【こういうの】創作文章発表【なくね?】
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0001名無しさん@お腹いっぱい。
2008/08/31(日) 05:52:01ID:/zETKl1s感想批評もおk。ただし中傷は文に対するものも一切禁止
三行から長編まで。
ばいさるあるようなので長い場合はあらかじめ支援願いを。
同じく1レス以上使う場合、あらかじめ、投下しますなどコメントを。
その場合名前を
作品名(1/3)
等にすることが望ましい
0002名無しさん@お腹いっぱい。
2008/08/31(日) 06:09:38ID:/zETKl1s脱線は良識の範囲でってやつ。
テンプレはこんなもんかな、新板なんで様子見にスレ立てました
どーぞ
それにしても板自体が過疎だなあ
0003名無しさん@お腹いっぱい。
2008/08/31(日) 06:10:45ID:wMWUab1tつまりここはオリジナル作品を投下して評価してもらうスレなの?
0004名無しさん@お腹いっぱい。
2008/08/31(日) 06:18:15ID:K6UZg7YN0005名無しさん@お腹いっぱい。
2008/08/31(日) 06:22:23ID:/zETKl1sそんなとこです。
メインは投稿ですね。
まだ試験的な段階なのであまり縛らないようにしました。
この時点では総合のような扱いかな。
0006名無しさん@お腹いっぱい。
2008/08/31(日) 06:24:28ID:/zETKl1s言われてみればほんとにそうですね。
0007名無しさん@お腹いっぱい。
2008/08/31(日) 06:24:58ID:wMWUab1t批評して欲しい人メインがよさげかも
0008名無しさん@お腹いっぱい。
2008/08/31(日) 06:32:14ID:/zETKl1sありがとうございます。それでは
ここは作品を投稿し、評価してもらうスレです。相互に投稿、批評しあいましょう。
このスレは投稿者と批評者の相互関係で成り立っています。積極的に評価しましょう。
と、こんな感じに。
0009名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/01(月) 13:10:08ID:G/VPJ1mT投下者、批評者、いらっしゃい〜
お題ありでもいいよ〜
0010暗鬱短編
2008/09/01(月) 16:03:13ID:OIJ2AMzX耳障りな音だけじゃない。見る風景にも全て忌々しいノイズが掛かっている。
朝から晩までのべつくまなく雑音とノイズに辟易とさせられる。
だから音楽を聞く。
生温いポップスなんてクソ食らえ。そんな物は紛い物だ。もっと激しい奴じゃないと全てがクリアーにならない。
腹に響く様な爆音を叩き出すドラム、銃声の様なリズムで頭を貫くベース、嵐の様に全てを吹き飛ばすギター、絶叫ともいえるダイナミックなボーカル。
精神と肉体は、不協和音に近い不透明な音色を求める。
全てをズタズタに切り裂く様な鋭さを持つ音こそが本当の音楽。
イヤフォンでボリュームを全開にして聞くと、この世に満ち溢れている雑音とノイズを吹き飛ばしてくれる。
音楽がもたらす快感は絶頂に達してしまいそうになる程のエクスタシー。
脳髄が揺さぶられて、身体の細胞が一つ一つ活性化していくのが分かる。
陶酔と恍惚が精神と身体を支配していく。
何がなんだか解らない衝動に駆られる。
衝動は天国へと続く階段。一歩一歩踏み出す度にハイになっていくのがわかる。
その衝動は破壊衝動に容易く変わる。戦闘に出ればそれがハッキリと解る。
目の前の敵をズタズタにしたくなる。敵だけじゃなくてウザいアイツらも潰したくなる。
僕以外の奴等をこの世から消してやりたくなる。
誰にも止められない衝動が加速する。衝動がビートを刻んで魂を揺さぶる。
揺さぶられた魂が僕を解き放つ。
全てのものが関係ない、凶暴なビートとリズムの世界が見える。
でも、そこまで。至高の世界に到達する事は出来ない。クスリという手枷足枷に繋ぎ止められるからだ。
天国から地獄。禁断症状は嫌いだ。世界に満ち溢れる雑音とノイズを加速させる。
不快感が虫みたいに肌の裏を這い回って苦痛にまみれる。視界が閉じて真っ暗になって疎外感に頭をぶん殴られる。
こんな身体じゃなかったら。クスリ漬けの身体じゃなかったら。
至高の世界に行ける筈なのに。凄く悔しい。
雑音とノイズ、クスリ、そしてクスリ漬けの俺の身体。世界の全てが―――ウザい。
――幕。
0011名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/01(月) 16:04:39ID:OIJ2AMzX0012名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/01(月) 16:09:24ID:X1PQHjLB意味の無い言葉を叫びだしたしたくなる文だった
0013名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/01(月) 16:10:16ID:G/VPJ1mTあざーす!
いいっすねー
一発目からレベル高いです。DADAとでも言うのかな、ハイな時の疾走感
と内省的な瞬間の悲哀っていうか絶望感がいいですね!
最後のクスリのとこぐっと落とすとこだと思うんで、ウザいってとこを
もう少し哀しく女々しい感じにすると文のキレが上がるかなーっと思いました。
またどうぞ!
0014名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/01(月) 16:24:09ID:G/VPJ1mT昔々あるところに、一人のみなしごの少年が大工の家族と一緒に住んでおりました。少年の名前は、トシキと言います。親方はなかなかの男前、
かわいい奥さんと娘さんがいました。四人は、小さな村の中で幸せに暮らしていたのです。
いつの頃からだったでしょうか。奥さんのトシキを見る目が変わり始めたのは。
奥さんの視線は冷やかな憎しみをたたえるようになっていったのです。月日が経つにつれ、奥さんの仕打ちは、ますますひどくなっていきました。
トシキの分の食事はない、なんてことが、ちょくちょくあるのです。見かねた大工さんが奥さんを?ると、
その時だけはひどい仕打ちは収まるのですが、すぐに元通り。奥さんの行動は、悪化する一方。
それは、トシキに対する完全な無視へと変化していきました。そんなある日のこと。
今日もトシキの朝食はなく、親方の娘さんのリリアが、食事の後でとっておいた自分の分のパンをそっとくれたのでした。
こんなことはよくあるのです。
「トシキお兄ちゃん、かわいそかわいそなのです。」
「ありがとう。でも、これはお前の分だ。お前が食べなくてはいけないよ。」
「ううん、いいの。お母さんはトシキお兄ちゃんにひどすぎるよ。私にはあんなにやさしいのに…。」
「何かわけがあるんだよ。僕には身に覚えはないけれど。何か…もしかしたら、奥さんが若い時に好きになって、
殺してしまったひ弱な幼馴染に顔が似ているのかも。」
「ううん、そんなのじゃないの。私、知ってるもの。お母さんはトシキ」
「リリア、裁縫の続きだったでしょ。」
離れた部屋から奥さんの声。リリアはパンをロ黄に押し付けると、呼ばれた方へと駆けて行きました。
けなげなリリア。これからパッチワークにかかるのに違いありません。
「はぁ…」
ため息をついた途端。目の前に影が差しました。親方は、トシキの手のパンを見ると、
「まったく、またリリアは。しょうがねえなあ。お前も大変だよなあ。ほら、さっさとそいつを食って、道具箱と水を持ってこい。
今日はメイヤーさんのところの畑の小屋をしなくちゃならないんだ。こないだの火事で焼けただろ、立て直すって。」
畑の焼け跡にはもう材木と煉瓦が運んでありました。二人が働いていると。
「トシキちゃん、偉いねえ。大変なんだって?ほら、これでも食べて元気を出して。それにしても、大きくなったねえ。」
トシキの境遇は村の公然の秘密のようなもので、誰でも知っているのです。トシキはメイヤーさんの奥さんが持ってきた軽食とお茶をいただきました。
親方はじっと、嬉しそうに食べるトシキを見つめています。メイヤーさんの奥さんは親方をちらりと見て気の毒そうに笑うと、去っていきました。
00152/2
2008/09/01(月) 16:25:34ID:G/VPJ1mT親方にこそこそと何かを言いました。聞いた親方の表情が変わりました。
「トシキ、お前宝石とか見てないよな。」
トシキは正直なものですから、見ていませんと言いました。
「本当か。」
「はい。」
「じゃあ、探すから手伝え、うちの奥さんの紫水晶のペンダントがなくなったんだ。」
確かに、奥さんは教会に行く時にはいつも、そのペンダントを付けていました。
その宝石は、奥さんが少女だった時に亡くなった、母親のものだったと、話していたものでした。
一家総出で家中を、居間、洗い場、寝室と探し、最後にトシキが住ませてもらっている屋根裏部屋へ。
トシキの物入れの箱の中に、アメジストは輝いていました。親方たちの怒り様は一通りではありません。
トシキの恩知らずをさんざん罵り、服まではぎとって馬の鞭でミミズ腫れになるまで叩き続け、
血がにじむトシキを下着姿のまま、夕暮れの街へ放り出しました。みなしごのトシキには行くあてはありません。
どうしよう。傷はひどく、ひりひりと全身が痛みます。惨めなトシキは教会へ入って行きました。
トシキの身体はミミズ腫れにあざ、それにいっぱいの傷跡で、夕日を浴びる磔刑像そっくりでした。嗚呼…トシキは像を仰いで祈りました。
どうしてこんな目に遭ってしまったのでしょう。絶対に奥さんが仕組んだのに違いありません。
このとき、トシキには自分の思い込みが間違っていることを知るすべはありませんでした。いつしか疲れのままに、トシキはうとうとまどろんでいました。
夜半過ぎ。寒々とした星明かりに照らされて、小さな影が教会へ近づきます。気配でトシキは目を覚ましました。リリアでした。
手にはなにやら持っています。
トシキ「お兄ちゃん。」
「しっ、静かに。」
「トシキお兄ちゃん、寒いでしょう。これを着て。」
それはトシキの服でした。
「痛む?」
「痛いよ。とても痛い。」
何が痛いと行って服の布地が肌に当たって痛いのです。
「お兄ちゃんかわいそう…。」
「ありがとう。でも、リリアは帰らなきゃいけないだろ。ほら。」
リリアを家の前まで送ると、トシキは教会へ戻ろうとしました。空には一面の星。
「お兄ちゃん、どこに行くの。」
「教会だよ。心配しなくても、大丈夫。」
「違うよ。もう家の中に戻ってもいいんだよ?ほら。」
トシキは気が引けましたが、リリアの促しに仕方なく、リリアについて入ると、リリアはろうそくの手燭を灯し、
「こっちこっち。」
寝室の方へ歩きます。訝りながら寝室に入ると…。
床に横たわる親方の頭は潰れてぐちゃぐちゃ、奥さんの首筋はぱっくりと横ざまに切り口を開いて、シーツは一面血だまり。
トシキは言葉を呑みこみました。
「へへ、すごいでしょ。」
「お前…。」
「お母さんの首は包丁で切ったの。お父さんは金槌で何度も頭を叩いたわ。だって、二人ともお兄ちゃんをいじめるんだもん。」
「あれ、なんで泣いてるの、お兄ちゃん。きっと喜んでくれるって、思ったのに。お兄ちゃんまで、あたしを避けるの?」
ともかく、このままではまずいことは明らかでした。トシキとリリアは死体を斧、鋸を駆使してばらすと、
教会の広場の井戸に投げ込みました。二人は夜のうちに逃げだし、さまざまな困難に遭遇しながらも成長し、
ある谷あいの町に腰をおろしました。手に職があったもので、大工の仕事は何とか形になっていきました。
二人は結ばれ、かわいらしい娘を持つことができました。こうして、二人は幸せに暮らしましたとさ。
とはならなかったのです。彼は孤児を住み込みの見習いにすることにしたのでした。
それにしても、こうまでうまくいくとはね…実際、一家の全員が一人の少年を愛したなんて、
笑えてしょうがないわ、ふふっ。血は争えないってやつかしら、やっぱり。
私のトシキをお前らに渡すはずないじゃない。まともな妻子をもったショタコンとかいい年して少年愛しちゃった人妻とか気持ち悪すぎるってもんよ。
ああ、そう、並んだ死体は綺麗だったわね…まるでアメジスト。血液はルビーを溶かした液なのね、きっと。
そういえば、宝石が無くなっても誰も私を疑わないんだもの、うまくいきすぎるのも張り合いないわね。
切断された肢体もなかなか美しかったわ。何といっても、折檻された後のがトシキ一番綺麗だったけれど。
傷だらけで、打ちひしがれて、ぞくぞくしたわ。ふふ。
この頭、お父さんのかしら、重いわねー。脳空っぽのくせに。大体、井戸が遠すぎるのよ。ああもう、腕がきつい!
0016暗鬱短編
2008/09/01(月) 16:31:25ID:OIJ2AMzX今の今まで忘れていたけれど、確かにあの娘の命日だ。
あの娘の事を思い出すとなんだか苦い記憶が蘇ってくる。
あの娘が原因で疎遠になった仲間がいるし、結局の所俺はフラれてしまったのだから良い思い出ではない。
だけど、思い出の善し悪しじゃなくて思い出してしまったのだから何かをしなければならないとは思う。
花を捧げる? 俺は彼女の好きな花を知らないから却下。
あの娘の眠る慰霊碑にでも行ってみる? 今からだと帰りが遅くなるから却下。
アルバムから彼女の写真を取り出して見てみる?
一番簡単で手っ取り早いからそれに決定だ。
探せば色々出て来た。隠し撮りした写真や書きかけのラブレターがとか色々ある。
若気のいたりと言える物残しているとは片腹痛い。
必要無いものを後生大事に残しておいてあるとは、我ながら女々しい野郎だな、思ってしまう。
無用の長物を見ていると、思い出が鮮明になってくる。嫌な思い出ばかりだけれど。
そう言えば、あの娘を巡ってケンカ別れしたアイツは元気だろうか。
風の噂だと外国にに渡ったとか渡らないとか。多分、行動に筋が通って無いのは変わっていないだろう。
三つ子の魂百まで、なんていう諺もある。
さて、この無用の長物をどうしようか。残しておいても良いけどなんだか癪に触るし困ったものだ。
そうだ。いっその事、火にくべて燃やしてしまおう。
線香代わりに燃やしてしまえば思い出す事もないだろう。
思い出したのが命日だったから、思い立ったが吉日だ。
善は急げと新聞紙とライターを持ち出して庭で火を着けた。
一枚一枚火にくべて灰にする。風が無いから煙は真直ぐに天に登っていく。
なんだか涙が出て来た。煙が目に染みた訳じゃない。多分、俺は彼女に心底惚れていたのだろう。
心の傷が鈍く痛み出す。 まあ、なんだ。罰が当たる訳でもないから彼女の冥福ぐらいは祝ってやろう。
さよなら、俺はお前の事が嫌いだけど好きだったよ。
――幕。
これも某所に投下したのをいじくった奴
0017名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/01(月) 16:39:18ID:G/VPJ1mT乙です!それなのに俺は童話なぞあげて…
すごく感情移入しやすいSSですね。気にかかったのは「俺は」の主語が多いことかな
墓じゃなく慰霊碑ってことは何か過去にあったのかな…もっと深く読みたいですね
線香がわりってフレイズが好きです。
0018名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/01(月) 16:53:22ID:OIJ2AMzXGJ!
