中学のころから、天文学者を夢見た。大学院に進学するころには、国の「大学院重点化」
政策で学科の定員が倍増した。もともと天文学者として働ける場は多くない。
「全員が就職できるわけじゃない」と覚悟して博士課程に進んだものの、これほど厳しい
とは思わなかった。
ポスドク生活の6年間に、論文を4本書いた。研究者として、普通の業績は出していると思う。
在籍した大学の教授や助手からは「ポスドクは研究に専念できていいよな」と言われた。
「3年目までは、お金をもらって自由に研究できるいい身分だと思っていたけど、こんな
不安定な状態がいつまで続くのか、だんだん不安になった」
現在の月収は36万円。ここから社会保険料と年金を払い、家賃5万円のアパートに独りで住む。
今取り組んでいるテーマに行き詰まり、気ばかり焦る。「来年、どうなるかが分からないから、
落ち着いて研究もできないんです」と白川さん。

白川さんのように、博士課程を修了して常勤職に就くまでの間、任期付きで働くポスドクは、
知識と技術を兼ね備え、即戦力として研究を支える貴重な存在だが、身分は不安定。
大学助手や民間企業の研究者などの常勤職は、分野を問わず「狭き門」だ。