>>80 つづき

さらに抜粋
P107

カルタンは論文「複素変数の解析関数のイデアルとモ
ジュールJの第II節「モジュールの層」の冒頭(第4小節から始まる)で、
層の概念を導入する理由を語っている。
岡潔とともに、モジュールの層の概念を導入しよう。我々は代数的位相
幾何学での「層Jという言葉を借用したいと思う。それは、代数的位相幾
何学で、J.ルレイJ)によってホモロジー論において導入されたものである。
我々がここで同じ言葉を使用するのは、ある類似の概念を記述するためで
ある。また、ここでは代数的位相幾何学におけるのと同様に、f局所的にj
与えられたものから出発して、「大域的なj 諸性質の研究へと移行するこ
とが問題になる。層の概念が導入されるのは、そのような理由があるから
である。
(フランス数学会雑誌7& 33頁参照。ゴシック体の一語fモジュールの層J
は、原文ではイタリック体で書かれて強調されている。)
1)ジャン・ルレイ。フランスの数学者。19偽年。ルレイに関しては、文献とし
て数学週報222、1946年、1366"'1368頁が指示されている。1946年という年数は注目
に値すると思う。なぜならこれによって、代数的位相幾何学でのルレイによる層の
理論の研究は、多変数解析関数論での岡潔による不定域イデ、アルの研究とほぼ同時
期に進行したことが諒解されるからである。
書き出しの一文には脚註が附されていて、層の概念と不定域イデ、アルの概
念は根本的に同一であると明記されている。