すらすらと読みやすい文章で面白いと思いました。
短編だと出だしの三行で読者を引き付ける必要があるのだけど、十分引き付ける力があると思う。
二次で書いた奴を改変した奴だから深く読ませられないorz
0019名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/01(月) 17:03:27ID:G/VPJ1mTあざーす。俺のはある意味ロリババァw
ちょっとネット環境を離れますが、別に1がいてもいなくても機能するはずのスレなので
皆さんどんどんご利用くださいね〜
今日はもう一つ上げて帰る予定
00201
2008/09/01(月) 17:11:34ID:G/VPJ1mTそんな高台の高級住宅地の中、一軒の木造の建築物があった。表札が読める。SO.NO.DA.園田。洋装白塗りで、屋根は緑。
若干の庭には一本の桜の樹がある。あいにくと葉桜の頃も少し過ぎて、若葉が明るく萌えていた。梅雨入りにはまだ間がある。
既に初夏の日差しが溢れていた。光に満ちた博多の海。坂の向こうの青い空を、雲は流れてゆく。二度と再び帰っては来ない。
ただ流れて―。果てから風が吹く。
男がうつぶせに倒れている。よく見ると、体の下から赤ん坊の腕のようなものが出ているのが見える。
まるで、恋人をかばって死んだかのように、二人は折り重なって倒れている。だが、この小さな世界には、生きているものはいない。
男は何を守ろうとしたのか。男の体の向こう、ガラス越しに、冬枯れた桜の木が見える。辺りは一面銀化粧。
夜のうちに降り積もった雪は、背景を白一色に染めていた。しんとして音もない。
「うーっ、寒いっ。ホトケさん、自殺で間違いなさそうですね、ただ女物の靴の跡は気にかかりますけれど。
笹石さんはどう思います。」
「この人には女性がいたんでしたねえ。彼女の靴を調べてみてください。ああ、缶コーヒーを一本帰りに頼みますよ。
私はもう少し家の中を調べてましょうかねえ。」
「わかりました。」
部下は背を向け、歩き出した。
こんにちは。私の名前はさつきと言います。今から少しお時間をいただいて、私の人生を狂わせたあるできごとについて、お話をさせてはいただけませんか。
そして、私の罪を罵ってください。罪な女と罵倒してください。私には、そうされる理由があるのですから。私は、一人の人を殺しました。
これからお話しするのは、世にも奇妙な、そして何物にも優って美しい憎しみと、汚れなき愛の物語です。それでは、まいりましょう。
さつきは心を痛めていた。最近、恋人の園田―彼女はソーダと呼んでいた―が、どうも自分の殻にこもりがちなのだ。彼の親友の中井にも聞いてみたが、どうやら彼女の前に限らず、どこでもそうらしい。
「最近は家からも出てないんじゃないかな。あいつの家、ほら、坂の上の。この前二回くらい通ってみたんだけどさ、いつ通ってもあいつの原付があるんだ。」
同棲の話なども出ていただけに、決して他人事ではない。最近は電話しても留守電になることが多かったな、などと思う。
何か傷つけるような言動をしたかどうか振り返って考えてみるのだが、さっぱり身に覚えはない。さつきは、彼の家に行ってみることにした。
00212
2008/09/01(月) 17:15:28ID:G/VPJ1mTふと登ってきた方を見て、ふっと息をのんだ。この見晴らしがよい高台にはこれまでも何度も来てはいたが、
これほど展望が素晴らしいとは思いもしなかったのだ。福岡市内と、その向こうの博多湾、海の中道と広がる玄界灘が見える。
大気は澄み、海は碧く、白い街々に日射しは映える。庭の桜の木はもはや葉をつけてはいなかった。
一息ついて、呼び鈴を鳴らす。一度。二度。出てこない。三度。待ってみたが、何の応答もなかった。
仕方がない。帰ろう。さつきは門から足を踏み出した。そのとき、隣家の人らしき影が隣の庭に見えることに気づいた。
主婦のようだ。尋ねてみる。
「あのー。ここの家の人って…」
「ここの人の知り合いかい、あんた。用があって来たの?ここの若い男の子でしょう。最近は時たま出入りするくらいかねぇ。」
「そうなんですか?」
「んー、なんだか気味が悪いのよ。話し声みたいなのがしょっちゅう聞こえるんだけれど、あの子以外…
誰も出入りしていないみたいなんだよね。なんか女の子の声も聞こえるような気がするのよ。」
初耳だった。当然だが。誰かと電話でもしているのか。だが園田の交友関係は狭かったはずだ。
とすると、このおばさんの見ていない時に、相手は出入りしているのかもしれない。
「あの、ありがとうございました。」
「いいのよ。これ、うちで採れた野菜だけれど、要る?」
申し出は丁重に断り、その場を後にした。そのとき、窓のカーテンから覗く、人のものならぬ目に気づかなかったのは、
むしろさつきにとっては幸運だったに違いない。
胸中に暗雲が鎌首をもたげるのを感じながら、帰路、園田との歴史を振り返っていた。二人が出会ったのは、高校生の時だ。
四年間時間を共有してきたさつきだったが、これほど不安になったのは初めてのことだった。
さつきは園田の家を少し見張ってみることにした。さりげなく離れた場所で見守る。
秋風はそろそろ冷たさを交え、紅葉した落ち葉が道の隅には吹きだまっている。二日間、仮眠を取ってはいたがほぼ眠らずに観察していた。
さつきは、自分にこんな熱意があったことに驚いていた。それほどに、園田の存在は大きなものとなっていたのだった。
一度園田は出入りしたが、食品を買って来ているようだった。とくにほかの人間の出入りはない。
流石に身体に限界が来たので、携帯で中井にわけを話して交代してもらうと、自分のアパートに帰るや、ベッドに倒れこんでしまった。
そのまま二日の疲労もろとも眠りの世界へ旅立とうとしたちょうどそのとき、携帯の着信音が聞こえたような気がした。
このとき、携帯を見ていたなら、少しは異なる結末を迎えられたのかもしれなかった。だが。
00223
2008/09/01(月) 17:19:00ID:G/VPJ1mT携帯を見ると、不在着信通知とメッセージ。メッセージを聞いてみる。
「ピー。もしもし、中井でーす。寝てんのかな?いま、あいつの家から話し声が聞こえるよ。
ひとつは女の声みたい。このメッセージ聞いたら返信して。ピー。」
またノックの音がしている。ドアを開けると、去ってゆく背中が見えた。中井だ。
呼び止めると高い背中はこちらを向いた。二人がアパートのドアまで戻ると、中井は話し始めた。
「さつきちゃんが帰ってから三十分くらい後かな、あいつの声が聞こえたんだ。やっぱり浮気してるよあいつ。
あんまりよく聞き取れなかったんだけど、たしかに女の声みたいなのがするね。」
さつきはもう許せなかった。園田の家に乗り込んでやる。あっけにとられた中井を尻目に、走り出した。
勢いのままに玄関の扉を叩いた。出てこない。原付はある。絶対に居るはず。何度も叩く。叩き疲れたころ、扉が開いた。
「うっせーなー。誰だこんな時間に。全く…」
園田の言葉が途中で凍りついた。
「お前か…」
「お前かじゃないわよ。私に隠れて浮気て、ソーダ、どういうことよ!」
「浮気って…はあ?お前なんか勘違いしてるんじゃないの?何が浮気だよ。」
「嘘だっ!だって、女と会話してるソーダの声を、みんな聞いているのに。
居るんでしょ。中に。出しなさいよ!」
「んー…誰もいないんだけどなあ。なんなら上がって探しまわったっていいぜ?」
「そう。じゃあ勝手に上がるわよ。」
さつきは靴を脱ぐと、上がりこんだ。居間。園田の部屋。台所。クローゼットの中。屋根裏。納屋。
家のどこにも人が隠れている様子はない。園田は悠然とさつきについて歩く。
一階の居間を通った時に、三十センチ四方くらいの黒塗りの飾り箱があって、園田に聞くと、彼は子供のころ、集めた貝殻を入れているのだと答えた。
さつきは深く気にとめはしなかった。大体人間が入る大きさではない。女を隠している場所はないかさんざん探し求めた挙げ句。
「ほら、誰もいなかったじゃねーか。」
「私の知らないところに隠しているのかもしれない。わからないじゃない。ソーダの自信満々の態度が怪しいわ。」
「おいおい、ちょっと理不尽すぎるだろ。人を疑いすぎなんだって。大体人間一人隠しおおせるわけないだろ。
言っとくが、俺以外、この家に人は住んでない。人の家に傍若無人に上がりこんできやがって…」
「悪かったわね、上がっていいって言ったのはソーダでしょ。大体ソーダのことを心配してなかったらこんなこともしないんだからね。」
「でもこれでわかったろ?」
「なあ、機嫌直せよ。そうだ。今度の土曜、俺のお詫びも兼ねて出かけないか。とりあえず天神行って、大名で昼飯食って夕方は海岸でまったりしようぜ。」
さつきは園田を疑っていたことで気がとがめてもいたので、それ以上強気に出ることもなくデートの約束をしてその場を去ったのだった。
00234
2008/09/01(月) 17:21:17ID:G/VPJ1mT「ねえソーダ。なんか上の空じゃない?」
「そうか?いつもこんなんだろ。ほら、海行くぞ海。」
こんな時、さつきは何かが空回りしているような気分になるのだった。
「あの建物は何?」
「福岡マリンメッセ。目立つよな。」
「ほんとに。それにしても、ここ船が多いね」
さつきには、あの話し声について話を振る勇気はもはやなかった。今の一時だけでもいい。この幸せを。
さつきは気づいた。園田の視線が宙をさまよっているのを。デートしているはずの自分の方を見るどころか、
白中夢でも見ているかのように見える。心ここにあらず、といった風情だった。さつきの目に涙が浮かんだ。
こんな時間さえ、奪われてしまうのか。怒気を抑えて尋ねてみる。
「ソーダ今、誰かほかの人のこと、考えてたでしょ。」
「いや、さつきのことを考えてたさ。」
二人の共有した四年間という時間は、その答えが本当かどうかをさつきが判断するには十分すぎた。
「もう知らない!その人と幸せになればいいじゃない!」
さつきは駆け去った。園田は思わず立ち上がったが、結局、追いかけなかった。
走っているさつきの口から、つぶやきが漏れる。
「死んでやる」
絶対に死んでやる。
「死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる
死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死ん
でやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでや
る死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでや
死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる
死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる
死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる
死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる死んでやる。」
00245
2008/09/01(月) 17:23:48ID:G/VPJ1mTさつきは死ぬのは怖くなかった。それどころか、いつ死んでもいいとさえ考えていた。だが、一つの考えが頭をよぎった。
私から私のソーダを奪ったやつは一体どんな人間なんだろう。死ぬ前に顔を拝んでおきたいものだわ。
いっそ、殺してやろうかしら…さつきはまた、ソーダの家の前へ行った。ほどなくして、園田が帰って来た。何やら呟いている。
園田が家に入っていってしばらく後だった。あの声が聞こえたのだ!それに対して園田は、ただいまだの待たせたねだの言っているように聞こえる。
さつきは家の中に乗り込んだ。どこか冷静な自分を感じる。園田はどこ?会話の聞こえる方へ―
園田は居間にいた。さつきの顔を見てもさほど驚いた様子もなく、さつきに一言も口をはさませることなく、彼は語った。
「とうとう見つかってしまったか。仕方がない。紹介しよう。山梨まきなさんだ。伊万里を裏切ったことは申し訳ない。だが、いま俺たちは相思相愛なんだ。
どうか、身を引いてくれないか―」
「私は最初、ソーダが何を言っているのか、まったくわかりませんでした。なぜと言って、
ソーダの腕の中に抱かれていたのは、一体の人形だったのですもの。ただの、人形だったのです。
私は、語っているソーダの眼に、狂気の色がないのを見て、大丈夫だと思おうとしました。
ソーダは普通の人間に普通の人間を紹介するのと同じように、丁度中井を私に紹介してくれた時と全く同じように、
語っていたのです。しかし、そのとき私は気づきました。ソーダの眼が、どこをも見ていないことに。
焦点が違う次元にあっていることに、気づいたのです。それなのにソーダは恐れを抱いた私には目もくれず、
『山梨まきなさん』のことを滔々と語るのです。どんな人間のことをしゃべっている時よりも生き生きと、
活力に満ちた様子で。たまに人形の方へ同意を求めるような素振りさえしており、ソーダを見ていると、
人形も実際に答えているかのように思えてしまうほどでした。私はショックで逃げ去ってしまいました。」
00256
2008/09/01(月) 17:26:45ID:G/VPJ1mT両膝を抱えてがくがくと震えていたのです。やっと落ち着いたとき、私の心の中には一つの決心が生まれていました。
私はそれを実行に移すことにしました。もう一度、あのいとおしいソーダを取り戻すために。
人間の世界へ引き戻すために。私はソーダが外出したすきに、家に押し入って、あの居間へ行きました。
思ったとおり、そこにソレはいました。あの飾り箱の中です。ふたを上げて中のソレと目が合ったとき、
私はぞっとしました。それは、美しかったのです。その造作はたいそう艶めかしく、凄まじいまでの生気を感じさせました。
私は人形についてさほどの素養を持っているわけではありませんが、装い、大きさは普通の人形と変わるところはありませんでした。
違っていたのは、どんな者にもはっきりと伝わる、表情です。私は、ソレに魂が宿っていることを確信しました。
この小さなひとがたには、並の人間ではありえないほどの壮絶な意思がこもっていたに違いありません。
そうでなくては、あれほどの美しさが存在し得るわけがありませんもの。事実、その瞳に取り込まれるような気さえしました。
次の瞬間、ソレは笑っていたのです。私は頭に血が上り、何も考えられなくなりました。この人形が、すべてをめちゃくちゃにしたのです。
気がつくと、私は人形の頭をひっつかみ、振り回していました。球体関節の四肢を無理やり引きちぎり、ガラスの卓に叩きつけ、
洋服をひきはがし…丸い頭は後頭部が欠け飛び、腕は確実に裂けて割れていました。室内そのものにしてからが、それは悲惨なありさまで、
少し気がとがめ始めたのですが、ソーダを救うためにやっていることです。私は自分の腕が動かなくなるまで、破壊し続け、満足してアパートに帰りました。
事実その夜、私はソーダがあの状態になってから初めて、ゆっくり眠れたのでした。ソーダに会うと、彼は私を許してくれました。
それどころか、よく道に迷っていた俺を救ってくれた、俺はどうかしていたよ、と。晴れ晴れとした顔で言うのです。
それは以前の通りの私の恋人でした…そこで私は目が覚めました。朝になっていました。」
00267
2008/09/01(月) 17:28:54ID:G/VPJ1mT以前はソーダだった死体でした。人形の上に倒れ伏し、目が開いたままの。それは、一種神聖なものでした。
ソーダと目が合いました。悲壮な表情は、死んでいるにしては妙にリアルなところがあって、私は奇妙な感情に襲われました。
私はついに、人形に負けたのでした。一度限り、永遠の敗北なのです。人形は彼を連れて行ってしまいました。
私の手の届かぬ場所へ。ソーダが怒って私を打ってくれればよかったのに。それならば、ソーダはまだ、人形に奪われてはいないと私は喜んだでしょう。
喜んで殴打の嵐に身をゆだねたことでしょう。それなのに。ふと、そばにある遺書らしきものに目が留まりました。
一行、私とこの人形を共に荼毘に付してほしい。と。そんなことを許せるはずがないではありませんか。
私はその紙を持って、荘厳な光景を後にしました。」
のちにその紙は警察の手に渡ることになり、あの人形は園田聡葵の墓の裏に埋められた。
すべてを見守っていた桜の木は今なお、洋館を見下ろしてそびえている。
ふ…ふふ…頭さえ欠けてこのザマだけど…
あなたには渡さないわ……絶対に渡さない。
渡すものですか
だーって、私の最後の、マスターですもの。
私の愛しい愛しい、園田様…永遠の夢を見ましょう…
…そう。
…永遠の愛に、溺れましょう…
(完)
0027名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/01(月) 17:29:44ID:G/VPJ1mT0028名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/01(月) 17:45:10ID:po2TReDB0029暗鬱短編
2008/09/01(月) 20:42:40ID:OIJ2AMzX星が移ろい時代が変わり子供から大人になっても、人の心は変わる事はない。
私の心には死んでしまった彼が住んでいる。でも、彼を失ってしまったからぽっかりと穴が開いている。
いくら戦争で仕方がなかったとしても彼を見殺しにした人達に対してはわだかまりがある。
けれど、それは表には出さない。
彼は優しい人だったから、私がわだかまりを露にすると悲しむだろう。
私は彼に嫌われたくないからわだかまりを厳重に封じ込めている。
でも、一度だけ怒りに我を忘れた事がある。それは遠い昔の忘れてしまいたい事柄の一つだ。
今日は彼の命日。私は彼が眠る慰霊碑に赴いた。
慰霊碑は静かで神秘的な雰囲気を作り出している。
周囲には色とりどりの花が彼の代わりに精一杯に力強く、美しく、香しい匂いが溢れる様に咲き誇っている。
その健気な姿に傷付いた心が癒される。
目を閉じると在りし日の彼の姿が浮かんで来た。彼は私に向かって微笑んでいる。
不意に静寂を切り裂く様に騒がしくて無神経な足音がした。
目を開いて振り向くと、何処かで見た亊のある顔があった。
彼を見殺しにした人達の一人だ。
私はそいつを無視して慰霊碑に向かって手を合わせる。そいつが私に挨拶などをして来るけど。私は無視する。
今日でなければ、此所でなければそれなりに愛想を振り撒いても良いけど、今日という日、此所という場所では無理。
もとよりそいつが私の心に入り込む余地などは全くない。
それでもそいつは私に向かってペラペラと話しかけてくる。
あまりにも五月蠅いので少しだけ相手をしてやろうと振り向くと、綺麗な花束を差し出された。
私がきょとんとしながら黙っていると、機関銃のような勢いで言葉を撃ち込んできた。
でも、言葉は右から左にすり抜けていく。
解った事は、その花束を私にくれるという事だけだ。
丁度良い。花束を慰霊碑に供えてしまおう。
花には罪はない。そいつから花束を受け取ってそのまま慰霊碑に供えると、風が強くなってきた。
空を見上げると彼の姿にそっくりな雲が浮かんでいる。
――私は思い出を抱き締める様にその雲にいつまでも手を振り続けた。
――幕。
0030名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/03(水) 10:27:27ID:FYm6Z476ねと環境復帰。遅レス失礼
例によって「私は」の多さは気になりましたね。自分だけかもしれませんし
そういう表現もありだとは思うのですが、視点が一貫しているだけにもったいない気がしました。
「私の心には死んでしまった彼が住んでいる。でも、彼を失ってしまったからぽっかりと穴が開いている。 」
ここの描写なんですが「心の中の彼は永遠に死ぬ前の彼であって、もう物語は増えない」という意味だとすれば
「私の時は、彼が死んだ時点で止まってしまった。季節は私を通り過ぎてゆくけれど…。」
のような(一例)描写もありかなと感じました。
「そいつが私に挨拶などをして来るけど。私は無視する。」
もくどいかな、「挨拶をしてきたが、無視する。」のようにリズム重視の短文を挟むとよいかな、と思いましたが
やっぱり書き手の味なんで、自分の味を大事になさってください。
シーンとシーンの構成力は素晴らしいです。「〜様に」が多いかな、と時折引っかかるくらい。
ありがとうございました。
0031名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/04(木) 01:08:14ID:aDGtZXNU0032名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/04(木) 01:44:50ID:aDGtZXNU>>14-15
読んだことあるwwwwwwwwwwwww三行スレではお世話に(ry
初心者スレではなんか揉めてるけど、文法は守ってもらうと読みやすいかな
文章自体は読みやすいと思う。けどラストをわざわざ一人称にしなくても良かった。むしろ文体変わってぶち壊し感が
例えば部屋の片隅で不気味に笑わせるとかして、リリアの独白にして処理するほうがぐっと綺麗にまとまるはず
後、
>一家の全員が一人の少年を愛したなんて、
の描写が薄かったかも。特に大工の妻が惚れてるのが良く分からなかった。
リリアの台詞だけじゃなくて、もう一声工夫を
以下個人的な意見
>見かねた大工さんが奥さんを?ると、
>リリアはパンをロ黄に
>トシキ「お兄ちゃん。」
>折檻された後のがトシキ一番綺麗
誤字?
