ラプラスの悪魔(Laplace's demon)とは、主に近世・近代の物理学の分野で未来の決定性を論じる時に仮想された超越的存在の概念であり、ラプラス(1749年 - 1827)によって提唱されたもののこと。
ラプラスの魔物あるいはラプラスの魔とも呼ばれる。

ニュートン力学(古典物理学)が席巻した近世科学・近代科学において見えていた世界観、演繹的な究極概念、「因果律」なる概念の終着点といってよい。量子論登場以後は、既に古いもの、ともされるようになった世界観・パラダイム。

ラプラスは自著において以下のような主張をした。
もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、
この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。― 『確率の解析的理論』1812年

「全てを知っており、未来も予見している知性」については、遙か昔から人類は意識しており、通常それは「神」と呼ばれている。
「全知の神」と形容されることもある。そのような存在についての様々な考察は、様々な文化において考察された歴史があるが、ヨーロッパの学問の伝統においては特に、キリスト教神学やスコラ学が行っていた。
デュ・ボワ=レーモンはそのような学問の伝統を意識しつつ、あえて「神」という語を、「霊」という言葉に置き換えて表現している。