【こういうの】創作文章発表【なくね?】
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0202名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/20(土) 01:54:07ID:JssEvPzf西日が差す砂浜に、一人歩く老人の姿があった。規則的な波音の中、白雲は紫がかったオレンジに映り込み、夜を迎える装いに怠りない。
海岸の松の木も、長年の風のせいと見えて皆一様に腰を曲げていた。ここいら一帯ではかなり強い風が吹く。
寒流が寄る季節には、波が岬の灯台にまで跳ね上がるほどだ。
だが、彼は海風が好きだった。ただ風を受けるだけで、この惑星が回転するのを、時が通り過ぎてゆくのを感じることができるような気さえするのだ。
ぱたぱたと服がはためくが、普段より特に風が強いというわけでもなかった。
老人が歩を進めるたび、荒く黒っぽい砂が、貝殻が、足下に音を立てる。
点々と続く足跡は、だが、不意に止まった。
身をかがめると老人は何かを拾い上げ、また歩き出した。
一時間ほど経ったろうか、丸太小屋の中に、腰かけた老人の姿がある。
目の前の暖炉では湯を張った銅の鍋。時折こぽりと泡が湧く。
彼は貝殻を眺めていた。それほど貝殻が好きなわけでもなかったが、何か考え事をする際に貝殻を眺めるのが癖のようになっていた。
炉の炎に、皺の多い顔は揺らめいて見えた。炉床では太い流木が小さく炎をあげて燃えている。
炎の色は紅く美しかった。塩分が燃えているのだ。流木はたくさん乾かして家の裏に積んであったので、焚きつけに困るようなことはなかった。彼は長いことそうしていたが、やおら立ち上がると隣のドアへ消えていった。
しんとして凍るような夜の中に、ガラス窓がぴしぴしと鳴り、風は甲高く吠えていた。
隣の部屋には彼の書斎があった。灯油ランプの立てる匂いが辺りに漂っている。椰子の木の実を抉って貝殻をはめたインク壺はどうやら手製らしい。
この海岸には本当にさまざまなものが流れてくるのだ。遠い異国の品や貝殻が漂着することさえ珍しくはなかった
真鍮の光沢が鈍く光るペン先を浸すと、彼は何事か書きつづり始めた。
風は強く、窓の外では夜目にも白く流れる雲が、星々を遮っては去ってゆく。
窓のランプの明かりは、外から見ると真っ暗な大自然の中でいかにも頼りなげに揺れていた。暖かなか細い光は、今夜も家の周りをちらちらと照らすのだった。
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