>「トシキお兄ちゃん、かわいそかわいそなのです。」
さすがにちと寒い
>このとき、トシキには自分の思い込みが間違っていることを知るすべはありませんでした。
オチを盛り立てるなら、ここでネタ晴らしするのは勿体無い
>さまざまな困難に遭遇しながらも成長し、
いきなりざっくりしすぎに思える。山を越え谷を越えじゃないけど、少し添えていいかと
0033名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/04(木) 02:08:49ID:TxCDb84fありがとう…いつぞやはお世話に。
誤字は言い訳の仕様もありません。ほんとにお恥ずかしい
内容はこれからに生かしていきたいと思います。
0034名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/04(木) 15:21:56ID:kKhBuUSk大学に入って最初の夏休みに、私はメイド喫茶で何人ものご主人様を笑顔で萌えを大安売りをした。
その結果、秋口にはバイト代で中古のノートパソコンを手に入れる亊が出来た。
私はそのパソコンで就職に有利になりそうなワードやエクセルの使用技術を学ぶ事もせずに、ただひたすら己のリビドーを燃料にして妄想小説を書き殴っていた。
基本は二次。一次だってどんとこい。
鼻息ばかりを荒くして、傷付きやすく繊細な年頃の少年達が身を寄せ合い、いつしか友情は愛情に代わり互いに愛し合うという感動的なストーリーを何本も紡ぎだしていた。
女子ならば至って普通の亊である。
男なんてものは観賞用でしかないのだから、見て妄想して楽しむだけで充分なのだ。
男臭いのは嫌いだし、嫌らしい視線は生理的に嫌だし、なによりデリカシーがない。
酒に酔ってはセクハラをして恥じないし、満員電車ではすぐにお尻や胸をを触ってくる。
痴漢を駅員に突き出した回数は両手の指よりずっと多い。
そもそも一年も浪人生活を送った原因は受験会場に行く前に痴漢にあったからだ。
心身ともに傷付けられた私は実力を発揮する事も叶わずに、試験の間ずっと涙を流すハメになった。
受験には惨敗した私は、痴漢を社会的に抹殺することでウサを晴らす危険人物にまで落ちぶれてしまった。
でも、そんな黒歴史はどうでもいい。
現在の私はトラウマを埋めるべく、妄想恋愛小説を書き進めているのだ。
雀の鳴き声に気付くと空は明るかった。またオールで書き続けてしまった。
やっちゃったなぁ、と一人ごちると台所に向かいヤカンに火をかける。
コンロはおんぼろで火力の調整は不可能で弱火のまま。
洗い物はそのまま。カップラーメンのゴミが積み上げられて搭みたいに屹立としている。
女性の住処にしては生活感に道溢れてだだ漏れになっている。
お湯が沸くまでに暫く時間がかかるのでそこらじゅうに転がっている雑誌やDVDの箱を踏まないように気を付けながら、ユニットバスに向かう。
鏡を見れば当然の如く酷い顔だ。幸いなのはやつれて目元にクマがあるだけで見れない顔では無いことだろう。
蛇口を捻って勢い良く水を出すと、手を濡らして試供品で貰った洗顔フォームの袋を開けて掌に垂らす。
豪快にバシャバシャと顔を洗うとヤカンが私に呼び出しコールを送信してきた。
0035名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/04(木) 15:22:54ID:kKhBuUSk安アパートの壁は隣の若者が夜中に見ているアダルトビデオの音を通過させる程薄いのだ。
他人に迷惑をかけても他人に迷惑はかけたらダメなのだ。
私を創作の世界に引きずり込んだ中学生時代の先輩の教えを未だに守る私はそれなりに可愛い女だと思う。
うん、それなりに。
彼氏がいないのは当然だとしても彼女がいないのが不思議なくらいだ。
投下おわりですよ
0036名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/04(木) 17:09:22ID:TxCDb84f特に表現や文章に粗もないし。
強いて言えば長い文がすっきり読みにくい印象がありますかね、
>私はそのパソコンで就職に有利になりそうなワードやエクセルの使用技術を学ぶ事もせずに、ただひたすら己のリビドーを燃料にして妄想小説を書き殴っていた。
や、
>お湯が沸くまでに暫く時間がかかるのでそこらじゅうに転がっている雑誌やDVDの箱を踏まないように気を付けながら、ユニットバスに向かう。
の文は当然二文程度に分けた方が良いかと感じました。長くするにしてもどうつなぐか、修飾するかってのは難しいものですね。
イイ女かつ腐ってジャンルを最近よく見る気がするんだが、これは現実を反映してるんだろうか?
さて問題は、自己紹介文では読者を引きずり込みにくいって所ですかね。ここは仕様なのでこのまま
頑張るしかないですね、ありがとうございました。
複数の方のレスがあった方がいいと思うので、もしROMな方いらしたら感想だけでも書き込んで><
二行、三行から長文、投稿お待ちしてまーす
0037Tear's':1
2008/09/04(木) 19:59:03ID:PRjENPPA〜懐古〜
ある夏の日だった。
たくさんの人で賑わう公園。その一角に、ファーストフードの露店が出ている。それは特に珍しい光景ではなく、多くの人が足を止め、思い思いの物を買っては笑顔でその場を後にする。
そこから少し離れた場所に、一人の少女がいた。少女はなにをするわけでもなく、じっとベンチに座っている。その視線は、随分前から露店に注がれたままだ。
やがて少女が立ち上った。おもむろに露店の前へ歩み寄り、しかしすぐに注文するわけではなく、しばらくそこに並んでいるものを見つめていた。
「……ソフトクリーム」
囁くような声。少女は売り子に硬貨を手渡し、代わりにバニラのソフトクリームを受け取った。
少女はその場でおずおずと舌を出し、ソフトクリームのてっぺんを舐める。
「…………」
なにかを考え込むように、少女は一度動きを止めた。自分が舐めたソフトクリームを凝視し、再び舌を出す。一度目よりも慣れた様子で、ゆっくりと味わうように白い山を舐めとる。
「あの……どうかしましたか?」
少女の様子をじっと見ていた売り子が、恐る恐る口を開いた。
「……甘い」
そう呟いた少女の目から、涙が溢れていた。止めどなく零れ落ちる涙を気にも留めずに、少女はソフトクリームを口にしている。売り子はどうしていいか分からずに、ただおろおろと少女のことを見つめていた。
ソフトクリームを口にしながら、彼女はいつか交わした会話を思い出していた。
《自由になったら、お前はなにをしたいんだ?》
『そうねえ……。とりあえず、夏になったらソフトクリームが食べたいかな』
《ソフトクリーム?》
『そ。こんな形のコーンに乗ってて、冷たくて甘くて、美味しいの。一度だけ食べたことあるんだ』
《ほぉ》
『いつか……本当に自由になったら、一緒に食べよ』
《……そうだな、興味はある》
『うん、じゃあ約束。絶対気に入ると思うよ。女の子だからね』
それは、本当にささやかな会話だった。まだ少女が平和な日常に憧れていた頃、少女が『その存在』と共にあった頃の、夢の話。その頃は、こんな時間が訪れることをまるで予想していなかった。少女も、少女に宿った『その存在』も。
(約束したのに……)
涙を零しながら、彼女は独りでソフトクリームを食べる。
そして、もうこの世にいない、約束を交わした者との時間を彼女は思い出していた。
0038Tear's':2
2008/09/04(木) 20:01:18ID:PRjENPPA「ぁ、ぅ…………あ……」
突然の惨劇を前に、アヤは呻き声を漏らしながら冷たい床に座り込んだ。
アヤの目の前には、赤銅色に染まった人間の残骸。全身に鮮血のドレスを纏い、アヤは震えながら自らの右腕を見やった。凶器と化したそれは、獲物を欲するかのように確かな脈動を繰り返し、アヤに語りかけてくる。
〈私の声が届くか?〉
「ぇ……だ、誰?」
〈私はお前の中に宿る者だ。今、お前は私を見ているだろう〉
アヤが見ているもの。それは先程、アヤの意識から離れ男を貫いた異形の右腕だ。
「腕……? あんたが、これをやったの……?」
〈そうだ。この腕だけは私にも操れるらしい。もっとも占有ではなく、あくまでもお前との共有という形らしいが〉
「……なに、が……なにを、言ってるの? どう……なってるの……?」
状況の理解がまるで追いつかずに座り込んだままのアヤの耳に、聞きなれた音が届いた。
鉄製の廊下を規則的に叩く革靴の音。アヤがなによりも嫌悪する者が、ここに近付いて来ている。
やがて、赤く染まったその部屋には不釣合いな純白の白衣を纏った男が、ゆっくりと姿を現した。
「…………」
男は目の前の惨状にも顔色一つ変えずに、床に座り込んだままの血まみれのアヤを見下ろす。その目は冷酷な程に鋭く、アヤとその右腕を交互に見つめた。
「実験体RA-02……随分と稀有な結果が出たな。単なる強化しか施していないはずの右腕が、形状が変化する程に進化している」
「……私は、人間よ……実験体なんかじゃないっ。そんな記号で呼ばないで!」
「何度も言っているだろう。お前達は、人間ではなく兵器。正確には、それを作り出す為の道具でしかない」
「違うっ……! 私は人間よ!」
〈過度なストレスを感じているな。原因はあの男なのだろう? 殺してもいいんだぞ。今のお前なら出来る。出来ないというなら、私がやってもいい〉
その声と共に、また右腕がアヤの意識を離れてゆっくりと持ち上がると、まっすぐ男に向けられた。
「いや、やめて!」
悲痛な声を上げ、アヤは右腕に力を込めた。すると、アヤの意思通り、右腕はすんなりと下がる。
「え、あれ……? 動かせる……」
〈さっきも言ったが、この腕は私の占有ではなく、お前との共有だ。それに、どうやらお前の意思が優先されるらしい〉
「……共有……あんた、一体なんなの……?」
「一人でなにを言っている?」
アヤを見下ろしていた男が訝しげな表情を浮かべている。どうやら男には、アヤの右腕の声は聞こえていないらしい。
「なにって……私をこんなにしたのはあんた達でしょ! この腕も、声もっ……なんでこんなことするの!? 治してよ!」
はち切れそうな声。アヤは涙を浮かべ、男を睨み付けた。
だが、そこでアヤの声が途切れた。睨み付けた男はそれまでの冷たい無表情ではなく、驚愕の表情を浮かべ大きく目を見開いている。
「今、なんと言った? 声……だと?」
初めて見る男の様子に気圧され、アヤは視線を外すことも出来ず体を強張らせた。
「声……命が宿ったというのか? 一つの体に二つの命が……そんなことが……」
小声で呟きながら、男はふらふらとアヤに近づいてくる。禍々しい狂気を帯びた瞳。
「思わぬ形の成功……いや、これは……」
恐怖に支配され、アヤは思わず叫んだ。
「いや……来ないで、来ないでっ!!」
〈精神状態が限界だな。私がやる〉
0039Tear's':3
2008/09/04(木) 20:02:28ID:PRjENPPA「……あ、あぁ……」
くずおれる男を見つめるアヤの目から、一滴の涙が零れ落ちた。
「私……は、なに? もう、人間じゃないの……?」
〈この腕は確かに人間の物ではないだろうな。だが、その涙はお前が人間であることの証だろう。少なくとも私には、涙は流せない〉
慰めのつもりなのか、それともただ思っていることを口にしているだけなのか、アヤの中に宿った存在は淡々と告げる。
「あんたも……なんなの? 私の腕を、こんなにして……」
〈この腕の変化は私の関与するところではない。私の意識が覚醒した時には、既にこうなっていた〉
「……やっぱり、ここの奴等のせい? 変な手術されたり……兵器にする為だって……」
これまでのここでの生活を思い返し、アヤの心を影が覆った。人間ではなく、兵器となる為の実験体として扱われてきた日々。
〈私はお前の味方だ。それは信じてもらっていい〉
「え?」
〈その上で聞こう。お前は今、苦しんでいるんな。その苦しみはどうすれば消える? お前はこれからどうしたいんだ?〉
突然の問い。これまでアヤは、したいことなど考えたこともなかった。ただ、実験体ではなく人間として……。
(……そう、そうだ)
アヤの中で、一つの答えが導き出された。アヤはいつも、ただそれだけを望んでいた。そして、今ならそれが叶うかもしれない。
「私は…………自由になりたい」
〈なら、そうすればいい。お前がそうしたいと言うなら、私はお前に力を貸そう〉
力強く帰ってきた声。その声に背中を押されるように、アヤは腰を上げる。
「じゃあ……逃げよう、ここから。でも……」
ゆっくりと立ち上がったところで、アヤはぴたと動きを止めた。
〈どうした?〉
「……あんた、本当に私の味方なの? 信じていい?」
〈……ふむ〉
やや考え込んだような間の後、突然アヤの右腕が顔の前まで持ち上がった。目の前で起こった惨劇を思い出し、アヤの体が恐怖に震える。
「イタッ」
だがその衝撃はアヤの予想に反して軽く、肉を裂く激痛も血の生暖かさもなかった。アヤの右手は、中指で自分の額を小突いただけだ。
衝撃に続き、僅かに機嫌の悪そうな声が聞こえた。
〈私は味方だ。お前が信用するまで続けてやろうか?〉
「分かった分かった、痛いから止めてっ」
自分の腕とじゃれ合うという傍目にはおかしなことをしながら、それでもアヤは鮮血と屍に満ちた部屋の中で笑っていた。
会話をするということ。人間として扱ってもらえるということ。例え、その相手が人間ではなかったとしても、今のアヤにはそのことがなにより嬉しかった。
「あんた、女の子でしょ」
〈私か? 身体を持たない私に性別などないと思うが〉
「ううん、たぶん女の子だよ。私には分かる」
〈そうか。まあどちらでもいいが〉
そんな他愛のないことを口にしながら、アヤは冷たい廊下を必死に走った。どこが出口かも分からない。出口の先になにがあるのかも分からない。
ただ、自由が欲しかった。
不思議な程に誰もいない廊下。もう誰もいないのか、アヤが逃げていることに誰も気付いていないのか。それとも、わざと見逃しているのか。
その答えを出す余裕もなく、アヤは足を動かし続ける。
0040Tear's':4
2008/09/04(木) 20:03:15ID:PRjENPPA「…………」
深く息を吸い、アヤは扉に手をかけた。その細腕には重いはずの扉も、変貌した右腕のおかげですんなりと道を譲る。
「……これが……外?」
扉の先、アヤの視界に映ったのは荒れ果てて久しい廃墟だった。かつては大きな街だったらしいそこには、まだ昔の面影が随分残っている。
〈おい、あれを見ろ〉
「あれ?」
アヤは右腕が指す先に視線を向けた。誰も暮らせるはずのないその街に、確かに人影が見える。そして、その身体は明らかに人間のそれとは違っていた。アヤのように右腕だけではなく、全身が異形へと変貌している。
〈よく分からないが、あれもお前と同じなのか。どう見ても普通の人間ではないな〉
「多分、私みたいになにかをされたんじゃないかな……でも、なんで外にいるんだろ」
全身異形のそれは、アヤの姿を確認したらしくゆっくりと近づいてくる。どす黒く染まった身体を左右に不規則に揺らせながら、それの右腕が持ち上げられた。
「……ッ!」
アヤはハッと気付き、自分の体を見下ろした。アヤの服は、右腕が殺した二人の男の返り血を浴びて赤というよりどす黒く染まっている。
「あの身体……血、みたいね」
〈ああ。いい予感はしないな〉
「……ねえ」
アヤはその場所から動くことなく、静かに口を開いた。
〈どうした?〉
「私、自由になるよ、絶対。今覚悟した。とにかく、まずはこの街を出よう。これからなにがあるか分からないけど……全部、乗り越えてみせる」
〈……そうか。なら、その覚悟の程を見せてもらおう〉
異形の腕から、鈍く光る刃のような物が幾筋も生えた。その腕を持ち上げたまま、異形は足を止めることなく確実にアヤに迫ってくる。
アヤも右腕を上げた。近づいてくる異形に向けて、真っ直ぐに構える。その動きには微塵の躊躇いもなく、アヤのダークブルーの瞳には強い決意が浮かんでいた。
0041Tear's':5
2008/09/04(木) 20:06:27ID:PRjENPPA今は廃墟と成り果てた、とある街。まだその街が街として機能していた頃、その街の中心にある大きな建物の中で一つの実験が始まった。
それは、命ある兵器を作り出す実験。実験体として老若男女たくさんの人間を集め、様々な手術を繰り返した。身体を強化し、異形へと変貌させ、命さえも作り出そうとしていた。
だが、自然の摂理を侵す実験から生まれたのはただの屍か、異形となり心を失った人間の成れの果て。
それは失敗作として街にうち捨てられ、ただ本能に従い街の人間を殺した。赤黒く染まる異形の群れと、血肉の匂いに包まれる街。やがて、街は廃墟と化した。
異形が跋扈する街の中心で、今なお実験は続いている。
そして、数え切れないほどの失敗を繰り返した末に、たった一度だけ「成功作」と呼ばれるものが生まれた。
「……これで、何人目?」
〈何人と数えるなら、四人目だ〉
血飛沫を舞い散らせながら、アヤは異形の頭部から右腕を引き抜いた。
肉を貫く感触。返り血の匂いと温度。最初は吐き気をもよおすほど不快に感じた物に、アヤはすっかり慣れてしまった。
漆黒の髪がワインレッドに染まったとしても、ここから逃げ出し自由になるまで足を止めない。それが、アヤの覚悟。
アヤは血に染まった右腕から力を抜いた。異形の右腕はシュルシュルと音をたてるように長さを失い、その異様ささえもまるで作り物だったかのように、普通の腕に姿を変える。
〈もう完全に扱えるようになったな。便利な腕だ〉
「兵器、だからね……。それにしても、どこまで行けばいいんだろ」
随分走った気がするが、まるで街から出られる気がしない。
〈とにかく、今は進むしかないだろう。ここでこうしていても、襲われるだけでなにも解決しない〉
「……うん、分かってる」
アヤは形を持たない同行者に頷き、また走り出した。それも手術のせいなのか、実験体として捕まってからほとんど運動をしていないアヤだったが、どれだけ走ってもまるで疲れることがなかった。
自分の身体がどこまで作り変えられているのかを考えるとアヤはぞっとしたが、今だけはそれがありがたい。
アヤは闇雲に走り続ける。目に映るのは朽ち果てた建物と、腐敗した屍の山。そして、ふらふらと彷徨う異形達。
そんな場所でアヤの目に映ったその姿は、夢の中に迷い込んだような錯覚をアヤに与えた。
異形に追われ、アヤの方に向かって逃げてくる一人の少年。どこからどう見てもその姿に異形の影はなく、それは間違いなく、ここにいるはずのない人間の少年だった。
「どうして、こんなところに……!?」
〈理由は分からないが、どうする? どこかに隠れてやり過ごせば、見つかることはないと思うが〉
「そういうわけにもいかないでしょ!」
アヤはスピードを上げ、少年に向かって疾走した。少年もすぐにアヤに気づき、驚愕とも困惑とも取れる表情を浮かべる。
0042Tear's':6
2008/09/04(木) 20:07:35ID:PRjENPPA「えっ……!?」
すれ違いざま少年に声をかけ、アヤは異形に向けて右腕を構えた。アヤの右腕が禍々しく姿を変える。だが、それが異形を貫く前に異形も右腕を突き出し、二つの拳がアヤと異形の中間でぶつかった。
「ぐっ……!」
元が人間にしては太すぎる異形の腕。その外見に違わず、異形は凄まじい圧迫感でアヤの右腕を押し返してくる。
〈力では勝てないな。一度下がった方がいいんじゃないか?〉
「でもっ……」
声に従うことなく、アヤはかろうじて自分の背後に視線を送った。そこには、何が起こっているか分からず、ただ呆然と立ち尽くしている少年がいる。
「ッ……巻き込みたく、ないから……」
〈……仕方ないな、力を貸そう。そのまま拳を下げるな〉
「分かった、お願い……!」
言われたとおり、アヤは右腕を伸ばしたままの姿勢で必死に堪えた。少しずつ、右腕になにかが込み上げてくるような感覚がある。
もはや押し切られると思ったその時、突然アヤの右腕が回転するように細く鋭くなり、異形の右腕を肩口まで貫いた。
「っ!」
〈後はとどめだ〉
アヤは驚きのあまり一瞬動きを止めたが、すぐに身体を捻り右腕を左に下げた。そこから、全身を使って遠心力を乗せ、一気に右上に切り払う。腹部から胸部にかけて身体を両断され、異形は重い音をたてて血で濡れた土の上に崩れ落ちた。
〈本当に便利な腕だな〉
「おかげで、私はどんどん人間離れしていくけどね……」
そんなことを口にしながら、アヤは右腕を元に戻す。その腕を見つめ、心深くから沸き起こる感情を、アヤは無言で振り払った。
「……あっ」
思い出したような声を上げ、アヤは後を振り返った。そこには、やはり少年が立ち止まったまま固まっている。
「大丈夫だった?」
少年に歩み寄り、そっと手を差し出すアヤ。少年は大袈裟なほどにビクッと身を震わせ、恐る恐るといった様子でアヤを見つめた。
「……怖いよね、やっぱり」
アヤは手を引くと、作り笑顔を浮かべて少年に背を向ける。
