ある日。
 自分の孫がいじめられているのを見た祖父は、慌てて止めに入った。
「1人を複数でいじめるとは何事だ! とんでもないことだ! 親の顔が見たいもんだ」
 泣きじゃくる孫の手を引いて、祖父は家へ戻った。

 母親はTVを見ていた。全国で犯罪が激減したというニュースだった。
――本当だろうか?
 田舎である代わりに平和だったこの辺りは、最近ずいぶん物騒だと言うのに。
 そのうちニュースは代わり、鳥取県の人口が急激に増加していると伝えていた。
 確かに人口は、この辺りも急に増えている。引っ越してくる人が多く、宅地が増えた。
 土地が値上がりして、田畑を手放して大金を手にするものも多い。
 それは悪くないことだと思った。
 そこへ祖父に手を引かれた孫が、泣きながら帰ってきた。

 翌日。
 学校から呼び出しがあった。
「お宅はお子さんにどういう教育をされているのですか? お友達に『キミはどこの国の人?』と訊いたそうじゃありませんか! これは重大な人権侵害ですよ?
 しかもおじいさんまでが、『親の顔が見たい』と言ったというじゃないですか。これも――」
 何を言われているのか分からなかったが、ともかく悪い事をしたようなので、母親は何度も頭を下げて謝った。
 が、釈然としなかった。