犬に関する伝説
南方熊楠



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 南洋ニュウブリツン土人の説に、犬はもと直立して歩み甚だ速やかに走って多く
の人を殺した。そこで生き残った人間が相談して、麪包(パン)果を極めて熱しそ
の種子を犬の通路に撤(ま)いた。犬これを踏んで足を焼き、倒れて手をも焦し、
それより立って歩む事叶(かな)わず。その種子今も、犬の足の裏に球となって残
りあるという(一九一〇年版、ジョージ・ブラウンの『メラネシアンスおよびポリ
ネシアンス』二四四頁)。