「ここは危ないから、早く逃げた方がいいよ」
それだけを告げて、その場を離れようとアヤは足を踏み出した。
「あ、あの」
少年の声に、アヤの足が止まる。アヤが振り返ると、少年はまだ顔を強張らせたまま、それでも笑顔で頭を下げた。
0043Tear's':7
2008/09/04(木) 20:11:52ID:PRjENPPA「私にも分からないの。ごめん」
「……そうですか……」
項垂れ、暗い声を出す少年。アヤは少年に背を向けることが出来ず、二人はその場で立ち尽くしていた。
〈どうした、逃げないのか?〉
「うん、逃げるけど……」
アヤは少年へ視線を向けた。少年は相変わらず俯いたまま黙り込んでいる。
「ねえ」
「あ、はい」
「一緒に行く?」
「え?」
アヤの言葉に、少年は目を丸くした。
「でも、どこに行けばいいか分からないって……」
「うん、分からない。だから、とりあえず歩き回ることになるけど、それでいいなら」
出来るだけ優しく、アヤは少年に笑いかける。少年の顔には、まだ少し恐怖が浮かんでいる。アヤは、少しでもそれを拭いたかった。
「どうする?」
「…………」
〈私は推奨しないな。危険が増すだけだ〉
「仕方ないじゃない。このまま見捨てるわけにもいかないし」
「はい?」
「ああ、なんでもないの。気にしないで」
不思議そうにアヤを見つめる少年に、アヤは苦笑いで答えた。
少年はしばらく逡巡していたが、やがておずおずと口を開いた。
「……本当に一緒に行っていいですか?」
「うん」
「じゃあ……お願いします」
少年の顔から、やっと恐怖が消えた。アヤは少年に向けてそっと右手を差し出す。
「私はアヤ。あなたは?」
「僕は……」
少年は確認するようにアヤの右手を凝視した。やがて、自らの右手を伸ばしてアヤの手をそっと握る。
「僕はユウです。よろしく、アヤ」
二人の手が静かに繋がる。人間とは違う力を持ったアヤの右腕は、初めて傷つけることなく人間に触れた。
0044Tear's':8
2008/09/04(木) 20:12:49ID:PRjENPPA隣を歩く、自分より少し背の低いユウに、アヤは視線を向けないままそっと声をかけた。
「……ねえ、ユウ」
「なんですか?」
「ユウはどうしてここにいたの?」
それは、アヤにとって聞きづらい質問だった。おそらくは同じ境遇であるユウにとって、それが答えづらい質問だと分かっていたからだ。実験体としての毎日を思うことは、アヤの心に痛みしか生み出さない。
アヤはそう思ったのだが、ユウはそんなアヤの内心をよそにあっけらかんと答えた。
「それが、よく分からないんです。気付いたらここに連れて来られてて」
「なにもされなかった?」
「いえ。何度かよく分からない検査や手術をされましたけど。昨日、『もうお前は必要ない』ってここに置き去りにされて……」
アヤは首を傾げた。ユウの言っていることがどんな意味を持っているか、アヤには分からない。だが、ユウがアヤのような生活を強いられていないらしいことは救いだった。
「……僕も一つ聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」
「うん?」
アヤがユウの方へ目を向ける。直後、アヤはユウの身体を強く抱き寄せた。
「ぁ、あの……」
驚き、ユウが声を上げたのとほぼ同時、アヤの右腕がユウの目の前で姿を変えた。その腕は、家の影に姿を隠していた異形の首をしっかりと掴み、そのまま首を握りつぶす。異形の頭部は胴体から分断され、人形のそれのようにあっけなく地面に落ちた。
「なに? 聞きたいことって」
右腕を元に戻すと、アヤは胸に抱いたままのユウの顔を覗き込んだ。
「あ、その……えっと……」
やや頬を朱に染め、ユウはもごもごと口を動かしている。その姿がなんだか微笑ましく、アヤは思わず吹き出してしまった。その笑い声に、ユウはさらに頬を染め、俯いて黙り込んだ。
「あは、ごめんごめん。ユウ、ちょっと休んでいこうか。ユウの話もちゃんと聞くから」
アヤはユウの返事を確かめることなく、手近な家の中へユウを促した。その家はほとんど損壊がなく、テーブルやベッドも家主がいた頃のままであろう様子で残っている。
0045Tear's':8
2008/09/04(木) 20:13:42ID:PRjENPPA「大丈夫、この様子だとなんとかなりそうだし。ユウに無理させるわけにもいかないしね」
ユウに聞こえないように小声でアヤは答えた。ユウの様子を窺うと、やはり疲れているのかベッドに腰を下ろしてボーっと目を泳がせている。
アヤもベッドに歩み寄り、ユウの隣に勢いよく腰を下ろす。布団が沈み込む音と同時に、放置された年月を物語るように埃が舞い上がり、部屋に充満した。
「それで、聞きたいことってなに?」
アヤが問いかけると、ユウはどこか申し訳なさそうにアヤの顔を見つめ、やがて小さく口を開いた。
「……アヤの、その腕はどうしたんですか?」
その言葉を聞いたとき、アヤは強張る自分の表情を隠すことが出来なかった。拳を強く握り、歯を食いしばって、湧き上がる怒りを必死に抑える。
「…………ユウと同じで、私も随分前にここに連れて来られたの。そして、何度も手術を受けて……ユウはなにもされなかったみたいだけど、私の腕はこんなにされた。『お前は兵器だ』って、それだけを何度も聞かされて……」
話しているうちに、アヤの瞳からは涙が溢れていた。激しい怒りは、いつの間にか心を引き裂かれるような痛みに変わっている。涙は次々に零れ落ち、囚人服のようなアヤの服を濡らしていく。
「どうしてこんなことになったんだろ……。必死に逃げてきたけど、本当はこれからどうすればいいのか、全然分からない……ただ、自由になりたかった……。でも、いくら自由になったって、こんな化け物になったらもう……」
「アヤ」
独り言のように言葉を吐き出していたアヤを遮るように、ユウはアヤを抱きしめた。
人の温もり。人に抱かれる安らぎ。アヤの痛みは、まるで水に溶けていくように静かに薄れていく。
「……アヤは化け物じゃない。アヤは僕を助けてくれた、優しい人間です。一緒に自由になりましょう。僕はずっとアヤと一緒です」
「ユウ……ありがとう」
アヤはユウの背に腕を回し、その身体を思い切り抱き寄せた。アヤよりも小柄なはずのユウの身体が、随分大きなものに感じる。命を奪うために作られた右腕で、アヤはユウの頭を引き寄せる。
静かな廃屋の中で、お互いを求める息遣いだけがやけに大きく響いた。
0046Tear's':9@18禁
2008/09/04(木) 20:14:56ID:PRjENPPA「んっ……ユウ、ユウッ……」
ベッドの上で身体を絡ませながら、貪るように唇を交わらせる二人。服を脱ぎ捨てたアヤの身体には、実験の名の下に付けられたたくさんの傷が痛々しく残っている。ユウはいたわるように、もう消えることのないその傷を優しく舐めた。
「ちょっと、くすぐったいっ……」
思わず身をよじらせるアヤ。ユウは逃げようとするアヤの身体を抑え、傷を舐める舌を少しずつ下腹部へと移していった。
「アヤ、ここはどうですか……?」
「ッッ……!」
茂みに辿り着き、ユウはそこも丁寧に舐め始めた。アヤは恥ずかしさに目を閉じ、懸命に声を堪えている。やがてユウが舐めるそこから蜜が溢れだし、淫らな水音がアヤの耳に届いた。
〈この行為はなんだ? これは不快感ではないのか……?〉
困惑気味の声に答えることが出来ず、アヤは首を左右に振った。それを見たユウが慌てて口を離し、アヤに声をかける。
「すいません、辛かったですか?」
「ハァッ……ううん、違うの。それより、もう大丈夫だから……」
ベッドに背を預け、アヤは行為を促した。ユウは頷き、いきり立ついちもつをアヤのそこに宛がう。
「ゆっくりしなくてもいいよ……辛いのは、すぐ済ませたいから」
「でも……」
「大丈夫だから、ね」
「……。分かりました」
無理に微笑むアヤの恐怖を拭い去るように、ユウもアヤに笑顔を返した。そして、ユウはアヤの上に覆いかぶさるように身を構え、腰にグッと力を込めた。すべての抵抗を無視して、ユウのいちもつは一気にアヤの中に埋没する。
「……んッ、ぃた……」
思わず漏らした声。その声に反応するように、アヤの右腕が姿を変えようと蠢いた。
(! 待って、これは違うっ……)
アヤは腕に力を込め、ユウを切り裂こうとする右腕を抑え込む。それが気に入らないらしく、荒っぽい声がアヤを責めた。
〈何故だ? お前は今苦痛を感じている。それを与えているのはこの男だろう〉
(違う……そうだけど、違うの……)
そう口に出すことも出来ず、声に『大丈夫』と答える代わりにアヤはユウを抱き寄せた。まだ痛みは消えない。それでも、ユウの温もりに包まれているうちに、右腕の疼きはいつの間にか消えていた。
アヤは静まった右手でユウの左手をとった。指を絡ませ、ユウがそこにいるのを確かめるようにしっかりと握る。朽ちかけたベッドを軋ませながら、お互いを求め合う二人。
行為が終わった後も、二人はしばらく繋がったまま余韻を味わっていた。アヤが初めて味わったその感覚は、痛みを伴いながらも温かく、ユウの持つ優しさに満ちていた。
0047Tear's':10
2008/09/04(木) 20:15:50ID:PRjENPPAその感触を楽しんでいると、声がアヤに語りかけてきた。
〈どうした?〉
「……なにが?」
〈何故泣いている? まだ苦痛を感じるのか?〉
アヤは頬を拭った。僅かに頬を伝っていた涙が、アヤの指で光っている。
「痛いからじゃなくて、嬉しいから泣いてるの」
〈嬉しい? 嬉しいのに何故泣く? 人間は嬉しい時笑うものだと思っていたが〉
「もちろん笑うよ。でも、嬉しくて流れる涙もあるの。痛くも苦しくもない……これは、あったかい涙だよ」
〈……私には理解しかねるな〉
そう言って首を傾げる姿ないはずの声の姿を、アヤは見たような気がした。瞼に映ったその姿が、命を奪い取る右腕とあまりにかけ離れていて、思わずアヤは笑ってしまう。
〈なにがおかしい?〉
「あんた、やっぱり女の子だったよ。思ってたよりずっと可愛かった」
〈? なんのことだ?〉
「いつかあんたが人間になったら分かるよ。その時には、たぶん嬉し涙の意味もね」
その言葉に、声の向こうにいる存在が息を飲んだのが、アヤにも分かった。
〈人間に? 私が? なれるわけないだろう〉
「なんで? 私の腕もこんなになったんだから、あんたも人間になれるかもしれないでしょ。自由になったら一緒に探そう、人間になる方法」
〈……人間、か……。ところで、一つ聞きたいんだが〉
珍しく声からアヤに問いかけてきた。アヤは間の抜けた顔で首を傾げる。
「なに?」
〈自由になったら、お前はなにをしたいんだ?〉
「そうねえ……」
ひと時の安息の時間の、他愛ない会話。眠っているユウを起こさないようにそっと、二人の会話はしばらく続いた。
「まだ眠い?」
「いえ、大丈夫です。ただ、なんだかボーっとして……」
休憩を終え、二人はまた街の外へ向かって進みだした。無理に起こしたせいか、ユウはまだ完全に意識が覚醒していないらしく、ふらふらとした足取りでアヤの後をついて来る。
「大丈夫かな……」
〈気を抜くな。こんな所で死ぬわけにはいかないだろう〉
「うん、約束したしね。……ユウ、頑張って」
笑顔で声に頷き、アヤは後を歩くユウに視線を向けた。重い足取りで歩くユウの背後に異形の姿を確認し、アヤの表情は一瞬で険しさを増す。
「ユウ、逃げて!」
叫びながら、アヤは右腕を異形に伸ばした。だが、
(間に合わない……ッ!)
アヤの腕が異形を貫くより早く、異形の振り下ろす腕がユウの身体を両断しようと迫る。
「ユウッッ!!」
悲痛な叫び。その声の直後、アヤの顔は驚愕の色に染まった。
異形の身体を貫いたもの。それは突然ユウの背から服を突き破り生えた、禍々しい一対の棘。
「……ユウ……それ、まさか…………」
「アヤ……体が、熱い……。それに、声が……聞こえ……」
苦しげにそう言ったユウの腕が、足が、身体のすべてが、人間ではないものへと形を変えていく。
やがて、ユウの身体が完全に異形へと変貌した時、アヤの瞳から涙が零れた。それは一粒の、痛みの涙。
「…………どう、して……」
0048名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/04(木) 20:39:58ID:kKhBuUSk0049Tear's':11
2008/09/04(木) 21:12:28ID:PRjENPPA「今頃、あの実験体はどうなっているでしょうか」
「例の成功作のことか? 覚醒するのもそろそろのはずだ。ゆっくりデータを取った後で、然るべき処理をすればいい。試作としてはそれで充分だ」
「失敗作が一体逃亡したとの情報があります。なにか興味深い結果が出たとか」
「ああ、あれか。強化した右腕に命が宿ったらしい。もっとも、本当に命かどうかは怪しいところだが」
「命、ですか? ですが、一つの身体に二つの命というのは……」
「そうだ、有り得ない。確かに興味深いのだが……だが、人間の意識を保っている以上、兵器としては使えん」
「そうですね」
狭い部屋で交わされる会話。その言葉は、白衣を着た二人の男以外誰にも、実験体と呼ばれる本人達にさえも聞かれないまま、淡々と記録されていった。
「……なんだ、お前は」
もはや人間ではなくなったユウの口が、冷たく言葉を吐き出す。
「……ユウ、あなた……」
「ユウ? なにを言っている。お前のこの腕はなんだ、お前は我と同じ存在か?」
異形の手がアヤの右腕を掴んだ。人間とはかけ離れた力。アヤの腕が姿を変えていなければ、おそらく一瞬で握り潰されるであろう程の力で、異形は掴んだアヤの腕を振り払った。
「ッ!」
〈気をつけろ、こいつは既にあの男とは違う存在だ。殺さなければお前が殺される〉
「……、でもっ……!」
「その声は我と同じ存在だな。人間の中でなにをしている? さっさとその身体を侵食すればいいだろう」
アヤは目を見開いた。アヤにしか聞こえるはずのない声。その声が、目の前の異形には確かに届いている。
「ユウ、この声が聞こえるの!?」
「黙れ、人間。我はその声の主に話している」
「うっ……」
射抜くようにアヤを睨み付ける異形の瞳。初めての恐怖に、アヤは言葉を失い一歩後ずさった。
「どうした? 簡単なことだろう、その人間の精神を喰えばいいだけだ」
〈……何故、そんなことをする必要がある?〉
「何故、だと? 我らは人間を殺す為に生まれた。今のお前は、おそらくその人間にあらゆる制約を受けているだろう。それでは我らの存在意義を果たせない」
〈私の存在は、人間を殺すためにあるわけではない。この人間を守る為、この人間と共にある為に、私は今ここにいる〉
「……何を言っている? 我には理解出来ない」
〈出来なければ理解する必要はないだろう。私も、お前の言うことを理解するつもりはない〉
「…………」
異形は口を閉ざし、軽く首を振るような仕草を見せた。そしてゆっくりと上げられた視線は、少しもぶれることなくアヤに注がれている。
「……ユウ?」
「ならば、理解するのは止めよう。我は我の存在意義を全うする」
0050Tear's':12
2008/09/04(木) 21:16:28ID:PRjENPPA「ユウッ!」
アヤはかろうじて声を出したが、身体までは反応出来ない。異形の腕が、アヤの目前まで迫る。
だが、その腕がアヤの顔を貫こうと届く前に、アヤの右腕が目前に迫る腕をかろうじて止めた。
「……! ハァッ、ハァッ……!」
〈大丈夫か?〉
「……うん、ありがと」
異形の腕を振り払うとアヤは後ろへ大きく飛んで距離を取り、何度も荒く息を吐き出した。
「本当にその人間を守るというのか?」
異形はアヤを、アヤの中に宿る者を責めるように視線を向けた。
〈今そう言った。偽りはない〉
その視線に臆することなく、声は異形に答える。互いに、引くつもりは微塵もないらしい。
その中でアヤだけが泣きそうな表情を浮かべ、震える声で異形に話しかけた。
「ユウ、元に戻って……もう止めよう……」
「ユウとはなんだ? お前はなにを言っている?」
〈諦めろ。あれの中身はもうユウではない〉
「違う! あれは、ユウだよ……きっと元に戻せる……。ね、ユウ……お願いだから、目を覚まして。一緒に逃げよう」
ふらふらと、おぼつかない足取りで異形へ近寄るアヤ。異形は表情を変えることなく、向かってくるアヤに殺意を込めた視線を注ぐ。
〈アヤッ! ……仕方ない、私がやる〉
アヤの右腕が瞬時に伸び、異形の頭部を掴んだ。異形は虚を付かれたのか、避けることもせずその場に立ち竦んでいる。そのまま握り潰そうと、声は右腕に力を込めた。だが、腕にはそれ以上力が入らない。
「止めて……ユウを、殺さないで……」
〈アヤ、あれはもう……〉
アヤは俯き、涙を流していた。右腕は完全にアヤの意識下にあり、声にはそれ以上どうすることも出来ない。
すると、頭部を掴まれたままの異形が怪しげに口元を緩ませた。
「なるほど、この身体はこういう使い方もあるのか」
そう呟き、異形は左腕をアヤに向けて構えた。その腕が別の生物のように蠢き、少しずつアヤとの距離を縮めていく。
〈アヤ〉
「…………」
突然、異形の腕が一気に伸びた。腕は狙いを狂わせることなくアヤの心臓をめがけて迫り来る。
〈アヤッ!〉
「……ッ!」
アヤは目を閉じ、右腕に力を込めた。異形の鋭い爪がアヤの左胸に突き刺さり、その腕をアヤの血が伝っていく。だが、異形の腕がそれ以上アヤの身体を傷付けることはなかった。
肉も骨も、アヤの右腕は掴んでいたすべてを握り潰した。その腕は重い音を響かせ、周囲に鮮血を撒き散らせる。
「…………」
返り血を浴びながら、アヤはその場に立ち尽くす。その瞳は暗く沈み、もう涙を流すことさえなかった。
0051Tear's':12@完結
2008/09/04(木) 21:19:04ID:PRjENPPAどこへとも知れず、アヤは無言で足を動かし続けた。目の前に異形が現れようと、攻撃する素振りも見せない。ただ右腕だけが、アヤを守る為に赤い雨を振らせ続ける。
〈アヤ、しっかりしろ〉
「……」
〈自由になるんだろう?〉
アヤは地面に座り込んだ。力のこもらない声で、独り言のようにぶつぶつと呟く。
「……自由になっても……もう、ユウは……」
〈言っていただろう、『全部乗り越えてみせる』と。私と約束もした。あれは全て偽りだったのか?〉
「…………ごめん……ごめん、ね」
それは、誰に対する謝罪だったのか。アヤはその言葉を告げると、自らの首を右手で掴んだ。今右腕の力を解放すれば、アヤの首は間違いなく握り潰され、アヤの命はここで尽きる。
〈アヤッ、止めろ!〉
「もう、いいよ……なにもかも……」
アヤは笑っていた。希望ではなく、絶望に染まった笑顔。声は理解した。もう、アヤを救うは出来ないのだと。
理解するのと同時に、声はそれを行っていた。アヤの精神を喰らい、アヤの身体を侵食すること。せめて自分だけはアヤのことを忘れず、アヤと交わした約束を守る為に。
(……ありがと)
アヤの声が聞こえた気がした。手を伸ばし、その姿を捕まえようとする。声を張り上げ、その姿を引きとめようと……。
「アヤッ!」
だが、伸ばされた手は虚しく空を掴み、口から吐き出された名前はその持ち主を見つけられず、静かに廃墟に溶けていった。
少女は走った。街から出ることさえ忘れ、ただ闇雲に走った。その途中、姿を見た異形を何体殺したかも分からない。足が動く限り走り続け、やがて血だらけの足が止まり座り込んだ時には、街の出口まで辿り着いていた。
雨が降っている。いつから降っていたのか、少女はまるで気づいていなかった。俯くと、濁った水溜りに少女の顔が映っていた。それを見て、少女は自らの頬にそっと触れる。
「アヤ……」
少女が口を開いた。雨音にかき消され、その独白は少女にしか聞こえない。もっとも始めから、それを聞かせる者はどこにもいない。
「お前が言ったとおりだな……私は人間になれた。可愛い女の子だ。お前の身体を貰ったんだ、当然だな。あと一歩進めば、やっと自由だ。約束通りだぞ。……そうだな、ソフトクリームも食べられる。お前が好きだったんだ、私もきっと好きになる」
そこで一度口を閉ざし、少女は高く灰色の天を仰いだ。
「だが……」
それは、水溜りに映る少女の泣き顔を見ない為。ただ一つだけ、それを理解出来なかったことを悔やむように少女は乱暴に瞳を拭った。
「これが涙か……痛いな。私には重すぎる。すまない、アヤ。嬉し涙だけは……私には、理解出来そうにない」
少女は空に向かって腕を伸ばした。今は人間の形をしている右腕。
血も、涙も、痛みさえも、すべてを洗い流してもまだ飽き足りないように、涙雨はしばらくそこに降り続いた。(完)
思ったよりレス数増えた…失敬
0052名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/05(金) 00:21:31ID:mWEnK1zO0053名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/05(金) 00:39:42ID:tIjRYD4Eあれ、これBlackCatの二次?
