ネット通販で靴を買ったらサイズが合わず、デザインも画面で見たときとは
イメージが違っているので、ただちに返品した。ところが返金はできないと
いう。代わりに、その販売会社だけで使える代金分の商品券が発行された。
あらためて確認すると、ネット上には返金システムに関する注意書きが小さ
く表示してあるのに気づいた。仕方なくほかに必要な物がないかと、商品が
リストアップされた画面を眺めてみたが、いっこうにこれはという物がない。
けっきょく商品券は使わずじまいになっている。
消費が低調で景気が上向かないというのはここ何年もいわれていること。世
の中には欲しい物などそんなにないというのが、多くの人の実感なのかもし
れない。成熟した社会では、心底欲しいと思うような物はめったにないとい
うことか。
お歳暮や披露宴の引き出物がカタログで送られてくることがある。分厚い冊
子を手にすると、ちょっとうれしい。しかしページをめくっていくうちに、
結局、選ぶ物がなくなり、そのまま何か月も放置することになる。
カタログを眺めながら気づいたのだが、最近ではたとえば温泉旅行やフレン
チレストランの食事券、あるいはエステのサービス券など、さまざまな「体
験型」の商品が品物を浸食するように増えてきている。きくところによると、
初売りの福袋にもその傾向があるらしい。ホテルに1泊とフラダンスを舞台
で踊るプランなどという福袋を用意している百貨店もあるとか。現代人は
「モノ」より「コト」のほうを欲しているのだろう。
とはいっても街は、年の瀬の買い物客で例年と変わらずごった返している。
いったいみんな何を買いもとめているのだろうか?人の流れの傍らでは、制
服姿の救世軍が社会鍋を前に、生活困窮者支援の募金を訴えていた。