補題
A を可換とは限らない環とする。
I を上向きの有向集合(>>140)とする。
I を添え字集合とする A-加群の帰納系(>>578) (M_i) とする。
T を M_i の直和集合とする。
T を >>581 の同値関係 ≡ で割った商集合を M とする。
x ∈ T に対して x の同値類を [x] と書く。
x_i ∈ M_i, y_j ∈ M_j に対して、I は上向きの有向集合だから
i ≦ k, j ≦ k となる k がある。
z_k = f_(k, i)(x_i) + f_(k, j)(y_j) は M_k の元である。
[z_k] は [x_i] と [y_j] のみで定まり、k 及び [x_i] と [y_j] の
代表元の選び方によらない。

証明
i ≦ l, j ≦ l となる l をとる。
z_l = f_(l, i)(x_i) + f_(l, j)(y_j) は M_l の元である。
I は上向きの有向集合だから l ≦ s, k ≦ s となる s がある。
f_(s, k)(z_k) = f_(s, i)(x_i) + f_(s, j)(y_j)
f_(s, l)(z_l) = f_(s, i)(x_i) + f_(s, j)(y_j)
よって f_(s, k)(z_k) = f_(s, l)(z_l)
即ち z_k ≡ z_l である。よって [z_k] は k の選び方によらない。

x_t ∈ M_t に対して、x_i ≡ x_t とする。
i ≦ u, t ≦ u となる u があり、
f_(u, i)(x_i) = f_(u, t)(x_t) となる。
I は上向きの有向集合だから u ≦ w, j ≦ w となる w がある。
f_(w, i)(x_i) = f_(w, t)(x_t) だから
z_w = f_(w, i)(x_i) + f_(w, j)(y_j) = f_(w, t)(x_t) + f_(w, j)(y_j)
前半から [z_k] = [z_w] であるから
[z_k] は [x_i] の代表元の選び方によらない。
同様に [z_k] は [y_j] の代表元の選び方によらない。
証明終