演繹定理なら前原の本には「仮定の下での推論」という形で載っている。

それと、述語論理の章に「変数条件」という言葉が出てくる。
仮定の下での推論は無条件に成り立つわけではなく、変数条件を満たす場合にその推論を認めている。
その本では推論法則を「A1, A2, …, An が証明できるなら B も証明できる」という紛らわしい表現で説明しているが、
正確には、推論法則とは証明の樹形図の一部分(パーツ)であり、このパーツを組合せて一つの証明図を作ることができる。
これを踏まえれば、変数条件は当たり前の但し書きに過ぎないと納得できるはず。

最後に重要な指摘を。
その本には意味論的概念は一切出てこない。”→”という記号に意味はない。
「Aが証明できる”ならば”∀xAも証明できる」からといって、日本語の”ならば”と記号”→”に繋がりを見てとり、
「A→∀xAは証明できる」と期待してはいけない(実際これは成り立たない)。
「証明できる」という言葉を以下のように直接的に言い換えれば、別に不自然なことではないと分かるだろう。
「Aを根の位置に配置した証明の樹形図が与えられたとき、∀xAを根の位置に配置した証明の樹形図も得られる。
しかし、(任意に与えられたAに対して)A→∀xAを根の位置に配置した証明の樹形図が存在するかどうかとは無関係である」