「な、なんで貴女がそんなことを知っているんですのっ?」
「だってキミの事が好きだからね。好きな人の事を調べるのは当然だろ?」
 恭子は頬を赤く染めてぼくに熱い視線を向けて来た。
 いやあ、照れるじゃないか。
「こ、このストーカーッ! 犯罪者っ! オトコオンナッ! 東京気取りの埼玉県民っ! えーと、それからそれからださいたまっ! ……貴女に語る舌なんてございませんっ!」
「埼玉県民を舐めるなっ! 彩の国埼玉っ! 浦和レッズに西武ライオンズ! 何処にいった東京ヴェルディ東京ヤクルトスワローズッ!」


 丁々発止のやり取りの後に訪れた沈黙。 そして、二人の視線が絡み付いて凍り付いた時が動き出した。

「分かりましたわ、るり子さん。貴女のように哀れな埼玉県民の為に、池袋を進呈いたしますわ。というよりも、すでに池袋は埼玉県民に占拠されていましたよね」
「あ、ああ……池袋については地元民よりも埼玉県民の方が詳しいな……」
「ええ。本当に素晴らしいですわね、東武東上線。では、わたくしはこれで失礼いたしますわ」

 恭子はぼくに慇懃な会釈をして踵を返して去っていった。
 なんだろう、この不思議な敗北感。
 これが倒錯した背徳の愛の最果てなのだろうか。
 とりあえず叫ぼう。
 カムバック、ぎょうごぉーっ!


――幕。

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