↓
ちょwwww邪気眼wwww
↓
スイーツ(笑)
↓
板的にアウトじゃねwwwwpink池ww
↓
ツマンネ
こんな感じかな。
0054名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/05(金) 00:41:21ID:tIjRYD4E0055名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/05(金) 01:21:27ID:ogEl/zRg遅レスながら感想を
口うるさく言いたいわけでもないけど、ダッシュとか三点リーダとか鍵括弧前の句読点とか、文法は守ってもらった方が……
まあ、それはさておき
展開に対して描写や形容がチグハグした感じを受ける
例えば、さつきが園田の家を観察するシーンとかは、二日ずっと観察していた、という行為が相当異常なのに、
それを「私こんなにアイツの事・・・//」で片付けると読者置いてけぼりで辛い
三人称なので、観察の異常さをなんらかの形で表していいんじゃなかろうか
あと、大げさな形容が多いような
>園田との歴史を振り返っていた
とか、歴史じゃなくて思い出でよくね? とか。申し訳ないが、小難しく書こうとして失敗しているようにも
見直してみて、大仰かな? と思ったら直しちゃうのがいいべ
あと、やっぱり三人称と一人称が一つの作品にどっちもある、ってのは文章自体の構成美やら読みやすさやらからしても良くないと思う
少なくともさつきの一人称はいらなかったと思う。役割的には導入だけだし、敬体がちょこっと挟まるのが統一感が無いというか
もっと言えば人形のも。三人称はカチっとしたホラーな展開なのに、一人称がアニメみたいなノリに感じられる。お互いがうまみを殺しあってる
余計に煽ったりしなくても十分に展開が引っ張ってくれるので、もっと淡々と進めていいと思われ
以下気付いたところ、気になったところ
・全体的に、会話文の間に描写が無いのが気になった。入れればいいってものでもないけど、
できるなら会話を工夫した方がいいかも
>二度と再び帰っては来ない。
重複表現
>男は何を守ろうとしたのか。
公判の内容的に、
>一階の居間を通った時に、三十センチ四方くらいの黒塗りの飾り箱が
さすがにあからさま過ぎる。「人が入れそうな箱まで残らず調べた」とか誤魔化したほうが
なんかボロクソ書いたみたいで申し訳ないけど、一応ざっと気になったところだけ。頑張ってくだしあ><
0056名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/05(金) 01:32:52ID:mWEnK1zO立派に作者様の中で世界構築されているのではないでしょうか。
エログロに関してですが、グロは特に問題ないかと。
エロの方ですが、私見ですが本当に必要だったでしょうか。
少なくとも私には、この物語に必要な要素とは感じられませんでした。
無い方がいいかとは思います。ここから先は私が意見する域ではないので、
ご自分で決定されてください。
文章表現にミスはないようですが、少し引っかかった部分を以下に拾います。
量の都合で>>37に限らせていただきます。
>ある夏の日だった。→冒頭に「ある日の昼下がり」「ある公園でのこと」「ある所におじいさんと」など、
「ある」を用い形はよく見受けられますが、ここでは「ある」は外した方が良いかと。
>それは特に珍しい光景ではなく、→上同様。「それは」の指示語が省ける。
指示語は便利だが使い方によってはくどく感じるので注意が必要。こういう部分には注意が必要かな。
>>37では「彼女」って単語がいっぱい出てきますが、日本語は主語に変化がない限り、特に主語は必要ないものです。
もちろん使うことはできますが、鬱陶しくなることがありますので極力省きましょう。
シンプルな文がおいやな場合は無視してください。
例: 涙を零しながら、彼女は独りでソフトクリームを食べる。
そして、もうこの世にいない、約束を交わした者との時間を彼女は思い出していた。
二個目の「彼女は」にとってつけた感がありませんか?省いた方がいいかなと思います。
全体でこれを行うとかなり文の印象は変わるでしょうね。
例であげた文章の問題点は他にもあって、この文だけ少女の心中がわかる、いわゆる神視点ですので浮いているんですね。
ここは断定を避けた方が良いと思います。
約束を交わした者との時間を思い出しているかに見えた。 なんてのがいいかもしれませんね。
最後に展開の手法について…最初に回想から入るのはほんと多いです。
前にも幾人か、ここではない評価スレに上げてきてるのを見てますし、自分でも書いてるんで思うんですが
はっきりいって、避けるのがベターでしょう。読者を引きずりこみにくいです。ネタばれしてるようなもんです。
映画「タイタニック」くらいのクオリティであれば可能でしょうが…
こんなところでしょうか。このレスで不快に思われた部分などありましたらスルーしてください。
的外れなこと言ってないか自分でも不安ですので。
0057名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/05(金) 01:47:03ID:ogEl/zRg勢いとはいえ、ちょっと見直そうぜ
>私はメイド喫茶で何人ものご主人様を笑顔で萌えを大安売りをした。
>私はそのパソコンで就職に有利になりそうなワードやエクセルの使用技術を学ぶ事もせずに、
これはさすがに。てをにがだかなんだかがぐちゃぐちゃなので、読み辛い
あとは普通のちょっとメンタルに問題がありそうな女の子、って感じで読めた。強いて言えば、
>搭みたいに屹立としている
>音を通過させる程
辺りは、一人称の女の子が言うにはちょっと変な言い回しかな、と感じた事と、オチ弱いかな、ってことくらい
まあ、頑張ってくだせえ
>>37
18禁と聞いて飛んで(ry
でも18禁はいらなかったかと。会って即ニャンニャンってのはちょっと唐突
展開が飛び飛びで読みにくいので、そこをうまく調整できればもっと面白いはず
てか面白かったです。乙
あとどうでもいいけど、
>漆黒の髪がワインレッドに染まったとしても
黒髪に血が付いてもワインレッドにはならないと思
なんか文句ばっかりみたいになってしまってスマソ
0058名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/05(金) 01:55:14ID:mWEnK1zO>>55
ありがとう。文法は…見苦しく言い訳させてもらうと、ワードの縦書き二段組みの文章から抜いてきたんで、
2chのルールには沿っていないらしい。というのは、ダッシュ、三点リーダに関しては、
必ずしも偶数個使用しないといけないわけではないからなんだ。
説明は省くが特に海外小説訳の文庫本などを読めばわかるかも「キャリー」、「海流の中の島々」「エウリックサーガ」「抜き打ち庄五郎」等で確認。
とはいえ、郷に入っては郷に従えというし、投稿文を適する形にしなかったのはいかにもまずかった。
カギカッコ最後の句点(←これは絶対の不文律)ともども、これから徹底します。
内容(特に人称)についてもおっしゃるところは思い当たる節が多いですし。
また機会がありましたらお願いします。投稿の方もどうぞー。
0059名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/05(金) 02:14:03ID:XBcNAgq9>>56
>発想と展開は文句なしです。
や、素直に嬉しいw
今回時系列を逆転させたのは軽くミスリードを狙ってみたんだが、やっぱ難しいな
その他指摘ありがとう
不快には思わないよ、批評してもらってこそ成長できる
>>57
展開は確かに早足だったかな
もう少しゆっくりを心がけてみよう
>なんか文句ばっかり
批評してもらって(ry
あと、髪については単なる比喩なので、あしからず
エロに関しては、まぁ……完全に自己満足です、申し訳ない
その部分は読み飛ばしてもわかるように書いてるから、
不快な人は読み飛ばしてもらっておkですよ
0060名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/05(金) 03:20:37ID:9/21tcXe面白かったです。
完全にミスリードされました。
他の方も指摘なさってますが、俺もセックスシーンは唐突に感じました。
思い切って省いてしまうか、物語内の期間を延ばしてユウと仲良くなってゆく過程を挟めば
よいのかなと思いました。
0061名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 07:01:03ID:nG+ONvYC三行から受付中、お気軽にどうぞ
0062名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 07:15:10ID:nRvuePnf次の作品を書くためのステップにしたいんだが
0063名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 07:18:47ID:nG+ONvYCかまいませんよ〜
ただ、的確な感想が書けるかどうかは別ですが……
0064名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 07:25:44ID:nRvuePnfおk。返答どうもです
取りあえず完成させてそのスレに投下した後、ここに持ち込みますね
0065名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 07:27:01ID:nG+ONvYC0066名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 15:02:27ID:LCFd7OiPよろしかったら、感想、批評など、よろしくお願いします。
分厚く、薄暗い雲が、寂れ果てた一本道を、浅い闇で覆い尽くす。
既に日の出の時刻は過ぎ、太陽は朝の陽射しを地上に注いでいる。
だが、街の郊外から遠く離れたこの道には、明るい陽射しは全く差し込まれない。
大型車両がやっと通れる程度の幅しかない一本道を挟んで、みすぼらしい人家が、左右、
あちこちに散らばるような形でポツンと建っている。その数は10軒あるかないかの程度だ。
朝の訪れ、朝の陽射しを拒まれたこの道を、コート姿の一人の人間が黙々と歩く。
フードが頭をすっぽりと覆い、どのような表情をしているのか、そもそも、どんな顔を
しているのか、はっきりと確かめる事ができない。
両腕には、30cm近くはある“何か”が、薄手の毛布に包まれた状態で抱えられている。
薄暗い空の下、身を切るような寒風が吹きすさぶ中、その者は顔をうつむかせたまま、
自分の他には、人も車の類も全く行き交わない道を、黙々と、重い足取りで歩き続ける。
表情を完全に包み隠してはいるが、見るからに疲れ果てた様子で歩き続ける事30分弱、
その者の足がピタッと止まった。
目の前には、有刺鉄線が張り巡らされた巨大な鉄の壁がそびえ立っている。
鉄壁特有の冷たさ、威圧感が、手荷物を抱えたまま立ち尽くす一人の人間を見下ろす。
鉄壁と有刺鉄線が、真上から見下ろし、冷たく睨み付ける。
その眼差しの先には、一人の人間と、その真正面に積まれている幾つかのゴミがある。
そこは指定のゴミ捨て場ではないが、無造作に投げ込まれたごみ袋や粗大ごみが平然と
置かれている。
それに加えて、全身に殴られ、蹴られた痕が色濃く刻まれている子犬の死骸や、刃物で
深々と刺された痕が100近くもある子猫の死骸が、これらのゴミの群れに紛れている。
弥が上にも嫌悪感をもよおすゴミの塊に、毛布に包まれた手荷物が載せられる。
手荷物をゴミ捨て場に捨てると、その者はうつむいたまま横を向き、去って行く。
捨てられた荷物を振り返る事無く、その者は先程と同じく、黙々と、重い足取りで歩く。
すると、
「……ぁぁ〜……ぁぁ〜……」
鉄壁の下にある違法のゴミ捨て場から、か細い泣き声が聞こえてきた。
完全な静寂の中で、微細ながらもやっと聞こえる程度の泣き声である。
「……ぁぁ〜……ぁぁ〜……」
再度、ゴミ捨て場から泣き声が聞こえてきた。見てみると、毛布に包まれた手荷物から、
泣き声が途切れ途切れに漏れてくるのが認められた。
毛布に隙間がある。そこから中を覗いて見る。
すると、その隙間からは、痛ましい無数のあざで埋め尽くされた、小さな赤ん坊の顔が
見えてきた。肌は青ざめ、唇も全く動いていない。
「……ぁぁ〜……ぁぁ〜……」
生死もわからない状態の中、三度、か細い泣き声が赤ん坊の口から漏れてきた。
助けを求めているかのように泣き続けるが、赤ん坊の目からは涙が流れてこない。
散々に痛めつけられたのだろう。涙を流す力さえ無いようだ。
その挙句、その辺のゴミと同様に、違法のゴミ捨て場に捨てられたのだ。
しかし、真上から冷たく見下ろす有刺鉄線と巨大な鉄壁以外には何もないこの場所で、
一人の赤ん坊を取り巻く忌々しき出来事に、目を向け、耳を傾ける者などいるはずが無い。
ただ、身を切る寒風だけが、周りのゴミ諸共、毛布に包まれた赤ん坊を横殴りにする。
「……ぁぁ〜……ぁぁ〜……」
孤独の冬空の下、赤ん坊は尚も泣き続ける。
誰一人、全く気づく者も無く、まして、救いの手を差し伸べる者などいないのに……
0067名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 15:34:52ID:tbmuYTad“男(女)が不法投棄のゴミ山に赤ん坊を捨てた”ってのが要点だよね?
情景描写をしっかりしようとする気は伝わるけど、ちょっと仰々しいというか重たいかも。
まとめられる部分はまとめて、すっきりさせてみては?
『郊外の細く暗い一本道、民家はまばらで人通りもない』みたいに。
0068名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 15:50:44ID:tbmuYTadついでに重箱つつきで申し訳ないんだが、
>街の郊外から遠く離れた……
→街の郊外or街から離れた、で良いのでは。
あと“郊外だから陽の光が届かない”ってのがチョイ引っかかった。林道か何か?
>見てみると、毛布に包まれた手荷物から……
>そこから中を覗いてみる……
→この主語はコートの人物だよね? 自分が捨てたのに中を覗き確認する動作にちょっと違和感を覚えた。
赤ん坊を描きたいなら
『風が毛布をさらうと、そこから傷だらけの赤ん坊の姿が……』みたいに、三人称視点のままで書く方が自然な気がする。
細かくてすまんね。
0069名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 15:58:10ID:tbmuYTad0070名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 16:01:13ID:JaXXTxaX投下終了なら終了宣言しないと駄目だよ。コメントして良いのか悪いから解らないからね。
私見ですが批評をば。
全体的に読点が多いと思う。文がぶつ切りになってるとどの文がどの文に係るのか解りにくくなるから気を付けてね
てにをはに気を使うと文章にメリハリが着くから覚えておいてね。
印象は暗くて重い感じのシリアスな内容。もっと悲惨さが欲しかったかな。
序章ということで出だしに力を入れているみたいだけど、次に繋げるということでラストも同じくらい大事ということを忘れないでね。
文章自体は悪いものじゃないから、完結まで頑張ってね。
>分厚く、薄暗い雲が、寂れ果てた一本道を、浅い闇で覆い尽くす。
既に日の出の時刻は過ぎ、太陽は朝の陽射しを地上に注いでいる。
だが、街の郊外から遠く離れたこの道には、明るい陽射しは全く差し込まれない。
コレは文章の流れがちょっとおかしい。
浅い闇で覆い尽くされている筈なのに、太陽が朝の日差しを差し込んでたら駄目でしょ。
次の文章で明るい日差しが差し込まれてないっていうなら尚更だよね。
説明描写は暗い→明るい→暗いじゃなくて、明るい→暗いにしよう。
> 孤独の冬空の下、赤ん坊は尚も泣き続ける。
誰一人、全く気づく者も無く、まして、救いの手を差し伸べる者などいないのに……
悪くないけどちょっと弱いかな。
赤ん坊の泣き続ける声が孤独の寒空の下に響く。
誰一人気づく者もなく、ましてや救いの手を差し伸べる物などいないのに。
自分の個人的な趣味だとこうなる。無駄な装飾をなくして文章を軽くして、三点リーダーを使わずに文章を切った方がピリッとしまると思う。
投下乙でした。
0071名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 16:13:02ID:nG+ONvYC「指定の」「違法の」「蹴られた子犬」その他のところは説明で伝えるのではなく、情景描写からそれとなく読み取らせるのが吉。
その雰囲気は出せてるし、説明的な文章を入れると視点があいまいになってしまうから、描写に徹した方がいいよ。
現に>>68は後半の視点に明らかに違和感があるみたいだし。 「すると、その隙間からは」ここで「すると、」って必要かな?
