>>640において (f_i(X))、i ∈ N の添字集合 N を一般の集合に変えると数学的帰納法の代わりに
Zornの補題(即ち選択公理)が必要になる。

命題
K と L を可換体とする。
σ: K → L を同型(>>513)とする。
(f_i(X))、i ∈ I を K[X] の次数1以上の元からなる族とする。
各 i ∈ I に対して σf_i(X) を f_i(X) の各係数にσを作用させた多項式とする。
E を (f_i(X))、i ∈ I の最小分解体(>>542)とする。
F を (σf_i(X))、i ∈ N の最小分解体とする。
このとき、同型 τ:E → F で σ の拡張となっているものが存在する。

証明
K ⊂ H ⊂ E となる E の部分体 H と埋め込み ν: H → F で
σ の拡張となっているものの対 (H, ν) 全体 Ψ を考える。
(K, σ) ∈ Ψ であるから Ψ は空でない。
(H, ν)、(M, μ) ∈ Ψ、H ⊂ M で μ が ν の拡張になっているとき (H, ν) ≦ (M, μ) と書く。
関係 ≦ により Ψ は順序集合となる。
Φ を Ψ の空でない全順序部分集合とする。
G = ∪{H;(H, ν) ∈ Φ} とおく。
G は体である。写像 ρ:G → F を以下のように定義する。
x ∈ G のとき (H, ν) ∈ Φ で x ∈ H となるものがある。
ρ(x) = ν(x) と定義する。
ρ は (H, ν) の選び方によらない。
(G, ρ) ∈ Ψ である。
各 (H, ν) ∈ Φ に対して (H, ν) ≦ (G, ρ) である。
よって Zornの補題により Ψ は極大元 (M, τ) を持つ。
このとき、M = E であることを示そう。

(続く)