卒業後、声を掛けてくれた芸能事務所があり、遂に念願だったプロの俳優の道が開けた。所属後、間もなくオーディションや仕事が入ってくる。大作映画の現場にも何度か呼ばれて、満足とはいかないまでも、次の年に期待を抱けるくらいに充実した一年ではあった。

しかし年が明けて間もなく、事件が起こる。事務所とクライアント、僕とマネージャーの間でギャラを巡って双方で話が食い違い、それが問題になってお互いの信頼関係が一気に瓦解してしまったのである。

一度、崩れた信頼は修復することはできずに、次第に僕は事務所と距離をとるようになった。