>>302 つづき
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taro-nishinoの日記: 書評 グロタンディークとセールの文通書簡 20120325
抜粋
一流の人から直接学ぶことが大事なのは当り前ですが、直接学ぶ機会が無くても一流の人が書いた著作を読むことが次善の策だと思います。
それに関連して思い出したことがあります。皆さんは、グロタンディーク氏とジャン=ピエール・セール博士の文通書簡集"Correspondance Grothendieck-Serre"という本を御存知でしょうか。
2001年にSMF(フランス数学協会)から出版され、2003年にはAMS(米国数学協会)から仏英2か国語版が出版されました。
この本は出版後、何年前か忘れましたが、グロタンディーク氏が自身の著作権を有するものは出版を今後一切認めないという宣言によって、現在は仏国内でも絶版です。
今後再刊されることはありませんので、持っている人にとって貴重な現代数学史の資料となるでしょう。

この本は和訳されませんでしたので、日本のいわゆる数学愛好家には殆ど知られていません。
本にはグロタンディーク氏が位相ベクトル空間から代数幾何学へと分野替えの真っ最中の1955年に始まり、主として1969年までのセール博士との文通が収められています。

セール博士は当時(今でもそうですが)世界一の数学者であり、代数トポロジーの若き権威でした。
対してグロタンディーク氏は位相ベクトル空間に素晴らしい業績を残したけれども、代数トポロジーは勿論のこと、代数幾何学はおろか、函数論の初歩も知らなかったのではないかと思わせる有様でした。
昨今の阿呆学生でもしないような質問、例えば、リーマンのゼータ函数の零点は無限個あるのかとセール博士に聞いているのですね。
天才が天才であるのは知識が無くても、一流の数学者から手紙を通じて学び、あっという間に数学最前線に立てるのです。そこが凡才とは違うところです。
もし相手がセール博士のような一流でなければ、グロタンディーク氏の分野替えはもっと遅れただろうと思います。

書評 グロタンディークとセールの文通書簡
2004年3月 John Tate
この本は、1955年から1969年までのグロタンディークとセールとの間で行われたコラボレーションの詳しい状況を私達に見せる。その当時、彼等は代数幾何学における革命的発展に重要な役割を果たした。
(略)