始まった。日本と韓国が中国の成都で開いた首脳会談である。
ふだんならただの外交辞令だっただろう。こんなやりとりでさえ両国メディアの耳目を集めたのは、それだけ日韓関係がすさんだことの裏返しだ。
■不毛な応酬の果てに
国交正常化以降で最悪――。ことし何度指摘されたことか。
今回の会談で2人が本当に危機意識を共有したのならば、未来への責任を果たすべきだ。
互いに大幅な譲歩を伴う政治決断なしに、事態は動かない。
歴史問題で両政府が反目することは過去にもあったが、今回は規模が違う。
政府の対抗措置に連動して、経済、自治体交流の停滞へと連鎖が広がった。
発端は、徴用工問題をめぐり日本企業に賠償を命じた昨年の韓国の判決である。
問題は解決済みとする日本政府は今夏、貿易分野で報復措置をとった。
これを受け、韓国側は軍事情報に関する日本との協定の破棄を表明した。
この安全保障問題は撤回されたものの、韓国社会の反発は収まっていない。
これまでのところ深刻な経済ダメージが取りざたされるのは日本側だ。
これまで中国に次ぐ2番目の規模だった韓国人観光客の足が遠のいた。
日韓の間に位置する長崎・対馬の観光業者は「経営的に限界という声が少なくない」(長崎県対馬振興局)という。
地方自治体の多くが長年、交流事業を続けてきたが、夏以降は韓国から中止や延期を申し出るケースが相次いだ。
韓国の輸入ビールで最も人気のあった日本産は統計上、日本からの輸出がゼロに。日本車の販売も大きく落ち込んだ。
さほど損害が伝えられない韓国側でも、多くの業者や関係者が困難な状況にあるはずだ。
政府間にはそれぞれ譲れぬ原則があるにせよ、国民の経済的な実利や、
市民同士のふれあいの機会を互いに損ねる現状を放置してよいわけがない。
https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S14306962.html