http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040917ig15.htm
9月18日付・編集手帳
 谷川俊太郎さんに、「みみをすます」という詩がある。「ひとつのおとに/
ひとつのこえに/みみをすますことが/もうひとつのおとに/もうひとつのこ
えに/みみをふさぐことに/ならないように」◆プ獄・・フ再編問題ほど「みみ
をすます」ことの大切さ、難しさを身近に教えてくれた例はない。経営難から
オリックスとの統合を決めた近鉄の悲鳴に他球団は耳を澄まし、統合を理解した
◆パ・リーグ球団の苦吟に経営側が一致して耳を澄ますのは、プロ野球全体の
存続を考えれば至極当然だろう。反面、選手会がストライキを構えるまでの間、
「もうひとつのおと」、選手の声に耳をふさいできた印象は否めない◆両者の
交渉が始まってから「みみをふさぐ」側に回ったのは、今度は選手会である。
経営側は新規球団の参入を促す和解案を提示した。コミッショナーも調停案を
出した。どちらも選手会の耳には届かなかった。返事はスト決行である◆最後は、
新規参入を来年からとするか、再来年からとするかで、交渉は決裂したという
。経営側も選手会も新規球団に再生の光明を見いだそうとしている。せっかく
目的と手段を共有しながら、「一年」の主張の隔たりが引き金になってのスト
突入は何とも割り切れない◆野球を見たいファンの声に耳をふさいで、どうす
るのだろう。