>>110続き

「……ぐハッ!?」

咳き込み、泡を吐く。俺が怯んだ隙に、朧は距離を取った。

(ヒットアンドアウェイ? あの移動法は……)

俺には心当たりがあった。

――縮地――!
歩法と動作で相手の距離感を狂わせる技。朧が使っているのは、その発展型。
ゆったりとした拳法着は遅れて音を伝え、聴覚を惑わす。

「奇怪な朧の動き! これは一体ィッ!? 何気にハルト・リュウが怯むのは初めてだったりするかァ!?」

それは対峙者だけでなく傍観者までをも騙すのだ! これを見切るのは至難の業!

「どうしました? 動かないのなら、こちらから仕掛けますよ!」

迂闊に動けば縮地の餌食になるのは目に見えていた。
……となれば、俺が狙うのは一つ!

朧は再び縮地で俺の懐に飛び込んだ。

防御は捨てるッ! 喰らって動きを止め、カウンター!!
朧の突きが俺の鳩尾を貫く! 同時に俺の拳が朧を……!?

グォン!!!

……俺の拳は空を切った。朧は接近していなかった。縮地の応用で、そう見せ掛けていただけ……。

「そう来ると思っていました。素晴らしい反応速度です。飛び込んでいたら、やられていました」

(……チィッ! 打つ手無しか……!?)

技量が上の相手と、どう戦えば良いのか……?