>>72
http://www2.tsuda.ac.jp/suukeiken/math/suugakushi/sympo08/08takase.pdf
[PDF]不定域イデアルの理論と多変数代数関数論への道
抜粋

岡潔の言葉(1 )不定域イデアル

不定域イデアルと層の理論の関係の考察は岡潔の理論を理解するうえで重要なテーマである。
「多変数解析関数について」という標題の講演(この講演が行なわれた日時と場所は不明だが、昭和38〜40年ころ、京都大学での講演と推定される。講演記録が残されている)を見ると、同潔自身によるいっそう立ち入った言及がなされている。
しばらく岡潔の言葉を観察したいと思う。
初めに語られるのは、解析関数論にイデアルの理論が導入されるまでの歴史的経緯である。

イデアルといいますとクンマー1)に始まります。それからそれをデデキント2)がアクシオマチック3) にいいなおしました。
それのエレメント4)を数からポリノーム5)に拡げたのがヒルベルト6) 、さらにポリノームをアナリチック・ファンクション7)に変えようと最初にしたのは、後で知ったのですが、リュッケルト4)です。
そしてこの後、これをさらに詳しく見ょうとして、1940年にアンリ・カルタンがマトリス・ホロモルフ9) という論文10)を書いています。
これは前の正則凸状の論文11)とともに非常に重要な論文です。
これだけで後は戦争になって、知らなかったのです。
ところでエレメントをアナリチック・ファンクションにしますと、どうなるかといいますと、ポリノームの場合は数の代わりに個々のエレメントをfと書けばよいのですが、
アナリチック・ファンクシヨンですと、リーマン12)がしました通り、このfがどこで正則かという領域δを添えて、(f,δ)としなければならない。
そのようにペアにして初めて意味をもつんです。
だから私は、領域が変わりますから、不定域イデアルとしたんです。
(下線による強調はぼくが行なった。)

3 )公理的に(英語)。
5 )多項式(仏語)。
9) 仏語。多複素変数の正則関数を要素とする正方行列のこと。