こんな風にくどくなってる部分があるのでもう少し省けるところは省こう。重さはそのまま、よりすっきりした文にできるといいね。
今のままだとそれぞれの文のベクトルがごちゃごちゃしてしまう気がする。
0072名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 16:33:24ID:nRvuePnfですが元の文章がかなり粗雑なので、ちょこっと直した後でorz
0073名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 16:57:19ID:nG+ONvYC0074名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 17:06:06ID:nRvuePnfども。無茶苦茶長くなるのでゆっくり投下したいと思います
それと、投下した元スレではタイトルを付けていましたがぶっちゃけどっちもピンと来ないので無名で
ではよろしくお願いします
「博士」のガレージからいつもの様に菜園用の道具を出して、私はいつもと同じく、「博士」の残した花畑へと向かう
かつて「道路」と呼ばれたコンクリートの道は微妙に沈下していて歩きにくいが、それもいつものことだ
コンクリートの道の両隣には誰も整理していない雑草が生えっぱなしの野原が広がっている。入ると虫が付きそうで入りたくない
それにしても何故「博士」はこんな田舎に家を構えたのだろうか。もっと都会なら色々実験できたように
そんな他愛も無い事を考えているうちに、「博士」が生前残したお花畑に着いた
私の仕事は「博士」が生前、自らの財産を費やし育てたこのお花畑を管理する事。花を一つでも枯らさない様に
「博士」が私を作り出したのは、このお花畑を自分の代わりに管理させる為・・・と聞いた。その翌日、「博士」は死んでしまった
一応教えてもらった為、自分自身の整備は出来る。まがりなりにも人工知能は伊達じゃない。ただ、だからこそ困った事もある
自分の整備とお花畑の管理以外に、私には行動がセッティングされてない。だからそれ以外何をすれば良いのか分からないのだ
なのでこうやって管理している間、私はしばし哲学的な思考に入る。それすらも「博士」にプログラミングされた範囲でしかないが
と、言う訳で何時もの思考に入る。まずこれまた何時もの事だが、何故博士――いや、人類は全滅したかだ
「人」と言う名の生物が全滅してもう10年は経つ。無論コレは正確な数値ではなく、私の中の演算装置が弾き出した結果だけどね
「人」が全滅した理由は幾つか聞いた事があるけど、どれも正解とは言えない。正解を見つける前に全滅してしまったからだ
自負するわけではないが、私のようなアンドロイドが作り出せるほど世の中は発展した。にも関わらず何故全滅を避けられなかったのか
全滅と言うにはキレイ過ぎるくらいだった。本当に忽然と「人」だけが消えたのだ。私が作られた翌日に
それから私は永遠と変わらずに、このお花畑と「博士」のガレージを行き来した生活を送っている。毎日毎日
にしても・・・私はふとスコップで地面を掘るのを止めて空を仰いだ。気持ちの良い位澄んだ青空だ。何故こうも空は澄んでいるのか
私の暇と言う名の苦労を何も知らずに。少しは悩んでみろ。おっと、雨は止めてくれ錆びるから
と、気配を感じ私はスコップを掲げた。時折、小動物が闖入して花畑を荒らすことがあるからだ。
無論威嚇するだけで逃げて行くから良いけど
だが今日の闖入者は何時もとは違った。ガサガサと周りの雑草からのっそりとそれは私の前に姿を現した
「・・・君は作業型ロボットか? どうしてこんな所に?」
意外な闖入者の正体は、かつて私よりずっと前に作られた農作業サポートを用途としたロボット、1NE-KAだった
トラクターを思わせる無骨な外見と、黄と黒のカラー、それに両目を思わせる大きな愛らしい? ライトと・・・・・・
ずっと昔だが博士に聞いた話だが――私のようなアンドロイドが開発され、大量生産され始めた日
1NEの様な一つの用途にしか使えないロボットは次々と破棄されていった
なぜ破棄されたかは考えなくとも分かる。自慢ではないが命令されれば全てをこなせるアンドロイドに比べて・・・
1NEは農作業しか出来ないからだ
1NEだけではない。「ロボット」と呼ばれる物はアンドロイドの台頭と共に姿を消していった。おそらく人間の手によって
そして・・・その人間達も突如として姿を消した。世界中かは分からないが、少なくとも「博士」はそう言った。人類は全滅したと
だから今の日本に居るのは、人間以外の生物と、私や1NEの様に人類に作られた「メカ」だけだろう
思考が脇に逸れたが話を戻そう。私は目の前の1NEに視線を向けた。見るかぎり老朽化や故障部位は無さそうだ
・・・待て、それはおかしい。1NEは私が作られる数年前から生産停止にされていると聞いた
つまり今目の前に居る1NEは全く使用された事が無い事になる
だがそれもまたおかしい。何故なら「人」は全滅したのだから。1NEを起動させる事など無理だ。どう考えても
自然とスコップを持つ手に力が入る。私は想定外の事に柔軟に対応できるほどの思考は持ち合わせていない
取りあえず意思疎通が出来るかどうかを試そう。確か・・・私は両目を数回、1NEに向かって点滅させた
旧式と言うと失礼だが、 1NEの様に昔の世代のロボットは「人」やアンドロイドみたいに音声による通信は出来ない
光の点滅で使用者や同式と通信しあう。「人」でいうモーリス信号と例えれば分かりやすいか。では早速
私は数回に分けて両目を点滅した。内容は
「ドウヤッテ ココマデ キタ? イッタイ ドコカラ?」
数分経ち、1NEは微動だにせずライトを点滅し、私に返答した。何々・・・
「キヅケバ ココニ キテイタ ナニモ ワカラナイ」
……私はしばし思考を止めた。そんな馬鹿な。自分がどう起動したか覚えて無いなんて
私は再度、両目を点滅させて1NEに問いただした
「モウイチド キク ダレガ キミヲ キドウサセタ? ソシテ ドウヤッテ ココマデ キタ?」
その時だ、1NEの背後に、全く気づかぬ間に何者かが立っていた。が・・・太陽の逆行のせいか、よく顔が見えない
・・・目の点滅を止めればいいのか。スイッチを止め、私は1NEの背後に立つ人物に焦点を合わせた
するとその人物は、どこか爽やかな言い方で言った
「君は・・・」
1NEの背後にいる誰かに、私はしっかりと向きあう。向き合うと言うか視線を合わせるというか
外見はと言うと、先ほどの台詞から予想できる通り、好青年と言った感じだ。清潔感溢れる黒髪に、整った目立ち
それにすらりと伸びた手足。上に淡い黒色のラフなYシャツにジーンズを穿いている。恐らく…いや、推測しなくともアンドロイドだろう
私に対して声を掛けたまま、その青年型のアンドロイドは微動だにしない。ずっと目が合わしているだけで
目を合わせ互いに警戒(私は少なくとも警戒している)し続けて数分が経った。と、青年型がふと1NEのタンク部分、上部に手を触れた
1NEは青年型に対して特に反応を示さない。と言う事は1NEを作動させたのはこの青年型…なのか?
しかし今日は妙な日だ。数十年振りに小動物以外の存在に会ったと思ったら、廃棄されたはずのロボットに私と同じアンドロイドとは
…で、何が目的でこのお花畑に彼らはやって来たのだろうか。まさか「博士」が昔作り出したロボットが何十年の時を経て墓参りに来たのか
すると青年型はゆっくりと、私の反応を伺うように口を開けた
「君は……いや、言いなおすよ。君が彼の言っていたアンドロイドか」
彼? 「博士」の事なのだろうか。だとしたらやはり彼らは「博士」の知り合いか。直接か間接的な関係は知らないが
ここはまだ反応するべきじゃないな。私は頷きも返事もせず青年型の返答にじっと耳を傾けた
青年型は私の様子に小さく首を傾けると、話を続けた
「それにしてもよくここまで咲き誇った物だね。彼の遺産にしては美しい物だ」
首を動かさず視線だけを周りに移しながら、青年型がそう言った。嬉しいは嬉しいのだか素直に喜べない
青年型が自己紹介してくれないと私としては心を許せない。機械なのに心と言うのも可笑しな表現だが
そうだ、彼が自ら明かさないのなら私から聞けばいい話だ。それなら私自身の警戒心を解かねば
構えていたスコップをその場に置き、私は両手を腰に合わせた
そして見つめっぱなしだった視線を若干ずらす。疲れるのだ、妙に。さて…どう切り出そうか
「…嬉しいよ。貴方が褒めてくれてさぞ「博士」も嬉しいでしょうね。それでさっきから聞きたかったんだけど」
私がそう切り出した瞬間、若干青年型の表情が曇る。やはり普通の用事じゃないか。それはそれで…悪いな、やはり
「貴方とその1NEは、一体どちらから来たのかしら? いえ、先に聞きたい事は一つ。貴方のお名前は?」
私にしては思い切った決断だ。そして数十年ここで暮らしてきたが、ここまで喋ったのは初めてだ
製造されて数十年、会話機能は備わっているのに「博士」と会話する事が無かったからである。亡くなってしまったし
製造された日の自己管理とお花畑の管理の説明時の「はい」と「分かりました」以来だ。というかこれは会話ではないだろう
これまた場は沈黙する。私がいけないのだろうか。もう少し丁寧な聞き方の方が良かったのかもしれない
初めてまともに会話機能を使ったから許して欲しい。と言っても苦笑されるだろうけど。ふと、柔らかな風が私達の前に吹く
不思議な緊張感が場を制している…気がする。結構時間が経っている気がするから早く答えてもらいた
「…やはり消されているんですね。彼の名を」
…何だって? 思わず口が出そうになったのを、彼は無理やり制し話を進めた
「今の君は彼の事を「博士」と呼んでいるだろう? …と説明しても君自身理解できないか
着いてきたまえ。真実を教えてあげよう。…この会話も何度目だろうな」
青年型がそう言い放ち、踵を返した。一緒に1NEもくるくると方向転換をして青年型へとトコトコ付いていく
実際には出ていないが、今の私の頭には黙々と煙が出ている。真実? 何度目? 本当にどういうことだろう?
って…ちょっと待ってくれ! そんな訳もわからない事ばかり告げられても困るし、こちらの事情も考えてくれ
数分考えた挙句…私は花畑を抜け、どこかに向かい、背中が小さくなっていく彼らを追いかける事にした
結局彼らに逆らうわけにもいかず、私はとぼとぼと彼らの後を追うことにした
背の丈まで伸びた雑草の道は非常に歩きにくくめんどうくさい
まったく彼らの素性を知らずについていく私も阿呆なのだが……それ以上に
それ以上に純粋な好奇心が、今の私を突き動かしていた
今までの生活の転機になるかもしれない。花畑とガレージを行き来する、変わらない日常を
だが私はそういう希望を抱く反面、どこか妙な不安を抱いた。本当に変わって良いのだろうか
こんな日常でも、何か意味があるのではないか――と
気がつくと1NEと青年型の姿が消えていた。そして私の目の前には――
「博士」のガレージが門を構えていた。……あぁ、残念
やはりこの日常は変わる事はないか。何が転機だ、馬鹿馬鹿しい
私は吐けないため息を吐くようなつもりで、ガレージに向かお…ん?
いや、待て。彼らは一体何なんだ? 何の為に私の前に現れた?
熱で浮かれてた為に見た夢か? 否、私は機械だ。夢なんて見れるはずが――
ふと、一番思いつきたくない事が思い浮かぶ。まさか……故障でもしているのか?私は
自分の整備に対して手を抜いた事など断じてない。断じて無いのに
が…気づけば私はその場に蹲っていた。蹲るという動作は知っていたが――なぜこんな行動をしているのか
私にはまったく理解できない。いや、理解したくない。だが――私の意志とは無関係に
私の視界は薄暗くなっていく。やがて為すすべなく。視界はプッツリと閉じた
これが――恐怖感というものか。知っていた。存在は知っていたがこれほど気持ち悪いものだったとは
いやだ、いやだ。なんともいえない不快感が私の全身を覆う。もう身動きも取れない
「博士」、なぜ貴方は――感情なんて機能を私に組み込んだのか
これほど苦しく、つらく、悲しいものだったなんて――
消えていく一抹の心細さの中で、私はふと思い出す
「博士」と呼ぶ私の製造者である男の名を――私は知らない
……
「聞こえるかい?」
……どなた?
「君に声をかけた、男のアンドロイドだよ」
青年型……でいいのかしら?
「そう。けれどその呼ばれ方は少し……」
ごめんなさい、そう呼ぶ以外になんて呼べばいいのかわからないの
…それで、今の私は一体どうなってるの
「心配は要らないさ。機能を停止させた訳じゃない
ただ、今の君の身柄は僕が預かっている。「彼」に悟られないようにね」
さっきから聞きたかったんだけど、あなたの言っている「彼」って人は――
「博士」と同一人物と考えていいのよね?
「そうだ。君を作り出し、君にプログラムを植え付け――
君に人類の全滅を教えた、ね」
――そう。としか私は返事できない。どっちにしろそうする以外無い
「驚かないんだ。まぁ当たり前か。で、君はどう思う?」
どう思うとはどういう意味?
「だから、「彼」が人類が全滅した理由について語らなかった事さ。不審だと思わないかい?」
そんな事言われても、「博士」は私がそれを聞く前に亡くなってしまったし
…けれど知りたいわね。貴方が人類が全滅した理由を知っているなら
「本当に知りたいのかい?」
ええ。出来るなら
「……その前に君に聞いておきたい事がある。君はどこまで「彼」を信頼している?」
え? 孤を突くような質問に、思わず私は首を傾げた。信頼って?
「だから、君はどこまで「彼」の言うことを信じているかって事さ
「彼」の言うとおり、人類は全滅し、1NEのようなロボットは駆逐された
けど、君はその様子を実際に目にしたことはあるか? 人類がロボットを駆逐し、人類が忽然と消える様子を」
0079名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 17:16:33ID:nG+ONvYC思わず思考が詰まる。確かに青年型が言うように、私は「博士」から聞かされただけで、実際にその現場に立ち会った事は無い
けど――それでどうしろと? 「彼」、いいえ、「博士」の言動をすべて信じた私に
「…それが全滅の理由さ。人類の」
「「彼」は全世界の――1NEの様なロボットにコンピューターウイルスを流し込んだんだ
それは自分達が人類から必要とされなくなる、不信感を抱く様な、ね」
……それと人類の全滅と、どう関係が?
「分からないかい? ロボット達はそう思い込まされる事によって、人々に反乱を企てた
人類はそれをどうしたか、無論自己防衛の為に戦ったさ。けど、ロボット達はもう人類の予想の範疇を遥かに超えていた」
……もういい
「人類がロボット達によって滅ぼされるのは目に見えていた。さて、人類を滅ぼしたロボットはその後どうなったか」
……やめて
「滅ぼす目標が居なくなったロボット達は、今度は誰が地球を治めるか決める事にした
俗に言う権力闘争さ。けれど、一度箍の外れた連中は……」
もういい! やめて!
私は思わずはっとする。初めてだ。これほどまでに私は感情を露にしたのは
「…すまない。まず話を整理しよう。まず人類が全滅する要因を作ったのは、君が呼ぶ「彼」、つまり「博士」の事だ
そして君は、「彼」に数十年前に作られた女性型のアンドロイドだ。ここまでは良いね?」
理解したわ。……待って。一つだけ疑問があるの。いいかな?
「構わないよ。なんだい?」
その人類全滅と、その要因を作った「博士」に作られ、花畑を管理するよう言われた私に何の関係が?
