丸山・ギルサノフの定理とは?(その1)

「考察対象の確率過程がブラウン運動になるのは、どんな確率測度を採用した時か?」という問題が残っていた。
ブラウン運動は確率空間上の確率測度に依存した概念である。
考察対象の確率過程Btの基礎になる確率空間の確率測度Pを、別な具合のいい確率測度Qに変更出来ればよい。
そのためには変換公式に必要な非負な可測函数(確率密度函数)f(ω)が存在するための必要条件が知りたい。
その条件が絶対連続性(ラドン・ニコディムの定理)であった。
f(ω)はQのPによるラドン・ニコディム微分である。
以上から考察対象の確率過程を変換して連続な適合過程Bt〜を考えればブラウン運動にできるのである。

さらにラドン・ニコディム微分を明示的に求めるために指数型マルチンゲールを考える。
指数型マルチンゲールがマルチンゲールになる十分条件がノヴィコフ条件である。
連続な適合過程Bt〜に指数型マルチンゲールMtによる重さをつけた確率過程Ytもまたマルチンゲールである。
指数型マルチンゲールMtを用いて、考察対象の確率過程の基礎になる確率空間の確率測度PからQ_Tへと
ギルサノフ変換すると、ラドン・ニコディム微分を明示的に求めることが可能になる(Cameron-Martinの公式)。

これをまとめると、「考察対象の確率過程の基礎になる確率空間の確率測度PをQ_Tへと変更した
連続な適合過程Bt〜がブラウン運動になる」という「丸山・ギルサノフの定理」が言えるようになる。
これで最初の設問に答えることが出来たわけである。
以上のような手法はドリフトの理論(ずれの変換)とよばれる。