>>767 より2次体 Q(√m) の整数環 R は Z[ω] = Z + Zω の形を
している。
ここで m ≡ 1 (mod 4) なら ω = (1 + √m)/2 であり、
m ≡ 2 (mod 4) または m ≡ 3 (mod 4) なら ω = √m である。

注意すべきは、m ≡ 1 (mod 4) なら Z + Z√m は整数環とならない
ことである。つまり整域 Z[√m ] = Z + Z√m は整閉ではない。
よって Z[√m ] は Dedekind 整域ではない。
この事実が、歴史的には2次体の整数論が円分体の
整数論より後に出現した理由と思われる。

まず、代数的整数という概念自体が Gauss や Dirichlet の頃には
明確に意識されていなかった。
Kummer もそうだろう。何故なら 円分体 Q(ζ) の整数環は
(彼 にとって幸運にも) Z[ζ] = Z + Zζ + ... + Zζ^(λ-2)
であるから、円分体論において代数的整数という概念は自明すぎて
殆ど意識の必要がないから。

代数的整数という概念がなければ m ≡ 1 (mod 4) の場合の
2次体 Q(√m) の整数環が意識に上ることはまずないだろう。
したがって、Z[√m ] が整閉でないことに起因する素イデアル分解
の一意性の不成立が大きな困難となる。