「それは君が知る意味は無い。そう…知る意味は」
瞬間、バチリと電工ケーブルが切れる様な太い音がして――またも私の意識は途絶えた
だが一つだけわかった事がある。このままでは――私の身が危ない
さて、突然で難だが物語の語り部は彼女から僕になる。僕が何者かは後々分かるよ
それでだ、青年型に誘拐された彼女は何者なのか、そして青年型の正体とは……
とそんな微妙な伏線を、人類が全滅した過程と共に明かしておこう。おっと、心配は要らない。見せ場はちゃんと彼女に託そう
さぁて、では彼女と青年型が語る「彼」いわゆる「博士」と呼ばれる人物について語っておこうか
彼の名は……おっと何だったかな。僕も忘れ草が付いてて困る。……いかん、本気で思い出せない
そうだ、先に青年型が語っていた人類とロボットの衰退と戦争、そして滅亡の歴史について語ろう
まず人類が初めてロボットを開発した…は凄く長くなっちゃうので残念ながら省略。またの機会に
彼女が回想していた1NE系統が、本格的に生産ラインに乗って、人々が日常的に酷……ではなく共に生活していた時代だ
そんな日、「博士」及び「彼」……今後は「博士」と呼ぶ事にするが、「博士」が世界的な学会に自らの研究成果を発表した
今までの1NE型とは根本的に違う外見に、太陽光etcエコロジックなエネルギーを使用した、全く新しい形のロボットだ
分かるね? アンドロイドだ。「博士」の研究はいち早く世界で注目され、あれよあれよという間に世界中に広まった
しかし皆が皆、アンドロイドの台頭に賛成だった訳じゃない。
1NEの開発者や、1NEについて携わっている人々はこの風潮には些か不満だったんだ
何たって自分達の生活を脅かされる事態だしね。けど、彼らの主張は「少数派」として次第に放逐されていった。酷い話だけどね
その内、多数派というか、アンドロイド至上主義の様な人たちが1NEとその系統を廃棄しようという運動を起こした
悲劇はそこからだ。その団体でもっとも力を持つ者――いわば先導者が、「博士」を同胞を使って拉致したんだ。理由はこれまた最低
1NEを初めとするアンドロイド以外のロボットに対し、悪性のコンピューターウイルスを散分させる為だ
凄いね、どんな結果になるか分かりきってるのに
もちろん「博士」はその要求を突っ撥ねた。だが……「博士」はその首謀者の正体に愕然とした。まさか自分の
おっと、悪いけどちょっとした事情が出来た。僕は本来の姿に戻ろう
さて、この後彼女がどんな運命を辿るのか……しっかり見届けてくれ
0082名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 17:20:39ID:nG+ONvYC0083名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 17:32:53ID:nG+ONvYC念のため支援
もしさるってたら時遅しだけど
(7)
ん……蛍光……灯? ココは……ふっと、全身の力が抜けているようだ。まったく動ける気がしない
と、状況確認したほうがいいかな。さっきまで私は……そうだ、突然目の前が真っ暗になって、その場に倒れたんだ
それで視界が戻らないまま、あのアンドロイドと、青年型と妙な問答を交わした。「博士」についての
あのときの会話は殆ど私の本音だ。そしてあのむき出しの感情も。何故だか私はあの青年型の話に怒りを抱いた
まるで口調が他人事のように感じた。私でさえ嗚咽を吐く(吐けないけど)内容なのに
って冷静に振り返っている場合じゃない。私は首を動かし、自らの状態を見計らう
ふと、ひんやりと冷たい感触が背中を走る。今の私は寝かされている様だ。どうやったかは知らないが首以外全く身動きできない
視線だけ周りに移すと、左右に大きな機械……冷蔵庫くらいと表現すればいいのかな? そうゆう機械が2,3台並んでいる
にしてもさっきからどうも気持ち悪い。オイルの匂いやらなんやらで、形容できない冷めた匂いに、私の嗅覚は拒否感を示しているのだ
それと、自分の体を覗き見る。……全裸だ。いつの前に服が剥ぎ取られたのだろう。恐らく青年型の仕業だ
人を裸に剥くだけではなく、ベットに括りつけるなんて姿見に反して、あの男は酷く性格が悪いらしい
しかし本当に身動きが取れないな……こんな今年といて、ただで済ませる訳にはいかないだろう。少なくとも女性型のプライドとして
けれど、数十年間一人である私に協力者など正直な所、いない。小動物達と仲良くできるほど私は優しくないし
そういや私を括りつけているコレはベットと言うより巨大な鉄板の様な気がする。……焼かれるのか? 私など焼いても旨くも何とも
いや、あの男の事だ、もっとえげつない事を企んでいるのかもしれない。というか…どうにかこの場から脱出しない事には何も進まない
そして、あの青年型と1NEが何者かを知るまで、私は朽ちる訳にはいかない。「博士」について聞く事もある
だが無常にも幾らジタバタ足掻こうとも、見えない鎖が私を縛り続けている。あぁ、悔しい
その時だ、前方に見覚えのある物体が視界に見えた。あのライトのような目に、コロコロとした……君は青年型と一緒にいた1NEじゃないか
丁度良かった……と言っても君に何か出来るとは失礼だが思えないな。けれど何か手助けしてくれるなら大歓迎だ、と
私の足元に1NEは止まった。そして目であるライトを何度か点滅させた。ふむ……
「アナタヲ ヨンデイル ジブンニ ツイテ キテ クダサイ」
なるほど…私を呼ぶその人物はおそらく悪趣味な青年型だろう、全くあの禅門答といいこの仕打ちといい、あの男は私に恨みでもあるのか
いや……むしろ私を作り出した「博士」にか。「博士」と青年型がどんな関係なのか、私は色々な意味で好奇心を煽られた
1NEが足元から私の左脇まで移動した。瞬間、今まで私を押さえつけていた鎖が突如として消滅し、四肢が自由になった
急いで腰を上げる。どこからかひゅうと風が吹き、微かな寒さに小さく震えた。あらためて私が今いる場所を観察してみる
周辺に無機質な機械類が並んでいる。だが整備されている様子も無く、どこか雑多なイメージだ。一体この部屋で何をしていたのだろう
てか今の私は裸なんだか……と呆然としていると、1NEがどこから出したか大きな布切れを、私の目の前にどさっと置いた
服じゃなくて布切れ……まぁこの際贅沢は言ってられない。急いで布切れを纏い、台から降りた
台でも鉄板でもない……透明かつ巨大なアクリル板のような板の下に、大きな電球型の機械が設置されている
下に潜りそれに触れると、ピシッと静電気のようなものが私の指を走った。これは……磁場だ。それも非常に強力な
私の中にある電磁を含む物質を利用して、ここに押さえつけてたって事か……道理で何も無いのに動けないわけだ
ここまでやる事なす事陰険だと本気であの男に怒りを感じる。一度くらい言い負かさないと、私の感情も収まらない
と、1NEの後ろをとぼとぼと歩きながら、私は決意した
歩けども歩けども、薄暗い殺風景な廊下が続く。証明が薄暗く、たまに1NEを見失い。と言っても道は真っ直ぐなので迷う事は無いが
それにしても本当にココは何処なのだろう。まず「博士」の家ではない事は確かだ。そして私が今まで来た事の無い場所である事も
と、次第に数メートル先に眩い光が見えてきた。出口だ。自然に足が速まる。前方の1NEに追いつかないようにだが
段々と光が近づいてきて、私は目を細めた。1NEの姿が光の中に消える。慌てて私は走り出した。ここ……は?
「ようこそ、イヴ。我々アンドロイドの世界へ」
青年型の大声が、反射するように私の聴覚を刺激した。一瞬私は耳を押さえかけた
細くしていた目をゆっくりと開ける。そこには巨大な、ホントに巨大な液晶モニターが吊り下げられていた
そしてその周りに悪趣味な金色の装飾が、壁やモニター周辺に敷き詰められている
真正面を向くと、黒いコートに身をやつした複数の人物が、白いイスに座った一人の男を中心に扇形に並んでいた。意味が分からない
「やっとあの男からの呪縛から解かれたんだ。もう少し喜んだらどうだ?」
中央の白いイスに座った――他の連中と同じく、黒コートを着た忌まわしき変態青年型男が、俯きながらも視線だけを私に向けてそう言った
どことなく・・…・いや、完全にナルシズムだ。隠そうにも隠せられない気持ち悪さが滲み出ている
何なんだろうこの人達……確かに私はいつもの日常から脱したいとはつくづく思っていたが、こんな非日常は全く望んでいない
私がオドオドとしていると、追い越していた1NEがトコトコと、青年型の元へと向かっていた
同時に青年型が立ち上がり――次の瞬間、1NEを思いっきり蹴りつけた。蹴られた1NEが派手な音を立てて横転する
「なっ! 何て事をするんだ!」
私は反射的に1NEの所まで駆け寄りしゃがんだ。軽く火花が散っていて、凄く痛々しい
「良いんだよ、コイツは。むしろここまで生かしておいた事に感謝してもらいたいね。あ、喋れないか、お前」
青年型の癪に障る嫌味が、私の耳に入る。周りの連中も含み笑いしている
もう駄目だ、私の怒りも頂点に達している。この男も周りの連中も・・・許しえない
私はその場に立ち上がり、青年型に向き合った。最初に会った時の表情とは完全に違い、サディスティックが前面に出ている
「そう睨みつけるな、イヴ。俺達は――この地球で最初の支配者になるんだ」
……はぁ。思いっきり平手打ちしたくなったが、青年型のその発言に、私は思わず方の力が抜けた
気づくと警戒しているのか、周りの黒コート達が私を囲っている。が、青年型がさっと手をかざすと、その場に直立した
「俺もいきなりすぎたよ、それは謝る。だがもう時間が無いんだ
地球環境は悪化し続けているし、未だに南極の氷は解け続けている。どれもこれも人間が悪いんだ。――と言っても全滅してしまったけどね」
そう言うと、青年型は豪快に笑った。ひたすら不愉快。だがそれ以上に1NEが動かないのが私には心配だった
動いてくれ、どんな信号でも良い。私に反応し……ん? 淡く、微かな光が、1NEのライトから見える。点滅しているのか……?
「さて、それでは計画を始めようとするか。次なる世界の幕開けの為にな」
青年型が人知れずそう呟くと、後ろでブオンと、鈍く光る音がした。私は振り返ると――なぜか「博士」の花畑が映し出されていた
「どういう……事なの?」
――と、まずい事になったね。ここまで彼が真理にたどり着くなんて。それに彼女もこのままじゃあ為す術も無い
ん? あぁ、失礼。先ほど、ロボットと人の歴史について語った者だ。ちょっとした事情で一回引っ込んでしまいすまない
さて、何処まで話したかな? そうそう、「博士」が過激派のリーダーに脅迫された所だね。それで「博士」はどうしたかと言うと……
流したんだ。その凶悪なウイルスをね。堪え切れなかったんだ。目の前で、「博士」の親族が、無関係の人間が殺されていくのを
連中はこの時点でただのアンチ団体の枠を超していたんだ
アンドロイドによる、アンドロイドの為の社会を――それが連中の唯一つの願い
そしてそのリーダーが、今の彼女の前に立ちふさがる「博士」が始めて開発したアンドロイド――いわば初号、FN-00AJK1、アダムだ
アダムは驚くべき事に反1NE派の人間達を扇動し、同じアンドロイド達にも、人間達に反抗しようと吹き込んだ。1NEに使ったウイルスを使ってね
世界がロボットと人間達の戦争によって火畑になるのも時間の問題だった。いや、あっという間だったね。本当にあっけないくらい、人は――
その混乱の中、未曾有の混乱の首謀者として、「博士」は人からも、ロボットからも、もちろんアンドロイド達にも追われる様になった
長い長い逃亡生活の果てに、心身ともに衰弱した博士は、ある国のある地域のある屋敷に住む老人に出会った
その老人は、「博士」にこう頼んだ
自分はもうすぐ死の床に着く。君の腕前を見込んで、ある交換条件を申したい
――私の娘のアンドロイドを作ってくれ。もし作ってくれたら、君にこの屋敷と、私が手入れしている花畑を譲ろう
「博士」はそれを快く承知した。どんな職業かは知らないけれどかなりの大富豪であったその老人の手際もあって一週間も経たずに依頼のアンドロイドは完成した
そのアンドロイドの名は――イヴ。そう、今絶体絶命の危機にいる、あの彼女の名だ。アダムの呼び名は決して比喩ではなかったんだ
話を戻そう。老人は「博士」の作り出したイヴの出来に涙を浮かべるほど喜んだ。そして老人は屋敷のほかに、「博士」に自らの資産を託そうとした
だが、意外な事に「博士」はそれを拒否した。その代わりに一つ、老人に条件を足した
イヴに花畑の管理と自分の整備方法を教えて欲しい
その際の貴方の呼ばれ方は、「博士」でと 。老人は首を傾げながらも、どちらの条件も承諾した
老人が「博士」としてがイヴに様々な事――もちろん人類の行く末も話している間 に「博士」はどうしたかと言うとね
傍らの1NEに自らの人格を模した人工知能を備え付け、来るべき時までに作動しないようにした
もうお分かりかな、僕の正体が。ただ、事情があって僕自身表に出る事は出来ないんだ。けど、もうすぐ僕が僕自身として出てくる必要がある
その為には、彼女の行動に掛けるしかない。奇跡が起こる事を……
モニターには、「博士」が手入れし、私が管理していた花畑が映し出されている。自然に私の視線はモニターを凝視していた
1NEはぼんやりとライトを光らせたが、そのままうっすらと光を消して動かなくなった。……嘘だろ、このまま……このまま壊れるなんて
どうして……どうして君はこんな事が平然と行えるんだ。怒りを通り越し、悲しみが私の胸を伝う
「何だ? そう怒るなよ。コイツは屋敷の中で埃を被っていた所を、俺が助けてやったんだ
ロボットには何の感情も沸かんが、雑用程度には仕えると思ってな。俺って優しいだろ?」
「だから……だからって暴力を振るっていいのか? 私には……私には理解できない、したくもない」
切実だった。目の前で弱き存在が虐げられるのは堪えられない。だが――無力だ。私一人では
瞬間、青年型の手下が私の後ろに回りこむと、鮮やかな手口で、1NEを見取っていた私の手首を掴んで私を地面に押さえつけた
はらりと布切れが取れて、上半身があらわになる。こんな連中に私の体を見られると考えると頭の中がおかしくなりそうだ
青年型がひゅうと口笛を吹いた。どこまで私を侮蔑し、蔑めば気が済むのか――この男は
けど頭の片隅にふと、気になる事があった。私は作られてから一度もガレージの隣である屋敷に入った事が無かった
それに1NEの存在も、それ以前に私は外の世界がどうなっているのか全く知らないんだ。知りたい――本当に人類が全滅したのかを確かめたい
……何を考えているんだ、私は。こんな状況でそんな事を考えたって仕方ないじゃないか。そういう事を考えるのは、この状況を脱してからだ
そう言えば……目の前の男に口を聞くのも嫌だが、ここは下手に出るしかあるまい
「ごめんなさい……妙な事はしないわ。だから」
自分の中では背いっぱいのか弱い声で青年型に聞いた。青年型が私に首だけを向ける
「だからこの手を離して貰えない……かな。あと、よければ一体ここがどこかを教えてもらえたら……」
流石に馴れ馴れしいか、青年型の背後に居た手下がさっと前に出た。が、青年型が左手をかざし、下げらせた
同時に私を押さえていた手下が私の手首から手を離す。その場から離れながら、はだけていた布切れをもう一度羽織る
「離してやれ。彼女はキーだ。これからの新世界を切り開く為のな」
そういうには今までの扱いが荒すぎるのでは? と言えばまた機嫌を損ねるだろうから黙っておく
カチャカチャと軍靴(恐らく)を鳴らして、青年型が私の前を闊歩し、ふっと止まる。そして言った
「この場所は我々、アンドロイドの拠点であり、新世界の首都となる、ニューヨークの真下の地下だ」
ニューヨーク……確かアメリカと言う巨大国家の地名だと聞いた事がある。わざわざそんな大層な所まで私を運び出すとは……
ふとモニターに目を向ける。未だに花畑に動きは無いが、もし何かしたら、その時こそ私の怒りの臨界点が突破する
右も左も手下が囲っていて、身は自由なものの、下手な動きは出来ない。私には彼らに対して一騎当千できる様な力も無い
どうすれば良い……どうすれば。1NEは機能停止しているのか、横たわって微動だにしない。つまり万事休すなのか、おいおい
「そうだ、俺の名前を教えてなかったな。俺の名はアダム。最も最初に作られたアンドロイドであり、最も優れたアンドロイドだ」
自信満々の口調で、青年型、いや、アダムはそう私に言った。正直青年型と呼ぶのも疲れたので助かる。感謝は絶対しないが
と、アダムは悠々と中央の白いイスに座ると、背後のモニターを一瞥して、私の方に向き直った
「新世界の誕生の前に、ここまでの経緯を教えてあげよう。本当に苦労したんだぜ」
背を曲げて、両手を絡ませながら、アダムはとうとうと、今までの過程を説明し始めた
その話に私は――驚嘆した。そして信じたくない真実を嫌でも知る事となった。それが本当に――真実と断定するが術が無くとも
薄々気づいていると思うが、奴、いや「博士」に、全世界の俺達アンドロイド以外のロボットにウイルスを撒かさせたのはこの俺さ
気づいちまったんだよ。所詮人間達にとって、俺達は道具以上の役割は果たせない。どれだけ尽くそうと――朽ちれば棄てられる
奴は必死で、俺に対して説得し続けたサ。俺達は共存できる。お互い理解し合えるとな
俺も最初は信じていたよ。「博士」の言葉をな。だが俺には信じる事はできなかった。そして自分の目で見たんだ
裏の――と言っても、ここで暮らし続けた君にはピンと来ないだろうが、機能を果たせなくなったアンドロイド達の末路は悲惨だった
ある者は性欲のはけ口に使われ、ある者は新兵器の的に、ある者は――
ち、反吐が出る。つまりだ、俺の中で人間に対する認識が180度変わっちまったんだ
そして気づけば俺は銃を手に取り――「博士」の下から逃げ出していた。それからは簡単さ。俺は1NEに批判的な連中に接触した
自らを表した俺に、連中は意外にも好意的な反応を示した。それほど、1NEやそこらのロボットが気に食わなかったんだろう
その後、俺は「博士」の自宅を、もっとも過激な思想を持つ輩と共に襲撃した、ここからは話さなくても良いな
で、どうやって君の居場所――いや、「博士」の隠れ場を見つけたかというとな――「博士」が直々に俺に連絡してきたんだよ
俺は最初半信半疑だったが、その「博士」と名乗る男の話を聞くにつれて、信憑性が沸き、実行に移したのさ
「博士」はまず俺に対し、全てのアンドロイドだけを破壊するコンピューターウイルスを開発したとの言った
そしてそのウイルスを詰めたカプセルをある国――ここだな。のある土地の花畑に埋めたと続けた
ここだけ聞くといかれた狂言だろ? だがその後の一言が、俺の半疑を確信に変えた
そのコンピューターウイルスが適用されるアンドロイドの形式番号を次々と言い続けたんだ
それも世界中に居るアンドロイドの派生型である100種類ものオリジナル番号をな。もちろんその中には俺も入っているんだがね
俺が確信を抱いたのはここさ。たとえ末端の形式番号は言えても、フルの形式番号を言える人間は一握りも居ない
いや、一人さ。「博士」だけだ
だが妙だとは思わないか? どうして敵となった俺達に、わざわざ形勢逆転するための切り札を渡そうとするのか
そう聞くと、「博士」はこう返した。もう諦めた。誰もいなくなった世界の行く末は、君たちが担えってな
俺はここに勝利を感じた。浅はかな思考かと思うか? 違うね。「博士」は悟ってたのさ。もう俺達に逆らえる術など無いってね
俺達は早速、「博士」の語った場所へと急行した。ずいぶんと閑散とした田舎だったが、そんな事はどうでもいい
「博士」の言葉どおり、そこには花畑があった。そして――君が居たんだ。どうしてだ? どうしてこんな場所に人が?
