まったく 脳天気 だな。


経済観測:私権の保護=大三
 遠縁のフランス人と新幹線で京都に向かった。運よく晴れ上がって雪をいただいた富士山が見えてくると、
「素晴らしい。来てよかった」の連発であったが、急に機嫌が悪くなって、ふさぎこんでしまった。

 「どうかしましたか」と聞くと、しばらくして「どうして、こんなに素晴らしい風景のなかに、
野立ての看板がたくさん立ててあるのか。誰も文句を言わないのか。環境省や自治体は何をしているのか」と、
立て続けにまくしたてられた。


 「フランスでは、どうですか」と聞いたところ、「フランスだけではない。欧州にこんな野立ての看板はありませんよ」との返事。
「こんな広告をしたら、その会社の製品は売れなくなるし、環境NPOの人たちも不買運動を起こしますよ」と。

 政府は、観光立国を重要な政策目標の一つにしているが、野立ての看板の規制もできないようでは、
観光立国の名が泣く。

 では欧州で禁止しているのに、なぜ日本では野立ての広告をやめられないのか。

 それは地主などの私権を制限することが難しいからではないか。敗戦後、占領軍に押しつけられた憲法の下では、
多くの私的な権利が強く保護され、関連法規の解釈や運用も権利者優位の勢いに流されてきた。
良い例が犯罪者や加害者の人権が、被害者の人権よりも厚遇されていると感じられるケースである。
最近やっと少し是正されてきたかなと思ったら、人権擁護法案とやらの登場で、逆戻りする気配だ。

 本件は、政府にやる気がないなら、地方自治体が条例制定でやったらどうか。

例えば北海道。あの美しい自然を台無しにしている野立ての看板が無くなると聞いただけでも、
話題になって観光客が増えるだろう。(大三)

毎日新聞 2006年8月25日 東京朝刊