価値体系によって環境への適応能力は変わる。

例えばマチズム(攻撃的な男らしさを礼賛する男尊女卑思想)は、
工業化以前の段階では集団の戦闘能力を高めて、
文化の生き残りに強く寄与したはずである。
しかし、マチズム傾向の強いイスラム諸国は、
女という人口の半分を家庭に閉じこめることで、
全体的な知的水準を停滞させ、高度な工業化に失敗している。

教育に高い優先順位を置く儒教は近代化に有利だとされる。
しかし、儒教的価値観を日本よりも深く身につけた韓国は、
職人仕事への蔑視のせいで工業化に不利だ――とも言われる。
また、儒教の男尊女卑思想は、イスラム圏ほどではなくとも、
儒教社会の発展にハンディキャップを付けている。

モノ作りの重要性を強調するあまり、商業を蔑視する思想は多い。
社会主義圏を崩壊させた経済停滞の一因は流通の未整備だった。

また、労働を祈りの一形態とするプロテスタンティズムによって、
商業活動が道義的に正当化される以前には、
どの文化でも商売人は尊敬されていなかったのである。

では、現代の技術段階・社会経済環境を前提とした場合、
どんな文化が有利で、どんな文化が不利になるのだろうか?