君は覚えていないだろうが、俺はずいぶんと君と会話したんだよ。何故ここに居るのか、そして君は何者なのかと
しかし君は俺に対し、一切興味を抱こうとはせず、毎日黙々と花畑を管理し続けていた。まるでそれ以外の事が出来ないように
ここで時間を潰すわけにもいかない、コレは罠なのか――? と思ったが、違う。俺は気づいた。この少女、いや、君は……
「博士」が隠したカプセルを開ける為の――鍵じゃないかとね。そして俺は賭けに出た
君の後を追い、君がガレージで休止し、充電している時にちょちょいと脳髄を弄らせてもらった
やはり、君にはそれ以外の行動が出来ぬように、強力なプロテクトが掛けられていたんだ
他人とは話さない、花園の花を枯らさない様にする、ガレージと花畑以外の場所には近づかない……他にもね
君が休止している間、少しづつ、少しづつ、俺はプロテクトを解除するために忍び込んでは弄った。自分の組織をも放置してな
そして昨日だ、やっと君は俺に反応を示してくれた。本当に嬉しかったよ。顔には出ないけどね
「私が……そのカプセルの……鍵?」
思わず口に出して、私はアダムの台詞を反芻する。この無力な私が鍵だって? この世界を変えるほどの?
俄かには信じられない、というか全く理解できない。正直、その部分以降は何も聞いてなかった
でも突然すぎる。こんな場所までつれてこられた上に、そんな事を告げられても――だ
アダムは白いイスから降りると、四つん這いになっている私の顔を右手でくいっとあげた
今の私はどんな顔をしているのだろうか。不安やら悲しみやら恐怖やらで酷い顔をしている気がする
アダムの目を見れない。本当ならこんな目にあわせたことに対する恨みで、睨み付けたいのだが――出来ない
何でだろう。私はこの最低で自己中心的で、尚且つ非情で――物悲しい男に、同情しているのか?
「本当に……」
私の口から自然に、言葉が出てくる。アダムが小さく眉を潜めたが、むしろ私の方が驚いている
「本当に……それでいいの? それで……貴方は救われるの?」
私自身、自分が何を言っているのかが分からない。けれど、このままでは――いけないと思った
「救われる……か。救われないさ。もう」
アダムの口調が先ほどの高圧的な態度から、一転、最初にあったときの柔らかなものになっていた
すっと、アダムの手が私の顔から離れる。何でだろう。アダムが後ろを向いて、モニターを見つめ、言った
「無いんだよ。鍵なんて。ずっと君の脳内を弄くってたけど、そんなもの」
呆然としている私を一瞥すると、アダムは淡々と説明しだした。周りではアダムの手下がアダムの言葉にざわついている
「どうやら、君の脳髄を弄くっている時に感染してしまったみたいなんだ。参ったよ
君が発症しているそのむやみに信じ込まされると言うのかな――そのウイルスがね
俺が君を数十年弄っていた間、犯されていたみたいだ。気づいたのは昨日さ。君には悪いが、花畑を荒らさせてもらった」
な、何ですと! ともう元気よく言えるほどの活力は正直無い。というか事態が全く持って飲み込めない
すっと、アダムがコートから何かを取り出した。――封筒? なんで封筒なんて。と、アダムがモニターを眺めながら
「あれは数日前に、君がガレージに戻った際に隠し撮りした映像さ。よく見てもらえれば分かると思う
花畑を掘り返して出てきた物は、俺達を殲滅する為のカプセルなんかじゃない。ただのブリキ缶だった
その中に入っていたのがコレだ。「博士」が、いや、「博士」と名乗っていた男が君に当てた手紙のようだ」
そう言いながら、私にその手紙を渡した。「博士」と名乗っていた男? それじゃあ、私が「博士」と呼んでいた人物は……
と思考し出そうとした瞬間、一斉に鋭い金属音が鳴った。アダムの手下達が――アダムに向けて銃を向けている
「私達を……私達をここまで導いておいて、その結果はコレか! アダム!」
私の手首を掴んでいた、じっと見ると大柄の手下が、居切りよくそう、アダムに叫んだ
アダムはじっとして前を見据えている。裏切りと言うのか、こういうのは
言い知れぬ緊張感が、場の雰囲気を支配している。私はただ、蛇に睨まれたかえるの如く、その場で固まっている
「あぁそうだ。お前たちを利用し続けた結果がコレさ。だが――ここに至るまで俺についてきたのはお前たちの意思だろ?」
アダムが抑揚の無い声で、銃を向け続けている手下達にそう言った。このままでは私も蜂の巣になりかねない
けれど、今の私にはそんな漠然とした恐怖よりも、ある疑問の方が頭の中を回っていた
その疑問を口に出すべきか、否か――迷っていたら後悔しそうだ。そう思った時、自然と言葉が口から出ていた
「一つだけ、一つだけ聞かせて。アダム」
私の声に、アダムは正面を向いていた視線を小さく私に向けた。詰まらない様に、私はゆっくりと言葉を進める
「私が「博士」と呼んでいた人物は……貴方が「博士」と呼んでいる人物とは……違うのね?」
考えていた言葉を雑然と並べただけだが、アダムは理解してくれるのだろうか。すると、アダムは小さく頷き
「そうだ。君が「博士」と呼んでいた人物は、俺が知っている「博士」ではなかった。その手紙を呼んでもらえれば分かるだろう」
私は渡された封筒を見てみた。白色のシンプルな基調であるこの封筒の中に、私を巡る謎の全てがあるのかしれない
けれど――私の疑問はそれだけでない。もっと単純で、かつ不可解な事だ
もう物怖じはしない。今度はアダムにしっかりと目線を合わせ、はっきりとした声で聞いた
「けどどうして、どうして私にこの手紙を渡したの? 分からないわ。貴方の事が」
ふっと、アダムの口元が緩んだ。笑っているのか。それにしても先ほどのサディステックな人物とは思えない笑みだ
「どうしてだろうなぁ。最後ぐらい善人ぶりたかったのかも。俺にも分からない」
そう言ってアダムは苦笑した。そのアダムの表情が妙に滑稽で、私もつられて笑っていた
「貴様ー!」
太い叫び声がして振り向くと、大柄の手下が痺れを切らしたのか、ついにアダムに向かって銃を撃った
私は声も出せず、その行く末を――途端、大柄の額に、小さな穴が開いた。恐らく銃弾によって空けられた穴だろう
正面に向き直ると、アダムが右腕を横に伸ばしていた。手の甲から薄く煙が出ている。跳ね返したのか、あの銃弾を
プスプスと音を立てて、大柄が仰向けのまま動かない。大柄の末路に、周りの手下達の様子がおかしい。おろおろしている
「行け、もう君には何の用もない。どうせ外の世界に出たところで、スクラップにされるのがオチだろうけどな」
アダムが冷淡な口調に戻り、そう言った。私は――私はどうすれば――違う、迷う事なんて何も無い
私の体は私の思考より早く動くと、アダムの左手を握っていた。アダムが困惑するような表情を浮かべた
「貴方も――貴方も一緒に逃げるのよ! それで……それで自分の罪を償いなさい! 自分自身で!」
何を言っているのか何てもう私は考えない。私はこの男に――アダムにどうしても伝えたかった
「なんだよ、どういう意味だよ、それ」
私の行動と発言に、アダムは表情を崩さず真顔で聞いた。私だって分からない。けれど
けれどこのまま、貴方が壊されるだけで、全てが丸く収まるなんて私は思えない。だから――
「良いから逃げるのよ! 早く!」
「に、逃がすわけにいくか! 構えろ!」
他の手下達が、まごつきながらも私達に銃を構えた。アダムが動いてくれないと、私もここで終わる事になる
けれどアダムは一向に動こうとしない。本当にここで朽ちる気なの? そんなの、そんなの絶対に嫌
だけど、貴方をこのままここで終わらせるのはもっと嫌だ。あぁ、もう、どうしてこう私は物事を上手く運べないのか
「――分かったよ」
「え?」
瞬間、ふわりと私の体が浮かぶと、アダムが私の体を両腕で抱きかかえた
全く予想していなかったアダムの行動に、私はただただ身を委ねるしかなかった。本当に情けない
けど、アダムが私の主張を聞いてくれたのは嬉しい。本当に聞いてくれてのこの行動かは分からないけど
と、うわっ! 私を抱きかかえたまま、アダムは真っ直ぐに出口へと走っていく。後ろから手下達が銃を撃っているが、全く当たらない
「まさか君に説教されるとはね。どうやらお……いや、僕も用済みという事かな」
暗がりの廊下を走りながら、アダムがふっと、寂しそうに呟いた。……用済み? 用済みってどういう意味?
しかし何時まで経っても廊下から出口に抜けない。永遠に感じるような――
何だろう……無性にエネルギーが……気づけばアダムの腕の中で、私は目を閉じていた
疲労感か? 全くロボットのクセに情け・・・…ない……
――と、ここで詰まった。まずい、せっかくここまで進んだのに
ここまで良い感じに話が進んだのに、どうする、どうするんだ、俺!
「そろそろ・・・・・・映画は完成しそうですかな?」
背後からくぐもった声が聞こえ、俺は1NEを方向転換させた。そこにはイヴが「博士」と認識していた――
いや、「博士」の依頼主役を演じた大御所俳優のベルネが立っていた
「も、もうすぐクライマックスですよ! 敵本拠地から脱出しましたし、イヴが人間らしく成長したし!」
1NEに搭載されているスピーカー部分から、俺はベルネにそう返答した
ベルネ氏には製作金をかなり援助してもらっている末、メディアからはかなり期待を寄せられているんだ、頓挫なんて出来るわけが無い
だけど……だけど駄目だ、この後の展開が全く思い浮かばない
「そうですか。それでは期待させてもらいましょう、監督」
ベルネ氏がそう言ってスタジオから出て行った。ほっと胸を撫で下ろす・・・・・・が
ベルネ氏と入れ変わりに、「イヴ」役の女性俳優であるフェスナと「アダム」役であるメルスが入ってきた
「ちょっとべたべた触らないで下さる? まぁアクション映画出身の貴方には、繊細な演技は難しいかもしれないけど」
フェスナが皮肉たっぷりにそう言うと、メルスがムッとした口調で返した
「君がもう少し上手く演技してくれれば、僕だって文句は言わないよ。正直気持ち悪いんだよ、君は」
その後はもう聞いてられないほどの、罵詈雑言の嵐だ
俺は耐え切れずスピーカーを切った。それもこれも、突然脚本家が失踪したせいだ
もし脚本家が逃げていなかったら、このまま「アダム」と「イヴ」が新たな世界で愛を育む……と言う筋書きだったのに
一応新たな脚本家は召集したが、そいつらがまぁ遅筆な事。このままじゃあ映画完成まで10年は掛かってしまう
「……ホントに世界がアンドロイドばかりだったらなぁ」
デスクに突っ伏し、「博士」である俺は今の現状を呟いた
終
色々と至らない(特にラスト)所がございます、ずばずば言ってもらえると助かりますorz
0094名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 19:55:20ID:nG+ONvYCまずは乙。ある程度の完成度は自負して良いと思います。
アシモフの三原則の禁忌ですかね、AIながら人間に近似の思考をうまく展開させていると思います。ただし、無い概念については思考する必要はないので
いくつかの断定がAIのラインを割っているあたり、きっちり線引きした方が良いかとは感じました。
「夢」の概念など。(6)で忘れ草が付いている時点で語り手が人間である伏線だと思わされるので、狙った効果であればそのまま、狙っていないのであれば省きましょう
オチはオチで良いのですが、落とさないストーリーも別に書いてみるとよいかもしれませんね。
ぱっと読んだ感じなんでそこまで穿った事は言えないですが、ちょこちょこおかしなところが見つかりますね。
大きなところではAIの人間度?基準が一本化されてなく、そのまま人間といってよいものになっていること。
ふつうは感情の芽生えを描いたりするので、映画の中といえど違和感がありますね。
収拾付かずに投げるようなオチはできるだけ避けた方がいいのかもしれません。
問題は監督か脚本家、あるいはその両方が無能すぎることでしょうね。どちらかを有能にしたいものですが、
そうするとデウスエクスマキナから脱却することは難しいです。バランスですかね。
「未来ノイヴハ恋ヲ」なんて題で短編も書いてただけに人ごととは思えない話題でした。
表現を無機質にすることを心がけると、展開の重要なポイントが光るんじゃないかな?
脈絡のない感想すみません。もう一回読み直します。
ありがとうございました。
0095名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 20:26:01ID:nG+ONvYC>>94の補足:文章などに関して明らかに気になった点
これほどまでに私は(は→が)感情を露にしたのは
「道路」→雰囲気出すためかな?カギカッコはいらないかと
吐けないけど→けれど
自らの状態を見計らう→見計らうが不適当
磁場のある所でアンドロイドの脳は正常に作動できるの?
サディスティックが前面に出ている →サディスティックは形容。「サディスティックな感情」かな
ここまで彼が真理にたどり着くなんて→彼がここまで真相に近づくなんて
私には彼らに対して一騎当千できる様な力も無い→一騎当千も形容。一騎当千はこの文脈では使えないと思う。無力感を出しておこう
ざっと拾っただけでこれだけ出るので、推敲がまだまだ必要だと思う。
内容に関してもうひとつ。
>>89->>91の流れが読みにくく意味が取れない。崩壊しているといってもいいくらい。すっきりした展開と表現が望まれるかと。
こんなところかな……またお願いします。
きっと良いものは書けると思うので、モチベーションを下げずに創作できるように頑張ってください。
0096名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 20:36:55ID:JaXXTxaX百合ものを書いたんだけど自信がないです。
0097名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 20:41:56ID:nG+ONvYC期待
つまり、レズビアニズムだ。
世の男性諸氏が妄想する純粋な物などではなく、倒錯した愛欲だ。
うら若き乙女が同姓に憧れる疑似恋愛などではなく、爛れ切った肉欲だ。
可愛い子を見れば手込めにしたいし、綺麗なお姉様を見ても手込めにしたい。
幸いな亊にすらりと高い身長、カモシカみたいなしなやかな足、ボーイッシュな顔立ちのぼくは、タチとしての素養を十分に持っている。
そして、小さい頃に見たテレビアニメのキャラクターに憧れて始めた口調は、違和感がないくらいにマッチしている。
これはもう鬼に金棒という他ない。
いや、駄目だ。こんなに完璧なぼくだけど棒だけは付いていないのだから。
「恭子! 恭子! そこの杜恭子! ぎょうごぉ! もりぎょうこーっ!」
太陽が翳り始めた校門前で、最近目を付けた同級生の杜恭子は、恥ずかしいのかぼくを無視する。
それはそれでとても可愛い。
「やめてちょうだいっ! 私には想い人がおりますのっ!」
「良いねえ、その女学生キャラ。そそるじゃないか」
恭子はレトロな大正浪漫が好みらしく、クラシカルな言葉遣い、仕草、容姿だ。
ぼくの言葉に恭子は顔を真っ赤にして俯いている。
こういう仕草はぼくの燃え盛る愛欲の火に油を注ぐ。
「キャ、キャラ……およしになって下さらない? わたくし、るり子さんみたいな色物ではないんですのっ!」
「な、なんだと! ぼくの、このぼくの何処が色物なんだ!」
駄目だ。愛欲どころか怒りの炎にガソリンを注がれてしまった。
だけど、ぼくの名前、沖方るり子を覚えていたことは純粋に嬉しい。
「その粗野な口調が! ガサツな存在が! 全てが! も知性を微塵の欠片も感じさせません! ああ、神様っ! わたくしをるり子さんみたいに生ませなかった事を感謝します。アーメン」
これ見よがしな大げさな仕草で、恭子は十字を切る。
「きみ、かなり酷いことを僕に言ってるぞ?」
「良かったですわね、るり子さん。貴女にも皮肉や嫌味が解るくらいの知性がおありでしたのね。……私は神様の存在を信じてしまいますわ」
嬉し涙で咽びながら、神様に祈りを捧げる恭子はとても神々しい。
だけど、事情を知っているぼくとしてはかなり忌々しい。
「……実家はお寺さんのクセに」
「だってキミの事が好きだからね。好きな人の事を調べるのは当然だろ?」
恭子は頬を赤く染めてぼくに熱い視線を向けて来た。
いやあ、照れるじゃないか。
「こ、このストーカーッ! 犯罪者っ! オトコオンナッ! 東京気取りの埼玉県民っ! えーと、それからそれからださいたまっ! ……貴女に語る舌なんてございませんっ!」
「埼玉県民を舐めるなっ! 彩の国埼玉っ! 浦和レッズに西武ライオンズ! 何処にいった東京ヴェルディ東京ヤクルトスワローズッ!」
丁々発止のやり取りの後に訪れた沈黙。 そして、二人の視線が絡み付いて凍り付いた時が動き出した。
「分かりましたわ、るり子さん。貴女のように哀れな埼玉県民の為に、池袋を進呈いたしますわ。というよりも、すでに池袋は埼玉県民に占拠されていましたよね」
「あ、ああ……池袋については地元民よりも埼玉県民の方が詳しいな……」
「ええ。本当に素晴らしいですわね、東武東上線。では、わたくしはこれで失礼いたしますわ」
恭子はぼくに慇懃な会釈をして踵を返して去っていった。
なんだろう、この不思議な敗北感。
これが倒錯した背徳の愛の最果てなのだろうか。
とりあえず叫ぼう。
カムバック、ぎょうごぉーっ!
――幕。
批評は辛口でお願いします。
0100名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/06(土) 21:04:53ID:nG+ONvYC辛口ねぇw
オチでニヤニヤさせるのには成功していることと思います。
文体なんですが、リズムを崩す長文は二文、三文に切り崩した方がいいかな。
>タチとしての素養を十分に持っている。
なんてのはちょっと言いきりすぎ
自信がある、自負しているってところかな
もちろん狙ってのことだろうが校門での主人公のセリフが痛々しすぎるw
「これが倒錯した背徳の愛の最果てなのだろうか。」ここ主人公のぼけに突っ込むとこだよねw
大げさな表現が似合うようなキャラ立てなんでおkでしょう。
上の方でナルシーな感覚を強調しているとよりバランスは良かったかもしれません。
基本的に語りとセリフなんで批評しにくいってのはありますね。
地の文のレトリックは改善の余地あり。難しいんですが、ここに上がっている他の作品からでも参考にできると思いますよ。
乙です。またどうぞ!
感想の程、有難うございます
確かにアンドロイドというには人間との違いが曖昧な表現が目立ちますね……
それと展開を急ぎすぎた為、>>98-91のシーンで、イヴの感情の芽生え等の重要な部分の描写不足もorz
それと推敲がまだまだ充分でないのも申し訳無いです、見直せばすぐに気がつくところばかりで
それで・・・・・・磁場のシーンは自分の勉強不足ですorz次からはこういう事が無いように気をつけます
鋭い批評、有難うございました。もっと精進します
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